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第4話:勇者の子どもと悪役令嬢
【7】勇者の子どもと悪役令嬢(2)
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「はぁ....はぁ..........疲れた。」
山の中腹まで来たところで、カタリーナはとうとう根を上げた。
大きく肩で息をし、仮にも公爵令嬢とあろう者が地べたに足を広げて座り込んだ。
「カタリーナちゃん、大丈夫?」
「もう.....だめぇ.......」
「ったく、情けねぇな」
そんなカタリーナに、やれやれと呆れるタクト。
お前の勇者ごっこに付き合ってやってるのに、その言い草はないだろ。
「カタリーナさん、もう少し歩けば休憩ポイントにつくのですが、頑張れそうですか?」
『休憩ポイント』というのは、以前タクト達と行った廃村のことだ。
あの後、なんちゃらモンキーが居なくなったお陰で廃村周辺も平和になった。
そのため、村は掃除され『休憩ポイント』として生まれ変わった。
「えっ、ホント!?行く行く!頑張れる!」
休憩ポイントの存在で、カタリーナの気力は一気に回復した。
カタリーナの気力が回復しているうちに、俺たちは元・廃村へと足を運んだ。
「ふぅ。休憩、休憩。」
カタリーナは元・廃村の休憩ポイントへ着くと、広場に用意されたテーブルに手をついて、椅子に座り込んだ。
「カタリーナちゃん、お疲れ様。」
ライラは持っていた水筒を渡す。
「ありがとう、ライラちゃん。」
受け取った水筒に口をつけて、グイッと水を一気に飲む。
「せっかく休憩ポイントに到着したことですし、そろそろランチタイムにしませんか?」
「「「賛成!」」」
俺は持ち歩いていたバスケットを机に置き、中から皿を取り出し、サンドイッチを取り分けた。
そして俺たちは、談笑しながら昼食を始めた。
「運動した後のサンドイッチ最高!幸せ~。」
「サンドイッチ、お気に召していただいて良かったです。」
「フレイくん家が用意してくれるサンドイッチって、いつも美味しいよね!それに、丁度いい場所に休憩ポイントができて本当に良かったね。」
「そういえば俺達、ここで因縁の相手に会ったんだよなぁ。」
「因縁の相手?」
「厄災の魔王だよ!ここに、世界を恐怖で包み込んだあの魔王が、出たんだよ!」
「へぇ~、魔王ねぇ。」
タクトは熱く語るも、カタリーナは全く信じていない様子で、軽く聞き流す。
「それでね、その魔王さんが、私達のことを生き返らせてくれたの!」
「え、ライラちゃんも魔王に会ったの?」
「うん!」
タクトの話を信じていなかったカタリーナだったが、『ライラも見た』と聞いた途端、打って変わって話を聞くスタンスに入った。
「前まで、ここにクレイジーモンキーがたくさん住んでいたの。それでね、お兄ちゃんが『退治する』って言いだして一緒にこの村に来たら、逆に倒されちゃって。それを助けてくれたのがクドージンさんなの。」
「えっ.....『クドージン』?」
カタリーナは、その単語を耳にした瞬間、表情が固くなった。
「あ、クドージンさんっていうのは魔王さんの名前だよ。それで、クドージンさんが、クレイジーモンキーに襲われた私とお兄ちゃんを生き返らせてくれたの!」
「生き返らす....クドージン.....もしかしてそれって、宮藤迅さんのこと?!」
「カタリーナちゃんも、クドージンさんのこと、知っているの?」
「イントネーションが全然違うから、もしかして勘違いかもしれないけど.....」
いや、イントネーションが違うのは単にライラが間違えているからだ。
むしろ正しいイントネーションを教えてやってくれ。
「私も、ライトニング領にいる時に、一度殺されたことがあるの。そのとき死んだ私を生き返らせてくれたのが、宮藤迅さんなの。」
「えっ、ウソ....」
「それに家庭教師から聞いた話なんだけど、いくら魔法でも、人を生き返らせるのは不可能なんだって。過去に人を蘇らせる魔法や魔術を研究している人はいたけど、成功例はゼロだって言っていたわ。」
へぇ。一応、この世界の魔法も万能じゃないのか。
まぁ、俺はフツーに蘇生できたけどな。
「でもそれって変だぞ?魔王の魔法で俺ら、こうして生きてるんだろ?魔法で生き返らすのが無理だったら、俺たち生きてないじゃん!」
「逆に考えるのよ。私達が生き返ったのは紛れもない事実なんだから。発想を逆転して、宮藤迅さんがそれだけ特別な力を持っていたって考えた方がしっくりくるわ。蘇生魔法が使える『宮藤迅』さんが2人以上いるとは思えないから、そう考えると、私達が知っている宮藤迅さんは同一人物なんじゃない?」
「ライトニング領に現れた、蘇生魔法が使える、クドージンさん、かぁ.....。」
「....そうよ!ライトニング領!
