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20話 油断
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私達が先へ進めば進むほど瘴気は闇の色を深めていった。
途中、他の魔物に遭遇しなかったのは幸いだった。何度か魔物らしき獰猛な唸り声や禍々しい気配は感じたものの、奴らに気付かれる前に通り抜けることが出来た。きっとルークの走るスピードが速すぎて魔物に気付かれる前に通り抜けることが出来たんだろう。
魔力を温存するだけ沼地の浄化の成功確率も上がる。聖女の力に覚醒したての私は、未だに自分の限界がどの程度であるのか分からない。今の状況では魔力は温存するにこしたことはないのだ。
あと何回、私は浄化魔法を使うことが出来るだろうか?
そんな不安が頭をもたげたが、私は出来ることを全力でやるのみよ、とそんな不安を振り払った。
すると、ルークは速度を落とすと、ゆっくりと立ち止まった。
「着いたぞ」
そう言うと、ルークは私を地面に降ろした。
「この先に件の沼地がある。ミアも警戒は厳にな」
「分かったわ」
私は力強く頷くとルークと一緒にゆっくりと沼地に近づいて行った。
森を抜けた先にその沼地はあった。
「何て酷い匂い……⁉」
腐ったような悪臭が鼻をつんざき私は思わず顔をしかめる。
沼地からは水が腐った匂いではなく、死体の腐乱臭のような悪臭が立ち込めていた。
周囲に魔物の気配は無い。私は警戒を怠らず沼地の傍まで行く。沼地を覗き込んだ瞬間、想像を絶する光景が飛び込んで来た。
沼地からは情報通り瘴気が噴き出していた。しかし、私が目を見張ったのはそれじゃない。沼地の水面に人の顔のようなものが無数映り込んでいたのだ。まるで冥府の底から亡者の顔だけが這い出ているような感じだ。亡者の顔は呪詛のようなものを呟いていた。沼の水は黒く淀み切っていて毒液でも湧いているかのようであった。
「これではまるで地獄の世界がそのまま沼地と繋がっているみたいだわ」
ここまでおぞましいとは予想だにしていなかった。自分の考えは相当甘かったと言わざるを得ない。
私にこの沼地を浄化することなんて本当に出来るの? 不安のあまり自分の腕をキュッと掴み上げる。思わず心が挫けそうになった。
「浄化出来そうか?」
「やってみるわ……! 少なくともやる前から諦めてなんかいられないしね」
「よくぞ言った。ミアになら絶対に出来ると信じているぞ。背中はオレに任せてミアは浄化魔法に集中しろ。どんな状況になろうとも絶対にオレが守ってやるから心配するな」
「ええ、分かったわ。お願いね、ルーク!」
「頼まれた!」
そう言ってルークはほくそ笑むと全身から魔力を迸らせる。それと同時に周囲から魔物の気配が現れるのを感じた。でも、私は後ろに振り向かず、浄化魔法の発動準備をした。
願いを神聖魔力に変換し、両手を組んで女神様に祈りを捧げる。たちまち全身が柑子色の魔素に覆われ、神聖魔力が全身に漲るのが分かった。
これで浄化魔法を発動することが出来る。でも、これではまだ足りない。そう感じた私は更なる願いを神聖魔力に変換した。
私は皆を救いたい。ルークも、村の人達も、ううん、そうじゃない。私はこの夜の国そのものを魔物の恐怖から救い出してあげたい。皆が笑顔で暮らせるように、もう怯えることもないように、この命を削ってでも、私はこの国に蔓延る瘴気を浄化したい!
