67 / 211
スナイパー同士の戦い
第六十七話 青春時代④
しおりを挟む
「日向さん……」
これが現実なのかと、にわかには信じがたかった。
目の前にいたのは中学生の頃、僕の初恋の人だった日向直子その人だった。
僕が恋した、中学生そのままの姿で現れた日向さん。僕は急に淡い恋心を引き起こされた。彼女を眺めていると急に中学生に戻った気分がしたのだ。彼女は笑顔で話しかけてくる。
「池田くんがここにいるってことは、私と同じように死んだってことだよね。どう元気にしてた? まあ、今になっては変な言い方だけど。なんか連絡取れなくて、私、心配してたんだよ」
本当は僕のせいなのにそれをなじる素振りはなく、ただ心配そうに日向さんは明るく言った。それがたまらなく心を痛ませた。
「ごめん、無精で、本当はみんなと会いたかったんだけど」
嘘だ。同級生のみんなと会いたくなかった。社会に適応できず、日本人の底辺の生活をしていた僕は、みんなと会ってその差を見せつけられて惨めな思いをしたくなかった。
特に日向さんに合わせる顔がなかった、落ちぶれた情けない姿を見せたくなかった。ちっぽけなプライドが彼女との距離を開かせたのだ。
「池田くんかあ、思いだすなあ。そうそう、あれ! 私、弁当作ってあげようかって言ったでしょ! そうしたら、池田くんいらないって言うから、私、ショックだったんだよ。そこまで私の料理の腕を疑っているのかって。言っときますけど、家事全般できますからね!」
「ええ? 本当かなあ。信じられないなあ」
「ちょっと! きみ失礼ね! もうっ!」
「ははっ……」
嘘だ。僕がいつも昼食の時間、パンを買って食べているので、彼女は気を利かせて僕に「弁当ぐらい作ってあげてもいいよ」って、言ってくれた。
涙が出そうなほど嬉しかった、僕は貧乏で母から弁当を持たされることもまれだった、貧しい家庭で、農家でもない限り、肉を買うより野菜を用意することが難しい、本当に天にも昇る心地だった、彼女の手料理が食べたい。きっと口に運んだら目を潤ませながら喜んだだろう。
でも、僕は内気で恥ずかしくて断ってしまった、本当のところ食べたかった。でも、子どもだった僕は、そういう恋愛的なことに持っていかれるのは苦手だった。もし、クラスメイトにからかわれたらどうしようとか、僕は考えてしまった。あまりにも愚かで救いようのない自分が嫌になってしまった。
あの時素直になっていればと何度も何度も後悔していた。
「他にはそうそう、ウェイトリフティングのとき。私が陸上部で体を鍛えるために50キロのバーベルを持ち上げていたときだよ。思い出すなあ池田くんのズボンのチャックが開いてて。私、びっくりして、バーベルを池田くんの足に落としてしまったんだよね。あの時本当にゴメン! 足とか大丈夫だよね」
「あの痛みは、終生忘れないと誓ったよ」
「もう、ごめんってば──」
嘘だ。僕の足にバーベルを落としてしまった後、病院に運ばれた、そのあとすぐに母が飛んできた。ねちっこい母だ日向さんをなじってやろうと息巻いていた。
そんな空気の中静かに、彼女が入ってきて、「このたびは大事な御子様を傷つけてしまって申し訳ありません。この責任は絶対とりますのでお許しください!」と丁寧な言葉で、全力で頭を下げた。
あの人気があって美人の日向さんが僕のために頭を下げている、かえってこちらが申し訳ない気分になってしまった。
母はあまりの迫力で日向さんがあやまるので何も言えずにいたのだ、僕は彼女の清廉潔白な純粋さと生真面目な誠実さを感じて、ますます好きになった。
「池田くん、卒業の日わりとあっさり別れたよね。私、ショックだったなあ。もう二度と会えないかもしれないのに、君と結構仲良かったんだけど、おいおいそれだけかよっ! って」
「そんなもんじゃない? クラスメイトって」
嘘だ。
実は何度も告白の言葉を考えた、日向さんと別れると思うと心臓が張り裂けそうで、何度も男になろうと、自分を変えようとした。
そして、卒業の日の一ヶ月前から、何度も練習した告白シーン。好きだ。その一言が言えればそれでよかった、断られてもかまわない、好きだ、僕の心の叫びを聞いて欲しい。好きだ、その一言が言いたかった。