ライラちゃん達もライトニング領で見たんだったら、きっと彼はライトニング領のどこかに住んでいるのよ!」
げっ。勘が鋭いじゃねーかコイツ。
早く「宮藤迅がライトニング領に住んでいる」っていう考えを否定しないと、宮藤迅の正体に気づかれかねない。
「ですが.....」
「よし!それじゃあさ、アイツの根城を探そうぜ!」
「いいわね!賛成!」
口を挟もうとした瞬間、タクトに話を持っていかれた。
「根城を探すって....一体どうすればいいんですか?」
「決まってんだろ!行ったことのないところに行くんだよ!例えば.....ホラ、あっちの方とか!」
タクトが指差したのは道のない、ただの森だった。
「え、あっちは道なんか無いよ?」
「まさか、森の中を突き進むなんてバカなこと....」
「その まさかだよ!行くぞ!」
タクトは全員に有無を言わさず、無謀にも森の中を突っ走っていった。
「もぅ.....お兄ちゃんったら...。」
残りのメンバーは渋々、タクトの後を追った。
◆◆◆
嗚呼、どうやってあの件を誤魔化すか?
俺は、タクトの後についていきながら、「宮藤迅がライトニング領に住んでいる」という事実を有耶無耶にできるか考えていた。
テキトーな住所を教えるとか?
.....いや、住所を教えてコイツらに来られても困る。
前世の姿で、他の国にも満遍なく行く、とか?
.....フツーに面倒臭い。
ダメだ。良い案が全然思い浮かばない。
アレコレ考えていると、隣国・キメイラ帝国との国境の近くまで辿り着いた。
.......そうだ!
「キメイラ帝国に住んでいる」ってことにすればいいんじゃね?
キメイラ帝国は亜人の国だから、人間のタクト達は簡単に入れない。
『ちょくちょくキメイラ帝国から抜け出して遊んでいた』ってことにすれば、うまく誤魔化せそうだ。
問題は、それをコイツらにどう伝えるか?だ。
直接、説明しに行くか?
.....いや、それを説明するだけに会いに行くのは、どう考えても怪しい。
何とか怪しまれずに、説明する方法はないのか?
