七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

文字の大きさ
2 / 45
第一章 百合美少女事務所を立ち上げようとしたら、バ美肉ばかりが生まれた

第2話 一年前

しおりを挟む
 メンバー初配信一年前、オレはV事務所を引退した。

 いわれのないスキャンダルで、オレは契約を解除されたのである。

 オレはただ、野望のために動いていただけ。

 ゆりんゆりんな、独立事務所を建てるために。

 女性ばかりのV事務所を、立ち上げようと考えていた。

 いくらオレがアイドル売りしても、男性Vでは受けないと実感してしまったからである。
 悪党感を出しすぎた、オレの売り方も悪かった。
 
 事務所との軋轢が強かったのも、事実である。

 案件が大事なのもわかるが、自由にやらせてもらいたい。せっかくの、ネット環境なんだから。テレビと同じことをしても、仕方がないじゃないか。

 その態度が事務所との誤解を生んで、結局オレはクビに。

 まあいいさ。


円城景えんじょうけい つばさ」というネーミングも、そんな反骨心からつけた。いい子ちゃんでやってても、しょうがないじゃん。

 オレには野望があった。百合帝国を作ることだ!

 女性Vばかりで構成して、百合な光景を眺めること。

 しかし、オレの悪評をさらに悪いように捉えられて、オレは今も女性Vからは裂けられていた。

 困り果てたオレは、昔ながらのツテを頼ることに。

いずみ社長、よろしくお願いします」

「こっちもや! おおきに、けいくん。ウチもV事務所、やってみたかってん!」

 昭和風バーコード頭の見た目に反して、泉社長は女性にセクハラなどはしない。とは言え、見た目のせいか、あまり女性ウケはしなかった。
 七〇代にしては頭の回転も早く、Vチューバーの推しなども、新しめの子が多い。
 
「すごいよね。最近だと性転換した子。個別株投資やってる子。元々百合営業とかもおるやろ? 付加価値ないと、見向きもされへんのやろか?」

「そんなことはないでしょう。自分の強みを、反映させれば目立ちます。それより、可愛いだけで売り込めなくなってきたのは事実ですね」

「せやんけ! せやさかい、ウチもなんか付加価値つけたろやんけ。ウチもVやるで!」

 なんと、オレの話を聞いた時点で、ママに依頼を出したそうだ。やる気満々じゃん。

「事務所の社長ってだけでも、十分個性だと思います」

「せやねん。ウチは、あんまり露出せんとこかなって。縁の下の力持ちって感じでええかな?」

 自分はあまり前に出ず、後続に道を譲りたいという。

「ほんでな、面倒見てほしい子が、いてんねん。子いうても、五〇代の男なんやけどな」

「えらい年配ですね」

「その子な、子どもも自立したさかい、自分の人生をやり直したいって言うてな」

 八〇代おばあちゃんが、Vになる時代だ。別に、珍しくもないか。

「面接次第で、決めます」

「よっしゃ。待たせてあるから、おいで」

 泉社長の、オフィスに向かう。

 面接会場には、岩があった。ゴロゴロとした、岩の塊が。

 そう描写させるほどゴツい男性が、パイプ椅子に座っている。

 椅子は今にも、悲鳴を上げそうだ。

円谷つぶらや けいです」

「うっす。椛島かばしまです」

 巨漢の男性が、パイプ椅子から立ち上がって、あいさつをした。

 泉社長が、もう一台のパイプ椅子を用意して、並べて座らせる。気を利かせているのか、いないのか。

「えっと。あなた、もしかして元・【椛島かばしま】親方で?」

「うっす」

 元・椛島親方は、短く返事をする。

 かつて横綱【潮乃岩しおのいわ】として活躍し、何度も優勝を経験した。
 引退後は椛島親方として、つい最近まで稽古場を仕切っていたはずである。
 ダンディズムを絵に書いたような人で、メディア露出もあまりない。水物なVチューバーとは、最も縁遠い人物と思われたが。

「Vチューバーになりたいと思った、理由をお聞かせください」

「ボクね。女装したいんスよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...