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第十一章 波に乗った男
幸せの屋久島
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潮崎氏の、今回の来日ライブツアーは三か所だけ。
一つは僕達の住む町。
一つは東京。
そして、もう一つは、なんと屋久島である!
屋久島には「ムビラ」という、ジンバブエの楽器奏者(日本人)が住んでいて、森の中で、この人とコラボしたコンサートを催すのだという。
(おい、ジンスケ。シケた面してんな~。だから言ったじゃねえか、一馬の歌なんか、聴きに行くもんじゃねえってな。)
ハロウィンが過ぎた自室、ぽん太に、こう言われてしまう僕は、今、果てしなく落ち込んでいる。
それも、そのはず。
この屋久島のコンサートに、潮崎一馬に同行して、佑夏も行ってしまったのだ。
今回は、斎藤ミユちゃんは参加していない、姫一人だ。
先日のライブでは演なかったが、潮崎氏も、ムビラはできるようである。
ムビラは、オルゴールの原型になった楽器で、サイズはA4用紙より、多少、小さいくらい。
手軽に持ち運びができて、車の中でも演奏できるのが魅力なのだそうだ。
現在、午前10時。コンサートは午後2時から。
リハーサルや、会場設営で忙しいのは分かるが、佑夏の声が聞きたくて仕方ない。
氣が付くと、彼女の番号を発信してしまっている。
「は~い!中原くん♪おはよ~!」
すぐに出てくれるお姫様。普段通りの、明るい癒しの優し氣な声。
「おはよう、佑夏ちゃん、屋久島どう?」
「とっても、いいお天氣で~す!すごく綺麗なところよ!
なんかね、屋久島はウミガメが卵産みに来るから、ウミガメの保護施設があって、産卵する砂浜の保全とかしてるのよ。
”いなか浜”だって。漫画みたいな名前でしょ?アハハ!」
「俺、そういうの好きだよ。」
「うん、知ってるから。言いたくなっちゃた。でもね、ウミガメが来るのは五月から七月までで、今はいないの~。」
「そうか、そりゃ残念だね。」
僕が佑夏と、産卵シーズンに行きたい!
「佑夏ちゃん、明日、帰ってくるんだよね?」
どうせ、彼女は、すぐに帰って来てくれる。氣をもむことは無い。
「それがね、明日、一馬さんと、種子島にサーフィンに行くことになったの。屋久島にはサーフスポットが無いんだって。」
「種子島!?」
ええ~!?なんだそりゃ!?
「うん、すぐ隣なのよ。」
まさか、潮崎さんと二人きりで!?聞きたいが、どうしたんだ?硬直したように、口が動かない。
ちょっと、聞くのが怖すぎる。
代わりに何とか、台詞を探して......。
「佑夏ちゃん、今週はいつ、ぽん太の世話に来てくれるの?アイツ、佑夏ちゃんに会えないと寂しがってさ。」
「ごめんなさい、一馬さんがケニアに戻るまで、行けないわ。
私、一馬さんと一緒にいたい、一馬さんに近づいて行きたいのよ。
あ!は~い!一馬さん!今、行きま~す♡
それじゃ、中原くん、来週は行けるから、またね~!」
プチッ!ツーツーツー........。
僕の脳天を、井上尚弥の右ストレートを食らったかのような衝撃が走る。
終わった.........。何もかも............。
(おい、ジンスケ。自分が佑夏に来て欲しいの、ぽん太のせいにすんなって。
て、聞いてねえな.......。)
一つは僕達の住む町。
一つは東京。
そして、もう一つは、なんと屋久島である!
屋久島には「ムビラ」という、ジンバブエの楽器奏者(日本人)が住んでいて、森の中で、この人とコラボしたコンサートを催すのだという。
(おい、ジンスケ。シケた面してんな~。だから言ったじゃねえか、一馬の歌なんか、聴きに行くもんじゃねえってな。)
ハロウィンが過ぎた自室、ぽん太に、こう言われてしまう僕は、今、果てしなく落ち込んでいる。
それも、そのはず。
この屋久島のコンサートに、潮崎一馬に同行して、佑夏も行ってしまったのだ。
今回は、斎藤ミユちゃんは参加していない、姫一人だ。
先日のライブでは演なかったが、潮崎氏も、ムビラはできるようである。
ムビラは、オルゴールの原型になった楽器で、サイズはA4用紙より、多少、小さいくらい。
手軽に持ち運びができて、車の中でも演奏できるのが魅力なのだそうだ。
現在、午前10時。コンサートは午後2時から。
リハーサルや、会場設営で忙しいのは分かるが、佑夏の声が聞きたくて仕方ない。
氣が付くと、彼女の番号を発信してしまっている。
「は~い!中原くん♪おはよ~!」
すぐに出てくれるお姫様。普段通りの、明るい癒しの優し氣な声。
「おはよう、佑夏ちゃん、屋久島どう?」
「とっても、いいお天氣で~す!すごく綺麗なところよ!
なんかね、屋久島はウミガメが卵産みに来るから、ウミガメの保護施設があって、産卵する砂浜の保全とかしてるのよ。
”いなか浜”だって。漫画みたいな名前でしょ?アハハ!」
「俺、そういうの好きだよ。」
「うん、知ってるから。言いたくなっちゃた。でもね、ウミガメが来るのは五月から七月までで、今はいないの~。」
「そうか、そりゃ残念だね。」
僕が佑夏と、産卵シーズンに行きたい!
「佑夏ちゃん、明日、帰ってくるんだよね?」
どうせ、彼女は、すぐに帰って来てくれる。氣をもむことは無い。
「それがね、明日、一馬さんと、種子島にサーフィンに行くことになったの。屋久島にはサーフスポットが無いんだって。」
「種子島!?」
ええ~!?なんだそりゃ!?
「うん、すぐ隣なのよ。」
まさか、潮崎さんと二人きりで!?聞きたいが、どうしたんだ?硬直したように、口が動かない。
ちょっと、聞くのが怖すぎる。
代わりに何とか、台詞を探して......。
「佑夏ちゃん、今週はいつ、ぽん太の世話に来てくれるの?アイツ、佑夏ちゃんに会えないと寂しがってさ。」
「ごめんなさい、一馬さんがケニアに戻るまで、行けないわ。
私、一馬さんと一緒にいたい、一馬さんに近づいて行きたいのよ。
あ!は~い!一馬さん!今、行きま~す♡
それじゃ、中原くん、来週は行けるから、またね~!」
プチッ!ツーツーツー........。
僕の脳天を、井上尚弥の右ストレートを食らったかのような衝撃が走る。
終わった.........。何もかも............。
(おい、ジンスケ。自分が佑夏に来て欲しいの、ぽん太のせいにすんなって。
て、聞いてねえな.......。)
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