すると突然、そんな俺の考えを遮るように、大きな怒鳴り声が森に響いた。
俺たちは全員、怒鳴り声が聞こえた方向を見る。
するとそこには、ボロボロな身なりの亜人の男4人が、国境壁の前で立ち往生していた。
「クッソ!もう少しで逃げ切れんのに、何だよこの壁!」
「登るにしても高いな。誰か、ロープ持ってないか?」
「あるわけねーだろ!力ずくでこの壁ぶっ壊すしかねぇ!」
亜人達の会話は、少し離れたところにいる俺たちにも聞こえるくらい、響いていた。
「ねぇ、あの人達、何?」
カタリーナは小声で質問してきた。
「あぁ、あれはきっとキメイラ帝国へ逃げようとしている亜人奴隷ですよ。
キメイラ帝国は亜人の国ですから、人間の国みたいに奴隷にされることはないと思いますし。
ライトニング領はキメイラ帝国の隣にあるからか、たまにああやってキメイラ帝国へ逃げようとする亜人奴隷がやってくるって、父さんが言っていました。」
「犬みたいな耳のあるヤツと、尻尾のあるヤツは亜人って分かるけど、あっちの2人も亜人なのか?フツーの人間に見えるけど....」
「『亜人』って一括りに言っても、獣人や魔人やエルフなど、色んな種類がいますからね。残りの2人はきっと、魔人なんじゃないですか?」
「その『魔人』って何?」
「白目の部分が黒くて、瞳が赤い亜人のことです。
ホラ、丁度目が合った彼が、その魔人ですよ。
魔人は、亜人の中でも短気で攻撃的な種族だから、近づかない方がいいって、父さんが言っていました。」
「へぇ~....って、え?今、『目が合った』って言った?」
「やべーぞ!こっちに来てる!」
目が合った魔人が、こっちに向かって全力疾走してくる。
俺たちは慌ててUターンして逃げるも、すぐに追いつかれてしまった。
「ガキだ!おーい!こっちにガキが4人いるぞ!」
逃げるのが遅かったカタリーナとライラが、魔人に捕まってしまった。
仲間の亜人達も、その声に反応してこちらに向かってくる。
俺とタクトは2人を置いて逃げた。
....と思ったが、タクトは違った。
「2人を離せ!」
タクトは無謀にも、2人を捕まえていた魔人に向かって、剣代わりの木の棒を振りかざした。
「痛っ!何すんだクソガキ!」
タクトの攻撃は大して効いておらず、逆に魔人に蹴り飛ばされて、遠くまで吹っ飛んだ。
その間に俺は、適当な場所に隠れた。
このままだとアイツら、殺されるじゃねーか。
仕方ない。今、死なれてもつまらないし、助けてやるか。
俺は、人間の方の前世の姿に変身して、亜人達の前に現れた。
....何か大切なことを忘れている気がするが、まぁいいか。
山の中腹まで来たところで、カタリーナはとうとう根を上げた。
大きく肩で息をし、仮にも公爵令嬢とあろう者が地べたに足を広げて座り込んだ。
「カタリーナちゃん、大丈夫?」
「もう.....だめぇ.......」
「ったく、情けねぇな」
そんなカタリーナに、やれやれと呆れるタクト。
お前の勇者ごっこに付き合ってやってるのに、その言い草はないだろ。
「カタリーナさん、もう少し歩けば休憩ポイントにつくのですが、頑張れそうですか?」
『休憩ポイント』というのは、以前タクト達と行った廃村のことだ。
あの後、なんちゃらモンキーが居なくなったお陰で廃村周辺も平和になった。
そのため、村は掃除され『休憩ポイント』として生まれ変わった。
「えっ、ホント!?行く行く!頑張れる!」
休憩ポイントの存在で、カタリーナの気力は一気に回復した。
カタリーナの気力が回復しているうちに、俺たちは元・廃村へと足を運んだ。
「ふぅ。休憩、休憩。」
カタリーナは元・廃村の休憩ポイントへ着くと、広場に用意されたテーブルに手をついて、椅子に座り込んだ。
「カタリーナちゃん、お疲れ様。」
ライラは持っていた水筒を渡す。
「ありがとう、ライラちゃん。」
受け取った水筒に口をつけて、グイッと水を一気に飲む。
「せっかく休憩ポイントに到着したことですし、そろそろランチタイムにしませんか?」
「「「賛成!」」」
俺は持ち歩いていたバスケットを机に置き、中から皿を取り出し、サンドイッチを取り分けた。
