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第十二章 3月11日
高原で早起きしよう
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ヤマネが空を飛ぶ!
おそらく、霧ヶ峰に来なかったら、一生、聞くことのなかった話。
「カワイイ~!うち、見たいわ~!」
二文節目にアクセントがある、理夢ちゃんの京都弁も、やっぱり愛らしい。
「アホ。お前、夜の森なんか、怖おしていられへんやろうが。」
母親のルミ子さんは、せせら笑っている。
高原の夜も、すっかり更けてきたけど、明日の朝食の予定は八時、余裕がある。
すると、東山さんが、ディーンフジオカ添乗員と軽く顔を見合わせて、
「皆さん、先ほど我々で話し合ったんですけどね、明日の朝、朝食の前、六時から希望者の方だけ、八島ヶ原湿原を歩くことにします。
これは、私の発案です。」
「予定に無かったことですし、追加料金はいただきません。また、強制ではありませんから、朝食までお休みになっても、問題ないですよ。」
と、添乗員が「ツアー概要」を述べる。
「え~!いいんですか~!やった~!」
利き腕の左で、ちょっと、髪の白い貝殻に触れた後、「今だけ婚約者」の白沢佑夏さんは、両手を叩いて小躍りしている。
僕も参加確定だ!
すいません、潮崎さん、あと二日だけ、あなたの彼女をお借りします。
アフリカの呪術で、呪い殺さないで下さい。
だけど.......。
人生が決まる大事な教員採用試験の合格発表の朝に、朝もやの霧ヶ峰を歩くなんて、男の僕でさえ、とてつもなくロマンチックに思える。
多分、全国の受験者で、発表の朝にこんなことする人はいないはずだね。
自分の部屋で、朝からビクビクしてるよりずっといい!佑夏ちゃんらしいな~。
ああ、こんな素敵な女性に、もう魅力を感じてはいけないのか......。
山田さんは朝、寝てるかな?と思いきや、全員が喜んで参加表明。
せっかく、霧ヶ峰に来ているのだから、当然かもしれない。
「それでは、本日の日程は全て終了とさせていただきます。また、明朝、よろしくお願いいたします。」
ディーンフジオカ添乗員が、締めの一言を述べ、僕達はゾロゾロとラウンジを後にする。
すると、東山さんも、山小屋に泊まるんだろうが、これは予定にあったのか?
まあ、若い頃に、ここで働いてたんだから、自分の家みたいなものだろうな。
佑夏と、微笑み合い、手を振って離れ、男一人、二階へと登って行く。
部屋に戻ると、星空が見たくなり、窓を開けてみると、煌めく満天の星の海。
下の階じゃ、こんなに綺麗に見えないな、二階で良かったかもね。
明日は早い、もう寝よう。
氣を遣っているのか、もう寝てしまったのか、ぽん太は思念を送っては来ない。
ありがとう、我が愛猫よ。
今は、俺も静かな夜を楽しみたいと思う。
おそらく、霧ヶ峰に来なかったら、一生、聞くことのなかった話。
「カワイイ~!うち、見たいわ~!」
二文節目にアクセントがある、理夢ちゃんの京都弁も、やっぱり愛らしい。
「アホ。お前、夜の森なんか、怖おしていられへんやろうが。」
母親のルミ子さんは、せせら笑っている。
高原の夜も、すっかり更けてきたけど、明日の朝食の予定は八時、余裕がある。
すると、東山さんが、ディーンフジオカ添乗員と軽く顔を見合わせて、
「皆さん、先ほど我々で話し合ったんですけどね、明日の朝、朝食の前、六時から希望者の方だけ、八島ヶ原湿原を歩くことにします。
これは、私の発案です。」
「予定に無かったことですし、追加料金はいただきません。また、強制ではありませんから、朝食までお休みになっても、問題ないですよ。」
と、添乗員が「ツアー概要」を述べる。
「え~!いいんですか~!やった~!」
利き腕の左で、ちょっと、髪の白い貝殻に触れた後、「今だけ婚約者」の白沢佑夏さんは、両手を叩いて小躍りしている。
僕も参加確定だ!
すいません、潮崎さん、あと二日だけ、あなたの彼女をお借りします。
アフリカの呪術で、呪い殺さないで下さい。
だけど.......。
人生が決まる大事な教員採用試験の合格発表の朝に、朝もやの霧ヶ峰を歩くなんて、男の僕でさえ、とてつもなくロマンチックに思える。
多分、全国の受験者で、発表の朝にこんなことする人はいないはずだね。
自分の部屋で、朝からビクビクしてるよりずっといい!佑夏ちゃんらしいな~。
ああ、こんな素敵な女性に、もう魅力を感じてはいけないのか......。
山田さんは朝、寝てるかな?と思いきや、全員が喜んで参加表明。
せっかく、霧ヶ峰に来ているのだから、当然かもしれない。
「それでは、本日の日程は全て終了とさせていただきます。また、明朝、よろしくお願いいたします。」
ディーンフジオカ添乗員が、締めの一言を述べ、僕達はゾロゾロとラウンジを後にする。
すると、東山さんも、山小屋に泊まるんだろうが、これは予定にあったのか?
まあ、若い頃に、ここで働いてたんだから、自分の家みたいなものだろうな。
佑夏と、微笑み合い、手を振って離れ、男一人、二階へと登って行く。
部屋に戻ると、星空が見たくなり、窓を開けてみると、煌めく満天の星の海。
下の階じゃ、こんなに綺麗に見えないな、二階で良かったかもね。
明日は早い、もう寝よう。
氣を遣っているのか、もう寝てしまったのか、ぽん太は思念を送っては来ない。
ありがとう、我が愛猫よ。
今は、俺も静かな夜を楽しみたいと思う。
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