七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第三章 バ美肉カップリング大論争

第17話 炎上分析

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 そこから先は、大激論となっている。

『掲示板から始まったファン同士の論争が、SNSにまで拡散しているんだよ』

 スマホ越しに、ゆーなが経緯を説明してくれた。

「なるほど。つまり『外見で尊みを感じているファン層』と、『中身のヤロウに妄想しているファン層』で、ケンカになっているってわけか」

『そんなところ』
 
 バ美肉の恐ろしいところを、垣間見てしまったなぁ。

 ウチに、ここまで影響力があったとは。

「一番人気はOYA・KATAみたいだな」

「ちょっとショックかも~」

 両手で頬杖をつきながら、りんがグチを漏らす。

「しゃーないしゃーない。【円城景えんじょうけい つばさ】は毒舌系で、人受けするキャラクターじゃないし」
 
「でも七光ちゃんだって、もうちょっと流行ってもよくない?」

 そういえば、七光ななひかり 八重やえも、燐のデザインだっけ。

「活動が積極的じゃないからな」

 本業が忙しすぎるのか、七光の行動は控えめである。あの人の場合、「なにをしていいのかわからない」というのが、正解なのかも。V活もメンバーの中で、一番よくわかっていないみたいだし。
 
「燐は、こういうの興味ある?」

 妻の燐に、話を振ってみた。
 女性なら、男性同士のそういうのに詳しいかも、と。
 
「BLは、専門外だよ。わたし百合作家だもん」

「そうだった……」

「でも、詳しい人なら、この話題に触れているかも」

 スマホを操作して、燐は自分のフォロワーを探った。

「ああ、まずいねけいくん。騒動の渦中にいるわー」

 燐が、スマホを見せてきた。

「わたしの友だちが、色々と妄想膨らませて、ファンアート書きまくっててさ。それを見たファンが、余計に想像を暴走させちゃったっぽい」

「あんたのお友だちが、原因かよっ」

 まいったな。

「どうする? こっちからDM送るかい?」

「いや燐。大丈夫。その人には、そのままファンでいてもらおう」

 本人は完全に善意でやってくれている。ウチを盛り上げるために、イラストを書いてくれたんだ。

 それをこちらの都合で、「騒動になるので、やめてくれ」なんて言えない。

 なんせ本人が、熱心なファンだってんだから。

 こればっかりは、最後までつきあうしかないな。

『つばさ、どうするよ?』

「放置しよう。変に公式が横槍を入れることもねーだろ。それこそ、余計に火種をばら撒くことになるぞ」
 
 そこまでいくと、他のVを巻き込みかねない。

「カップリングの件で、公式相手に質問してくるようなヤツが現れる。あらかじめ、ガイドラインを作っておくか」

 それまでは、各々はダンマリを決め込んでもらおう。

『つばさは、こういうの面白がって参加することはないか? キャラ的に、許されそうだが』

「他のメンバーに、迷惑をかけるわけにはいかん。おとなしくしているさ」
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