そして俺たちは、談笑しながら昼食を始めた。
「運動した後のサンドイッチ最高!幸せ~。」
「サンドイッチ、お気に召していただいて良かったです。」
「フレイくん家が用意してくれるサンドイッチって、いつも美味しいよね!それに、丁度いい場所に休憩ポイントができて本当に良かったね。」
「そういえば俺達、ここで因縁の相手に会ったんだよなぁ。」
「因縁の相手?」
「厄災の魔王だよ!ここに、世界を恐怖で包み込んだあの魔王が、出たんだよ!」
「へぇ~、魔王ねぇ。」
タクトは熱く語るも、カタリーナは全く信じていない様子で、軽く聞き流す。
「それでね、その魔王さんが、私達のことを生き返らせてくれたの!」
「え、ライラちゃんも魔王に会ったの?」
「うん!」
タクトの話を信じていなかったカタリーナだったが、『ライラも見た』と聞いた途端、打って変わって話を聞くスタンスに入った。
「前まで、ここにクレイジーモンキーがたくさん住んでいたの。それでね、お兄ちゃんが『退治する』って言いだして一緒にこの村に来たら、逆に倒されちゃって。それを助けてくれたのがクドージンさんなの。」
「えっ.....『クドージン』?」
カタリーナは、その単語を耳にした瞬間、表情が固くなった。
「あ、クドージンさんっていうのは魔王さんの名前だよ。それで、クドージンさんが、クレイジーモンキーに襲われた私とお兄ちゃんを生き返らせてくれたの!」
「生き返らす....クドージン.....もしかしてそれって、宮藤迅さんのこと?!」
「カタリーナちゃんも、クドージンさんのこと、知っているの?」
「イントネーションが全然違うから、もしかして勘違いかもしれないけど.....」
いや、イントネーションが違うのは単にライラが間違えているからだ。
むしろ正しいイントネーションを教えてやってくれ。
「私も、ライトニング領にいる時に、一度殺されたことがあるの。そのとき死んだ私を生き返らせてくれたのが、宮藤迅さんなの。」
「えっ、ウソ....」
「それに家庭教師から聞いた話なんだけど、いくら魔法でも、人を生き返らせるのは不可能なんだって。過去に人を蘇らせる魔法や魔術を研究している人はいたけど、成功例はゼロだって言っていたわ。」
へぇ。一応、この世界の魔法も万能じゃないのか。
まぁ、俺はフツーに蘇生できたけどな。
「でもそれって変だぞ?魔王の魔法で俺ら、こうして生きてるんだろ?魔法で生き返らすのが無理だったら、俺たち生きてないじゃん!」
「逆に考えるのよ。私達が生き返ったのは紛れもない事実なんだから。発想を逆転して、宮藤迅さんがそれだけ特別な力を持っていたって考えた方がしっくりくるわ。蘇生魔法が使える『宮藤迅』さんが2人以上いるとは思えないから、そう考えると、私達が知っている宮藤迅さんは同一人物なんじゃない?」
「ライトニング領に現れた、蘇生魔法が使える、クドージンさん、かぁ.....。」
「....そうよ!ライトニング領!
ライラちゃん達もライトニング領で見たんだったら、きっと彼はライトニング領のどこかに住んでいるのよ!」
げっ。勘が鋭いじゃねーかコイツ。
早く「宮藤迅がライトニング領に住んでいる」っていう考えを否定しないと、宮藤迅の正体に気づかれかねない。
「ですが.....」
「よし!それじゃあさ、アイツの根城を探そうぜ!」
「いいわね!賛成!」
口を挟もうとした瞬間、タクトに話を持っていかれた。
「根城を探すって....一体どうすればいいんですか?」
「決まってんだろ!行ったことのないところに行くんだよ!例えば.....ホラ、あっちの方とか!」
タクトが指差したのは道のない、ただの森だった。
「え、あっちは道なんか無いよ?」
「まさか、森の中を突き進むなんてバカなこと....」
「その まさかだよ!行くぞ!」
タクトは全員に有無を言わさず、無謀にも森の中を突っ走っていった。
「もぅ.....お兄ちゃんったら...。」
残りのメンバーは渋々、タクトの後を追った。
◆◆◆
嗚呼、どうやってあの件を誤魔化すか?
