浮気の境界線

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 放心したまま身体をピクピク動かしている男の子を見下ろす。自分の潮とおれの精液でぐちゃぐちゃになった身体。
 きっともう会うことはないだろう。こういうタイプの子には深入りしない方がいい。おれは彼をベッドに置いて改めてシャワーを浴びた。
 タオルを腰に巻いて部屋に戻るとようやく身体に力が戻ってきたのかベッドの縁に腰掛けている姿が見えた。
「大丈夫?」
 声を掛けると彼はこちらを見て、
「はい、すごく、良かったです。なんだか、まだ頭がぼーっとしてます」
「シャワー浴びてきなよ」
「はい」
 ふらふらと立ち上がってシャワールームへ向かう彼の後ろ姿。股の間にはおれの精液が垂れていて、もうお尻の穴を閉める力も残っていないのだろう。
 彼がシャワーを浴びている間に先ほど通知がきていた彼氏に返事をする。
『明日12時に迎えに行くね。映画のチケット先に予約しておこうか?』
 すぐ既読になったそれに間髪入れず、お願い、と返された。
 映画館のアプリから明日観る予定の映画を予約する。先週公開されたばかりの人気作で、すでに真ん中辺りの観やすい席は埋まっていた。仕方なくなるべく中心に近いところで2つ並びの席を予約する。
 今の彼氏と付き合う前は映画館へは一人で行くのが好きでよく観に行っては一番後ろの一番右側に座っていたことを思い出す。いつからか映画は二人で観るものになり、席も中心辺りで取るようになった。
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