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第三章 百合おじにライバル出現……と思ったら同類だった。
第18話 百合ップルを追う、不審者二人
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話を聞いて、ティナとトマ王子は承諾した。
「ユリウス王子は?」
「もちろん、行こう」
シナリオ上、オレはあのダンジョンで死ぬこととなっている。
だからこそ、行く必要があった。
オレはティナやトマ王子と敵対しないことで、死亡フラグがなくなった。
だが、油断はできない。ダンジョン行きが、オレの死亡トリガーである可能性も否定できないからだ。
死亡フラグをへし折って生き延びることが、オレの目的ではない。
オレの最終目標は、二人が幸せになる世界を作ることだ。
まだ世界は、百合に寛容ではない。
オレが、この世界を変える。
なので、ダンジョンに向かう必要があるのだ。
見届けてみたい。自分があっけなく、最期を遂げるのか。あるいは……。
「すぐにでも、出発できますが?」
「まあ、そう焦らずとも。翌朝出発だ」
腰を上げたティナを、ガセート先輩が引き止める。
具体的な日時は、生徒会の女子生徒が教えてくれた。
ダンジョンへは、数日かけての旅となる。
欠席中の成績などは、ダンジョン攻略で免除されるとか。
「ありがとうございます」
用事が終わって、オレたちはようやく解放された。
さて、ティナとトマ王子の帰り道でも、ストーキングするとしよう。
アレから、学園周りのきな臭いエリアなどを、叩き潰してきた。
「感謝しておいてやるぞ、ヤン王女」
オレの肩近くで浮いている、ヤン王女の使い魔に礼をいう。
『あたしは、トマ王子の安全を確保したいだけよ! ティナとはいつまでも、ライバルなんだから!』
使い魔越しに、ヤン王女がツンデレセリフを吐いた。
ヤンはリモートで、まだ二人を追いかけている。
『それにしても、この間の女は何者なのかしら? 顔がトマ王子に、めちゃくちゃ似ていたけど』
「そのくらいにしておけよ。さっさと帰るんだ」
長時間の使い魔召喚は、魔力炉に負担がかかる。特に、遠方を映し出す類は、膨大な魔力を消耗するのだ。どれくらいヤバイかと言うと、将来的な潜在魔力の上限値や、魔法発動時の出力量に障害が発生する。
『えっ、気にしてくれているの?』
「そんなわけないだろ。早く召喚を解け。魔術回路に支障が出るぞ」
使い魔にぶりっ子ポーズをさせるな、と。気持ち悪いのだ。
ヤンの使い魔が、消滅した。
これでトマ王子とティナが、百合ん百合んであることがバレないはずである。
「相変わらず、尊いな」
カフェでお茶をしている二人を、物陰でストーキングをしていた。
他愛のない会話をしているだけなのに、周りに花が咲いている。
「実によき。やはり百合こそ至高」
「ひいいい!」
オレが隠れていた街路樹が、ガセート先輩に変わった。
いつの間に擬態していたんだ!? オレが気付けないとは。
「あまり、驚くなよ。二人にバレてしまう」
「うむ。ということは、先輩も」
「そうだよ。僕は百合スキーさ」
「ユリウス王子は?」
「もちろん、行こう」
シナリオ上、オレはあのダンジョンで死ぬこととなっている。
だからこそ、行く必要があった。
オレはティナやトマ王子と敵対しないことで、死亡フラグがなくなった。
だが、油断はできない。ダンジョン行きが、オレの死亡トリガーである可能性も否定できないからだ。
死亡フラグをへし折って生き延びることが、オレの目的ではない。
オレの最終目標は、二人が幸せになる世界を作ることだ。
まだ世界は、百合に寛容ではない。
オレが、この世界を変える。
なので、ダンジョンに向かう必要があるのだ。
見届けてみたい。自分があっけなく、最期を遂げるのか。あるいは……。
「すぐにでも、出発できますが?」
「まあ、そう焦らずとも。翌朝出発だ」
腰を上げたティナを、ガセート先輩が引き止める。
具体的な日時は、生徒会の女子生徒が教えてくれた。
ダンジョンへは、数日かけての旅となる。
欠席中の成績などは、ダンジョン攻略で免除されるとか。
「ありがとうございます」
用事が終わって、オレたちはようやく解放された。
さて、ティナとトマ王子の帰り道でも、ストーキングするとしよう。
アレから、学園周りのきな臭いエリアなどを、叩き潰してきた。
「感謝しておいてやるぞ、ヤン王女」
オレの肩近くで浮いている、ヤン王女の使い魔に礼をいう。
『あたしは、トマ王子の安全を確保したいだけよ! ティナとはいつまでも、ライバルなんだから!』
使い魔越しに、ヤン王女がツンデレセリフを吐いた。
ヤンはリモートで、まだ二人を追いかけている。
『それにしても、この間の女は何者なのかしら? 顔がトマ王子に、めちゃくちゃ似ていたけど』
「そのくらいにしておけよ。さっさと帰るんだ」
長時間の使い魔召喚は、魔力炉に負担がかかる。特に、遠方を映し出す類は、膨大な魔力を消耗するのだ。どれくらいヤバイかと言うと、将来的な潜在魔力の上限値や、魔法発動時の出力量に障害が発生する。
『えっ、気にしてくれているの?』
「そんなわけないだろ。早く召喚を解け。魔術回路に支障が出るぞ」
使い魔にぶりっ子ポーズをさせるな、と。気持ち悪いのだ。
ヤンの使い魔が、消滅した。
これでトマ王子とティナが、百合ん百合んであることがバレないはずである。
「相変わらず、尊いな」
カフェでお茶をしている二人を、物陰でストーキングをしていた。
他愛のない会話をしているだけなのに、周りに花が咲いている。
「実によき。やはり百合こそ至高」
「ひいいい!」
オレが隠れていた街路樹が、ガセート先輩に変わった。
いつの間に擬態していたんだ!? オレが気付けないとは。
「あまり、驚くなよ。二人にバレてしまう」
「うむ。ということは、先輩も」
「そうだよ。僕は百合スキーさ」
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