ヴァルキュリア・サーガ~The End of All Stories~

琉奈川さとし

文字の大きさ
149 / 211
闘技大会開幕

第百四十九話 パーティー訓練

しおりを挟む
 森の中けたたましい音が鳴り響き、鳥たちが騒めき逃げ出した。僕たちはコルドで世話になった老神父や館の主人に礼を言って、マハロブへと移動途中射撃訓練を行っていた。僕は教官で、他のみんなの射撃指導をしている。

「こ、こうでしょうか?」

 ブライアンが自信なさげにAKMを構えて撃つが全く木の的に当たらない。僕はなるべくわかりやすく丁寧に、かつ優しく教えた。

「構えに癖があるな、僕の構え方を見て」

 僕もおなじAKMを使って射撃体勢に入り、そして的に対して撃った一辺40センチほどのひし形の木の板の的を冷静に撃ち抜く。真ん中に当たったな、弾痕だんこんは確認していないが。

「す、すごいです……」

 レイラは唖然あぜんと僕の射撃を讃えた、僕は平然として言った。

「これは慣れだ、最終的に上手い下手はあるが、きちんと訓練すればあのくらいの的なら必ず当たるようになる、それ以上の才能を僕は求めていない、きっと君もうまくやれるさ、レイラ」

「はい!」

 そうしてレイラも射撃の構えを取ったので僕は丁寧に教える。アデルもやっているが彼は短気だ、外れたらすぐに不貞腐ふてくされてやめてしまう。だが、みんなが熱心にやっていると、次第に自分からやりだすので僕はその時を見計らって指導する。

 そしてアデルの銃弾が的をかすめて彼は大喜びをした。
「やった……! 当たった!」
「いいぞその調子だ、もう少し肩の力を抜いてまっすぐに的に対して銃を構えたほうが良い、こうだ」

 僕が例を見せて、彼も真似をする。シェリーは自分から射撃のコツを聞きに来て、非常に熱心だ。わりとみんなの士気が高い。ヴァルキュリアたちの方に向かうと、メリッサも訓練をしていたので銃の指導をしながら状況を話した。


「メリッサ、調子はどうだ?」
「まあまあだな、銃でも使えないことはない、私は剣の方が好みだが、他のみんなの調子はお前から見てどうだ」

「驚いたよ、僕が想像していたのとみんなの上達状況が違う、他のエインヘリャルの中で射撃の才能があるのはレイラだ、彼女は素直に指導に従い、迷いなく引き金を引ける、変に硬くなったりしない。実戦でああだとかなりの戦力になる。

 次に才能があるのはシェリーだな、彼女はとても熱心だ、だが、頑固なところがあって変に力んで、少し悩んでいるようだ、なまじ剣術が卓越しているだけあって変なプライドがあるせいか上手く当てないと、といった感じで焦っているな、まあ、次第にほぐれるだろう。

 問題なのはアデルとブライアンだ。アデルは訓練に熱心ではないし、ひねくれた性格のせいか、早くも射撃に癖がついている。矯正きょうせいが必要だ。ブライアンは単純に武器を持つのが苦手らしい、彼の性分か、性格かわからないが、たぶん心の問題だ。

 射撃に慣れてくれるとありがたいが、どちらも戦力としては弾をばらまく係だな」

「レイラに射撃の才能か、意外だな、まあ、お前みたいなただのダメおっさんにも射撃の才能があったのだから不思議ではないか」

「言ってくれるね、僕は独学で射撃の腕を磨いたんだよ、独自の訓練をしたり、狩りで試したりして。知識と実践は全然違う、やってみないとわからない事ばかりだ」

「最初はお前も苦労していたよな、私も内心、エインヘリャルの選択を間違ったかと冷や冷やしていたぞ」

「今となっては笑えないジョーク」
「確かにな」

 そう言ってお互い笑いあった、メリッサは結婚式を成功させたことへの安心感と、戦闘ができるとなって上機嫌だ。いつもこうだと夫の僕はありがたい。

「ところで、ヴァルキュリアたちの射撃の腕はどう見ている教官?」

 そう言ってメリッサは射撃をしながら僕に才能はどうだと尋ねているようだ。

「悪いが、ヴァルキュリアたちの中で一番才能があるのはユリアだ。彼女の射撃の才能は天才的だエインヘリャルだったらありがたかったんだけど……」

「わあ! また当たりました! 佑月さん見てました! やほーい」

 横でユリアが弾を的に当てて歓喜していたので、

「よくやった! 次は的を小さくしてみるか!」
「いいですね!」

 僕の答えにはしゃぐユリア、メリッサも横でそれを見ていたのでため息をついた。

「剣の腕では負けないんだが……、銃は不慣れなものだからな……」

「安心してくれ、ヴァルキュリアの中ではユリアの次にメリッサ、君だ。でその後に、ダイアナとミーナで、二人はどっこいどっこいだ。サラはそもそも体が小さくてアサルトライフルがまともに扱えない、拳銃を持たしても、実戦で当たるよう様な武器じゃないし、戦力外だ」

「それは問題だな、10人が規定だろ、足手まといは流石にごめんだ、ということは……」
「ああ、エイミアにチームに入ってもらおう」

「……そうなるか、でエイミアはどうした? 見た限り射撃訓練をしていないようだが……」
「……ナオコと遊んでいるようだ」

「はあ⁉ みんなで射撃やるって決めただろ、何であいつ参加してないんだ!」
「聞きたいんだけどエイミアは最強のヴァルキュリアなんだろ、ヴァルキュリア相手なら銃が必要かな……?」