願えば願う程、神聖魔力は強化されていった。聖女の力は自分の為に使うことは出来ない。何故なら、女神の力は私利私欲の為に使うことを禁じられているからだ。
その時、私の背後に魔物の咆哮が轟いて来る。
「させぬよ」
ルークの悠然とした声が聞こえると、背後で爆発音が轟いた。
振り返るまでもない。ルークは私を守ると言った。私はそれを信じるだけ。安全の確認など不要だ。
私が女神様に祈りを捧げている間も背後では激しい戦闘の轟音が響いていた。
おびただしい魔物の気配をいくら背中に感じても、ルークの気配を感じるだけで恐怖は微塵も湧いてこない。
「魔物どもよ、いくらでもかかってくるがいい。だが、夜の魔王の名に懸け、ミアには指一本触れさせぬ!」
ルークの叫びの後に、爆炎魔法が炸裂する衝撃音と魔物達が凍結し、粉々に砕け散る音が響いて来る。
そして、遂に私の祈りは完成を迎えた。
私は最後にルークの想いを胸に抱きながら詠唱を唱えた。
「光輝く聖なる乙女よ、女神の加護に守られし者よ、闇を照らし、光を纏え。
聖なる光の煌めきが盃に満たされし時、不浄を祓う清らかな風が大地をそよぐ。
闇の奈落に囚われし不浄なる者よ、我が魂に宿る浄化の力を解き放ち、光の世界へと導かん。
漆黒の闇の糸を断ち切り、深淵に漂う魔の影を祓いたまえ。
ゴッド・ブレス!」
私は聖女にのみ使用することを許された最上位の浄化魔法『ゴッド・ブレス』を沼地に向けて放った。
一瞬、目の前に女神様の姿が降臨される幻を垣間見る。
究極の女神様の癒しの力が沼地に降り注ぐと、たちまち光の大爆発が起こった。あまりの眩しさに私は両目を腕で覆った。
その瞬間、沼地や森の中から断末魔の叫びが轟いた。
それが魔物や死霊達のものであることは後に知ることになる。
光の大爆発がおさまると、周囲から禍々しい気配は消滅していた。
沼地から腐乱臭は消え、亡者の呪詛のような呟きも聞こえて来ない。
両目を覆っていた腕を下ろすと、眼前に神秘的な光景が広がっていた。
沼は澄んだ水が張られ、空から降り注ぐ日差しに照らされ煌びやかな輝きを放っていた。
振り返るとルークが穏やかな笑顔を湛えながら佇んでいた。彼の背後には緑に生い茂る森の姿が見えた。穢れの無い澄んだ新鮮な空気がこんなにも美味しいものだと初めて知った。
私は沼地の浄化に成功したんだ。そう実感した瞬間、全身から力が抜け落ちてしまい倒れそうになった。
すかさずルークが駆け寄り私を抱き止めてくれた。
「ルーク、私、やったよ!」
酷い疲労感に襲われ一瞬気が遠のいた。
「ああ、よくやってくれた……!」
ルークはそう言って私を力強く、それでいて優しく抱擁してくれた。
その時、鼻腔を甘い香りがくすぐる。
私はハッとなりルークにしがみつきながら立ち上がると、香りがする方向に目を向けた。
そこには一面に咲き誇る黒百合の姿が見えた。
来るときは気付かなかったけれども、沼地の周辺は一面黒百合の花が咲き乱れていた。瘴気にも負けず、黒百合達は長い間、そこにひっそりと咲き続けていたに違いない。瘴気が晴れ、陽の光を浴びた黒百合達は風に揺られてまるで嬉しそうにはしゃいでいるように見えた。
一陣の風が吹きすさび黒百合の花びらが舞い散った。
「ミア、見てみろ。瘴気が晴れ、枯れた草木に緑が戻っている。黒百合の花もこんなに……全てミアのおかげだ」
「本当だ……私、村を救うことが出来たのね?」
「いいや、そうじゃないよ、ミア。お前は夜の国を救ったんだ。これはその大いなる第一歩。今、夜の国に希望の光が灯された。全てはミア、お前のおかげだ」
ルークの双眸が潤んでいた。感動に打ち震えたような表情を浮かべながら、彼は私を優しく抱きしめて来た。
私はルークに身を任せ、彼の温もりを味わった。
〈私でも皆の役に立つことが出来た。こんなに嬉しいことはないわ……!〉
その時、私は達成感からくる感動のあまり油断をしていた。
次の瞬間、私に悲劇が訪れた。
ぐうううううううううう! と、私のお腹の虫が盛大に鳴り響いたのだ。
そう言えば昨日から何も食べていなかったっけ!
