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第十二章 3月11日
瓦礫の山にて
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そして、真帆さんの遺体が見つかり、父親と一緒に、石森さんの家に、対面しに行った日のことを、再び、佑夏は話し始めてくれる。
「その後、お父さんに、真帆姉ちゃんが貝殻を拾いに行った海岸に、連れて行ってもらったわ。
大きな船がひっくり返ってたり、車がいくつも折り重なって、そのままになってた。
目に入るのは瓦礫の山しかなかったの。」
子供が、あの惨状を見たら、ショックは大きかったろう。
金目の物を漁る、犯罪者モドキも多くて、治安も悪かったというし、お父さん、よく連れて行ったな。
多分、佑夏が「どうしても行く~!」とか言って、駄々をこねたんだと思う。
「瓦礫の山で、私、白い貝殻を抱きしめて、いつまでも泣いたの。
真帆姉ちゃんのお母さんに、返す、って言ったんだけど、
”これは、ユーちゃんが持っていて。真帆も喜ぶから”って、受け取ってくれなかった。
お父さん、何も言わずに、泣いてる私を見守ってくれてたわ。」
ぽん太が、佑夏の膝の上に登って行く。
「七五三の時の、初詣の日の、雛祭りにも来てくれた真帆姉ちゃんの、あの笑顔と歌声が忘れられない!
瓦礫の海が、夕焼けに赤く染まって来て、私、海に向かって叫んだわ。
”マホねえちゃんーーー!!!ゆーか!せんせーになるーーーーー!!!!!”」
真帆さんの白い貝殻を、彼女は、頬に当てている。
「..........私が、教師になることを決めたのは、その時なの。
教師になって、私みたいに、頭悪くて、ワガママな子供の為に生きて、.............たとえ命を失うことになっても.......、真帆姉ちゃんのように笑顔で死にたい。
あの日、..............瓦礫の山に沈む夕陽に、そう誓ったのよ。」
彼女の、大きな瞳から、また涙が溢れている。
もらい泣き...........、いいじゃないか、男が泣いたって!何がダメだって言うんだよ!
あの台風の夜、泣きじゃくる苺奈子ちゃんに抱き着かれ、朝まで一緒にいてくれて、病院まで送ってくれたのは、真帆さんにもう、会えなくなってしまって、泣き明かした少女の頃の自分の姿が重なったから?
真帆さんの死に自責の念を持ち続け、生涯、子供の為に生きると決意していたから?
若葉寮での雛祭り、いや、それだけでなく、いつも周囲を天国のような明るさにしてしまうのは、辛い悲しみを知っていればこそ?..........情熱の現れだったのか?
「私、あれから、地震が来ると、ほんの小さくても、私の大切な人を、津波がまた連れて行ってしまいそうな氣がして、すごく怖いの。さっきは、ごめんなさい。」
「その後、お父さんに、真帆姉ちゃんが貝殻を拾いに行った海岸に、連れて行ってもらったわ。
大きな船がひっくり返ってたり、車がいくつも折り重なって、そのままになってた。
目に入るのは瓦礫の山しかなかったの。」
子供が、あの惨状を見たら、ショックは大きかったろう。
金目の物を漁る、犯罪者モドキも多くて、治安も悪かったというし、お父さん、よく連れて行ったな。
多分、佑夏が「どうしても行く~!」とか言って、駄々をこねたんだと思う。
「瓦礫の山で、私、白い貝殻を抱きしめて、いつまでも泣いたの。
真帆姉ちゃんのお母さんに、返す、って言ったんだけど、
”これは、ユーちゃんが持っていて。真帆も喜ぶから”って、受け取ってくれなかった。
お父さん、何も言わずに、泣いてる私を見守ってくれてたわ。」
ぽん太が、佑夏の膝の上に登って行く。
「七五三の時の、初詣の日の、雛祭りにも来てくれた真帆姉ちゃんの、あの笑顔と歌声が忘れられない!
瓦礫の海が、夕焼けに赤く染まって来て、私、海に向かって叫んだわ。
”マホねえちゃんーーー!!!ゆーか!せんせーになるーーーーー!!!!!”」
真帆さんの白い貝殻を、彼女は、頬に当てている。
「..........私が、教師になることを決めたのは、その時なの。
教師になって、私みたいに、頭悪くて、ワガママな子供の為に生きて、.............たとえ命を失うことになっても.......、真帆姉ちゃんのように笑顔で死にたい。
あの日、..............瓦礫の山に沈む夕陽に、そう誓ったのよ。」
彼女の、大きな瞳から、また涙が溢れている。
もらい泣き...........、いいじゃないか、男が泣いたって!何がダメだって言うんだよ!
あの台風の夜、泣きじゃくる苺奈子ちゃんに抱き着かれ、朝まで一緒にいてくれて、病院まで送ってくれたのは、真帆さんにもう、会えなくなってしまって、泣き明かした少女の頃の自分の姿が重なったから?
真帆さんの死に自責の念を持ち続け、生涯、子供の為に生きると決意していたから?
若葉寮での雛祭り、いや、それだけでなく、いつも周囲を天国のような明るさにしてしまうのは、辛い悲しみを知っていればこそ?..........情熱の現れだったのか?
「私、あれから、地震が来ると、ほんの小さくても、私の大切な人を、津波がまた連れて行ってしまいそうな氣がして、すごく怖いの。さっきは、ごめんなさい。」
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