チートな魔力を持て余す転生者のオレが召喚した勇者はロリなロボット生命体⁈ 宇宙魔族を撃退したら幼馴染とラブラブになれたので結果オーライです!

天田れおぽん

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お外で修行?

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 神殿から出たところでカイル王子に出くわし、レイの様子を聞かれた。

 カイル王子は、なんだかモゴモゴ言いながら身をくねらせるという奇妙な行動をして気持ち悪かった。

 未来の国王としてどうなのか?

 疑問に思いつつも面倒だったオレは「レイが気になるのなら、いつでも屋敷にいらしてください」という社交辞令をスルッと吐いてとっとと帰ってきた。

 カイル王子は未来の国王だけに雑に扱うことはできない。

 オレは優遇されているとはいえ、勤め先の未来の上司だ。

 雑に扱うのも気が引ける。

 だからオレにしては珍しく、社交的な態度にでたのだ。

 その時、確かに「いつでも屋敷にいらしてください」とは言ったけれども、でもだからって。

 オレよりも先に自宅へ到着しているとは思わないじゃないか。

 神殿からの帰りに職場へちょっと寄ってきただけなのに。

 神託があってロボット生命体レイちゃん五歳を鍛えなきゃならない、よって直近の予定としては在宅勤務が主になる、と告げにいっただけなのに。

 報告にいっただけだから、時間はたいしてかかってないはずなんだが。

 いま目の前には、レイの横に座ってココアを飲んでいるカイル王子がいる。

 更にその横で、爺やが立ったまま優しく笑みを浮かべて見守っているけど……。

 いいんですか?

 王太子教育とか、無いんですか?

 突っ込みたいけど突っ込まないよ、オレは無口なコミュ障だからね。

 極力スルーしますよ。

 でもね。

 ココはオレの家の食堂ですよ?

 なに我が家のようにくつろいでるんですか。

 ちょっとよくわからない。

 そもそもカイル王子がかくれんぼで完璧に隠れすぎたから、この家がオレの家になったわけだよね?

 そんないわくのある家にわざわざ訪問しようとなぜ思ったのか、お兄さん分からないな。

 未来の国王はオレの戸惑いなど無視して、ご機嫌なレイの横で、ご機嫌でココア飲んでるけど。

 だからこっちも空気読まずに用件を切りしだした。

『修行、ですか?』

 オレがレイを鍛えなきゃいけないらしいことを伝えると、まずはAIが反応した。

「そうなんだ。何をさせたらいい?」

『そう言われましても……レイさまは、もともとお強いので』

「んっ、レイちゃんつよいっ!」

 AIセツの言葉に反応したレイが、白いカップをテーブルに置くと右手で力こぶを作って見せた。

 んっ、細っこい腕。

 幼児の腕だね。

「まずは、どのくらい強いのかを確認しないといけないね」

「どのくらい強いのか、私も興味あるな」

 アニカがヒョコッとオレの後ろから現れた。

 ドキッと心臓が跳ねる。

「びっくりした……」

「ふふ。ルドでも驚くときあるんだ」

 オレの言葉を聞いたアニカがニコッと笑う。

「ぁ……ぃぃ」

 思わずオレはつぶやく。

 オレは身長が高いから、見下ろすと程よいところにアニカの顔がある。

 この角度。

 オレの好きな顔が、より魅力的に見える角度だ。

 大きな茶色の瞳がキラキラと悪戯に輝く。

 その輝きがまぶしくて目線を下げれば、視界に飛び込んでくる巨乳。

 今日のアニカもツヨツヨだ。
 
「強さを見るなら、どこがいいだろうね? 室内より室外の方が安心かな? レイちゃん、巨大化して神殿の天井を壊したって聞いたよ」

 とはいえ、アニカは魔法塔勤めだから広い場所に心当たりはないらしい。

 オレも職場は王城だから、広い場所といっても思い浮かばない。

 これが故郷とかなら森の中の開けた場所など広くて安全そうな場所が探せそうだが、ここは王都。

 建物があったり、人が多かったりする場所しかない。

「それなら、私が良い場所を知っているよ」

 カイル王子がそんなことを言うので、ちょっと軽い気持ちで乗っかったのが悪かった。

「ここだよ」

 爺やを従えたカイル王子が案内してくれたのは、王家の庭だ。

 そんな所で修業ができると思うかい?

 無理だ。

 レイにくっついてきたアニカも、引きつった表情であたりを見回している。

「あちらに咲き誇っているバラは母の自慢のバラだ」

 母って王妃さまだよね?

 王妃さまが自慢にしているバラを傷つけちゃったらダメでしょ?

「あちらのガゼボは父が隣国の国王さまをもてなしたガゼボだ」

 賓客をおもてなしするガゼボも壊しちゃダメでしょ?

 なんか金ぴかした金属の枠組みに高そうな布のかけてあるガゼボなんて……。

「じゃ、レイちゃんのつよいトコ、みせるね」

 そう言いながらレイは庭にあったバカでかい大理石の置物を持ち上げようとした。

 わぁぁぁ。それは多分、ただの石じゃない。

 彫刻かなんかだ。

 オレは慌ててマッピングで周囲を記録した。

「とぅーっ!」

 レイは気合もろとも石を投げる。

 その軌道の先にあるのは王城内にある王宮だ。

 オレは魔法を発動して網状に展開した魔力で石を捕捉する。

「あー、止まっちゃった」

 レイが残念そうに石を眺めているが、止まったんじゃなくて止めてるのっ。

 そのまま飛んでったら王宮が壊れちゃうからね?

 今夜、カイル王子の寝る場所がなくなっちゃうからね?

「ホッホッホッ。綺麗に止めましたねぇ」

 爺やさんが呑気な声をあげた。

 最初からこうなることに気付いていただろう、アンタ。

 オレは石をもとの場所に戻してレイを振り返った。

 今度はカイル王子と共に地面へしゃがみ込んで何かを覗き込んでいる。

 ……おいっ、いま石を食べようとしなかったか?

 ダメだからな、レイ。

 カイル王子も一緒に石を食べようとしないのっ。

 もう、なんなんだよコイツら。

「ふふ、子ども同士、気が合うのね」

 アニカがホワホワと和んでいるような表情で言った。

 いや、和む場面じゃないだろう?

 ロボット生命体だと思うから回りの反応が変なのか、ロボット生命体だと思うからオレの反応が変なのか、いまひとつ分からない。

「子どもだもん。石くらい食べても普通だって」

 いや、普通じゃないよ⁈

 そんなこんなで、よく考えたら家の中の方が自由度高くて安全じゃね?

 魔法の家だし。

 という結論を得たオレたちは、屋敷へと戻ることにした。
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