不意を突かれたルークの笑い声が森の中に木霊した。
途中、他の魔物に遭遇しなかったのは幸いだった。何度か魔物らしき獰猛な唸り声や禍々しい気配は感じたものの、奴らに気付かれる前に通り抜けることが出来た。きっとルークの走るスピードが速すぎて魔物に気付かれる前に通り抜けることが出来たんだろう。
魔力を温存するだけ沼地の浄化の成功確率も上がる。聖女の力に覚醒したての私は、未だに自分の限界がどの程度であるのか分からない。今の状況では魔力は温存するにこしたことはないのだ。
あと何回、私は浄化魔法を使うことが出来るだろうか?
そんな不安が頭をもたげたが、私は出来ることを全力でやるのみよ、とそんな不安を振り払った。
すると、ルークは速度を落とすと、ゆっくりと立ち止まった。
「着いたぞ」
そう言うと、ルークは私を地面に降ろした。
「この先に件の沼地がある。ミアも警戒は厳にな」
「分かったわ」
私は力強く頷くとルークと一緒にゆっくりと沼地に近づいて行った。
森を抜けた先にその沼地はあった。
「何て酷い匂い……⁉」
腐ったような悪臭が鼻をつんざき私は思わず顔をしかめる。
沼地からは水が腐った匂いではなく、死体の腐乱臭のような悪臭が立ち込めていた。
周囲に魔物の気配は無い。私は警戒を怠らず沼地の傍まで行く。沼地を覗き込んだ瞬間、想像を絶する光景が飛び込んで来た。
沼地からは情報通り瘴気が噴き出していた。しかし、私が目を見張ったのはそれじゃない。沼地の水面に人の顔のようなものが無数映り込んでいたのだ。まるで冥府の底から亡者の顔だけが這い出ているような感じだ。亡者の顔は呪詛のようなものを呟いていた。沼の水は黒く淀み切っていて毒液でも湧いているかのようであった。
「これではまるで地獄の世界がそのまま沼地と繋がっているみたいだわ」
ここまでおぞましいとは予想だにしていなかった。自分の考えは相当甘かったと言わざるを得ない。
私にこの沼地を浄化することなんて本当に出来るの? 不安のあまり自分の腕をキュッと掴み上げる。思わず心が挫けそうになった。
「浄化出来そうか?」
「やってみるわ……! 少なくともやる前から諦めてなんかいられないしね」
「よくぞ言った。ミアになら絶対に出来ると信じているぞ。背中はオレに任せてミアは浄化魔法に集中しろ。どんな状況になろうとも絶対にオレが守ってやるから心配するな」
「ええ、分かったわ。お願いね、ルーク!」
「頼まれた!」
そう言ってルークはほくそ笑むと全身から魔力を迸らせる。それと同時に周囲から魔物の気配が現れるのを感じた。でも、私は後ろに振り向かず、浄化魔法の発動準備をした。
願いを神聖魔力に変換し、両手を組んで女神様に祈りを捧げる。たちまち全身が柑子色の魔素に覆われ、神聖魔力が全身に漲るのが分かった。
これで浄化魔法を発動することが出来る。でも、これではまだ足りない。そう感じた私は更なる願いを神聖魔力に変換した。
私は皆を救いたい。ルークも、村の人達も、ううん、そうじゃない。私はこの夜の国そのものを魔物の恐怖から救い出してあげたい。皆が笑顔で暮らせるように、もう怯えることもないように、この命を削ってでも、私はこの国に蔓延る瘴気を浄化したい!
