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駆け出し編
魔導歴781年5月3日 その5
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夕食を済ませた僕とダリアさんは、夜の空気に包まれながら村長の家へと向かった。
村長の家には大勢が集まれる大きな部屋があり、長いテーブルのまわりには椅子がずらりと並んでいる。
やがてニムロスさん、建築士のジョナサンさん、その息子のジョンソンさん、ジョナサンさんの奥さんピュラーさん、ジュンさん、僕、ダリアさん、そしてジガースさんが顔をそろえ、全員が席に着いたところで集会が始まった。
村長であるジガースさんが口火を切る。
「みんなよく集まってくれた。今日の議題は家畜召喚についてと、今後の村の方針、新入村者についてだ。まずは新入村者の上級鑑定士のダリアさんだ」
ダリアさんが立ち上がり、落ち着いた声で自己紹介をした。
「上級鑑定士のダリアだ。しばらくサマナー・リグの屋敷に専属鑑定士として世話になる予定で、サマナー・リグ以外からも鑑定を、まあ物にもよるが1回10レルクで受ける。よろしく頼む」
その言葉が終わると、ジョナサンさんが手を叩き、ほかの皆も続いてダリアさんを歓迎する拍手を送った。
僕も手を叩き、ダリアさんの入村を喜んだ。
少し間を置いて、次の議題へうつる。
「次は家畜召喚についてだ。これについては、サマナー・リグから説明してもらおう」
「え?」
突然振られて驚いたものの、今日の出来事を伝えればいいのだと自分に言い聞かせる。僕は立ち上がって皆に一礼した。
「今日、ダリアさんに鑑定してもらったところ、家畜召喚で召喚できるニワトリの数が増えていました。今までは、10羽だったのが12羽になっていました。今後も増える予定です」
簡潔に今日の鑑定結果を報告した。
「あら。それは助かるわね」
僕の言葉に場がざわつき、ピュラーさんが明るい声で喜びを表した。
その反応にほっとしつつ、ジガースさんが話を引き継ぐのを聞いた。
「そういうことで、ニワトリの配分を決めたいと思う。現在は、ジョナサン家に2羽、ニムロスさんに1羽、俺に1羽、サマナー・リグに1羽、残りはフォレストで10羽。ここからの配分で、現段階で2羽余るのだが、この2羽をフォレストに配分したいと思っている。その理由は、夏に向けて冒険者が増え食事の提供量を増やし、冒険者のレルクを村に落とさせたいからだ。いままでは冒険者の持ち込んだ物を安く調理していたが、それを改善したい」
なるほど、と僕はうなずく。ジョナサンさんがジガースさんに賛同した。
「なるほど。うちはかまわないぜ。なあ母さん」
「ええ。かまいませんよ。3羽ほしいですが、2羽でも十分食べられえますからね」
隣にいたピュラーさんが柔らかく答えた。
そのやり取りを聞きながら、僕は自分の取り分をどうするか考える。
「ありがとう。それで、次の13羽め以降についてなんだが、俺は1羽で十分だから他皆で分けてほしい」
そう告げるジガースさんに、ニムロスさんも同調する。
「私も1羽でいいわよ」
二人がそう言うので、僕は少し考え込んだ。ダリアさんと僕との分をどうすべきか迷っていたのだ。
もしかしたら今後入居者が増えるかもしれない、僕が考えている横でジガースさんは続ける。
「なら、ジョナサン、ジュン、サマナー・リグで分けてくれ。補足として今後村民が増えたら、増えた分は優先してそちらに回していくこと、増えた分のレルクは今まで通りサマナー・リグに支払うので一度俺に集めるということを念頭に置いておいてくれ」
「わかった。」
ジョナサンさんが承諾する。
続いてジュンさんが僕たちに目を向けた。
「今回、私達から2羽貰ったので、次はお二人で」
「うちは3羽あればいいから、先に1羽貰って次からは、ジュンとサマナー殿でわけたらいい」
「それでいいですか?」
ジガースさんが改めて皆に問う。
僕は異存がなかったので、はっきりと答えた。
「それでおねがいします」
こうして配分が決まったところで、ジガースさんが別の議題に進もうとした。
「では次の議題に」
けれども僕は、思い出したことがあって慌てて声をあげた。
「ちょっと待ってください」
ジガースさんが首をかしげる。
「なにか他にあったかな?」
