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落ちゆく帝国
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「アレン様、お聞きになってください」
「どうした?」
ヴァルニア帝国に帰ってきたイゼルマは、王城に入るなり、すぐにアレンの元へ向かった。目尻に涙をたたえなから、アレンに抱きつく。
「テレーズの者たちが私の才を見込んで金で買収しようとしたのです」
「なんて卑怯なヤツらなんだ。それでイゼルマは断ったてきたのか?」
「もちろん。ハッキリと断って参りました。アレン様の期待を裏切ることなど私にはできませんから」
アレンの胸にすがりながらイゼルマはニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。刹那の後――笑顔は消え、再び頬に涙を伝わせながら見上げた。
「安心しなさい、イゼルマ。どんなに下劣な奴らが君を狙おうと僕が阻止しよう」
「まぁ、アレン様」
イゼルマがアレンの頬に触れようとするとする。細い象牙色の指先が頬をなぞろうとする直前――。
「皇太子殿下、大変です」
臣下の一人が勢いよく扉を開け放った。
「なんだ、手短に言え」
「陛下からの伝言です。聖女様には直ちにお勤めに向かって頂きたいとのこと」
「どっ、どうしてよ?」
国王からの伝言を聞いて一番動揺したのはイゼルマであった。
「テレーズ王国へ向かう前、いつもの三倍は魔力を捧げたのに。もう無くなっちゃったの?」
「はい、最近はザクロ病のせいで医療用神器に使用する魔力量が上がっておりまして」
ザクロ病。今まで聞いたこともない病気だったけど、遠い昔に人界で流行っていた病らしい。
かつて人界と魔界の間で戦争が起こっていたときに、人界側が行った飛行艇による砲撃で魔界側に多大なる被害が出たそうた。
そこで魔界側が報復として放ったのがザクロ病という呪いである。
報告に来た臣下が申し訳なさそうに頭を下げていると、部屋にもう一人入ってきた。ヴァルニア帝国の宰相であるファヴである。
ファヴとテレーズの義父である伯爵は昔から仲が悪かった。身分差があるため表向きは平和に過ごしている彼らであったが、社交界で顔を合わせる度に嫌味合戦やっていることをイゼルマは知っている。
「おやまぁ、イゼルマ様。かつて帝国でザクロ病が蔓延していたことはご存知ですかな?」
「はい、お義父様から伺ったことがございます」
「言い伝えによれば初代聖女がお祈りをするようになってから病の蔓延は収まったとか?」
「ザクロ病を収められない私が聖女にふさわしくないとでもおっしゃりたいのでしょうか?」
「いえ、私は少々、イゼルマ様が慢心しているように見えましてね。もっと聖女としての才を民に見せて欲しいものですな」
ちっ、私のことをバカにしやがって!
イゼルマは悔しさのあまり奥歯をキリキリと鳴らし、スカートを握った。
「おい、ファヴ。それ以上は慎め」
厳しい表情を浮かべたアレンが一喝する。
「これが私としたことが。失礼いたしました」
ファヴは苦笑いしながら非礼を詫びる。
結局のところ、彼に反省するような感情は全くないのであろう。
「ザクロ病は聖女である私が必ず収めてみせます。民に元々の平穏な日々を授けましょう」
胸に手を当て得意げに笑うイゼルマ。
だが、彼女の頬には冷や汗が流れ続けていた。
***
ヴァルニア帝国の聖女が代々暮らしている場所がある。王城の一番端にある高い塔だ。
赤い屋根の塔には女神像や、カラフルなステンドグラスで彩られており、神々しい外観は見る者を驚かせる。
さすが、千年近くの間、ヴァルニアの民から尊敬される存在が住まう場所だ。はっきり言って外観や内装だけなら皇族の住まいより良い。
地下には使用人の生活スペースがあって、一番高い場所には聖女しか入れない書庫があった。
すっかり機嫌を損ねたイゼルマはぶつぶつ文句を言いながら塔の上を目指した。
あーあ、レージュのやつ。今頃なにをしているのかしら?
雨水や道草で飢えをしのいでる?
それとも惨めに野垂れ死んでる?
いや、娼館に拾われるのが一番面白いわね。
私はあいつと違って綺麗な服を着て、美味しいものを食べて、これから聖女としてみんなに愛されるの。
書庫には歴代の聖女が残していった魔導書がおさめられている。浮遊する本や、音を奏でる本、中には開くなり噛み付いてくる迷惑なシロモノもあった。
もちろん、レージュが残した本もあった。
家庭菜園のやり方だったり、ポーションの研究書だったり、イゼルマにとってはゴミ当然の物ばかりであったが。
なんだ、レージュのことだから人を魅了する黒魔法とか知っていると思ったのに。だって、あの子、むかしからお母様や、お義父様から特別扱いされているもの。
書庫の中。一番目立たない場所に、黒い本棚はあった。真っ黒に塗りつぶされた書架には黒魔法の使い方が書かれた本がびっしり詰まっている。
本の中にはイゼルマがこっそり集めたモノもあった。黒魔法は人界全体で使用を禁止されているが、歴代の聖女たちは決まりを守るつもりはなかったらしい。
便利な呪いの本とか置かれてないかな?