「一応そのつもりで私はフォーメーションを考えていたんだぞ! 戦術担当のこっちの身にもなってくれ!」

「僕のせいじゃないけど一応謝る。でも、やる気のない奴に銃を教えるのは難しいんだよ……」
「まあ、確かにな、やってみた感じ、余りにも肉体訓練と違って、神経使うからな射撃は。エイミアの性格からしてやらないだろうな」

 そう言ってため息をついて、メリッサはAKMの引き金を引いたら見事真ん中に当てて木の板を真っ二つにした。

「やった!」
「おお! 流石はメリッサ、ヴァルキュリア大戦の英雄!」

 そう僕が言うと彼女は誇らしげにして喜んだ。こうして射撃訓練は続き、練度れんどを上げていく。

 メリッサ教官のもと僕たちはフォーメーション訓練を並行して進めた。まずはメリッサ教官が、訓示を述べ始める。

「皆の者、よく聞け! 我々一人一人は、敵に劣ることなど多々あり得る、しかし、みんなの個性を生かしそれぞれが、それぞれの役目をはたして、個人の弱さを補えばたとえ強敵でも、打倒することができる。

 我々はチームだ、組織だ。皆が協力して一つの有機的な戦闘能力を得れば、すなわち敵など恐れるに足りない! 我々は決して独りじゃない、我々は集まれば獅子だ、虎だ、ならば、おのずと勝利は我々のもとにある! いいな!」

「おおー‼」

 メリッサの激励に僕たちは声を上げて応える。そして具体的な戦術の説明が彼女から始まった。

「戦術とは何か、端的に言うと、勝利の可能性を1%でも上げる効率化だ。あらゆる競争の行われる分野で戦術が語られる、我々はこれから闘技大会へ臨む、私の知っている限り、闘技場は平面で広く、個々で戦えば、各個撃破される。

 そこで私は、佑月の世界のサッカーの戦術を応用する」

「サッカー?」

 ミーナを中心に僕以外がきょとんとしている、僕以外は異世界の人間だ知らないのは当然だろう。メリッサの語りは続く。

「サッカーとは佑月の世界の球技で、11人対11人でフィールドプレイヤーが10人、ゴールキーパーがゴールを守り、球一つを奪い合い相手のゴールを決める競技だ。

 娯楽の一種だが、戦術は極めてロジカルで、また競技の成功者は一生手に余る大金が稼げるほど盛んだ。必然金が集まる以上、より1%でも勝率を上げるためにチーム同士が競い合って、戦術を考えその選手に応じて、有機的に動く。

 偶然にも我々の闘技大会もエインヘリャル、ヴァルキュリアを合わせて10対10の戦い、そして障害物のない平面、すなわちフィールドが基本と見ていい、サッカーの戦術をベースにフォーメーションを決め、戦術訓練を行う。皆の者いいな!」

「わけがわかんないけど、面白そうね! 頑張ってねみんな」

 とエイミアが言ったのに対して、メリッサがびしりと僕たちの能力で出した指し棒を彼女に向けた。

「エイミア! お前も強制参加だ!」
「え⁉ 私も? めんどくさい……」

「前言った通り、参加する以上、例外は認めない。何故なら組織は穴があれば必ず崩れる、例えエイミア、お前が最強のヴァルキュリアでも、穴になる可能性がある以上、訓練は受けろ、いいな!」

 不満げなエイミアに対してナオコが「お姉ちゃん頑張って! パパとママと一緒に戦ってくれるんでしょ?」と言ったので、エイミアはまんざらでもないのか、「わかった、わーった、やればいいんでしょ、やれば!」と結局同意する。

 戦力外のサラも人形を使って、「エイミアお姉さんがんばってー」と人形の手を振ったので、エイミアが「おっしゃあ、じゃあやるか!」と声を上げ皆が続いた。

「シェリー! お前はみんなの盾だ剣だ、最前線に立つんだ、周りや後ろを見ながら行動するんだ!」

 訓練が始まり、メリッサの怒声が飛んでいく。シェリーも、「わかってるよ! でも……」と言ったのでメリッサは、「戦場にでもは存在しない、できるかできないかだ!」と掛け声をかける。

「ブライアン、ほら、敵の攻撃が来たぞ、レイラとアデルをお前の能力で守れ!」
「はい!」

 と言って氷の壁を作り、投げられた朽木を跳ね返す。

「アデル、レイラ、弾幕薄いぞ! もっと相手の行動を制限しろ」
「は、はい!」
「怒鳴るなよ!」

 そう言ってAKMを使って、弾の厚みをつくり、射撃を行う。

「エイミア! お前は最強のヴァルキュリアだろ! みんなを援護しろ!」
「うっさいばか! やってるでしょ!」

 とエイミアは不満たらたら、横で見守っているナオコとサラが「お姉ちゃん頑張れー」と応援していたので、エイミアは手を振る。それを見たメリッサはエイミアに向かって藁人形を投げ込む! 彼女は一瞬で戦士の顔になり剣を出し藁人形を真っ二つにする。ナオコたちはわあーと歓声を上げた。

「佑月、ユリア、お前たちはこのチームのかなめだ、ストライカーだ! もっと効率的に動いて、敵を仕留めろ!」

 と言われたので激しくユリアと場所を変えて、投げられた藁玉を銃でねらい撃ち砕く。ユリアはまだそこまではいかないが、かすめることができた。いけるな。

 こうして訓練は日暮れまで続けられて僕たち男陣は夕食の食材のため狩りにいき、女性陣は料理の準備をする、そういう日々が続いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...