そしてその日がやってきた。これが最後になるかもしれない、永遠に会えないかもしれない、そう思うとあがってしまった。
口を開こうとする。でも言葉が出ない。何度も練習したのに何故開かない! なんで! そう思っているうちに別れのシーンがやってくる。にこやかに別れを言う彼女、愛しい人に贈る言葉、震えてくる唇から辛うじて言えた言葉それは──
「さよなら日向さん」
家に帰ったあと僕は泣き続けた、なんで言えなかったんだ! 自問自答の日々、それでも彼女から電話が来た。しかし、僕は電話を取らなかった、もし、彼氏ができたと言われたら……それが怖かったんだ。怖くて怖くてたまらなかった、そして結局放置しているうちに連絡は来なくなった。
そのあと僕は何度も彼女の顔を思い出していた。彼女の瞳、彼女の口、頬、まつげ、はな、まゆげ、髪型。何度も何度も写真のように頭の映像に植え付けていた。彼女の写真は押入れの段ボールの中にしまっている、あまりにも好きすぎて見ることができなかったからだ。
それからというもの、つらいときや苦しいときは、頭に植え付けられた彼女の写真を思い出していた。彼女がどう笑うか、どう怒るか、どう哀しむのかすべて映像となって頭で再現していた、その彼女が、日向さんがここにいる。
「……なんで中学生の頃の姿をしてるんだい、確か結婚したって手紙来たけど」
本当は今すぐにでも抱きしめたかった、でも僕はそれができない理由があった。
「ああこの姿ね、どうやら魂の姿って精神年齢が関係するみたいで、私、中学生のまま成長しなかったみたいね、我ながら自己嫌悪、結婚のことは……」
急に彼女が口ごもった。何かあったのだろうか、興味半分、怖さ半分だった。
「どうしたの?」
僕が静かに尋ねると、重そうな口を開いた。
「……彼とは別れたわ、どうやら私と結婚したときに別に好きな女がいて付き合っていたみたいなの、私、許せなかった。私の肌に触れずにほかの女の肌に触れていたなんて。
君には隠していたけど、私の両親、離婚しててね、原因が浮気。それから私はお母さんと二人っきりで貧しい生活しててね。もう苦しいのなんの。浮気なんて聞くのも嫌。だから別れた。
彼のことはもう別にどうでもいいわ。私を愛してくれなかった人なんてどうでもいい」
「……そうか」
僕の心臓の音が山彦となって周りに響いていないか気になった。これを聞かれてはならない、そのはずだ。
「それで、気晴らしに海外旅行に行ったら飛行機がテロリストに占拠されて自爆テロ。私ってなんでついてないんだろうねー。池田くんは?」
「僕も日向さんと同じ感じ」
「なによそれ、自分だけごまかすなよー、このっ、私だけ話して恥ずかしいじゃない!」
「はは……」
僕が乾いた笑いをすると、少し日向さんは考え込み、真正面からうるんだ瞳で僕にうったえてきた。
「……ねえ、運命って信じる?」
「えっ」
「私は信じてるよ、こんな異世界で、仲の良かったクラスメイトの二人が、大人となって出会う。たぶん、必然。──ねえっ、こうなったら私と付き合ってみない?」
まるで天使のように微笑む日向さん。僕は何も言えなかった、言葉に詰まってしまった。だって、仕方ないじゃないか! 今の僕にはメリッサが……!
「何かこの世界って孤独じゃない。私寂しかったんだ。そしたら池田くんと出会っちゃって、昔のこと思い出してね。いいでしょ、私はかまわないよ、佑月くんのこと気に入ってたし、今の佑月くん、とってもダンディーでカッコいいし。だまされたと思ってほら! 私つくすよー」
「僕は………………」
それ以上何も言えなかった。もうすでに僕には彼女がいること、将来を誓い合った人がいること。そんなことを言えるわけないじゃないか、あの日向さんに!
そうやって迷っているうちに、叫び声と足音が聞こえてきた。運命……、そうこれは運命なのだ。神というものがいるのなら、僕は首を絞めてしまっただろう。
「おーい! 佑月! 大丈夫か!?」
そう、それはメリッサの声だった……!
これが現実なのかと、にわかには信じがたかった。
目の前にいたのは中学生の頃、僕の初恋の人だった日向直子その人だった。
僕が恋した、中学生そのままの姿で現れた日向さん。僕は急に淡い恋心を引き起こされた。彼女を眺めていると急に中学生に戻った気分がしたのだ。彼女は笑顔で話しかけてくる。
「池田くんがここにいるってことは、私と同じように死んだってことだよね。どう元気にしてた? まあ、今になっては変な言い方だけど。なんか連絡取れなくて、私、心配してたんだよ」
本当は僕のせいなのにそれをなじる素振りはなく、ただ心配そうに日向さんは明るく言った。それがたまらなく心を痛ませた。
「ごめん、無精で、本当はみんなと会いたかったんだけど」
嘘だ。同級生のみんなと会いたくなかった。社会に適応できず、日本人の底辺の生活をしていた僕は、みんなと会ってその差を見せつけられて惨めな思いをしたくなかった。
特に日向さんに合わせる顔がなかった、落ちぶれた情けない姿を見せたくなかった。ちっぽけなプライドが彼女との距離を開かせたのだ。
「池田くんかあ、思いだすなあ。そうそう、あれ! 私、弁当作ってあげようかって言ったでしょ! そうしたら、池田くんいらないって言うから、私、ショックだったんだよ。そこまで私の料理の腕を疑っているのかって。言っときますけど、家事全般できますからね!」
「ええ? 本当かなあ。信じられないなあ」
「ちょっと! きみ失礼ね! もうっ!」
「ははっ……」
嘘だ。僕がいつも昼食の時間、パンを買って食べているので、彼女は気を利かせて僕に「弁当ぐらい作ってあげてもいいよ」って、言ってくれた。
涙が出そうなほど嬉しかった、僕は貧乏で母から弁当を持たされることもまれだった、貧しい家庭で、農家でもない限り、肉を買うより野菜を用意することが難しい、本当に天にも昇る心地だった、彼女の手料理が食べたい。きっと口に運んだら目を潤ませながら喜んだだろう。
でも、僕は内気で恥ずかしくて断ってしまった、本当のところ食べたかった。でも、子どもだった僕は、そういう恋愛的なことに持っていかれるのは苦手だった。もし、クラスメイトにからかわれたらどうしようとか、僕は考えてしまった。あまりにも愚かで救いようのない自分が嫌になってしまった。
あの時素直になっていればと何度も何度も後悔していた。
「他にはそうそう、ウェイトリフティングのとき。私が陸上部で体を鍛えるために50キロのバーベルを持ち上げていたときだよ。思い出すなあ池田くんのズボンのチャックが開いてて。私、びっくりして、バーベルを池田くんの足に落としてしまったんだよね。あの時本当にゴメン! 足とか大丈夫だよね」
「あの痛みは、終生忘れないと誓ったよ」
「もう、ごめんってば──」
嘘だ。僕の足にバーベルを落としてしまった後、病院に運ばれた、そのあとすぐに母が飛んできた。ねちっこい母だ日向さんをなじってやろうと息巻いていた。
そんな空気の中静かに、彼女が入ってきて、「このたびは大事な御子様を傷つけてしまって申し訳ありません。この責任は絶対とりますのでお許しください!」と丁寧な言葉で、全力で頭を下げた。
あの人気があって美人の日向さんが僕のために頭を下げている、かえってこちらが申し訳ない気分になってしまった。
母はあまりの迫力で日向さんがあやまるので何も言えずにいたのだ、僕は彼女の清廉潔白な純粋さと生真面目な誠実さを感じて、ますます好きになった。
「池田くん、卒業の日わりとあっさり別れたよね。私、ショックだったなあ。もう二度と会えないかもしれないのに、君と結構仲良かったんだけど、おいおいそれだけかよっ! って」
「そんなもんじゃない? クラスメイトって」
嘘だ。
実は何度も告白の言葉を考えた、日向さんと別れると思うと心臓が張り裂けそうで、何度も男になろうと、自分を変えようとした。
そして、卒業の日の一ヶ月前から、何度も練習した告白シーン。好きだ。その一言が言えればそれでよかった、断られてもかまわない、好きだ、僕の心の叫びを聞いて欲しい。好きだ、その一言が言いたかった。
