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第23話 ママみ
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川の近くに止まって馬に水を飲ませ、数人の見張り以外は甲冑を脱ぎ、体の熱を逃がしている。
俺も皆さんから離れた場所で、川辺に座り込む。
いくら生き物の死に慣れていないとは言え、こんなにへこむなんて……うぅ、ダメだ、気持ち悪い。
「クガ様、大丈夫ですか?」
「あ……クレンさん」
甲冑を脱ぎ、鎖帷子姿になったクレンさんが、水の入った水筒を手渡してくれた。
感謝して受け取り、喉を潤す。深く息を吐くと、ようやく少し落ち着けた。
「すみません。俺のせいで全体の足を止めてしまって……」
「お気になさらず。私も最初、騎士としてここに来た時は似たようなものでしたから。直ぐに慣れますよ」
それはそれで、どうなのだろうか。何か大切なものを失うような気がする。
クレンさんの肩越しに、全体へ命令を出しているミューレンさんを見る。彼女も特に疲れてはいなさそうだ。
「クレンさんもミューレンさんも……もちろん皆さんも若そうですけど、何年騎士をやっているんですか?」
「私は今年で13歳で入隊し、8年。隊長は10歳で入隊し、15年になると聞いています」
「じゅ、13歳と10歳……!?」
日本ではまだ義務教育中の年齢だ。そんな歳で、騎士になるなんて。
「この世界には学校とか、教育機関はないんですか?」
「はい。読み書き計算は、母から教わります。それ以外は基本、農作業をして一生を終えるのです。私は……それが嫌で、村から飛び出してきました。一生同じことをして生きていくなら、何かに人の役に立ちたいと……」
当時のことを思い出しているのか、どこか遠くを見るクレンさん。何を考えているのかは、俺にはわからない。けど……村を飛び出したということは、喧嘩別れみたいになっている……のかもな。
「……寂しいでしょうね、親御さんは」
「毎日手紙でやり取りをしているので、大丈夫です。怒ってもいないですよ。むしろ、誉れ高い騎士になったことを喜んでいます」
クレンさんは自慢げに胸を張る(揺らす)。そ、それならいいんですけどね。
「じゃあ、ミューレンさんも似たような理由なんですかね?」
「さあ……隊長、昔のことを話してくれないんです。でも、総隊長が育ての親だって聞いたことがあります」
「オメガさんが……?」
もう一度、ミューレンさんに目を向ける。
俺の視線に気付いたのか、パッと笑顔を咲かせて小さく手を振ってきた。
手を振り返す俺を見て、クレンさんはニマニマする。
「あんな隊長、初めて見ました。いつも厳しいというか、気を張っている姿しか見たことがないので。余程、クガ様のことがお好きなのでしょうね」
「そう……なんですかね」
過去のことを話さず、常に気を張り、自分にも他人にも厳しい人……か。俺と2人の時には、気を緩めてほしいもんだ。
ミューレンさんの佇まいに見惚れていると、不意にクレンさんがずずいと顔を近付けてきた。
「私たちよりも、心配なのはクガ様です」
「え……お、俺? だ、大丈夫ですよ。もう落ち着きましたし、歩いていないので体力も減ってません」
「違います、そうじゃありません」
はて。何が違うんだろうか?
「私たちはこの世界で生きていくことが普通で、特に大変さも感じていません。これが私たちの日常なので。でもクガ様は、いきなり見知らぬ世界に放り込まれてしまったのです。不安でいっぱいでしょう?」
「あぁ……まあ、確かに……?」
ごめんなさい。正直不安が2割、エロスが8割で、だいぶエロスに寄ってます。今だって、ぶっちゃけクレンさんのたわわなお胸に目がいって仕方ないです。
クレンさんは辺りをサッと見渡すと、俺の手を取り超高速で巨大な岩場の陰に引きずり込まれた。……え?
