19 / 47
19.ゲームパッケージの面々
しおりを挟む
入学当日のオリエンテーションは午前中で終了し、本格的な授業は週明けからとなった。そのまま解散してしまうのももったいないので三国の王子たちを誘い、改めて挨拶をすることに。アカデミーの多目的室を借りられたのでそこに集合する。
「改めまして、この度は私の提案に賛同頂き感謝致します」
「俺は母親の療養も兼ねているからな。是非一度王女様にもお会いしたいと言ってた」
「光栄ですわ。私も是非アナスタシア様にはお会いしたいと考えておりました」
レジナルド王子は一人で入学となったけれど、他の二人の王子は身近な人物を連れての入学。前の扉の中でエマを殺害した二人だから、その顔は忘れてない。
「俺の連れはカーラ・グッドール。彼女はラッシュブルックの宰相の娘で、俺の幼馴染なんだ」
「はじめまして、カーラ様。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
少し緊張した面持ちのカーラ嬢。ここでは初対面だけど、こうやって落ち着いた環境で会うと何となく親近感も感じる。この中で女性は私と彼女だけだからだろうか。確か私よりも二つ年上だったかしら?
「こちらはサイモン・ダウニング。彼も僕の幼馴染で護衛として入学してもらったんだよ」
「よろしくお願いします、マシュー様、サイモン様。最後に私の隣にいるのはレオ・アシュクロフト。彼も私の幼馴染で普段から私の護衛を務めてくれています。今日は初顔合わせですが、また皆様とはゆっくりお話しできると嬉しいですわ」
その後、友好の印とかなんとか言って、先日占い師にもらったお守りを全員に配る。お守りは私とレオの分も入れて丁度七個。そう言えばあの占い師の女性は、どうして七個って分かったのかしら……また疑問が一つ増えてしまった。
世間話やアカデミーで学習してみたいことなどを話しつつ、それぞれの王子の様子を観察する。それぞれの王子の性格は以前の扉内で知ったのと同様で、私は彼らが何を学んでどうなりたいかも大体知っている。面白いのはパートナーのいるユージーン王子とマシュー王子。皆が徐々に打ち解けてくると、ユージーン王子はカーラさんと、マシュー王子はサイモンと普段道理に接し始めた。なるほど、この感じだとエマが割って入れば何かしら問題が起こるのも頷ける。
「皆様にご提案なのですが折角クラスメイトになったのですから、お互いに名前で呼び合うのはいかがでしょうか? カーラ様は年上でいらっしゃいますが、よろしいかしら?」
「もちろん。むしろ私が姫様を名前で呼ぶなんて恐れ多いです」
「それは遠慮なさらず。アカデミーの中でも外でも、エマと気軽にお呼びくださると嬉しいです」
「分かったわ、エマ」
彼女に名前で呼ばれると、私も姉ができたような気分になって少しテンションが上がる。前世でも一人っ子だったからなあ。よしよし、これで初日にやるべきことは全部やったかな? 名前で呼び合えば親近感も増すと言うもの。後はより詳しく皆のことを知っておくこと……そう言えば調査を依頼した結果がまだ来てないわね。結構時間が経ってるし、そろそろ分かる頃かしら?
「改めまして、この度は私の提案に賛同頂き感謝致します」
「俺は母親の療養も兼ねているからな。是非一度王女様にもお会いしたいと言ってた」
「光栄ですわ。私も是非アナスタシア様にはお会いしたいと考えておりました」
レジナルド王子は一人で入学となったけれど、他の二人の王子は身近な人物を連れての入学。前の扉の中でエマを殺害した二人だから、その顔は忘れてない。
「俺の連れはカーラ・グッドール。彼女はラッシュブルックの宰相の娘で、俺の幼馴染なんだ」
「はじめまして、カーラ様。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
少し緊張した面持ちのカーラ嬢。ここでは初対面だけど、こうやって落ち着いた環境で会うと何となく親近感も感じる。この中で女性は私と彼女だけだからだろうか。確か私よりも二つ年上だったかしら?
「こちらはサイモン・ダウニング。彼も僕の幼馴染で護衛として入学してもらったんだよ」
「よろしくお願いします、マシュー様、サイモン様。最後に私の隣にいるのはレオ・アシュクロフト。彼も私の幼馴染で普段から私の護衛を務めてくれています。今日は初顔合わせですが、また皆様とはゆっくりお話しできると嬉しいですわ」
その後、友好の印とかなんとか言って、先日占い師にもらったお守りを全員に配る。お守りは私とレオの分も入れて丁度七個。そう言えばあの占い師の女性は、どうして七個って分かったのかしら……また疑問が一つ増えてしまった。
世間話やアカデミーで学習してみたいことなどを話しつつ、それぞれの王子の様子を観察する。それぞれの王子の性格は以前の扉内で知ったのと同様で、私は彼らが何を学んでどうなりたいかも大体知っている。面白いのはパートナーのいるユージーン王子とマシュー王子。皆が徐々に打ち解けてくると、ユージーン王子はカーラさんと、マシュー王子はサイモンと普段道理に接し始めた。なるほど、この感じだとエマが割って入れば何かしら問題が起こるのも頷ける。
「皆様にご提案なのですが折角クラスメイトになったのですから、お互いに名前で呼び合うのはいかがでしょうか? カーラ様は年上でいらっしゃいますが、よろしいかしら?」
「もちろん。むしろ私が姫様を名前で呼ぶなんて恐れ多いです」
「それは遠慮なさらず。アカデミーの中でも外でも、エマと気軽にお呼びくださると嬉しいです」
「分かったわ、エマ」
彼女に名前で呼ばれると、私も姉ができたような気分になって少しテンションが上がる。前世でも一人っ子だったからなあ。よしよし、これで初日にやるべきことは全部やったかな? 名前で呼び合えば親近感も増すと言うもの。後はより詳しく皆のことを知っておくこと……そう言えば調査を依頼した結果がまだ来てないわね。結構時間が経ってるし、そろそろ分かる頃かしら?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる