転生魔王の正体は?ーー厄災の魔王は転生後、正体を隠して勇者の子どもや自称悪役令嬢を助けるようですーー

サトウミ

文字の大きさ
4 / 145
第3話:自称悪役令嬢、登場

【4】自称悪役令嬢、登場(1)

しおりを挟む
「アニス、フレイ。今日は大事なお客様が来る。エセヴィラン公爵様だ。失礼のないように。」
「「はい」」
父さんは、俺と兄さんにそう忠告すると、客間に俺たち二人を残してエセヴィラン公爵を迎えに行った。


エセヴィラン公爵は、ディシュメイン王国の宰相を務めている、いわば超・超・お偉いさんである。
同じ公爵でもど田舎公爵のライトニング家うちとは大違いだ。
何故そんな重要なお客様が来るのか?
それは、ライトニング家がエセヴィラン公爵の派閥に入ることになったからだ。

この国の貴族社会には2つの派閥がある。
コーキナル公爵の派閥とエセヴィラン公爵の派閥だ。

元々、ライトニング家はどちらの派閥にも属さず、中立の立場を守ってきた。
でも聖女サマ叔母さんの活躍によって公爵へ陞爵したからか、ライトニング家は貴族社会への影響力が強くなった。
そのせいで、前々から好かれてはいなかったコーキナル派閥からは、露骨に煙たがれるようになった。
一方、かねてからウチを勧誘していたエセヴィラン派閥は、陞爵後、ウチへの勧誘が過激になった。

そんな状況で、力不足な父さんでは中立を保つのが難しくなったようだ。


しばらくすると扉が開いて、父さんが戻ってきた。
俺と兄さんはソファから立ち上がって、父さんの方を向いた。
父さんの後から、険しい顔つきでキリっとしたおっさんと、兄さんと同じ年くらいの少年、俺と同じ年くらいの少女が現れた。

「エセヴィラン公爵、こちらが愚息の長男・アニスと、次男・フレイです。年は、長男はクラウス卿と、次男はカタリーナ嬢と同じです。」

俺と兄さんと同じってことは、7歳と13歳か。
兄弟揃って年が同じなんて珍しい。
...いや、案外珍しくもないのか?
今まで兄弟がいたことないから、珍しいのかどうかもわからない。


「はじめまして、長男のアニスです。今日はエセヴィラン公爵様とお会いできて光栄です。よろしくお願いします。」
「次男のフレイです。よろしくお願いします。」
俺は兄さんの真似をするように、エセヴィラン公爵に自己紹介をした後、軽く会釈をした。

「はじめまして、アニス君、フレイ君。私はこの国で宰相を務めるニコール・エセヴィランです。こちらは長男のクラウスと、長女のカタリーナです。歳は二人と同じとのことなので、是非とも仲良くしてください。」
公爵のお願いは、顔がいかついからか、無駄に圧を感じる。

「はじめまして、長男のクラウスです。よろしくお願いします。」
「妹のカタリーナです。よろしくお願いします。」
公爵の子どもたちも、礼儀正しく挨拶をした。
彼らは美男美女の類なのだろう。
それに加えて父親譲りの鋭い目つきのせいで眼力が強く、いちど目があったら、色んな意味で目が離せなくなりそうだ。

そんなことを考えていると、突然、カタリーナが俺に抱きついてきた。
「お父様!私、フレイ様と結婚したい!フレイ様に一目惚れしたの。だからお願い!フレイ様の婚約者にして!」
カタリーナは、エセヴィラン公爵の目を見つめて、媚びるようにお願いした。

は?婚約者?
コイツは一体なにを言っているんだ?
突然の爆弾発言に、俺はもちろん、父さんも、兄さんも、エセヴィラン公爵も目が点になった。

「し、失礼しました、ライトニング公爵。とんだご無礼を。」
「いえいえ、ご息女が愚息を気に入ったとおっしゃるのであれば、ライトニング家は歓迎いたします。」
おい。俺の了承なく勝手に決めるな。

「それには及びません。このには既に、レックス殿下という婚約者がおります。ただ、娘はその婚約に納得していないようで、それでこのような奇行を......」

「そ、そんなことないわ!だってフレイ様って、素敵でしょ?」

と、言う割には、目は完全に泳いでいる。
その動揺ぶりから、エセヴィラン公爵の指摘が図星であることが伺えた。

「そ、そうよ。フレイ様。私、フレイ様のことが知りたいわ!二人きりでお話ししたいの。お父様、それなら良い?」

「全く、困った娘だ。ライトニング公爵、ご子息を少しお借りしてもよろしいでしょうか?」

「はい、構いません。」

俺の了承なく勝手に決めるな。Part2。
そんな流れで、俺は珍獣カタリーナの相手を押し付けられた。



◆◆◆


客間から俺とカタリーナ以外が出ていった後、カタリーナはほっと胸を撫で下ろしでソファに座った。
それに合わせるように、俺も腰を下ろす。

「ごめんね、フレイくん。面倒なことに巻き込んじゃって。」
全くだ。
カタリーナの都合は知らないが、俺に迷惑がかからない範囲でやってくれ。

「そして、迷惑承知でお願い!レックス殿下と婚約破棄になるまででいいから、婚約者(仮)になって欲しいの!」
「すみません。カタリーナさんは、なぜそんなにレックス殿下か嫌いなのですか?」

「レックス殿下が嫌い?!そんなことないわよ!!あのサファイアのようにキラキラとした綺麗な青い瞳、シルクのように触り心地が良さそうなふわふわとした金髪、一見存在感が無さそうだけどシュッと形の整った鼻、薄くても、ふんわりしてて思わず触りたくなる唇、透き通るような白い肌.......」
あっ、コレ長くなるやつだ。
俺は途中で真面目に聞くのをやめた。

