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ラブラブな所を見せつけに来た悪友!
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「セシリオ、突然部屋に入ってくるなんて失礼じゃないか!」
アーサーはバツの悪さをごまかすように叫んだ。
隣国はアーサーが留学していた国であり、セシリオとの親交は深く濃い。
悪友はニヤニヤと笑いながら、アーサーをからかうように言う。
「ふふふ。自ら結婚式の招待状を持ってきた親友に、随分と冷たいじゃないか」
「そんなことないっ」
子どものようにアーサーが否定しても悪友の態度は変わらなかった。
セシリオはアーサーが上目遣いで睨む姿をニヤニヤと楽しみながら見下ろしていた。
背が高く筋肉もしっかりついたセシリオの体の後ろから、スラリとした黒髪の美女がヒョイと顔を出した。
「セシリオさま、ご挨拶もせず失礼ですよ。ごめんなさいね、アーサーさま。ご機嫌麗しゅうございます」
ぎこちないが丁寧なカーテシーをとるセシリオの婚約者に、アーサーは笑みを向けた。
「こんにちは、ミシェルさん。お妃教育は進んでいるようですね」
「そんなことはありません。私、いっぱいいっぱいですの」
ポッとほほを赤らめるミシェルに、隣に立つセシリオは頬を緩めている。
隣国の王太子でありアーサーの親友であるセシリオは最近、婚約をした。
その相手は平民で薬師のミシェルだ。
美しい黒髪と黒い瞳を持つミシェルはスラリと背の高い女性で浅黒い肌をしている。
セシリオは色白だが、身長も高く筋肉もしっかりついている大男だ。
二人が並ぶととてもバランスが良い。
お似合いのカップルだ。
アーサーも通常の状態であれば、そんな二人を見れば微笑ましく思うだろう。
だが彼は今、心の平穏を失っていた。
アーサーはセシリオを睨むことを止められない。
なんなら、あのニヤついている頬っぺたを引っ張ってやりたい。
高い位置にある尻を蹴り上げてやりたい。
そんな風に思う自分を、アーサーは止められなかった。
「クックックッ。優秀な王太子も恋愛は上手くいかないというわけか」
事情を知っているセシリオは、アーサーの様子を見てこらえきれずに笑い出した。
隣でミシェルが青い顔をして彼の袖を引いたが、笑いは止まらない。
「なんだよセシリオ。自分が上手くいったからって……」
旧知の仲であるセシリオに、アーサーはむくれて見せた。
セシリオが平民であるミシェルとの恋に悩んでいたのは知っている。
だから上手くいったことを祝ってやるのが筋だろう。
それはアーサーも分かっていたが、口をついて出たのは愚痴だ。
「冷たいのはお前の方だぞ、セシリオ。私が今、どんな状況か知ってる癖に、そんな態度をとるなんて」
「そうですよ、セシリオさま。アーサーさまをからかうのはお止めください」
ミシェルがセシリオをたしなめた。
それを怒るどころか鼻の下を伸ばして喜ぶ男が、わざとらしく言う。
「ああ、私の妻となる女性は優しいなぁ。そのうえ、美しく賢い。私は幸せ者だ」
「もう、セシリオさまったら……」
ミシェルは頬を赤らめた。
「あーはいはい、ごちそうさま」
アーサーは視線を逸らし、机に両肘をついて両手で頬を包んだ。
「ところで、お前とミシェルさんの結婚を、どうやって認めさせたんだ?」
隣国の第一王子で王太子でもあるセシリオと、平民で薬師のミシェルとの婚約は事件だった。
二人並んでいる姿は絵になっていて、身分の違いなどは関係なくお似合いの二人といった印象がある。
だが、それでも婚約が発表された当時はセンセーショナルな話題であった。
「ああ、そのことか。簡単だよ。ミシェルが手柄を立てるように仕向けたのさ」
「……それはどういう?」
アーサーの問いに、セシリオはニヤニヤと悪そうな笑みを浮かべた。
「ミシェルは薬師だろう? しかも優秀な薬師だ」
「もう、いやだわ。褒め過ぎです、セシリオさま」
「ふふふ。本当のことだからいいじゃないか」
二人がイチャイチャしだしたので、アーサーは呆れた。
「あーはいはい。仲がいいのは分かったからさ。どうやったの?」
クスクスと笑いながら、セシリオが当たり前のことのように言う。
「簡単だよ。ミシェルに流行り病に効く特効薬を作ってもらったんだ」
「はっ? それのどこが簡単なんだ」
アーサーの突っ込みに、セシリオが胸を張って答える。
「だからミシェルは優秀なんだといっているだろう? その優秀なミシェルが他国に嫁いでもいいのか、とか、手柄を立てたんだから、とか言いながら周りから攻め落とした感じかな。なんといっても国民の支持が大きかったね」
「国民の支持が大きかったのは、セシリオさまの人徳のおかげですわ」
「いや、それは君が……」
再びいちゃつき始めた二人に置いて行かれたアーサーは、さて自分とボニータの場合はどうだろうかと考えた。
「んー。周りから攻め落とす、か」
ボニータを妻にと考えたとき、まず攻め落とすべきは周りよりも本人……とアーサーが思い至った頃合いを見計らったように宰相が駆け込んできた。
「大変ですっ! 王太子殿下!」
「騒がしいぞ宰相! 何があった?」
「防護壁が……魔女が……」
「っ⁈ ボニータがどうした⁈」
「魔女が毒で倒れ、防護壁が崩れかけています」
「なんだって⁈」
慌てて外を見れば、青い空がゆらゆらと揺れて見えた。
