七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第二章 バ美肉、路線で悩む

第12話 プリティで行こう。ローション相撲で

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 さっそく後日、七人のバ美肉がスタジオに集まった。

「よろしくお願いしまーす」

 オレは、カメラの前にあいさつをする。

「今後、我ら【尾鰭おひれなき野郎ども】はですねー。かわいらしくなるために、女の子の所作を学ぼうではないかと、そういう結論に達しました」

「はい」

 二人で一人というコンビV、山梨やまなし 水沢みずさわが相槌を打つ。

「そこでですね。こちらの山梨ちゃんになんかネタはないかってことでですねー。相談いたしましたところー」

「はい、はい」

 今度は、オレの反対方向にいる「屋否井やいやい ゆーな」が、リアクションした。

「ローション相撲だろうと」

「待ってください。つばさちゃん」

「はい?」

「なんで、ローション相撲という結論に至ったのでしょう?」
 
「女の子とは、どのような状況においても、エレガントである必要があります。たとえそれが、ローションの上であっても」

「ちょっと、なにを言っているかわかりませんが?」

 だよな。オレも山梨から説明を受けたが、よくわからんかった。

 やはり、芸人に相談したのが間違いだったか?

「いいじゃないの。相撲」

 でしょうね。OYA・KATAは。元関取だし。

「さっそく気合が入っていますね。OYA・KATA」

「目が血走っとるやないかい」

 ファン・レバレッジ社長が、うなずいた。

「そうだ。スケる豚すけるとんちゃん、足の方はもう?」

「もうすっかり。リハビリも終えてます。お騒がせしました」

「じゃなくて、キャラキャラ」

 オレは小声で、中の人に指摘する。

 スケる豚は口を両手で覆って、コクコクと首を振った。

「大丈夫だよー」

 ボイチェンしているとはいえ、なかなかキュートなボイスになっている。
 

 今後、彼の会社内では、危ない仕事は社長自らにやらせない方針になったという。

「スケる豚くん」という、代理のマシーンも、今回は出番がなさそうだ。それで、なによりである。

「エレガントさに自身がある人?」

「あーい!」

 食い気味に、七光ちゃんが手を挙げる。

「やる気まんまんだねぇ。自身のほどは?」

「ここで目立たないと、活躍の場は回ってこないと思ってるわ」

 極道映画みたいなセリフが、七光ちゃんから飛び出してきた。世代やのう。

「じゃあ、スケちゃんと。スケちゃん、病み上がりでの一戦ですが、自身のほどは?」

「マスコットだってね、エレガントにやっていくよ」
 
 オレが行事になって、試合開始。

「のこったのこった」

 足を取られながらも、二人が取っ組み合う。

 すごい絵面だな。

 カメラ越しなら、3Dで美少女が抱き合いながら戦っているように見える。

 だが実際は、小太りのオッサン二人が抱き合っていた。

「おっと! 七光ちゃん勝利!」

 足を取られて、スケる豚が転倒する。さすがに骨折上がりでは、踏ん張りが効かなかったか。

 しかし、いい絵が撮れたなぁ。
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