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第一章 百合美少女事務所を立ち上げようとしたら、バ美肉ばかりが生まれた
第2話 一年前
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メンバー初配信一年前、オレはV事務所を引退した。
いわれのないスキャンダルで、オレは契約を解除されたのである。
オレはただ、野望のために動いていただけ。
ゆりんゆりんな、独立事務所を建てるために。
女性ばかりのV事務所を、立ち上げようと考えていた。
いくらオレがアイドル売りしても、男性Vでは受けないと実感してしまったからである。
悪党感を出しすぎた、オレの売り方も悪かった。
事務所との軋轢が強かったのも、事実である。
案件が大事なのもわかるが、自由にやらせてもらいたい。せっかくの、ネット環境なんだから。テレビと同じことをしても、仕方がないじゃないか。
その態度が事務所との誤解を生んで、結局オレはクビに。
まあいいさ。
「円城景 つばさ」というネーミングも、そんな反骨心からつけた。いい子ちゃんでやってても、しょうがないじゃん。
オレには野望があった。百合帝国を作ることだ!
女性Vばかりで構成して、百合な光景を眺めること。
しかし、オレの悪評をさらに悪いように捉えられて、オレは今も女性Vからは裂けられていた。
困り果てたオレは、昔ながらのツテを頼ることに。
「泉社長、よろしくお願いします」
「こっちもや! おおきに、慶くん。ウチもV事務所、やってみたかってん!」
昭和風バーコード頭の見た目に反して、泉社長は女性にセクハラなどはしない。とは言え、見た目のせいか、あまり女性ウケはしなかった。
七〇代にしては頭の回転も早く、Vチューバーの推しなども、新しめの子が多い。
「すごいよね。最近だと性転換した子。個別株投資やってる子。元々百合営業とかもおるやろ? 付加価値ないと、見向きもされへんのやろか?」
「そんなことはないでしょう。自分の強みを、反映させれば目立ちます。それより、可愛いだけで売り込めなくなってきたのは事実ですね」
「せやんけ! せやさかい、ウチもなんか付加価値つけたろやんけ。ウチもVやるで!」
なんと、オレの話を聞いた時点で、ママに依頼を出したそうだ。やる気満々じゃん。
「事務所の社長ってだけでも、十分個性だと思います」
「せやねん。ウチは、あんまり露出せんとこかなって。縁の下の力持ちって感じでええかな?」
自分はあまり前に出ず、後続に道を譲りたいという。
「ほんでな、面倒見てほしい子が、いてんねん。子いうても、五〇代の男なんやけどな」
「えらい年配ですね」
「その子な、子どもも自立したさかい、自分の人生をやり直したいって言うてな」
八〇代おばあちゃんが、Vになる時代だ。別に、珍しくもないか。
「面接次第で、決めます」
「よっしゃ。待たせてあるから、おいで」
泉社長の、オフィスに向かう。
面接会場には、岩があった。ゴロゴロとした、岩の塊が。
そう描写させるほどゴツい男性が、パイプ椅子に座っている。
椅子は今にも、悲鳴を上げそうだ。
「円谷 慶です」
「うっす。椛島です」
巨漢の男性が、パイプ椅子から立ち上がって、あいさつをした。
泉社長が、もう一台のパイプ椅子を用意して、並べて座らせる。気を利かせているのか、いないのか。
「えっと。あなた、もしかして元・【椛島】親方で?」
「うっす」
元・椛島親方は、短く返事をする。
かつて横綱【潮乃岩】として活躍し、何度も優勝を経験した。
引退後は椛島親方として、つい最近まで稽古場を仕切っていたはずである。
ダンディズムを絵に書いたような人で、メディア露出もあまりない。水物なVチューバーとは、最も縁遠い人物と思われたが。
「Vチューバーになりたいと思った、理由をお聞かせください」
「ボクね。女装したいんスよ」
いわれのないスキャンダルで、オレは契約を解除されたのである。
オレはただ、野望のために動いていただけ。
ゆりんゆりんな、独立事務所を建てるために。
女性ばかりのV事務所を、立ち上げようと考えていた。
いくらオレがアイドル売りしても、男性Vでは受けないと実感してしまったからである。
悪党感を出しすぎた、オレの売り方も悪かった。
事務所との軋轢が強かったのも、事実である。
案件が大事なのもわかるが、自由にやらせてもらいたい。せっかくの、ネット環境なんだから。テレビと同じことをしても、仕方がないじゃないか。
その態度が事務所との誤解を生んで、結局オレはクビに。
まあいいさ。
「円城景 つばさ」というネーミングも、そんな反骨心からつけた。いい子ちゃんでやってても、しょうがないじゃん。
オレには野望があった。百合帝国を作ることだ!
女性Vばかりで構成して、百合な光景を眺めること。
しかし、オレの悪評をさらに悪いように捉えられて、オレは今も女性Vからは裂けられていた。
困り果てたオレは、昔ながらのツテを頼ることに。
「泉社長、よろしくお願いします」
「こっちもや! おおきに、慶くん。ウチもV事務所、やってみたかってん!」
昭和風バーコード頭の見た目に反して、泉社長は女性にセクハラなどはしない。とは言え、見た目のせいか、あまり女性ウケはしなかった。
七〇代にしては頭の回転も早く、Vチューバーの推しなども、新しめの子が多い。
「すごいよね。最近だと性転換した子。個別株投資やってる子。元々百合営業とかもおるやろ? 付加価値ないと、見向きもされへんのやろか?」
「そんなことはないでしょう。自分の強みを、反映させれば目立ちます。それより、可愛いだけで売り込めなくなってきたのは事実ですね」
「せやんけ! せやさかい、ウチもなんか付加価値つけたろやんけ。ウチもVやるで!」
なんと、オレの話を聞いた時点で、ママに依頼を出したそうだ。やる気満々じゃん。
「事務所の社長ってだけでも、十分個性だと思います」
「せやねん。ウチは、あんまり露出せんとこかなって。縁の下の力持ちって感じでええかな?」
自分はあまり前に出ず、後続に道を譲りたいという。
「ほんでな、面倒見てほしい子が、いてんねん。子いうても、五〇代の男なんやけどな」
「えらい年配ですね」
「その子な、子どもも自立したさかい、自分の人生をやり直したいって言うてな」
八〇代おばあちゃんが、Vになる時代だ。別に、珍しくもないか。
「面接次第で、決めます」
「よっしゃ。待たせてあるから、おいで」
泉社長の、オフィスに向かう。
面接会場には、岩があった。ゴロゴロとした、岩の塊が。
そう描写させるほどゴツい男性が、パイプ椅子に座っている。
椅子は今にも、悲鳴を上げそうだ。
「円谷 慶です」
「うっす。椛島です」
巨漢の男性が、パイプ椅子から立ち上がって、あいさつをした。
泉社長が、もう一台のパイプ椅子を用意して、並べて座らせる。気を利かせているのか、いないのか。
「えっと。あなた、もしかして元・【椛島】親方で?」
「うっす」
元・椛島親方は、短く返事をする。
かつて横綱【潮乃岩】として活躍し、何度も優勝を経験した。
引退後は椛島親方として、つい最近まで稽古場を仕切っていたはずである。
ダンディズムを絵に書いたような人で、メディア露出もあまりない。水物なVチューバーとは、最も縁遠い人物と思われたが。
「Vチューバーになりたいと思った、理由をお聞かせください」
「ボクね。女装したいんスよ」
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