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歓喜する我が家
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この家はお喋りだ。
お喋りクソ野郎と言っても過言ではない。
『ようこそ、私はアナタたちを歓迎します』
あー、家の野郎はしゃいでやがる。
普段はオレの魔法で聞こえ方を調整しているのだが、ロボット生命体とAIには適用外のようだ。
『私のことは気楽にライちゃんとでも呼んでくれ、客人方よ』
「ライちゃん? ワタシ、レイちゃん。五さい」
『そうか、そちらのロボット生命体の女の子はレイちゃんとおっしゃるのか。五歳かぁ。ご挨拶できて偉いねぇ』
「フフフ。ほめられちゃった」
レイが照れたようにモジモジしている。
『私はレイさまの養育係のAI、セツです。子守りや守護の役割を果たしています。よろしくお願いします、ライさま』
『いやぁ~、ライさまなんて照れちゃうなぁ』
家が照れるなよ。
さては赤いおリボンAIに惚れたな?
室温が少し上がったうえに、壁とか床とか揺れてるぞ。
家のくせにモジモジしないっ。
『私のことは普通にライと呼んでください』
『では、ライとお呼びしますね。私のことはセツとお呼びください」
『はい。では遠慮なくセツと呼ばせてもらいます』
普通に家と赤いおリボンの会話が成立している。
アニカとタミーさんがポカンとしているので、仕方なく魔法を解いて、家の声がそのまま伝わるようにしてみた。
だけど、一日コイツの声を聞いてたらウルサイと思うよ?
『無機質な住人は初めてです』
『そうなんですね。無機質仲間ですね』
『嬉しいことを言ってくださいますね、セツ』
「なかまー」
我が家とAIとロボット生命体が、仲間意識で盛り上がる。
それを聞いて戸惑う表情を浮かべるアニカとタミーさん。
ですよねー。意味わかんないですよねー。
それがねぇ、この世界なんですよ。はっはっはっ。
もしかしたら、転生前の小説とか漫画とかゲームの世界に入ってるのかもしれないけどね。
オレ、そこまで詳しくないからさっぱりわかんないんですよー。
いくらコミュ障オタクだからって全てを把握していると思うなんて甘いからな、異世界っ!
となんとなく異世界に喧嘩をふっかけてみたい気分になったが、そんなものは無意味だ。
とりあえず、家とレイたちの相性がいいようで良かった。
ん、たぶん良かったんだよ。
初めて聞く我が家のお喋りっぷりに、ちょっとタミーさんは引き気味だし、アニカの目は研究者のソレになってるけれど、たぶん大丈夫。
オレもワカンネェー、とギブアップしたところでタミーさんが言う。
「レイさまもセツさまもお疲れでしょうから、お部屋にいきますか? それともお食事にします?」
「あー、そう言えばロボット生命体ってナニ食べるの?」
アニカの疑問にセツが答える。
『レイさまは何でも好き嫌いなく食することができます。道端の石を食べて生き長らえることも可能です』
「石なんて食べさせませんよっ⁈」
タミーさんが悲鳴じみた声を上げた。
ウンウン、分かるよ。
お客さまに石を出すとか、おもてなしとして終わってるよな。
「私の美学に反します。お客さまには美味しいモノをお出ししなくては」
タミーさんの目が使命感に燃えている。
「ん? でも、石、おいしいよ?」
レイ、その発言は反則だ。
タミーさんが混乱するだろ?
「石よりも美味しいモノをお出ししますよ。お任せください」
「うん。まかせた!」
レイの元気な返事にタミーさんニッコリ。
和やかな感じでいけそう……かな?
アニカは茶目の瞳を輝かせながら四角いガラスをぶら下げた片眼鏡越しにみんなを観察している。
あ、コレはオレも観察対象になってる感じ?
嬉しいけど照れちゃうなぁ……って、そんなこと言ってる場合かオレっ!
お喋りクソ野郎と言っても過言ではない。
『ようこそ、私はアナタたちを歓迎します』
あー、家の野郎はしゃいでやがる。
普段はオレの魔法で聞こえ方を調整しているのだが、ロボット生命体とAIには適用外のようだ。
『私のことは気楽にライちゃんとでも呼んでくれ、客人方よ』
「ライちゃん? ワタシ、レイちゃん。五さい」
『そうか、そちらのロボット生命体の女の子はレイちゃんとおっしゃるのか。五歳かぁ。ご挨拶できて偉いねぇ』
「フフフ。ほめられちゃった」
レイが照れたようにモジモジしている。
『私はレイさまの養育係のAI、セツです。子守りや守護の役割を果たしています。よろしくお願いします、ライさま』
『いやぁ~、ライさまなんて照れちゃうなぁ』
家が照れるなよ。
さては赤いおリボンAIに惚れたな?
室温が少し上がったうえに、壁とか床とか揺れてるぞ。
家のくせにモジモジしないっ。
『私のことは普通にライと呼んでください』
『では、ライとお呼びしますね。私のことはセツとお呼びください」
『はい。では遠慮なくセツと呼ばせてもらいます』
普通に家と赤いおリボンの会話が成立している。
アニカとタミーさんがポカンとしているので、仕方なく魔法を解いて、家の声がそのまま伝わるようにしてみた。
だけど、一日コイツの声を聞いてたらウルサイと思うよ?
『無機質な住人は初めてです』
『そうなんですね。無機質仲間ですね』
『嬉しいことを言ってくださいますね、セツ』
「なかまー」
我が家とAIとロボット生命体が、仲間意識で盛り上がる。
それを聞いて戸惑う表情を浮かべるアニカとタミーさん。
ですよねー。意味わかんないですよねー。
それがねぇ、この世界なんですよ。はっはっはっ。
もしかしたら、転生前の小説とか漫画とかゲームの世界に入ってるのかもしれないけどね。
オレ、そこまで詳しくないからさっぱりわかんないんですよー。
いくらコミュ障オタクだからって全てを把握していると思うなんて甘いからな、異世界っ!
となんとなく異世界に喧嘩をふっかけてみたい気分になったが、そんなものは無意味だ。
とりあえず、家とレイたちの相性がいいようで良かった。
ん、たぶん良かったんだよ。
初めて聞く我が家のお喋りっぷりに、ちょっとタミーさんは引き気味だし、アニカの目は研究者のソレになってるけれど、たぶん大丈夫。
オレもワカンネェー、とギブアップしたところでタミーさんが言う。
「レイさまもセツさまもお疲れでしょうから、お部屋にいきますか? それともお食事にします?」
「あー、そう言えばロボット生命体ってナニ食べるの?」
アニカの疑問にセツが答える。
『レイさまは何でも好き嫌いなく食することができます。道端の石を食べて生き長らえることも可能です』
「石なんて食べさせませんよっ⁈」
タミーさんが悲鳴じみた声を上げた。
ウンウン、分かるよ。
お客さまに石を出すとか、おもてなしとして終わってるよな。
「私の美学に反します。お客さまには美味しいモノをお出ししなくては」
タミーさんの目が使命感に燃えている。
「ん? でも、石、おいしいよ?」
レイ、その発言は反則だ。
タミーさんが混乱するだろ?
「石よりも美味しいモノをお出ししますよ。お任せください」
「うん。まかせた!」
レイの元気な返事にタミーさんニッコリ。
和やかな感じでいけそう……かな?
アニカは茶目の瞳を輝かせながら四角いガラスをぶら下げた片眼鏡越しにみんなを観察している。
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