「私のお母さんに、昔聞いたことがあります。男はおっぱいが大好きで、何かあったら安心させるためにおっぱいを差し出す、と」
「く……クレン、さん……?」
クレンさんが、鎖帷子を脱ぐ。
ミューレンさんには及ばないが、特大のお胸が現れた。薄布から、薄っすら大切な所が透けている。
汗で、黄金の髪が首や鎖骨、デコルテに張り付いている。傍に他の人がいるという緊張感も相まってか、一気に雌の匂いが漂ってきた。
頬を染め、自分の胸を両腕で持ち上げる。
たぷん、たゆん。でっっっっ……か。
「昨日、隊長ともこういうことをしたんですよね……? その……もし、不安があるようでしたら……私の胸でも、どうぞ安らいでください……♡」
「ぁ、ちょっ……!」
クレンさんが俺の頬を両手で挟み、胸の谷間へ誘う。
全然力は入っていない。むしろ、逃げようと思えば逃げられるのに……俺の男としての理性は簡単に崩壊し、自分から彼女の胸の深淵へダイブした。
ミューレンさんとは違う女性の汗と雌臭が入り混じったスメルが、甘く脳幹を揺さぶる。
頭の後ろを撫でられ、背中をとんとんと優しく叩かれる。
あったけぇ……この懐かしさはなんだろう。引き込まれる。溺れそうになる。
思わず、クレアさんの細い腰に抱き着いてしまった。この人も鍛えているだけあり、かなり引き締まっている。美しいプロポーションだ。
「あ……♡ ふふ、よしよし♡」
「……ママ……」
「ふぇ……!?」
…………。
「ッ!?!? あ、いやっ、今のは違ッ……!」
「な・に・を……している、副隊長?」
「「ッッッ!?」」
頭上から聞こえてくる、絶対零度の声色。
2人揃って上を見上げると……岩の上に、ミューレンさんが立っていた。赤い眼光が光り、クレンさんを射貫いている。
お、怒ってらっしゃる……本当に怖い。
「副隊長、出発だ。準備をして、隊員を集めよ」
「は、ハッ!!」
ビシッと敬礼し、そそくさと去っていくクレンさん。ちょ、置いて行かないで……!
「イブキ様」
「はっ……はい」
俺も思わず、直立不動。岩の上から跳び下りてきたミューレンさんは、ちょっと拗ねた顔で俺の頬をつねってきた。
「みゅ、みゅーへんはん……?」
「むぅ……私とまぐわっていないのに、他の人とあんなことしちゃダメです。もしおっぱいが恋しくなったら、私を誘ってくださいね」
「しゅ……しゅみまへんれひた」
意外と独占欲が強いのか。また、可愛い一面を知ってしまった。
俺も皆さんから離れた場所で、川辺に座り込む。
いくら生き物の死に慣れていないとは言え、こんなにへこむなんて……うぅ、ダメだ、気持ち悪い。
「クガ様、大丈夫ですか?」
「あ……クレンさん」
甲冑を脱ぎ、鎖帷子姿になったクレンさんが、水の入った水筒を手渡してくれた。
感謝して受け取り、喉を潤す。深く息を吐くと、ようやく少し落ち着けた。
「すみません。俺のせいで全体の足を止めてしまって……」
「お気になさらず。私も最初、騎士としてここに来た時は似たようなものでしたから。直ぐに慣れますよ」
それはそれで、どうなのだろうか。何か大切なものを失うような気がする。
クレンさんの肩越しに、全体へ命令を出しているミューレンさんを見る。彼女も特に疲れてはいなさそうだ。
「クレンさんもミューレンさんも……もちろん皆さんも若そうですけど、何年騎士をやっているんですか?」
「私は今年で13歳で入隊し、8年。隊長は10歳で入隊し、15年になると聞いています」
「じゅ、13歳と10歳……!?」
日本ではまだ義務教育中の年齢だ。そんな歳で、騎士になるなんて。
「この世界には学校とか、教育機関はないんですか?」
「はい。読み書き計算は、母から教わります。それ以外は基本、農作業をして一生を終えるのです。私は……それが嫌で、村から飛び出してきました。一生同じことをして生きていくなら、何かに人の役に立ちたいと……」
当時のことを思い出しているのか、どこか遠くを見るクレンさん。何を考えているのかは、俺にはわからない。けど……村を飛び出したということは、喧嘩別れみたいになっている……のかもな。
「……寂しいでしょうね、親御さんは」
「毎日手紙でやり取りをしているので、大丈夫です。怒ってもいないですよ。むしろ、誉れ高い騎士になったことを喜んでいます」
クレンさんは自慢げに胸を張る(揺らす)。そ、それならいいんですけどね。
「じゃあ、ミューレンさんも似たような理由なんですかね?」
「さあ……隊長、昔のことを話してくれないんです。でも、総隊長が育ての親だって聞いたことがあります」
「オメガさんが……?」
もう一度、ミューレンさんに目を向ける。
俺の視線に気付いたのか、パッと笑顔を咲かせて小さく手を振ってきた。
手を振り返す俺を見て、クレンさんはニマニマする。
「あんな隊長、初めて見ました。いつも厳しいというか、気を張っている姿しか見たことがないので。余程、クガ様のことがお好きなのでしょうね」
「そう……なんですかね」
過去のことを話さず、常に気を張り、自分にも他人にも厳しい人……か。俺と2人の時には、気を緩めてほしいもんだ。
ミューレンさんの佇まいに見惚れていると、不意にクレンさんがずずいと顔を近付けてきた。
「私たちよりも、心配なのはクガ様です」
「え……お、俺? だ、大丈夫ですよ。もう落ち着きましたし、歩いていないので体力も減ってません」
「違います、そうじゃありません」
はて。何が違うんだろうか?
