205 / 305
第十一章 波に乗った男
潮崎一馬
しおりを挟む
あの、サーフボードを抱えて、佑夏と一緒に写真に写ってた男の話を聞かなくては。
「佑夏ちゃん、モンバサには、サーフィンの写真の男の人と二人だけで行ったの?」
「?ううん。スタッフの人達と、全部で五人で行ったんだけど、どうして?」
「い、いや。そうだったんだ。」
あ~、良かった......。
「モンバサのビーチ、ラクダが歩いてるのよ~!ビックリしたわ!白い砂浜で、猿もいて、とっても綺麗だった~!」
「あ、そう....。」
それで、あの男の人は....?と言いかける前に、佑夏が先に口を開く、
「ルオーの代表の女性に、”教採ダメだったら、ナイロビに来なよ!”って言われちゃった!
バベラの子供達、すごく可愛いし、どーしよーかなー?アハハ!」
え!?佑夏ちゃん、海外に行ってしまうのか!?
「でもさ、衛生面はどうなの?日本人にはキツイんじゃない?」
僕は、ちょっとムキになる。
「ん~、丸っ切り、氣にならないって言えば嘘になるけど、私、割りと、住めば都な方だから。ふふ。」
そうだろうな、優しい彼女らしい。
だが、ここは引き止めねば!
「幸福論の、”若い内に海外は、身を滅ぼす”、の法則だってあるだろ?」
「あ~、そうなの。それで、ちょっと氣になったのよ。
私にサーフィン教えてくれたスタッフの人、潮崎一馬さんっていうんだけど......。あの、写真の人ね。」
何と!姫の方から、彼について話してくれる。
「うん、うん。あの人がどうしたの?」
これは、身を乗り出すなという方が無理だ。
「一馬さん、亡くなったお父さんの、形見のサーフボードを持って、世界中のビーチ、サーフィンして歩いてるのよ。
今は、ルオーのスタッフに落ち着いて、スラムの子供達に勉強教えてるんだけど。」
「ええ!?そりゃ、凄いね!」
てゆうか、「一馬」さん?会ったばかりで、もう名前呼びなのか?
僕のことは、ずっと名字呼びなのに。
せめて「仁助くん」と、呼んでくれないかな?
「幸福論にね、若い内に、人生に成功してしまうと早く亡くなっちゃう、っていうお話もあるんだけど、やっぱり一馬さんも、”やりたくない仕事をして長生きするより、好きなことして早く死んだ方がいい”って言ってて。
ヒルティの死の法則そのままで、とっても氣になったのよ。
でも、私、どーすることもできないし。何とかしてあげたいんだけど......。」
「成功?(ルオーのスタッフ程度で?とは言えないが)そんなに成功してる人なの?」
そうだ、早く死.....、いや、氣を付けて下さいね、潮崎さん。
それにしても、リスクのある男だからといって、切り捨てるのではなく、氣遣うあたりが、いかにも心優しい彼女らしい。
「佑夏ちゃん、モンバサには、サーフィンの写真の男の人と二人だけで行ったの?」
「?ううん。スタッフの人達と、全部で五人で行ったんだけど、どうして?」
「い、いや。そうだったんだ。」
あ~、良かった......。
「モンバサのビーチ、ラクダが歩いてるのよ~!ビックリしたわ!白い砂浜で、猿もいて、とっても綺麗だった~!」
「あ、そう....。」
それで、あの男の人は....?と言いかける前に、佑夏が先に口を開く、
「ルオーの代表の女性に、”教採ダメだったら、ナイロビに来なよ!”って言われちゃった!
バベラの子供達、すごく可愛いし、どーしよーかなー?アハハ!」
え!?佑夏ちゃん、海外に行ってしまうのか!?
「でもさ、衛生面はどうなの?日本人にはキツイんじゃない?」
僕は、ちょっとムキになる。
「ん~、丸っ切り、氣にならないって言えば嘘になるけど、私、割りと、住めば都な方だから。ふふ。」
そうだろうな、優しい彼女らしい。
だが、ここは引き止めねば!
「幸福論の、”若い内に海外は、身を滅ぼす”、の法則だってあるだろ?」
「あ~、そうなの。それで、ちょっと氣になったのよ。
私にサーフィン教えてくれたスタッフの人、潮崎一馬さんっていうんだけど......。あの、写真の人ね。」
何と!姫の方から、彼について話してくれる。
「うん、うん。あの人がどうしたの?」
これは、身を乗り出すなという方が無理だ。
「一馬さん、亡くなったお父さんの、形見のサーフボードを持って、世界中のビーチ、サーフィンして歩いてるのよ。
今は、ルオーのスタッフに落ち着いて、スラムの子供達に勉強教えてるんだけど。」
「ええ!?そりゃ、凄いね!」
てゆうか、「一馬」さん?会ったばかりで、もう名前呼びなのか?
僕のことは、ずっと名字呼びなのに。
せめて「仁助くん」と、呼んでくれないかな?
「幸福論にね、若い内に、人生に成功してしまうと早く亡くなっちゃう、っていうお話もあるんだけど、やっぱり一馬さんも、”やりたくない仕事をして長生きするより、好きなことして早く死んだ方がいい”って言ってて。
ヒルティの死の法則そのままで、とっても氣になったのよ。
でも、私、どーすることもできないし。何とかしてあげたいんだけど......。」
「成功?(ルオーのスタッフ程度で?とは言えないが)そんなに成功してる人なの?」
そうだ、早く死.....、いや、氣を付けて下さいね、潮崎さん。
それにしても、リスクのある男だからといって、切り捨てるのではなく、氣遣うあたりが、いかにも心優しい彼女らしい。
0
あなたにおすすめの小説
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる