33 / 114
第三章 世界樹の守護者
第33話 メルヴィの街
しおりを挟む
アルメイレには一瞬で着いた。
セレスは、アルメイレの南東にある小さな街、トレイルトッカの外れの森に降り立った。
「この街でも大丈夫?」
ライルが心配そうにセレスに尋ねると、
「あ、もう~全然大丈夫って言うか、アタシが行きたそうな街が良く分かったな~!?って今、本当に驚いている所だよ!」
と、セレスは感謝の意を述べた。
ライルはその言葉に安心した様で、
「なら良かった!じゃあ僕は行くね。セレスの目的が果たされて自由の身になったら、ルキソに来てね。無理だったらイイんだよ。この問題は僕たちルキソの民がやるべき事だからね。」
と言いながら笑って、一人ルキソミュフィアに向けて飛んだ。
次、ライルと会えるのはいつ頃になるだろう?と思いながら、セレスはトレイルトッカ街の賑わう街並みの方に向かった。
『深淵のエルフ』の居る可能性のある場所を探るため、街の情報屋に向かった。
一方その頃、グレアラシルは一人苦悩していた。
『総務大臣の動向を探れ』
と、言われても、メルヴィレッジの内閣府までそうやすやすと入り込めるものでは無い。
何とか自分だけでも出来る事を見つけようと安請け合いしてしまったけれども、早々に挫折寸前になっていた。
「とりあえず街に行ってみよう。」
グレアラシルは書架を出て、とぼとぼと寂れた商店街を歩く。
因みにこの商店街の名は、『アズワルド商店街』と言う名で呼ばれていた。
「アズワルド・・・・・」
はて、どこかで聞いた様な・・・・と思いながら商店街を進む。
商店街の末端に来ると、立てかけられている看板には、「また来てね!」と書いてあった。
「何かこの商店街、ちょっと変だな?」
グレアラシルは一人、首をかしげながら首都の方まで歩いた。
メルヴィレッジの首都の名前は、国名や人種名にもなっている『メルヴィ』と呼ばれていて、その名の通り首都の街並みを歩く人々の多くが『メルヴィ族』と呼ばれる人種の人達ばかりだった。
メルヴィ族は基本的には亜人で、耳の形が少し違う。
耳の先端にフサフサとした毛が生えているのが特徴だが、耳の位置は普通の人間と同じなので、獣人と言う訳でも無いらしい。
かと思えば、メルヴィの中には尻尾の生えている人も居る様なので、獣人と亜人の間の種族と言った感じなのかも知れない。
その昔、まだメルヴィ達が一つの人種として確立していなかった頃は、もう少し獣人に近い存在だったのかも知れないと考えると、色々としっくり来るだろう。
そんな訳で基本的に亜人や獣人が多いと言うか、亜人や獣人で構成されている国なので、他の地域、特にソルフゲイルで迫害されている亜人や獣人が流れ着いて来ることが多かった。
そんなメルヴィの総務大臣は、見た目は普通のお爺さんだ。
この間、グレアラシルはコレットを追いかける時に、偶然総務大臣とソルフゲイルの御三家の次男の密会を見ていた一人だった。
密会なんてものに興味は無く、ただ目の前の獲物だったコレットに狙いを定めて、ただただ追いかけた。
前払いの報酬に目が眩んだ。
いつもの賞金稼ぎの賞金首の4倍位の額だった。
このお金を元手に、ちょっとイイアパートに移る予定だったのだが、偶然知り合ったセレスの住居兼店舗のソラ・ルデ・ビアスの書架に身を寄せることになった。
ソラ・ルデ・ビアスの書架の1階のダイニングキッチンの近くに部屋を作ってもらって、そこに住む事になったけど、部屋に暑らわれた空間があまり安定していないとかで、もしかしたらしばらくは変なモノが見えるかも知れないけど、この時空には干渉しない幻覚だから気にするな!とか言われたけど・・・・。
「やっぱり気になるな~。」
グレアラシルは、部屋の状態が安定するまでは安眠出来ないかも知れないと、そう思っていた。
首都の街並みに着くと、さて、どこに行ったら良いものか~?と思いながら行政府に向かう。
行政府のある建物は少し大きかったので、迷う事は無かった。
「ああ~そう言えば、この間怪我した時に病院で手当てを受けた時に支払った金額が大きくて、支払い上限超えてるって言われた分を貰いに行くかな~。」
グレアラシルは、自身の役所での手続きでやっていないことがあった事を思い出し、市民課の方に向かう。
すると、目の前に金髪の、見慣れた感じの少女が立っているのに気が付いた。
気が付いたけど、グレアラシルからは声をかけづらかったので、向こうが気付いてくれるまで待つことにする。
いや、気付かなくてスルーされる方が面倒なことにならなくて良さそうだとも思いながら、順番待ちの座席に座った。
すると、グレアラシルの思惑通りと言うか、あまり望んではいなかったけど、向こうの方から声をかけて来た。
「あ!グレアラシルさん!!昨日は色々と・・・一昨日も色々と、どうもありがとうございました!コレットです!当然覚えていますよね?」
笑いながらコレットが挨拶をしてきた。
グレアラシルは~と言うと、ちょっと苦笑いをしながら、
「ああ、当然覚えていますよ、昨日ぶりですな~!」
と言って応じた。
2人の間には、何とも言えない空気が流れた。
セレスは、アルメイレの南東にある小さな街、トレイルトッカの外れの森に降り立った。
「この街でも大丈夫?」
ライルが心配そうにセレスに尋ねると、
「あ、もう~全然大丈夫って言うか、アタシが行きたそうな街が良く分かったな~!?って今、本当に驚いている所だよ!」
と、セレスは感謝の意を述べた。
ライルはその言葉に安心した様で、
「なら良かった!じゃあ僕は行くね。セレスの目的が果たされて自由の身になったら、ルキソに来てね。無理だったらイイんだよ。この問題は僕たちルキソの民がやるべき事だからね。」
と言いながら笑って、一人ルキソミュフィアに向けて飛んだ。
次、ライルと会えるのはいつ頃になるだろう?と思いながら、セレスはトレイルトッカ街の賑わう街並みの方に向かった。
『深淵のエルフ』の居る可能性のある場所を探るため、街の情報屋に向かった。
一方その頃、グレアラシルは一人苦悩していた。
『総務大臣の動向を探れ』
と、言われても、メルヴィレッジの内閣府までそうやすやすと入り込めるものでは無い。
何とか自分だけでも出来る事を見つけようと安請け合いしてしまったけれども、早々に挫折寸前になっていた。
「とりあえず街に行ってみよう。」
グレアラシルは書架を出て、とぼとぼと寂れた商店街を歩く。
因みにこの商店街の名は、『アズワルド商店街』と言う名で呼ばれていた。
「アズワルド・・・・・」
はて、どこかで聞いた様な・・・・と思いながら商店街を進む。
商店街の末端に来ると、立てかけられている看板には、「また来てね!」と書いてあった。
「何かこの商店街、ちょっと変だな?」
グレアラシルは一人、首をかしげながら首都の方まで歩いた。
メルヴィレッジの首都の名前は、国名や人種名にもなっている『メルヴィ』と呼ばれていて、その名の通り首都の街並みを歩く人々の多くが『メルヴィ族』と呼ばれる人種の人達ばかりだった。
メルヴィ族は基本的には亜人で、耳の形が少し違う。
耳の先端にフサフサとした毛が生えているのが特徴だが、耳の位置は普通の人間と同じなので、獣人と言う訳でも無いらしい。
かと思えば、メルヴィの中には尻尾の生えている人も居る様なので、獣人と亜人の間の種族と言った感じなのかも知れない。
その昔、まだメルヴィ達が一つの人種として確立していなかった頃は、もう少し獣人に近い存在だったのかも知れないと考えると、色々としっくり来るだろう。
そんな訳で基本的に亜人や獣人が多いと言うか、亜人や獣人で構成されている国なので、他の地域、特にソルフゲイルで迫害されている亜人や獣人が流れ着いて来ることが多かった。
そんなメルヴィの総務大臣は、見た目は普通のお爺さんだ。
この間、グレアラシルはコレットを追いかける時に、偶然総務大臣とソルフゲイルの御三家の次男の密会を見ていた一人だった。
密会なんてものに興味は無く、ただ目の前の獲物だったコレットに狙いを定めて、ただただ追いかけた。
前払いの報酬に目が眩んだ。
いつもの賞金稼ぎの賞金首の4倍位の額だった。
このお金を元手に、ちょっとイイアパートに移る予定だったのだが、偶然知り合ったセレスの住居兼店舗のソラ・ルデ・ビアスの書架に身を寄せることになった。
ソラ・ルデ・ビアスの書架の1階のダイニングキッチンの近くに部屋を作ってもらって、そこに住む事になったけど、部屋に暑らわれた空間があまり安定していないとかで、もしかしたらしばらくは変なモノが見えるかも知れないけど、この時空には干渉しない幻覚だから気にするな!とか言われたけど・・・・。
「やっぱり気になるな~。」
グレアラシルは、部屋の状態が安定するまでは安眠出来ないかも知れないと、そう思っていた。
首都の街並みに着くと、さて、どこに行ったら良いものか~?と思いながら行政府に向かう。
行政府のある建物は少し大きかったので、迷う事は無かった。
「ああ~そう言えば、この間怪我した時に病院で手当てを受けた時に支払った金額が大きくて、支払い上限超えてるって言われた分を貰いに行くかな~。」
グレアラシルは、自身の役所での手続きでやっていないことがあった事を思い出し、市民課の方に向かう。
すると、目の前に金髪の、見慣れた感じの少女が立っているのに気が付いた。
気が付いたけど、グレアラシルからは声をかけづらかったので、向こうが気付いてくれるまで待つことにする。
いや、気付かなくてスルーされる方が面倒なことにならなくて良さそうだとも思いながら、順番待ちの座席に座った。
すると、グレアラシルの思惑通りと言うか、あまり望んではいなかったけど、向こうの方から声をかけて来た。
「あ!グレアラシルさん!!昨日は色々と・・・一昨日も色々と、どうもありがとうございました!コレットです!当然覚えていますよね?」
笑いながらコレットが挨拶をしてきた。
グレアラシルは~と言うと、ちょっと苦笑いをしながら、
「ああ、当然覚えていますよ、昨日ぶりですな~!」
と言って応じた。
2人の間には、何とも言えない空気が流れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる