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ルリアーナの怪我が治ったとして、数日後にダンテ伯爵家に戻った。
「ルリアーナ様! おかえりなさいませ!」
「ルリアーナ様、怪我は大丈夫か?」
他の使用人に見つからないように門の近くでこっそりと待っていたメイドのミイアとマットの出迎えに、ルリアーナは手をとって喜んだ。馬車からその様子を見たマルシュアが安心したように帰っていった。
「ミイア、マット。心配かけてごめんなさい。わたくしのいない間、大丈夫だった?」
「あ、それが……」
ルリアーナの小屋へと向かいながら、ミイアが困ったように口を開いた。
「え、なにかあったの? 二人とライマーに何かあったの!?」
歩みを止め、焦った様子のルリアーナに、ミイアが慌ててつけ加える。
「大丈夫です。ただ……」
曇った表情でミイアが指さしたのは、荒れ果てたルリアーナの畑だった。
「え……なに……これ」
驚いたルリアーナが絶句すると、マットが困ったように頭を掻きながら付け加えた。
「あの女が突然やってきて、荒らしていったんだよ」
「お一人で……?」
驚いて思わず尋ねたルリアーナに、ミイアが答えた。
「一応お付きのメイドたちもおりましたが、主にお一人で荒らしていました」
「先代庭師の爺ちゃん、すげぇいい人だったから、本当に最近入った人以外みんなが尊敬していて……口には出さねーが、使用人の中でもあの女の行動に戸惑っている奴らも多いんだ」
二人が顔を見合わせるのを見たルリアーナは、気持ちを切り替えるように手を叩いて言った。
「罪のない植物たち、大切な食材を痛めつけたことに憤りは覚えるけれど、わたくしたちではどうしようもないわ。とりあえず、この畑を綺麗にしてあげましょう」
そう言ったルリアーナに、言いにくそうにマットが口を開いた。
「それでその、あの女の行動を見ていたライマーが……」
「ライマーの大切なお師匠様の畑だものね。……もしかして、何かしたの!? ライマーは無事!?」
慌てたルリアーナを落ち着かせようと、ミイアが肩を支えた。
「今のところは大丈夫です。しかし、正面から歯向かったライマーに何事もないとは思えません……」
ミイアの言葉の後に、拍手が聞こえてきた。
「あら、下級使用人のくせに察しがいいわね。そうよ、あのクソガキには痛い目に遭ってもらうわ」
お付きのメイド一人と護衛をつれたフィラルディーアが現れた。
「は、離せ!」
「ライマー!?」
護衛に手を押さえられて連れてこられたライマーに、ルリアーナは目を丸くして口を手で押さえた。ミイアとマットも顔を顰めている。
「あんた、この庭師見習いと仲良いの? 底辺同士、お似合いじゃない!」
笑いながらフィラルディーアが指示を出し、護衛によってライマーが腹を殴られた。
「ぅぐっ!」
「ライマー!? やめてください! 相手はまだ子供ですよ!?」
ルリアーナがそう言って、ライマーに駆け寄ると、フィラルディーアはルリアーナを睨みつけた。
「何? 邪魔しないでよ。それとも、あんたが代わりになるの?」
「えぇ、わたくしがライマーの代わりになるから離してあげてください!」
ルリアーナがそう言うと、手を離されたライマーは、咳き込みながら地面に倒れた。
「大丈夫!? ライマー、しっかりして!」
「ごほ、ル、ルリアーナ様……俺、なんて、放っておいて、ください」
そう言ったライマーをマットが抱き抱えた。そして、悲しそうな顔でルリアーナを見つめる。ルリアーナはそんなマットとミイアに優しく微笑んだ。
「そもそも、あんたがアストライオス様に媚を売るから悪いのよ。なんであたしよりもあんたなんかと仲良くなろうと思うの? それにデシャンティ先生にも怒られたじゃない。格好良いし王族だから狙っていたのに……。いい男ばっかり狙うなんて、身の程を知りなさい! このあたしの美貌とこんな田舎娘、あたしの方が絶対いいじゃない。ねぇ、みんな?」
「「「フィラルディーア様のおっしゃる通りです!」」」
護衛に任せるつもりはないらしい。フィラルディーアは、ルリアーナに近づき、どこからか出した鞭を振り上げルリアーナを打った。
「い、痛……」
「ふふふ、まだまだよ」