「私たちはこの世界で生きていくことが普通で、特に大変さも感じていません。これが私たちの日常なので。でもクガ様は、いきなり見知らぬ世界に放り込まれてしまったのです。不安でいっぱいでしょう?」
「あぁ……まあ、確かに……?」
ごめんなさい。正直不安が2割、エロスが8割で、だいぶエロスに寄ってます。今だって、ぶっちゃけクレンさんのたわわなお胸に目がいって仕方ないです。
クレンさんは辺りをサッと見渡すと、俺の手を取り超高速で巨大な岩場の陰に引きずり込まれた。……え?
「私のお母さんに、昔聞いたことがあります。男はおっぱいが大好きで、何かあったら安心させるためにおっぱいを差し出す、と」
「く……クレン、さん……?」
クレンさんが、鎖帷子を脱ぐ。
ミューレンさんには及ばないが、特大のお胸が現れた。薄布から、薄っすら大切な所が透けている。
汗で、黄金の髪が首や鎖骨、デコルテに張り付いている。傍に他の人がいるという緊張感も相まってか、一気に雌の匂いが漂ってきた。
頬を染め、自分の胸を両腕で持ち上げる。
たぷん、たゆん。でっっっっ……か。
「昨日、隊長ともこういうことをしたんですよね……? その……もし、不安があるようでしたら……私の胸でも、どうぞ安らいでください……♡」
「ぁ、ちょっ……!」
クレンさんが俺の頬を両手で挟み、胸の谷間へ誘う。
全然力は入っていない。むしろ、逃げようと思えば逃げられるのに……俺の男としての理性は簡単に崩壊し、自分から彼女の胸の深淵へダイブした。
ミューレンさんとは違う女性の汗と雌臭が入り混じったスメルが、甘く脳幹を揺さぶる。
頭の後ろを撫でられ、背中をとんとんと優しく叩かれる。
あったけぇ……この懐かしさはなんだろう。引き込まれる。溺れそうになる。
思わず、クレアさんの細い腰に抱き着いてしまった。この人も鍛えているだけあり、かなり引き締まっている。美しいプロポーションだ。
「あ……♡ ふふ、よしよし♡」
「……ママ……」
「ふぇ……!?」
…………。
「ッ!?!? あ、いやっ、今のは違ッ……!」
「な・に・を……している、副隊長?」
「「ッッッ!?」」
頭上から聞こえてくる、絶対零度の声色。
2人揃って上を見上げると……岩の上に、ミューレンさんが立っていた。赤い眼光が光り、クレンさんを射貫いている。
お、怒ってらっしゃる……本当に怖い。
「副隊長、出発だ。準備をして、隊員を集めよ」
「は、ハッ!!」
ビシッと敬礼し、そそくさと去っていくクレンさん。ちょ、置いて行かないで……!
「イブキ様」
「はっ……はい」
俺も思わず、直立不動。岩の上から跳び下りてきたミューレンさんは、ちょっと拗ねた顔で俺の頬をつねってきた。
「みゅ、みゅーへんはん……?」
「むぅ……私とまぐわっていないのに、他の人とあんなことしちゃダメです。もしおっぱいが恋しくなったら、私を誘ってくださいね」
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