七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第一章 百合美少女事務所を立ち上げようとしたら、バ美肉ばかりが生まれた

第4話 男の娘の、元漫才師

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「よっ、慶」

辰起たつき! 元気そうだな!」

 事務所の廊下を歩いていると、横から声を掛けられた。

 V事務所の同僚である、矢沢やざわ 辰起だ。オレと同じ時期にデビューし、歳も三ヶ月くらいしか変わらない。グルメライター系Vの、中の人だ。
 彼は後に、【屋否井やいやいゆーな】としてデビューする。

「なーんか、面白そうなことやってんじゃん」

「いや、計画は大きく崩れたよ」

 メンバー募集で、さっそくけつまづいた。

 女性が、集まらない。決まったとしても、内定辞退という有り様。

 オレの悪評のせいもあるが、前の事務所の圧力ってのもあるだろう。

 難しい! まあ、嘆いても仕方ないが。

「バ美肉でいいじゃん。もういっそ、そういう集まりにしちゃえば?」

「それしかないよな」

 ゆりんゆりん帝国の設立は、もはや絵に描いた餅となっている。

 ならば、ガワだけでもゆりんゆりんにしてやろうじゃねえよ。

「俺が色々と、話を聞いて回ってやるよ。バ美肉やりたそうなやつ、だいたい心当たりがあるからさ」

「頼む。でも、いいのか? オレは敵も多いぜ」

「事務所の許可なんて、取らねえよ。どうせ辞めるつもりだったし」

「お前もか」

「ていうか、今の社長のやり方が好きじゃないって、続々とやめていってるぜ」

 前の事務所は、コンプライアンスを気にしすぎて、なかなか大きなプロジェクトができないらしい。
 デカくなりすぎると、色々と窮屈になるんだよなあ。

「ていうか、ただでさえ男性Vってだけで、風当たりが強いんだよなぁ」

 矢沢が、ため息をつく。

 それは、オレもひしひしと感じていた。

「じゃあ、その流れを変えるためにも、バ美肉事務所でいってみっか?」

「いいんじゃないか? じゃあ、やりたそうなやつを探してやっから」
 

 矢沢辰起のおかげで、面接希望者が続々とやってきた。

 送られてきた自己アピールPVを、辰起と見ていく。
 
 中には、どうにもならんやつもいる。しかし、ウチでないほうがウケそうなやつも多い。

 そこに、ウチの事務所の方向性をガラッと変えるヤツが、入ってきた。
 
山梨やまなしといいます」

 ヒョロヒョロの男性が、面接に現れる。

 オレは、その男性に不思議な感覚を覚えた。

(化粧しているのか?)

 明らかに、肌が不自然に白い。天然ではなく、なにかを塗っている白さだった。
 全身も、矯正下着で固めたような姿勢である。

「今も、働いているんですよね?」

 オレが聞くと、山梨は「はい」とうなずいた。

「男の娘系の配信で、食べています。元々は、漫才師でした」

「でした?」

「事務所を、クビになりまして」

 見た目からして、なにかトラブルを起こすような人物には見えない。
 むしろ、巻き込まれ型主人公のような頼りなさを感じる。
 人は、見かけによらないものだなぁ。

「なにをしたんですか?」

「相方の寝込みを襲いまして」

 おおっとぉ……。 
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