俺は、タクトの後についていきながら、「宮藤迅がライトニング領に住んでいる」という事実を有耶無耶にできるか考えていた。
テキトーな住所を教えるとか?
.....いや、住所を教えてコイツらに来られても困る。
前世の姿で、他の国にも満遍なく行く、とか?
.....フツーに面倒臭い。
ダメだ。良い案が全然思い浮かばない。
アレコレ考えていると、隣国・キメイラ帝国との国境の近くまで辿り着いた。
.......そうだ!
「キメイラ帝国に住んでいる」ってことにすればいいんじゃね?
キメイラ帝国は亜人の国だから、人間のタクト達は簡単に入れない。
『ちょくちょくキメイラ帝国から抜け出して遊んでいた』ってことにすれば、うまく誤魔化せそうだ。
問題は、それをコイツらにどう伝えるか?だ。
直接、説明しに行くか?
.....いや、それを説明するだけに会いに行くのは、どう考えても怪しい。
何とか怪しまれずに、説明する方法はないのか?
すると突然、そんな俺の考えを遮るように、大きな怒鳴り声が森に響いた。
俺たちは全員、怒鳴り声が聞こえた方向を見る。
するとそこには、ボロボロな身なりの亜人の男4人が、国境壁の前で立ち往生していた。
「クッソ!もう少しで逃げ切れんのに、何だよこの壁!」
「登るにしても高いな。誰か、ロープ持ってないか?」
「あるわけねーだろ!力ずくでこの壁ぶっ壊すしかねぇ!」
亜人達の会話は、少し離れたところにいる俺たちにも聞こえるくらい、響いていた。
「ねぇ、あの人達、何?」
カタリーナは小声で質問してきた。
「あぁ、あれはきっとキメイラ帝国へ逃げようとしている亜人奴隷ですよ。
キメイラ帝国は亜人の国ですから、人間の国みたいに奴隷にされることはないと思いますし。
ライトニング領はキメイラ帝国の隣にあるからか、たまにああやってキメイラ帝国へ逃げようとする亜人奴隷がやってくるって、父さんが言っていました。」
「犬みたいな耳のあるヤツと、尻尾のあるヤツは亜人って分かるけど、あっちの2人も亜人なのか?フツーの人間に見えるけど....」
「『亜人』って一括りに言っても、獣人や魔人やエルフなど、色んな種類がいますからね。残りの2人はきっと、魔人なんじゃないですか?」
「その『魔人』って何?」
「白目の部分が黒くて、瞳が赤い亜人のことです。
ホラ、丁度目が合った彼が、その魔人ですよ。
魔人は、亜人の中でも短気で攻撃的な種族だから、近づかない方がいいって、父さんが言っていました。」
「へぇ~....って、え?今、『目が合った』って言った?」
「やべーぞ!こっちに来てる!」
目が合った魔人が、こっちに向かって全力疾走してくる。
俺たちは慌ててUターンして逃げるも、すぐに追いつかれてしまった。
「ガキだ!おーい!こっちにガキが4人いるぞ!」
逃げるのが遅かったカタリーナとライラが、魔人に捕まってしまった。
仲間の亜人達も、その声に反応してこちらに向かってくる。
俺とタクトは2人を置いて逃げた。
....と思ったが、タクトは違った。
「2人を離せ!」
タクトは無謀にも、2人を捕まえていた魔人に向かって、剣代わりの木の棒を振りかざした。
「痛っ!何すんだクソガキ!」
タクトの攻撃は大して効いておらず、逆に魔人に蹴り飛ばされて、遠くまで吹っ飛んだ。
その間に俺は、適当な場所に隠れた。
このままだとアイツら、殺されるじゃねーか。
仕方ない。今、死なれてもつまらないし、助けてやるか。
俺は、人間の方の前世の姿に変身して、亜人達の前に現れた。
....何か大切なことを忘れている気がするが、まぁいいか。
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