僕は先ほど思い出したことを伝えた。
「ニワトリについてなんですが、寿命が48時間で25時間に1個卵を産みます」
その途端、周りから驚きの声が上がった。
「卵だと!?」
「卵!」
僕は自分の報告でこんなに騒ぎになるとは思わず、肩をすくめる。
「それは知らなかった」
ジガースさんがそう言い、僕は理由を説明した。
「あの後ニワトリ自体を見てもらって知りました」
「なるほど」
とジガースさんがうなずく。それを受けて別の提案が飛び出した。
「なら卵を産んでから調理したほうがいいな」
「卵の寿命はわかりませんが」
ダリアさんが少し心配そうに続ける。
するとピュラーさんが家庭の知恵を披露した。
「常温で卵は4日ぐらいもつわよ」
僕は実験を申し出る。
「なら、卵が4日間消えないか実験して見ます」
「それはありがたい」
ジガースさんが感謝を示す。
「卵が手に入れば色々なものがつくれるわ~。あの子たちも喜ぶわね」
ピュラーさんは色々な卵料理を思い浮かべているのか目を輝かせた。
僕はさらに付け加えた。
「それと、家畜召喚をしていくと肉の質が上がるみたいです」
「確かに今日のは美味かったな」
ジガースさんが確かめるように言った。
「ランクがどこまで上がるかわかりませんが、今はランク3です」
僕はランクについての情報を共有する。
「そうか、そうなると値を上げたほうがいいな」
それを聞いたジョンソンさんが値段の話を切り出した。
「そうだな。出来高で値を変えないのは失礼だ」
他の人も頷く。
「今、1羽2レルクだから、ランク5毎に3レルク増やすのはどうか?」
ジガースさんが具体的な案を示した。
「俺はいいぜ、母さんはどうだ?」
ジョナサンさんが奥さんの意見を求める。
「かまいませんよ、美味しい物にはそれなりの価値をつけないと」
ピュラーさんが落ち着いた声で答えた。
ジュンさんも賛同する。
「私もいいです。冒険者に提供するときに金額を上げます」
僕は補足した。
「ランクの調整もできます。あらかじめいってもらわないといけませんが、ランク5でレルクが上がるなら、ランク4で召喚とかもできます」
「それなら、持ち合わせのない冒険者もたすかります。ランクが5になった時に相談させてください」
ジュンさんが前向きに返す。
「はい」
僕はうなずき、この話もまとまったと思った。
村長の家には大勢が集まれる大きな部屋があり、長いテーブルのまわりには椅子がずらりと並んでいる。
やがてニムロスさん、建築士のジョナサンさん、その息子のジョンソンさん、ジョナサンさんの奥さんピュラーさん、ジュンさん、僕、ダリアさん、そしてジガースさんが顔をそろえ、全員が席に着いたところで集会が始まった。
村長であるジガースさんが口火を切る。
「みんなよく集まってくれた。今日の議題は家畜召喚についてと、今後の村の方針、新入村者についてだ。まずは新入村者の上級鑑定士のダリアさんだ」
ダリアさんが立ち上がり、落ち着いた声で自己紹介をした。
「上級鑑定士のダリアだ。しばらくサマナー・リグの屋敷に専属鑑定士として世話になる予定で、サマナー・リグ以外からも鑑定を、まあ物にもよるが1回10レルクで受ける。よろしく頼む」
その言葉が終わると、ジョナサンさんが手を叩き、ほかの皆も続いてダリアさんを歓迎する拍手を送った。
僕も手を叩き、ダリアさんの入村を喜んだ。
少し間を置いて、次の議題へうつる。
「次は家畜召喚についてだ。これについては、サマナー・リグから説明してもらおう」
「え?」
突然振られて驚いたものの、今日の出来事を伝えればいいのだと自分に言い聞かせる。僕は立ち上がって皆に一礼した。
「今日、ダリアさんに鑑定してもらったところ、家畜召喚で召喚できるニワトリの数が増えていました。今までは、10羽だったのが12羽になっていました。今後も増える予定です」
簡潔に今日の鑑定結果を報告した。
「あら。それは助かるわね」
僕の言葉に場がざわつき、ピュラーさんが明るい声で喜びを表した。
その反応にほっとしつつ、ジガースさんが話を引き継ぐのを聞いた。
「そういうことで、ニワトリの配分を決めたいと思う。現在は、ジョナサン家に2羽、ニムロスさんに1羽、俺に1羽、サマナー・リグに1羽、残りはフォレストで10羽。ここからの配分で、現段階で2羽余るのだが、この2羽をフォレストに配分したいと思っている。その理由は、夏に向けて冒険者が増え食事の提供量を増やし、冒険者のレルクを村に落とさせたいからだ。いままでは冒険者の持ち込んだ物を安く調理していたが、それを改善したい」
