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第十二章 3月11日
命の波
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潮崎さん!本当にすいません!ですが、非常事態です!
僕は、佑夏の両肩を強く掴み、激しく前後に揺する。
「佑夏ちゃん!佑夏ちゃん!しっかりしてくれ!目を覚ましてよ!そんな風に考えちゃダメだ!真帆さんは、君に生きて欲しいと思ってるよ!!!
劣等生だったのに、一生懸命、頑張って県教大、現役で入って、今月、教育実習だろ!?
先生まで、あと一歩じゃないか!こんなところで終わっていいはずないよ!
せっかく、潮崎さんだってできたのに!君の人生、これからだって!!」
だが、何の効果も無い、それどころか、彼女の意識はどんどん遠のいていって、返事すら無くなっている。
このままでは、本当に発狂してしまう!!
どうする!?顔を思い切りひっぱたくか!?いや、暴力は嫌だ。いや!いや!そんなこと、言ってられないだろ!?
しかし!だが!救急車を呼んで、間に合うか!?どうする!?どうする!?どうしたらいいんだ!?
そうだ!幸福論の話なら!?
「佑夏ちゃん!幸福論の先生が“幸福は義務“って、言ってるんだろ!?義務を果たそうよ!
ほら、あの、教育実習に持ってく、リーフレットに書いた人の励まし方、あれ、俺、マジで感動したよ!
”私はあなたが悲しみに負けない強い人だと知っている、強いあなたを私に見せて。”ってやつだよ!
俺に見せてよ!教育実習で、生徒に配るって、言ってたじゃないか!」
それでも、彼女の顔は、どんどん紫色に染まっていき、さらには呼吸困難に陥って、ハア、ハア、と荒い息をし始めてしまう。
(おい!ジンスケ!こいつぁーヤベぇぜ!命に関わる!ぽん太が佑夏の腕に噛みついて、正氣に戻してやる!佑夏の袖を捲れ!)
「仕方ない!やってくれ、ぽん太!跡は残すなよ!」
利き腕の左は避けて、佑夏の右の袖を捲る、だが、ぽん太が彼女の右腕に牙を突き立てようとした、まさに、その時!
佑夏の膝の白い貝殻が、眩いばかりの光を放つ!
「うおっ!?」
「フギャッ!?」
僕と、ぽん太が、同時に目を覆っていると、今度は、こんな小さな貝殻から、一瞬で巨大な波が現れ、僕達を包みこんで、渦を巻いている。
潮の香り?海水のようだ。
不思議だ、水中なのに、息ができる!
記録映像に残っている、震災の津波は、どす黒い。地獄の闇と言っていいように。
しかし、この半透明の波の渦は、白く光り輝いている。
しかも、海の水であるはずなのに、温かい。
温泉とは違う、命の温もりを感じる。
そして、中には、無数の星型のシーグラスが、キラキラと煌めきを放っているのである。
僕は、佑夏の両肩を強く掴み、激しく前後に揺する。
「佑夏ちゃん!佑夏ちゃん!しっかりしてくれ!目を覚ましてよ!そんな風に考えちゃダメだ!真帆さんは、君に生きて欲しいと思ってるよ!!!
劣等生だったのに、一生懸命、頑張って県教大、現役で入って、今月、教育実習だろ!?
先生まで、あと一歩じゃないか!こんなところで終わっていいはずないよ!
せっかく、潮崎さんだってできたのに!君の人生、これからだって!!」
だが、何の効果も無い、それどころか、彼女の意識はどんどん遠のいていって、返事すら無くなっている。
このままでは、本当に発狂してしまう!!
どうする!?顔を思い切りひっぱたくか!?いや、暴力は嫌だ。いや!いや!そんなこと、言ってられないだろ!?
しかし!だが!救急車を呼んで、間に合うか!?どうする!?どうする!?どうしたらいいんだ!?
そうだ!幸福論の話なら!?
「佑夏ちゃん!幸福論の先生が“幸福は義務“って、言ってるんだろ!?義務を果たそうよ!
ほら、あの、教育実習に持ってく、リーフレットに書いた人の励まし方、あれ、俺、マジで感動したよ!
”私はあなたが悲しみに負けない強い人だと知っている、強いあなたを私に見せて。”ってやつだよ!
俺に見せてよ!教育実習で、生徒に配るって、言ってたじゃないか!」
それでも、彼女の顔は、どんどん紫色に染まっていき、さらには呼吸困難に陥って、ハア、ハア、と荒い息をし始めてしまう。
(おい!ジンスケ!こいつぁーヤベぇぜ!命に関わる!ぽん太が佑夏の腕に噛みついて、正氣に戻してやる!佑夏の袖を捲れ!)
「仕方ない!やってくれ、ぽん太!跡は残すなよ!」
利き腕の左は避けて、佑夏の右の袖を捲る、だが、ぽん太が彼女の右腕に牙を突き立てようとした、まさに、その時!
佑夏の膝の白い貝殻が、眩いばかりの光を放つ!
「うおっ!?」
「フギャッ!?」
僕と、ぽん太が、同時に目を覆っていると、今度は、こんな小さな貝殻から、一瞬で巨大な波が現れ、僕達を包みこんで、渦を巻いている。
潮の香り?海水のようだ。
不思議だ、水中なのに、息ができる!
記録映像に残っている、震災の津波は、どす黒い。地獄の闇と言っていいように。
しかし、この半透明の波の渦は、白く光り輝いている。
しかも、海の水であるはずなのに、温かい。
温泉とは違う、命の温もりを感じる。
そして、中には、無数の星型のシーグラスが、キラキラと煌めきを放っているのである。
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