防護壁が不安定な証拠だ。
「なんてことだ……」
アーサーは茫然とつぶやいた。
アーサーはバツの悪さをごまかすように叫んだ。
隣国はアーサーが留学していた国であり、セシリオとの親交は深く濃い。
悪友はニヤニヤと笑いながら、アーサーをからかうように言う。
「ふふふ。自ら結婚式の招待状を持ってきた親友に、随分と冷たいじゃないか」
「そんなことないっ」
子どものようにアーサーが否定しても悪友の態度は変わらなかった。
セシリオはアーサーが上目遣いで睨む姿をニヤニヤと楽しみながら見下ろしていた。
背が高く筋肉もしっかりついたセシリオの体の後ろから、スラリとした黒髪の美女がヒョイと顔を出した。
「セシリオさま、ご挨拶もせず失礼ですよ。ごめんなさいね、アーサーさま。ご機嫌麗しゅうございます」
ぎこちないが丁寧なカーテシーをとるセシリオの婚約者に、アーサーは笑みを向けた。
「こんにちは、ミシェルさん。お妃教育は進んでいるようですね」
「そんなことはありません。私、いっぱいいっぱいですの」
ポッとほほを赤らめるミシェルに、隣に立つセシリオは頬を緩めている。
隣国の王太子でありアーサーの親友であるセシリオは最近、婚約をした。
その相手は平民で薬師のミシェルだ。
美しい黒髪と黒い瞳を持つミシェルはスラリと背の高い女性で浅黒い肌をしている。
セシリオは色白だが、身長も高く筋肉もしっかりついている大男だ。
二人が並ぶととてもバランスが良い。
お似合いのカップルだ。
アーサーも通常の状態であれば、そんな二人を見れば微笑ましく思うだろう。
だが彼は今、心の平穏を失っていた。
アーサーはセシリオを睨むことを止められない。
なんなら、あのニヤついている頬っぺたを引っ張ってやりたい。
高い位置にある尻を蹴り上げてやりたい。
そんな風に思う自分を、アーサーは止められなかった。
「クックックッ。優秀な王太子も恋愛は上手くいかないというわけか」
事情を知っているセシリオは、アーサーの様子を見てこらえきれずに笑い出した。
隣でミシェルが青い顔をして彼の袖を引いたが、笑いは止まらない。
「なんだよセシリオ。自分が上手くいったからって……」
旧知の仲であるセシリオに、アーサーはむくれて見せた。
セシリオが平民であるミシェルとの恋に悩んでいたのは知っている。
だから上手くいったことを祝ってやるのが筋だろう。
それはアーサーも分かっていたが、口をついて出たのは愚痴だ。
「冷たいのはお前の方だぞ、セシリオ。私が今、どんな状況か知ってる癖に、そんな態度をとるなんて」
「そうですよ、セシリオさま。アーサーさまをからかうのはお止めください」
ミシェルがセシリオをたしなめた。
それを怒るどころか鼻の下を伸ばして喜ぶ男が、わざとらしく言う。
「ああ、私の妻となる女性は優しいなぁ。そのうえ、美しく賢い。私は幸せ者だ」
「もう、セシリオさまったら……」
ミシェルは頬を赤らめた。
「あーはいはい、ごちそうさま」
アーサーは視線を逸らし、机に両肘をついて両手で頬を包んだ。
「ところで、お前とミシェルさんの結婚を、どうやって認めさせたんだ?」
隣国の第一王子で王太子でもあるセシリオと、平民で薬師のミシェルとの婚約は事件だった。
二人並んでいる姿は絵になっていて、身分の違いなどは関係なくお似合いの二人といった印象がある。
だが、それでも婚約が発表された当時はセンセーショナルな話題であった。
「ああ、そのことか。簡単だよ。ミシェルが手柄を立てるように仕向けたのさ」
「……それはどういう?」
アーサーの問いに、セシリオはニヤニヤと悪そうな笑みを浮かべた。
「ミシェルは薬師だろう? しかも優秀な薬師だ」
「もう、いやだわ。褒め過ぎです、セシリオさま」
「ふふふ。本当のことだからいいじゃないか」
二人がイチャイチャしだしたので、アーサーは呆れた。
「あーはいはい。仲がいいのは分かったからさ。どうやったの?」
クスクスと笑いながら、セシリオが当たり前のことのように言う。
「簡単だよ。ミシェルに流行り病に効く特効薬を作ってもらったんだ」
「はっ? それのどこが簡単なんだ」
アーサーの突っ込みに、セシリオが胸を張って答える。
「だからミシェルは優秀なんだといっているだろう? その優秀なミシェルが他国に嫁いでもいいのか、とか、手柄を立てたんだから、とか言いながら周りから攻め落とした感じかな。なんといっても国民の支持が大きかったね」
「国民の支持が大きかったのは、セシリオさまの人徳のおかげですわ」
「いや、それは君が……」
再びいちゃつき始めた二人に置いて行かれたアーサーは、さて自分とボニータの場合はどうだろうかと考えた。
「んー。周りから攻め落とす、か」
ボニータを妻にと考えたとき、まず攻め落とすべきは周りよりも本人……とアーサーが思い至った頃合いを見計らったように宰相が駆け込んできた。
「大変ですっ! 王太子殿下!」
「騒がしいぞ宰相! 何があった?」
「防護壁が……魔女が……」
「っ⁈ ボニータがどうした⁈」
「魔女が毒で倒れ、防護壁が崩れかけています」
「なんだって⁈」
慌てて外を見れば、青い空がゆらゆらと揺れて見えた。
防護壁が不安定な証拠だ。
「なんてことだ……」
アーサーは茫然とつぶやいた。
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