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七、危険な誘惑
危険な誘惑⑥
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「夏雲様……。お願いします……」
夏雲が満足そうに微笑む。
「物分かりがいい、賢い子だ。ほら、言ってごらん? 自分の夫の弟に犯してほしいって」
「えっ……」
「淫乱な仔空妃殿下なら言えるだろう。ほら、言ってごらん? 君は男が大好きなんだから」
夏雲の綺麗な眉が更にいやらしく垂れ下がる。すぐにでも逃げ出したいのに、夏雲の強い力で抱き留められ、そんなことは叶わなかった。
体が震える。もしもこの乾元に項を噛まれたら、自分は夏雲と番になってしまう。そう思えば怖くて仕方ないのに、体は乾元を求めて熱くなった。
――怖い……。
奥歯を噛み締めても震えが止まらない。涙が次から次へと頬を伝った。
――大丈夫、大丈夫だ。好きでもない男に抱かれるなんて、慣れっこだろう。
自分で自分に言い聞かせる。諦めて目の前の男に抱かれる以外に、道は残されていないのだ。少しの間我慢をすれば、全てが丸く収まるはずだ……。仔空は決心して夏雲を見上げた。
「ぼ、僕を抱いてください……。お願いします」
「いい子だね」
綺麗に合わせられた着物を脱がされ、仔空の上半身が空に晒される。期待と絶望が仔空の心を津波のように押し寄せた瞬間……。
仔空の背中に鈍い痛みが走り、その衝撃にきつくと目を瞑る。うっすら目を開ければ、視界には星空が広がっていた。夏雲に押し倒されたということに気付くまでに、大分時間がかかった。冷たくて硬い地面に思わず顔を顰める。
頭は朦朧としているのに、下半身は焼けるように熱くて仕方ない。雄の楔を求めて、後孔と仔空自身の先端からトロトロと熱い体液が漏れ出る。着物の合わせを開かれて桜色の乳首に舌を這わされれば、虫酸と快楽という、相反する感覚が一気に押し寄せてきた。
「あ、あぁ……助けて……助けて、陛下……」
諦めたはずなのに、情けないことに目からはまだ涙が溢れた。今の仔空はあまりにも非力過ぎて、この力強い夏雲に、乾元に太刀打ちなんかできるはずがない。
「もうトロトロだ。本当に女みたいに濡れるのだな」
後孔に指を差し込んだ夏雲が、嬉しそうな声をあげる。
「ん、んんッ。あ、あぁッ!」
「ほら、気持ちいいね。仔空妃殿下は本当に可愛らしい。兄上が寵愛する妃……最高だ」
「あぅ、はぁはぁ……あ、あぁ……ッ」
仔空の気持ちとは裏腹に、乾元を受け入れる準備が出来た何よりの証だった。仔空は悔しくて唇を噛み締めて、快感に飲みこまれないよう耐えることしかできない。そんな自分が情けなく思えた。
「これが兄上の愛している坤澤か……素晴らしい」
「ん、んんッ。はぁ……」
夏雲は執拗に口付けを繰り返す。息も絶え絶えになりながら、仔空は必死に受け止めた。
「このまま項を噛ませてくれ。お前をこの私の番にしてあげよう」
そう囁きながら、乱暴に仔空の首輪を外し放り投げた。
――諦めよう。全ては悪い夢だったと割り切るんだ。坤澤が幸せになろうなんて、所詮夢物語だったんだ……。
仔空は覚悟を決めて目を閉じた。
夏雲が満足そうに微笑む。
「物分かりがいい、賢い子だ。ほら、言ってごらん? 自分の夫の弟に犯してほしいって」
「えっ……」
「淫乱な仔空妃殿下なら言えるだろう。ほら、言ってごらん? 君は男が大好きなんだから」
夏雲の綺麗な眉が更にいやらしく垂れ下がる。すぐにでも逃げ出したいのに、夏雲の強い力で抱き留められ、そんなことは叶わなかった。
体が震える。もしもこの乾元に項を噛まれたら、自分は夏雲と番になってしまう。そう思えば怖くて仕方ないのに、体は乾元を求めて熱くなった。
――怖い……。
奥歯を噛み締めても震えが止まらない。涙が次から次へと頬を伝った。
――大丈夫、大丈夫だ。好きでもない男に抱かれるなんて、慣れっこだろう。
自分で自分に言い聞かせる。諦めて目の前の男に抱かれる以外に、道は残されていないのだ。少しの間我慢をすれば、全てが丸く収まるはずだ……。仔空は決心して夏雲を見上げた。
「ぼ、僕を抱いてください……。お願いします」
「いい子だね」
綺麗に合わせられた着物を脱がされ、仔空の上半身が空に晒される。期待と絶望が仔空の心を津波のように押し寄せた瞬間……。
仔空の背中に鈍い痛みが走り、その衝撃にきつくと目を瞑る。うっすら目を開ければ、視界には星空が広がっていた。夏雲に押し倒されたということに気付くまでに、大分時間がかかった。冷たくて硬い地面に思わず顔を顰める。
頭は朦朧としているのに、下半身は焼けるように熱くて仕方ない。雄の楔を求めて、後孔と仔空自身の先端からトロトロと熱い体液が漏れ出る。着物の合わせを開かれて桜色の乳首に舌を這わされれば、虫酸と快楽という、相反する感覚が一気に押し寄せてきた。
「あ、あぁ……助けて……助けて、陛下……」
諦めたはずなのに、情けないことに目からはまだ涙が溢れた。今の仔空はあまりにも非力過ぎて、この力強い夏雲に、乾元に太刀打ちなんかできるはずがない。
「もうトロトロだ。本当に女みたいに濡れるのだな」
後孔に指を差し込んだ夏雲が、嬉しそうな声をあげる。
「ん、んんッ。あ、あぁッ!」
「ほら、気持ちいいね。仔空妃殿下は本当に可愛らしい。兄上が寵愛する妃……最高だ」
「あぅ、はぁはぁ……あ、あぁ……ッ」
仔空の気持ちとは裏腹に、乾元を受け入れる準備が出来た何よりの証だった。仔空は悔しくて唇を噛み締めて、快感に飲みこまれないよう耐えることしかできない。そんな自分が情けなく思えた。
「これが兄上の愛している坤澤か……素晴らしい」
「ん、んんッ。はぁ……」
夏雲は執拗に口付けを繰り返す。息も絶え絶えになりながら、仔空は必死に受け止めた。
「このまま項を噛ませてくれ。お前をこの私の番にしてあげよう」
そう囁きながら、乱暴に仔空の首輪を外し放り投げた。
――諦めよう。全ては悪い夢だったと割り切るんだ。坤澤が幸せになろうなんて、所詮夢物語だったんだ……。
仔空は覚悟を決めて目を閉じた。
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