七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第二章 バ美肉、路線で悩む

第10話 どうやって売っていくか?

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 バビ肉VTuberが、七人集まった。

 よくもまあ、個性的な人達が集まったなあと。

けい、再生数、ヤバいことになってるだろ?」

「ああ。そこそこ、見られている感じだな。辰起たつき
 
 今のところ再生回数は、一〇万以上である。これからも、このPVは伸びていくだろう。
 
 
 初手ならまあまあだが、「箱」的なインパクトとしては低い。やはり、バ美肉というのは、抵抗があるのかも知れなかった。
 それでもいきなり同節五万人だから、十分だ。

 それでいて、メンバーもこなれている感じ。

「初々しさがあるとしたら、OYA・KATA、七光ななひかり八重やえ、スケるとんの三人くらいか」

 山梨やまなし 水沢みずさわは元芸人だし、現役で動画活動していた。唯一、顔出しもやっている。彼は個人勢でも、食っていけるだろう。

「自身のアバターを相方にする芸人なんて、この男くらいだろうな」

「相方に迫ったら、そりゃあ誰もコンビ組んでくれないからな」
 
「しかも、ほとんどの人がそれなりに偉い立場にいるというね」

「そうなんだよなあ」

 先程挙げたOYA・KATAは元親方、一流企業重役の七光、老舗刀剣レプリカ屋のお坊ちゃまで、ベンチャープラモ会社社長のスケる豚。
 これにファン・レバレッジこと、ウチのいずみ社長が加わる。

けいも経営者だから、まあ偉いわな」

「借金だらけになったけどなー」

「まあ、これから回収していけばいいじゃん」

 借金と言っても、税金対策で銀行から借りたくらいである。自己資本は潤沢にあったが、その貯金を担保にして金を借りた感じ。
 退路を断つという意味もあるが、銀行から借りれるなら借りようと考えた。
「借りて、踏み倒して、死ぬのがベストや」とは、社長から教わった財テクだ。

「貧乏路線で、バカウケしてるVとか見るとな。こっち路線も、あったよなあって思ってさ」

 ドカ食い気絶する底辺社畜Vとか、今どきベタだけど大受けしている。デビュー間もなく、万バズしていた。

「企業勢になった段階で、もう違うだろ。慶。あれは個人勢特有の現象だ」

 辰起のいうとおりだ。
 
「というわけで、貧乏路線はしません」

 底辺活動して、低所得者層への共感を得るという手は、使えない。

「中心は、配信になる?」

「動画メインにしようかなって」

 みんな、本業がある。

 たまに集まってわちゃわちゃ収録というのが、ベストなはずだ。なにより、楽しいと思う。

 各自でショートをアップしてもろて、様子見だ。

 ところが、オレが「万バズ」してしまった。

 炎上ではない。単に、大昔のお茶のCMダンスを踊っただけだ。
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