七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第一章 百合美少女事務所を立ち上げようとしたら、バ美肉ばかりが生まれた

第6話 玩具メーカーの御曹司

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「いえいえ。冗談です。冗談、なんですけどね……ちょっと、マジですか?」

 刀舟院つったら、日本三大プラモ業者の一角だ。
 苗字に冠しているとおり、刀のレプリカ業からのし上がってきた、老舗メーカーである。
 バリバリの、おぼっちゃま一族じゃねえか。

「大企業の御曹司が、どうしてまた、Vチューバーなんか目指そうと?」

 まさか、「御曹司だからこそ、冒険を」って言うまいな?

「次男坊なんで、家系とか継がなくていいので。比較的、自由にやらせてもらっています」
 
 やはり、冒険目的だった! 自由すぎるだろ! 将来の保証なんて、できねえぞ!

「お金の心配はありません」

 でしょうね。あったら某王子よろしく、「プラモ王子」とかいって茶化したろって思っていましたよ。

「ボク個人でも、起業していまして。それなりに、稼いでいます」

「存じ上げております。お世話になっておりますよ。【ダンジョン・スティール】シリーズ……」

 ダンジョン・スティールシリーズは、今話題のコスプレ事業である。
『現代日本にダンジョンができた』という設定で、プロテクターを開発したという設定で出されている防具シリーズだ。
 コンセプトは、「着るプラモ」であり、本当に装着できる。
 コスプレ界隈では、ちょっとした有名メーカーだ。

 さっき来ていたロボット風プロテクターも、ダンジョン・スティールシリーズだ。しかも、最新で最高級品のモデルである。

「ファンドも複数所持していて、お金の自由は比較的利きますので。アバターのママの予算が足りない場合は、おっしゃっていただければ」

「いえ。結構です。そこまでなさらなくても、問題ありませんので」

 ウチはバックに、いずみ社長もいるからなぁ。

「刀舟院さん。Vになって、なにがやりたいんです?」

 V事業って、商社が首を突っ込むレベルか?
 いくら、デカくなってきたビジネスとはいえ。

「事業も、人に任せてしまったんですよね。最も縁遠く、かつ最も興味のあることを、一からやりたいと思いまして」

 やるからには、吸収するつもりで挑みたいらしい。

「バ美肉、いわゆる女装に近い形となりますが、抵抗はございますか?」

「なにを恥じることがあるんです?」

 ああもう。採用だ採用。

 採用されたら、自作のシリーズを手掛けたデザイナーに、ママになってもらうという。

「わかりました。ありがとうございます」


 一段落終えて、いよいよ大物登場だ。


菅生すごう 保馬やすまです」

「はい。お待ちしておりました」

円谷つぶらや けいさん。ウチの娘とデキてるって、問題になってますね」

 この人は、オレとスキャンダルになった女性Vの父親である。
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