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5.乗り物
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ここでこの世界の乗り物についてちょっと触れておこうかしら。隣国に行くとなると移動手段は馬車などになるんだけど、イーサリズムの産物として『宙に浮く』乗り物がある。形は馬車から車輪を取った様な形で、それがイーサラムで浮いている。前世からしたら夢の様な乗り物だわ。
ただそれ単体で動かすことができず、結局それを引く動力が必要。それは馬だったり、これまたイーサラムで浮き動く駆動体だったりする。この駆動体、『浮く』ことと『まっすぐ動く』イーサラムが組み込まれているんだけど、向きを変えるのは人力。結局御者は必要と言うちょっと中途半端な代物。ただまあ馬の様に疲れるわけでもないし、揺れるわけでもないから乗り心地は最高なんだけど。
この様にイーサエネルギーを利用する物は自然界に存在するイーサを蓄積するための鉱物と、そこからパワーを引き出して物理現象を起こすイーサグラム、つまり術式……いや、プログラムって言ったほうがいいかな? その方法を刻印したプレートが必要になる。このプレートは簡単なものなら親指ぐらいのサイズから、複雑なものならA4ぐらいのものが複数枚から構成されている。さっきの駆動体は二つの動作をさせるために結構複雑なイーサグラムが組み込まれている。
イーサを蓄えることができる鉱石は、宝石に分類されるものが多い。一般的なもので言うと水晶だったり、もっと高価なものだとルビーやサファイヤ、ダイアモンド。もちろん金属の塊みたいなものもあるけど、透明で透き通っているものが一般的かな。自然界にある状態である程度イーサを蓄積しているものもあるけれど、これらの鉱石にイーサを注いだり、それを取り出したりするためのイーサグラムがある。取り出す場合は少しずつ取り出したり一気に取り出したりもでき、それで出力を調節するってわけ。
前世の自動車みたいにエンジンがあってハンドルと車輪があって、と一纏めになっていればもっと普及するかも知れないけれど、残念ながらこの浮遊馬車はまだ高級品。王族や貴族が半分見栄を張るために乗っている。駆動体の中にはイーサを蓄えた人の頭大の水晶球が埋め込まれていて、言わばこれが電池。一つの水晶球で2、30キロメートルほど移動できるので、遠出する場合は予備の水晶球を積んでいくか途中で補充するかしかない。隣国まで行くとなると駆動体を使うのはかなり大変ね。そういう場合はまだまだ馬の方が有用だわ。
イーサグラムはその研究開発が行われていて、それが一番盛んなのがイグレシアス王国。エマはこの辺りに全く興味がなかったけれど、前世でリケジョだった私はすごく興味がある。新しいイーサグラムの開発! 次の転生で記憶を持っていけるんだから、やらない手はないわよね。こんなの、絶対に楽しいでしょ!
イーサグラムと言うのは言わば誰でもイーサリズムの恩恵に預かれる様にするためのもので、発達したのは旧王国が成立した後。数百年前、まだ小さな国が乱立状態で争いが絶えなかった時代には一部のイーサを操れる人間が、所謂呪文や魔法陣などの術式を用いて攻撃手段などとして使っていたらしい。現在はもうすっかり廃れてしまっているけど、極稀にそれを扱える人間もいる。王族であるエマは実は体内にイーサを持っているはずなんだけど、使い道がないから本当に宝の持ち腐れよね。機会があればこの辺りも研究してみたいものだわ。
ただそれ単体で動かすことができず、結局それを引く動力が必要。それは馬だったり、これまたイーサラムで浮き動く駆動体だったりする。この駆動体、『浮く』ことと『まっすぐ動く』イーサラムが組み込まれているんだけど、向きを変えるのは人力。結局御者は必要と言うちょっと中途半端な代物。ただまあ馬の様に疲れるわけでもないし、揺れるわけでもないから乗り心地は最高なんだけど。
この様にイーサエネルギーを利用する物は自然界に存在するイーサを蓄積するための鉱物と、そこからパワーを引き出して物理現象を起こすイーサグラム、つまり術式……いや、プログラムって言ったほうがいいかな? その方法を刻印したプレートが必要になる。このプレートは簡単なものなら親指ぐらいのサイズから、複雑なものならA4ぐらいのものが複数枚から構成されている。さっきの駆動体は二つの動作をさせるために結構複雑なイーサグラムが組み込まれている。
イーサを蓄えることができる鉱石は、宝石に分類されるものが多い。一般的なもので言うと水晶だったり、もっと高価なものだとルビーやサファイヤ、ダイアモンド。もちろん金属の塊みたいなものもあるけど、透明で透き通っているものが一般的かな。自然界にある状態である程度イーサを蓄積しているものもあるけれど、これらの鉱石にイーサを注いだり、それを取り出したりするためのイーサグラムがある。取り出す場合は少しずつ取り出したり一気に取り出したりもでき、それで出力を調節するってわけ。
前世の自動車みたいにエンジンがあってハンドルと車輪があって、と一纏めになっていればもっと普及するかも知れないけれど、残念ながらこの浮遊馬車はまだ高級品。王族や貴族が半分見栄を張るために乗っている。駆動体の中にはイーサを蓄えた人の頭大の水晶球が埋め込まれていて、言わばこれが電池。一つの水晶球で2、30キロメートルほど移動できるので、遠出する場合は予備の水晶球を積んでいくか途中で補充するかしかない。隣国まで行くとなると駆動体を使うのはかなり大変ね。そういう場合はまだまだ馬の方が有用だわ。
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