七人のバ美肉 ~美少女V事務所を立ち上げたら、オッサンたちしか来なかった~

椎名 富比路

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第五章 バ美肉、ダンジョンへ

第43話 【月の虹】の毒

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「とにかく、五寸いつきちゃんはラスボスですので。戦いましょう」


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 


「我が宮殿で狼藉を働き、生きて帰れると思うな」

「お待ちを。先生」

【アカヤ】が、師であるグースンの前に立つ。

「先生、なぜこのようなことを」

「吾輩は疲れた。人同士で争うために、魔法を学んだのではない。自然と共存するためぞ。なのに人は、ただ強いだけの力に溺れ、大地から何も学び取ろうとせぬ」

 その表情からは、人類に対するあきらめの色が伺えた。

「共に戦いましょう、グースンよ。わたくしたちとは、イスルギ王打倒の意志は同じのはず。ならば」

「ならん。復讐に囚われたお主では、この【月の虹】を扱うこと敵わず」

 グースンが、ペンダントを掲げる。
 虹の色彩が、逆になっていた。

「母よ。なぜ、そう言い切れるのですか~?」

 グースンの娘である【なしこ】が、母に問いかけた。
 
「そこのオークが、示してくれよう」

 いつの間にか、ブーちゃんが突っ立っている。グースンの横に!


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ 

 
「ん? ブーちゃん、どういうことだ?」
 
「実はブー」

 裏ライフパスを開く。
 

[ブーちゃん裏設定:あなたは、【月の虹】開発者の使い]


「えーっ。マジかよ!?」

「ただダンスを踊ってる、賑やかしキャラだとばかり」

【ゆーな】と【なしこ】が、驚いている。

「なんか、月からの使いだって書いてあったブー」

 ブーちゃんはすべてを把握したうえで、オレたちに同行していたのだ。

「では、あなたはグースン側なのですね?」

【ヒカリ】が、刀をブーちゃんに向ける。

「とんでもないブー。月の虹を返してもらいに来ただけだブー。これはこの世界にあってはいけないブー。でも、もうグースンは力を使いすぎだブー。だから、倒すしかないブー」

 なるほど、どうしてもグースンは倒さないといけないと。

「倒さずに引き渡すわけには、いきませんか?」

「ムリですわ。どのみち、イスルギ王に斬首されます」

「ダメだブー。ここで倒さないと、イスルギの国自体がダンジョン化してしまうでブー」

 ここで倒さないと、国中に月の虹の毒素が溢れてしまうという。

「そうでなくても、もう月の虹の毒は世界に撒き散らされているんだブー」

 そこらじゅうに魔物が発生しているのは、【月の虹】がこの地を月と同じ環境にしようと魔力を放出していたのだ。

「ではあなたは、世界中に【月の虹】の毒が蔓延しないように、この地にダンジョンを」


 グースンは、沈黙する。

 それが、答えのようだ。
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