「.....以上が、レックス殿下の魅力のごく一部です。何か反論ありますか?」
小一時間後、俺はようやくカタリーナの殿下語りから解放された。
聞いているフリをするだけでも疲れた。
だけど一つ、疑問が湧いた。

「殿下が嫌いじゃないのでしたら、なぜカタリーナさんは殿下と結婚したくないのですか?」

「だって、最悪な展開を回避するには、殿下と婚約破棄するのが確実じゃない!それに世界一と言っても過言ではないくらい麗しい殿下と結婚だなんて、心臓がいくつあっても持たないわ!」

......なんの話だ?
最悪な展開を回避したいから婚約破棄?
麗しい殿下と結婚したら心臓が持たない?
話が飛躍しすぎて、何が言いたいのかわからない。

「えっと…カタリーナさん、つまり、どういうことですか?」
「え?あぁ、そうね。ごめんね、変なこと言っちゃって。」
とりあえず冷静さを取り戻したカタリーナは、俺に分かるように事情を語り出した。

「確かに私はレックス殿下が嫌いじゃないわ。むしろ好き。大好き。でも、好きな人と一緒にいると緊張して胸がドキドキしちゃうじゃない?それが毎日続いたら、緊張で胸が張り裂けそうでしょ?」

「すみません、まだ言っている意味がよくわかりません。」
「えぇ?!なんでよ!」

何で?って、こっちが聞きたいくらいだ。
『好き』とかいうメルヘンチックで痛い単語が出てきた時点で頭が痛くなりそうだ。
.....まぁ、コイツはまだ7歳だし、サンタクロースや白馬の王子様を信じたくなる年頃だから、それも仕方ないか。

そもそも、緊張して胸がドキドキするのは『恐怖』だ。
もしかしてコイツ、『恐怖』を『好き』だと勘違いしているのか?
だから本能的に危険を察知して結婚を避けているとか?
そうだとしたら、一応、辻褄は合う。

「…まぁ、いいわ。殿下と結婚したくない理由は他にもあるの。というか、こっちが重要だわ。第二王子とはいえ、レックス殿下と結婚したら、最悪、王妃になるかもしれないじゃない。」

「いいじゃないですか。王妃様。」

「よくないわよ!王妃様になるってことは、それだけ重要な責務があるってことよ?それに私が王妃になることに反対する人が殺しにくるかもしれないわ。もしレックス殿下に好きな人ができたら、その女性と争うことになるだろうし、負けたら最終的に国外追放されるかもしれないわね。どのみち、王妃への道は荊の道よ。」

「なるほど、よくわかりました。」

確かに、王妃という役割は面倒臭そうだ。
公爵とうさんですら、毎日プレッシャーに頭を抱えながら仕事をしている。
それが王妃となると、ストレスは計り知れない。

「ところで、王妃様になるのは大変そうなのは分かったのですが、なぜそれをお父上に説明しないのでしょうか?」

「言ったわよ。でも聞いてもらえなかったの。エセヴィラン公爵家って、コーキナル公爵家と対立しているって話は知ってる?」

「はい、父から聞きました。」

「そのコーキナル公爵のご令嬢が、第一王子のショーン殿下の婚約者なの。」

「えっと....つまり、どういうことですか?」

「相手が派閥争いで一歩リードしているってこと!このままショーン殿下が彼女と結婚して、次期国王になったら、コーキナル派閥の天下になっちゃうの。だからお父様は、意地でも私をレックス殿下とくっつけて、殿下を次期国王に仕立て上げようとしているの。」

なるほど。複雑な大人の事情に利用されているワケか。
コイツもコイツで、苦労してんだな。
まぁ、俺には関係ないけど。

「そういう事情でしたら、応援しますよ。」
「本当に?!…って、え?応援?」
「はい。立派な王妃様になれるように、陰ながら応援します。」

一応、ライトニング家ウチもエセヴィラン派閥に入るワケだから、派閥の勢力が強くなるに越したことはない。
となると、カタリーナがレックス殿下と結婚して、殿下が国王になれば万々歳だ。
だから、コイツの手伝いをするメリットは一切ない。

「そんな殺生な!ここまで事情を説明したんだから、そこは『手伝います!』って言ってよ!」
カタリーナは立ち上がって俺の肩を掴み、ブンブンと大きく降って俺に懇願した。

「そう言われましても、僕には手伝う理由がないですし。」
「確かに、そうかもしれないけど...。でもこのままじゃ、私、死ぬかもしれないんだよ?!いいの?」
「それは....」

『はい』と言いたいところだが、そんなことを言ったらライトニング家ウチが派閥から追い出されるかもしれない。

「それに、ウチの派閥で他にレックス殿下の婚約者なれそうな令嬢がいるの。彼女の家はOKだって言ってくれてるから、後はテキトーに理由をつけて婚約解消すればいいだけなの。派閥にも迷惑かけないし、あなたは少し手伝ってくれるだけでいいの。だからお願い!この通り!」

カタリーナは両手を合わせて、頭を下げた。
…断るとコイツ、また面倒なことを言ってきそうな気がする。
カタリーナを手伝う理由は一切ないが、コイツを納得させられるだけの断る理由もない。

「...わかりました。ただし、僕は基本的に何もしませんよ?カタリーナさんが勝手に、僕のことを婚約者だって、言いまわってください。僕は否定も肯定もしませんから。」
「それで十分よ!フレイくん、ありがとう!」
俺が承諾した途端、カタリーナの表情はパァっと明るくなった。

あーあ。
面倒なこと引き受けちまった。
どうなっても、俺は知らないからな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...