嫌いな女を娼館に送る呪いとか。
なにか使えそうなモノがないか探しているうちに、一冊のおかしな革表紙の本があった。よく分からない文字で題名が書かれていて、金のインクで魔法陣も描かれている。
これ、なんだろう?
この時、イゼルマは知らなかった。
自身にこれからどのような未来が待っているのかを。
「どうした?」
ヴァルニア帝国に帰ってきたイゼルマは、王城に入るなり、すぐにアレンの元へ向かった。目尻に涙をたたえなから、アレンに抱きつく。
「テレーズの者たちが私の才を見込んで金で買収しようとしたのです」
「なんて卑怯なヤツらなんだ。それでイゼルマは断ったてきたのか?」
「もちろん。ハッキリと断って参りました。アレン様の期待を裏切ることなど私にはできませんから」
アレンの胸にすがりながらイゼルマはニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。刹那の後――笑顔は消え、再び頬に涙を伝わせながら見上げた。
「安心しなさい、イゼルマ。どんなに下劣な奴らが君を狙おうと僕が阻止しよう」
「まぁ、アレン様」
イゼルマがアレンの頬に触れようとするとする。細い象牙色の指先が頬をなぞろうとする直前――。
「皇太子殿下、大変です」
臣下の一人が勢いよく扉を開け放った。
「なんだ、手短に言え」
「陛下からの伝言です。聖女様には直ちにお勤めに向かって頂きたいとのこと」
「どっ、どうしてよ?」
国王からの伝言を聞いて一番動揺したのはイゼルマであった。
「テレーズ王国へ向かう前、いつもの三倍は魔力を捧げたのに。もう無くなっちゃったの?」
「はい、最近はザクロ病のせいで医療用神器に使用する魔力量が上がっておりまして」
ザクロ病。今まで聞いたこともない病気だったけど、遠い昔に人界で流行っていた病らしい。
かつて人界と魔界の間で戦争が起こっていたときに、人界側が行った飛行艇による砲撃で魔界側に多大なる被害が出たそうた。
そこで魔界側が報復として放ったのがザクロ病という呪いである。
報告に来た臣下が申し訳なさそうに頭を下げていると、部屋にもう一人入ってきた。ヴァルニア帝国の宰相であるファヴである。
ファヴとテレーズの義父である伯爵は昔から仲が悪かった。身分差があるため表向きは平和に過ごしている彼らであったが、社交界で顔を合わせる度に嫌味合戦やっていることをイゼルマは知っている。
「おやまぁ、イゼルマ様。かつて帝国でザクロ病が蔓延していたことはご存知ですかな?」
「はい、お義父様から伺ったことがございます」
「言い伝えによれば初代聖女がお祈りをするようになってから病の蔓延は収まったとか?」
「ザクロ病を収められない私が聖女にふさわしくないとでもおっしゃりたいのでしょうか?」
「いえ、私は少々、イゼルマ様が慢心しているように見えましてね。もっと聖女としての才を民に見せて欲しいものですな」
ちっ、私のことをバカにしやがって!
イゼルマは悔しさのあまり奥歯をキリキリと鳴らし、スカートを握った。
「おい、ファヴ。それ以上は慎め」
厳しい表情を浮かべたアレンが一喝する。
「これが私としたことが。失礼いたしました」
ファヴは苦笑いしながら非礼を詫びる。
結局のところ、彼に反省するような感情は全くないのであろう。
「ザクロ病は聖女である私が必ず収めてみせます。民に元々の平穏な日々を授けましょう」
胸に手を当て得意げに笑うイゼルマ。
だが、彼女の頬には冷や汗が流れ続けていた。
***
ヴァルニア帝国の聖女が代々暮らしている場所がある。王城の一番端にある高い塔だ。
赤い屋根の塔には女神像や、カラフルなステンドグラスで彩られており、神々しい外観は見る者を驚かせる。
さすが、千年近くの間、ヴァルニアの民から尊敬される存在が住まう場所だ。はっきり言って外観や内装だけなら皇族の住まいより良い。
地下には使用人の生活スペースがあって、一番高い場所には聖女しか入れない書庫があった。
すっかり機嫌を損ねたイゼルマはぶつぶつ文句を言いながら塔の上を目指した。
あーあ、レージュのやつ。今頃なにをしているのかしら?
雨水や道草で飢えをしのいでる?
それとも惨めに野垂れ死んでる?
いや、娼館に拾われるのが一番面白いわね。
私はあいつと違って綺麗な服を着て、美味しいものを食べて、これから聖女としてみんなに愛されるの。
書庫には歴代の聖女が残していった魔導書がおさめられている。浮遊する本や、音を奏でる本、中には開くなり噛み付いてくる迷惑なシロモノもあった。
もちろん、レージュが残した本もあった。
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なんだ、レージュのことだから人を魅了する黒魔法とか知っていると思ったのに。だって、あの子、むかしからお母様や、お義父様から特別扱いされているもの。
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本の中にはイゼルマがこっそり集めたモノもあった。黒魔法は人界全体で使用を禁止されているが、歴代の聖女たちは決まりを守るつもりはなかったらしい。
便利な呪いの本とか置かれてないかな?
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なにか使えそうなモノがないか探しているうちに、一冊のおかしな革表紙の本があった。よく分からない文字で題名が書かれていて、金のインクで魔法陣も描かれている。
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