その姿を見たライマーは意識を失った。その後、笑って何度も鞭をふるったフィラルディーアは、最後にぞうきん掃除後の汚水を持ってこさせ、ルリアーナに頭からかけた。
「あんたには、その汚い姿がお似合いよ」
満足して去っていくフィラルディーアを見送り、ルリアーナは倒れたのだった。
「ルリアーナ様!」
慌てて駆け寄ったミイアがルリアーナを抱き止め、マットがミイアにライマーを受け渡し、ルリアーナを抱き抱える。
「すまない。ルリアーナ様。お身体に触れさせてもらう」
そう言ったマットは、ルリアーナを抱え、ミイアと共に小屋へと駆け出した。
「ライマーは俺たちの予備の布団に寝かせて、ルリアーナ様を早く洗って手当てしてやってくれ! ライマーは俺が看る!」
「えぇ、すぐに手当てする!」
ミイアとマットが怪我人二人を手当てする。すぐに目を覚ましたライマーがルリアーナへの謝罪を唱え続けた。
「俺のせいで、俺のせいでルリアーナ様が」
「大丈夫だ。今ミイアが手当てしている。ミイアに任せろ」
痛みが引いたライマーは、マットとミイアに促されて使用人部屋へと帰った。怪我をしている子供のライマーに手伝わせることは、ルリアーナが望まないだろうという判断だ。そして、マットとミイアは、ルリアーナの面倒を二人で看る。
「うぅ、」
「ルリアーナ様! お目覚めですか? お身体は痛みますか?」
「う、ミイア。ごめんなさいね。……ライマーは? 無事?」
「ライマーはもう帰しました。ルリアーナ様が怪我をした子供に手当されることは望まないと判断しました。申し訳ございません」
「いえ、いい判断よ。わたくしもライマーにはしっかり休んでほしいもの」
「しかし、ライマーを殴っている護衛の奴も少し引いた顔をしていたぜ。あの女の本性に気づき始めたんじゃないのか?」
「あんなクソみたいな本性、隠し通せるはずないもの」
ルリアーナのために話を変え、フィラルディーアの周りについて話す二人にルリアーナは微笑む。
「少し痛むけれど、薬を塗って包帯を巻いてくれたのね。また明日、ライマーを呼んでちょうだい。怪我の具合が大丈夫か知りたいわ」
そう言ったルリアーナに、マットとミイアは頭を下げるのだった。
「ルリアーナ様! おかえりなさいませ!」
「ルリアーナ様、怪我は大丈夫か?」
他の使用人に見つからないように門の近くでこっそりと待っていたメイドのミイアとマットの出迎えに、ルリアーナは手をとって喜んだ。馬車からその様子を見たマルシュアが安心したように帰っていった。
「ミイア、マット。心配かけてごめんなさい。わたくしのいない間、大丈夫だった?」
「あ、それが……」
ルリアーナの小屋へと向かいながら、ミイアが困ったように口を開いた。
「え、なにかあったの? 二人とライマーに何かあったの!?」
歩みを止め、焦った様子のルリアーナに、ミイアが慌ててつけ加える。
「大丈夫です。ただ……」
曇った表情でミイアが指さしたのは、荒れ果てたルリアーナの畑だった。
「え……なに……これ」
驚いたルリアーナが絶句すると、マットが困ったように頭を掻きながら付け加えた。
「あの女が突然やってきて、荒らしていったんだよ」
「お一人で……?」
驚いて思わず尋ねたルリアーナに、ミイアが答えた。
「一応お付きのメイドたちもおりましたが、主にお一人で荒らしていました」
「先代庭師の爺ちゃん、すげぇいい人だったから、本当に最近入った人以外みんなが尊敬していて……口には出さねーが、使用人の中でもあの女の行動に戸惑っている奴らも多いんだ」
二人が顔を見合わせるのを見たルリアーナは、気持ちを切り替えるように手を叩いて言った。
「罪のない植物たち、大切な食材を痛めつけたことに憤りは覚えるけれど、わたくしたちではどうしようもないわ。とりあえず、この畑を綺麗にしてあげましょう」
そう言ったルリアーナに、言いにくそうにマットが口を開いた。
「それでその、あの女の行動を見ていたライマーが……」
「ライマーの大切なお師匠様の畑だものね。……もしかして、何かしたの!? ライマーは無事!?」
慌てたルリアーナを落ち着かせようと、ミイアが肩を支えた。
「今のところは大丈夫です。しかし、正面から歯向かったライマーに何事もないとは思えません……」
