七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第五章 バ美肉、ダンジョンへ

第42話 スペシャルゲスト

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 ラープ配信も、三日目を迎えた。

 いよいよ、ラスボスのおでましである。

 最後のダンジョンは、宮殿のような神々しい造形のフロアだ。魔力が高まるような、印象を受ける。

 これも魔術師グースンが持つ、【月の虹】というアイテムのせいだ。自身の魔力を領地レベルまで高めて、自分がイメージした迷宮を作り出す。

 イスルギ王はこれで、無敵の要塞を作り出し、多くの国を自身の領地にしてきた。

 つばさのいた国も、この兵器によって滅びたのである。

 だが、グースンがなぜか私物化したことにより、全世界征服の目論見は崩れた。

 宝を取り戻すため、イスルギ王はグースンの討伐と月の虹奪還を、冒険者に命じたのである。

 その旅も、これで終わるのだ。グースンに届く力の持ち主が、ついに現れたから。

 これまでも敵と戦って宝箱を開けて、装備も更新していった。

 それも、今回が最後である。

「すげえよな。調整を入れているとは言え、誰もキャラロストしてない」

「結構、強い敵もいましたよね~」

 ゆーなとなしこが、お互いの戦績を称え合う。

「難易度はある程度、いじってますから」

 こういうゲームでキャラのロストが入ると、モチベが落ちる場合があった。

 できるだけ気持ちよくプレイしてもらいたいので、失敗によるロストは可能な限り避ける。


「で、ですね。なんと。スペシャルなゲストをお招きしております! どうぞ!」


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 


 いよいよ、魔術師グースンのいるフロアに到着した。

「よくぞ参った。私こそが、この迷宮を作った魔術師、グースンなり」

 しわがれた紳士の声をしているが、エルフ族のアカヤでさえ霞むほどの美少女である。

 
 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 


 グースン役の俳優が現れた途端、会場が「おーっ」とどよめいた。

「こんにちは。グースン役の、くぎ 五寸いつきです!」

 オッサンのボイチェンをしてもらっているが、姿は完全に五寸である。


 

「おお、七人のバ美肉に、ついに女性が!」

「貴重な配信ですなあ!」

 スケるとんとゆーなが、盛り上がった。

 二人は、五寸推しなのである。

 とはいえ、彼女の立ち位置は、【ヒカリ】の隣だ。

「すると、もしかして……」

「はい。わたくし、七光ななひかり 八重やえの自宅で収録をしております」

「ほわあああああ!」

 ゆーなが、崩れ落ちる。

「あのな、二人は親子だから。しょうがないじゃん」

「わかってても、辛い!」

 アスキーアートのような見事な落胆を、ゆーなが見せた。

 OYA・KATA演じる【アカヤ】が、オレの肩をツンツンする。

「グースンと親子は、なしこ」

「そうでした!」

 グースンは、なしこと親子という設定だ。

 対して、実際は七光と父娘である。

 なんだか、こんがらがってきたぞ。
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