七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

文字の大きさ
22 / 45
第三章 バ美肉カップリング大論争

第22話 一難去って、また一難

しおりを挟む
 オレが励ますと、OYA・KATAは正気を取り戻した。

「お兄ちゃんが応援してくれてますから!」

「がんばってくださいOYA・KATA!」

 山梨やまなし水沢みずさわや、スケるとんも、すぐそばでOYA・KATAを応援する。

「うっす」

「目を瞑って! 私たちが、声で誘導するので」

「うっす!」

 ひとまず声を掛け合って、前へと進む。

 これで安心かと思われたのだが……。
 
「いくよ、せー……ひゃあああああ!」

 突然、先頭の七光ななひかりちゃんが足元から崩れた。

「どうした?」

 七光は、高いところが怖くない。それに、今ので飛ぶステージはクリアできた。

 ゴールまで、あと数歩というところである。

 しかし、七光はそこから動けない。

「虫!」
 
 そう。最後のステージは虫が這っているのだ。

 七光ちゃん、虫が苦手だったかー。

「昔食べたチーズにね、カメムシがくっついちゃって。それ以来、虫が大の苦手になっちゃって」

 半べそをかいて、七光がそう教えてくれた。

「変わりまっか? 七光ちゃん!」

「今交代するのは、危険ですね」

 ヘタに身体を移動すると、落下する可能性がある。

 なんとか、持ちこたえてもらうしかない。

 すると、OYA・KATAが動き出す。

「うおっ」

 すぐ前にいた山梨とスケる豚を、肩に担ぐ。

「首に掴まっててください」
 
 それだけではない。残ったオレたちを背負って、ファン社長と七光ちゃんを脇に抱えた。

 OYA・KATAはたった一人で、六人全員を背負ってゴールした。

「すげえええ! つばさちゃん! 俺たち、ゴールできたぜ」

「OYA・KATAの株が、バク上がりだ!」

 オレとゆーなちゃんが、手と手を取り合う。

「これは、OYA・KATAの勝利だ」

「いえ。みんなの勝利っす。うっす。みんなが励ましてくれなかったら、こんなこと思いつかなかったっす。うっす」
 
 謙虚に、OYA・KATAは喜びを噛み締める。でも、うれしそう。

「というわけで、我々は無事にゴールできましたー。で、ですね。宣伝です」

 なんと我が【尾鰭おひれなき野郎ども】の、小規模VRチャットルームを作ることとなった。

「ただ、参加できるのは、今のところ同業だけです。ファンが押し寄せちゃうと、我々もどうしていいかわかりませんので」

 同業と部屋をいっしょにして、3Dアバター同士で語り合えるのだ。お互いに、顔を晒す必要もない。Vとしての活動で、相談もできるだろう。

「でもリスナーたちには、ちゃんと埋め合わせはするんですよね?」

 ナイスなフリを、ゆーなちゃんがしてくれた。

「そうなんです! なんと、なななんと! 初ライブを行います!」

 まだ当分先だが、ライブの会場は予約してある。


(第三章 おしまい)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...