なるほど、と僕はうなずく。ジョナサンさんがジガースさんに賛同した。
「なるほど。うちはかまわないぜ。なあ母さん」
「ええ。かまいませんよ。3羽ほしいですが、2羽でも十分食べられえますからね」
隣にいたピュラーさんが柔らかく答えた。
そのやり取りを聞きながら、僕は自分の取り分をどうするか考える。
「ありがとう。それで、次の13羽め以降についてなんだが、俺は1羽で十分だから他皆で分けてほしい」
そう告げるジガースさんに、ニムロスさんも同調する。
「私も1羽でいいわよ」
二人がそう言うので、僕は少し考え込んだ。ダリアさんと僕との分をどうすべきか迷っていたのだ。
もしかしたら今後入居者が増えるかもしれない、僕が考えている横でジガースさんは続ける。
「なら、ジョナサン、ジュン、サマナー・リグで分けてくれ。補足として今後村民が増えたら、増えた分は優先してそちらに回していくこと、増えた分のレルクは今まで通りサマナー・リグに支払うので一度俺に集めるということを念頭に置いておいてくれ」
「わかった。」
ジョナサンさんが承諾する。
続いてジュンさんが僕たちに目を向けた。
「今回、私達から2羽貰ったので、次はお二人で」
「うちは3羽あればいいから、先に1羽貰って次からは、ジュンとサマナー殿でわけたらいい」
「それでいいですか?」
ジガースさんが改めて皆に問う。
僕は異存がなかったので、はっきりと答えた。
「それでおねがいします」
こうして配分が決まったところで、ジガースさんが別の議題に進もうとした。
「では次の議題に」
けれども僕は、思い出したことがあって慌てて声をあげた。
「ちょっと待ってください」
ジガースさんが首をかしげる。
「なにか他にあったかな?」
僕は先ほど思い出したことを伝えた。
「ニワトリについてなんですが、寿命が48時間で25時間に1個卵を産みます」
その途端、周りから驚きの声が上がった。
「卵だと!?」
「卵!」
僕は自分の報告でこんなに騒ぎになるとは思わず、肩をすくめる。
「それは知らなかった」
ジガースさんがそう言い、僕は理由を説明した。
「あの後ニワトリ自体を見てもらって知りました」
「なるほど」
とジガースさんがうなずく。それを受けて別の提案が飛び出した。
「なら卵を産んでから調理したほうがいいな」
「卵の寿命はわかりませんが」
ダリアさんが少し心配そうに続ける。
するとピュラーさんが家庭の知恵を披露した。
「常温で卵は4日ぐらいもつわよ」
僕は実験を申し出る。
「なら、卵が4日間消えないか実験して見ます」
「それはありがたい」
ジガースさんが感謝を示す。
「卵が手に入れば色々なものがつくれるわ~。あの子たちも喜ぶわね」
ピュラーさんは色々な卵料理を思い浮かべているのか目を輝かせた。
僕はさらに付け加えた。
「それと、家畜召喚をしていくと肉の質が上がるみたいです」
「確かに今日のは美味かったな」
ジガースさんが確かめるように言った。
「ランクがどこまで上がるかわかりませんが、今はランク3です」
僕はランクについての情報を共有する。
「そうか、そうなると値を上げたほうがいいな」
それを聞いたジョンソンさんが値段の話を切り出した。
「そうだな。出来高で値を変えないのは失礼だ」
他の人も頷く。
「今、1羽2レルクだから、ランク5毎に3レルク増やすのはどうか?」
ジガースさんが具体的な案を示した。
「俺はいいぜ、母さんはどうだ?」
ジョナサンさんが奥さんの意見を求める。
「かまいませんよ、美味しい物にはそれなりの価値をつけないと」
ピュラーさんが落ち着いた声で答えた。
ジュンさんも賛同する。
「私もいいです。冒険者に提供するときに金額を上げます」
僕は補足した。
「ランクの調整もできます。あらかじめいってもらわないといけませんが、ランク5でレルクが上がるなら、ランク4で召喚とかもできます」
「それなら、持ち合わせのない冒険者もたすかります。ランクが5になった時に相談させてください」
ジュンさんが前向きに返す。
「はい」
僕はうなずき、この話もまとまったと思った。
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