願えば願う程、神聖魔力は強化されていった。聖女の力は自分の為に使うことは出来ない。何故なら、女神の力は私利私欲の為に使うことを禁じられているからだ。
その時、私の背後に魔物の咆哮が轟いて来る。
「させぬよ」
ルークの悠然とした声が聞こえると、背後で爆発音が轟いた。
振り返るまでもない。ルークは私を守ると言った。私はそれを信じるだけ。安全の確認など不要だ。
私が女神様に祈りを捧げている間も背後では激しい戦闘の轟音が響いていた。
おびただしい魔物の気配をいくら背中に感じても、ルークの気配を感じるだけで恐怖は微塵も湧いてこない。
「魔物どもよ、いくらでもかかってくるがいい。だが、夜の魔王の名に懸け、ミアには指一本触れさせぬ!」
ルークの叫びの後に、爆炎魔法が炸裂する衝撃音と魔物達が凍結し、粉々に砕け散る音が響いて来る。
そして、遂に私の祈りは完成を迎えた。
私は最後にルークの想いを胸に抱きながら詠唱を唱えた。
「光輝く聖なる乙女よ、女神の加護に守られし者よ、闇を照らし、光を纏え。
聖なる光の煌めきが盃に満たされし時、不浄を祓う清らかな風が大地をそよぐ。
闇の奈落に囚われし不浄なる者よ、我が魂に宿る浄化の力を解き放ち、光の世界へと導かん。
漆黒の闇の糸を断ち切り、深淵に漂う魔の影を祓いたまえ。
ゴッド・ブレス!」
私は聖女にのみ使用することを許された最上位の浄化魔法『ゴッド・ブレス』を沼地に向けて放った。
一瞬、目の前に女神様の姿が降臨される幻を垣間見る。
究極の女神様の癒しの力が沼地に降り注ぐと、たちまち光の大爆発が起こった。あまりの眩しさに私は両目を腕で覆った。
その瞬間、沼地や森の中から断末魔の叫びが轟いた。
それが魔物や死霊達のものであることは後に知ることになる。
光の大爆発がおさまると、周囲から禍々しい気配は消滅していた。
沼地から腐乱臭は消え、亡者の呪詛のような呟きも聞こえて来ない。
両目を覆っていた腕を下ろすと、眼前に神秘的な光景が広がっていた。
沼は澄んだ水が張られ、空から降り注ぐ日差しに照らされ煌びやかな輝きを放っていた。
振り返るとルークが穏やかな笑顔を湛えながら佇んでいた。彼の背後には緑に生い茂る森の姿が見えた。穢れの無い澄んだ新鮮な空気がこんなにも美味しいものだと初めて知った。
私は沼地の浄化に成功したんだ。そう実感した瞬間、全身から力が抜け落ちてしまい倒れそうになった。
すかさずルークが駆け寄り私を抱き止めてくれた。
「ルーク、私、やったよ!」
酷い疲労感に襲われ一瞬気が遠のいた。
「ああ、よくやってくれた……!」
ルークはそう言って私を力強く、それでいて優しく抱擁してくれた。
その時、鼻腔を甘い香りがくすぐる。
私はハッとなりルークにしがみつきながら立ち上がると、香りがする方向に目を向けた。
そこには一面に咲き誇る黒百合の姿が見えた。
来るときは気付かなかったけれども、沼地の周辺は一面黒百合の花が咲き乱れていた。瘴気にも負けず、黒百合達は長い間、そこにひっそりと咲き続けていたに違いない。瘴気が晴れ、陽の光を浴びた黒百合達は風に揺られてまるで嬉しそうにはしゃいでいるように見えた。
一陣の風が吹きすさび黒百合の花びらが舞い散った。
「ミア、見てみろ。瘴気が晴れ、枯れた草木に緑が戻っている。黒百合の花もこんなに……全てミアのおかげだ」
「本当だ……私、村を救うことが出来たのね?」
「いいや、そうじゃないよ、ミア。お前は夜の国を救ったんだ。これはその大いなる第一歩。今、夜の国に希望の光が灯された。全てはミア、お前のおかげだ」
ルークの双眸が潤んでいた。感動に打ち震えたような表情を浮かべながら、彼は私を優しく抱きしめて来た。
私はルークに身を任せ、彼の温もりを味わった。
〈私でも皆の役に立つことが出来た。こんなに嬉しいことはないわ……!〉
その時、私は達成感からくる感動のあまり油断をしていた。
次の瞬間、私に悲劇が訪れた。
ぐうううううううううう! と、私のお腹の虫が盛大に鳴り響いたのだ。
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