ミイアの言葉の後に、拍手が聞こえてきた。
「あら、下級使用人のくせに察しがいいわね。そうよ、あのクソガキには痛い目に遭ってもらうわ」
お付きのメイド一人と護衛をつれたフィラルディーアが現れた。
「は、離せ!」
「ライマー!?」
護衛に手を押さえられて連れてこられたライマーに、ルリアーナは目を丸くして口を手で押さえた。ミイアとマットも顔を顰めている。
「あんた、この庭師見習いと仲良いの? 底辺同士、お似合いじゃない!」
笑いながらフィラルディーアが指示を出し、護衛によってライマーが腹を殴られた。
「ぅぐっ!」
「ライマー!? やめてください! 相手はまだ子供ですよ!?」
ルリアーナがそう言って、ライマーに駆け寄ると、フィラルディーアはルリアーナを睨みつけた。
「何? 邪魔しないでよ。それとも、あんたが代わりになるの?」
「えぇ、わたくしがライマーの代わりになるから離してあげてください!」
ルリアーナがそう言うと、手を離されたライマーは、咳き込みながら地面に倒れた。
「大丈夫!? ライマー、しっかりして!」
「ごほ、ル、ルリアーナ様……俺、なんて、放っておいて、ください」
そう言ったライマーをマットが抱き抱えた。そして、悲しそうな顔でルリアーナを見つめる。ルリアーナはそんなマットとミイアに優しく微笑んだ。
「そもそも、あんたがアストライオス様に媚を売るから悪いのよ。なんであたしよりもあんたなんかと仲良くなろうと思うの? それにデシャンティ先生にも怒られたじゃない。格好良いし王族だから狙っていたのに……。いい男ばっかり狙うなんて、身の程を知りなさい! このあたしの美貌とこんな田舎娘、あたしの方が絶対いいじゃない。ねぇ、みんな?」
「「「フィラルディーア様のおっしゃる通りです!」」」
護衛に任せるつもりはないらしい。フィラルディーアは、ルリアーナに近づき、どこからか出した鞭を振り上げルリアーナを打った。
「い、痛……」
「ふふふ、まだまだよ」
その姿を見たライマーは意識を失った。その後、笑って何度も鞭をふるったフィラルディーアは、最後にぞうきん掃除後の汚水を持ってこさせ、ルリアーナに頭からかけた。
「あんたには、その汚い姿がお似合いよ」
満足して去っていくフィラルディーアを見送り、ルリアーナは倒れたのだった。
「ルリアーナ様!」
慌てて駆け寄ったミイアがルリアーナを抱き止め、マットがミイアにライマーを受け渡し、ルリアーナを抱き抱える。
「すまない。ルリアーナ様。お身体に触れさせてもらう」
そう言ったマットは、ルリアーナを抱え、ミイアと共に小屋へと駆け出した。
「ライマーは俺たちの予備の布団に寝かせて、ルリアーナ様を早く洗って手当てしてやってくれ! ライマーは俺が看る!」
「えぇ、すぐに手当てする!」
ミイアとマットが怪我人二人を手当てする。すぐに目を覚ましたライマーがルリアーナへの謝罪を唱え続けた。
「俺のせいで、俺のせいでルリアーナ様が」
「大丈夫だ。今ミイアが手当てしている。ミイアに任せろ」
痛みが引いたライマーは、マットとミイアに促されて使用人部屋へと帰った。怪我をしている子供のライマーに手伝わせることは、ルリアーナが望まないだろうという判断だ。そして、マットとミイアは、ルリアーナの面倒を二人で看る。
「うぅ、」
「ルリアーナ様! お目覚めですか? お身体は痛みますか?」
「う、ミイア。ごめんなさいね。……ライマーは? 無事?」
「ライマーはもう帰しました。ルリアーナ様が怪我をした子供に手当されることは望まないと判断しました。申し訳ございません」
「いえ、いい判断よ。わたくしもライマーにはしっかり休んでほしいもの」
「しかし、ライマーを殴っている護衛の奴も少し引いた顔をしていたぜ。あの女の本性に気づき始めたんじゃないのか?」
「あんなクソみたいな本性、隠し通せるはずないもの」
ルリアーナのために話を変え、フィラルディーアの周りについて話す二人にルリアーナは微笑む。
「少し痛むけれど、薬を塗って包帯を巻いてくれたのね。また明日、ライマーを呼んでちょうだい。怪我の具合が大丈夫か知りたいわ」
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