そしてその日がやってきた。これが最後になるかもしれない、永遠に会えないかもしれない、そう思うとあがってしまった。
口を開こうとする。でも言葉が出ない。何度も練習したのに何故開かない! なんで! そう思っているうちに別れのシーンがやってくる。にこやかに別れを言う彼女、愛しい人に贈る言葉、震えてくる唇から辛うじて言えた言葉それは──
「さよなら日向さん」
家に帰ったあと僕は泣き続けた、なんで言えなかったんだ! 自問自答の日々、それでも彼女から電話が来た。しかし、僕は電話を取らなかった、もし、彼氏ができたと言われたら……それが怖かったんだ。怖くて怖くてたまらなかった、そして結局放置しているうちに連絡は来なくなった。
そのあと僕は何度も彼女の顔を思い出していた。彼女の瞳、彼女の口、頬、まつげ、はな、まゆげ、髪型。何度も何度も写真のように頭の映像に植え付けていた。彼女の写真は押入れの段ボールの中にしまっている、あまりにも好きすぎて見ることができなかったからだ。
それからというもの、つらいときや苦しいときは、頭に植え付けられた彼女の写真を思い出していた。彼女がどう笑うか、どう怒るか、どう哀しむのかすべて映像となって頭で再現していた、その彼女が、日向さんがここにいる。
「……なんで中学生の頃の姿をしてるんだい、確か結婚したって手紙来たけど」
本当は今すぐにでも抱きしめたかった、でも僕はそれができない理由があった。
「ああこの姿ね、どうやら魂の姿って精神年齢が関係するみたいで、私、中学生のまま成長しなかったみたいね、我ながら自己嫌悪、結婚のことは……」
急に彼女が口ごもった。何かあったのだろうか、興味半分、怖さ半分だった。
「どうしたの?」
僕が静かに尋ねると、重そうな口を開いた。
「……彼とは別れたわ、どうやら私と結婚したときに別に好きな女がいて付き合っていたみたいなの、私、許せなかった。私の肌に触れずにほかの女の肌に触れていたなんて。
君には隠していたけど、私の両親、離婚しててね、原因が浮気。それから私はお母さんと二人っきりで貧しい生活しててね。もう苦しいのなんの。浮気なんて聞くのも嫌。だから別れた。
彼のことはもう別にどうでもいいわ。私を愛してくれなかった人なんてどうでもいい」
「……そうか」
僕の心臓の音が山彦となって周りに響いていないか気になった。これを聞かれてはならない、そのはずだ。
「それで、気晴らしに海外旅行に行ったら飛行機がテロリストに占拠されて自爆テロ。私ってなんでついてないんだろうねー。池田くんは?」
「僕も日向さんと同じ感じ」
「なによそれ、自分だけごまかすなよー、このっ、私だけ話して恥ずかしいじゃない!」
「はは……」
僕が乾いた笑いをすると、少し日向さんは考え込み、真正面からうるんだ瞳で僕にうったえてきた。
「……ねえ、運命って信じる?」
「えっ」
「私は信じてるよ、こんな異世界で、仲の良かったクラスメイトの二人が、大人となって出会う。たぶん、必然。──ねえっ、こうなったら私と付き合ってみない?」
まるで天使のように微笑む日向さん。僕は何も言えなかった、言葉に詰まってしまった。だって、仕方ないじゃないか! 今の僕にはメリッサが……!
「何かこの世界って孤独じゃない。私寂しかったんだ。そしたら池田くんと出会っちゃって、昔のこと思い出してね。いいでしょ、私はかまわないよ、佑月くんのこと気に入ってたし、今の佑月くん、とってもダンディーでカッコいいし。だまされたと思ってほら! 私つくすよー」
「僕は………………」
それ以上何も言えなかった。もうすでに僕には彼女がいること、将来を誓い合った人がいること。そんなことを言えるわけないじゃないか、あの日向さんに!
そうやって迷っているうちに、叫び声と足音が聞こえてきた。運命……、そうこれは運命なのだ。神というものがいるのなら、僕は首を絞めてしまっただろう。
「おーい! 佑月! 大丈夫か!?」
そう、それはメリッサの声だった……!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる