ヤマネ姫の幸福論

ふくろう

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第五章 天の川を一緒に歩こ!

弟君と③

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「姉ちゃん、毎晩、夜遅くまで勉強してて、朝は冬でも、誰よりも早く起きて、家中、掃除するんです。
 子供の頃から、ずっとそうでした。」

 佑夏を尊敬しきった表情の隼君。

「へぇ~、偉いね。隼君も、手伝ってたの?」

 僕も、感心してしまう。
 まあ、普段の彼女を見れば分かるが。

「い、いえ。俺は、朝弱いんです。いつも、遅刻ギリギリで。
 でも、そんな俺を朝に見ても、姉ちゃん、いつも笑って゛おはよ~!何度も起こしたんだよ!“って、ニコニコしてました。」

 心なしか、隼君は寂しそうな表情だ。
 佑夏が家を出たからか?

「裁縫が得意で、まだ小学生の頃から、俺によく、ヒーロー戦隊のぬいぐるみ、作ってくれたんです。
 新しくなる度に、レッドは必ず。
 五人、全員作ってくれたこともありました。物凄く上手いんです!俺、まだ持ってます。」

 隼君は、嬉しそうだ。

「ハハハ!そういうところ、今と変わってないね。」

 苺奈子ちゃんに、作ってあげた指人形を思い出してしまう。
 
 話の当事者である、佑夏達の楽しげな声と、卓球の音が、夏の木々のざわめきに溶け込んでいる。

 さらに、隼君によると。

 早起きな佑夏は、朝、家の掃除をした後、どんなに大雨、大雪だろうと、必ずその後、犬の散歩に行ったと。
 中学生になると、もう家族の服を自分で作れるようになり、大いに家計を助けたと。
 元々、料理も得意で、五、六年生になると、母親より佑夏が中心になって、一家の食事を作っていたと。

 いやはや、大変な大活躍である。

 隼君は、佑夏が家を出て、初めて彼女の偉大さに氣付いたのだそうだ。
 いかに、自分が姉に頼り切っていた弱い存在だったか、彼は思い知らされたいう。

「それじゃ、隼君!もう一本、行こうか!」

「はい!!」

 周囲の子供達を呼び集め、プレー再開だ。
 オニヤンマが、目の前を掠めていき、子供達が歓声を上げる。
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