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第7話:アリーシャ嬢の誕生日パーティ
【20】アリーシャ嬢の誕生日パーティ(4)
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やっとカタリーナに渡せた。
俺が長年かけて作り込んだ、超大作。
その名も「Up Star Orange」。
....頭文字を取ると「USO」になる。
カタリーナを騙すためだけに作られた、スケールのデカい嘘のシナリオ。
こいつを完成させるのに、何だかんだで時間がかかってしまった。
当初は乙女ゲームの設定のつもりだったが、乙女ゲームが今ひとつよくわからないから途中で『小説』ってことにした。
シナリオ作りは母さんと兄さんに手伝ってもらったから、内容は大丈夫なはずだ。
俺は、アリーシャの誕生日パーティの帰りに、カタリーナに会って様子を伺うことにした。
「カタリーナさん!」
「あっ、フレイくん。」
「大丈夫でしたか?悪漢に攫われたって、聞きましたが...」
「えぇ。宮藤くんにまた助けてもらったおかげで、今回も無事だったわ。」
「宮藤迅さんに、会ったんですか?!」
「そうなの。あ!そうそう!彼ね、この世界の元になる作品を、知っていたみたいなの!」
「えぇ?!それは本当ですか?」
「ふふふ!ほら見て!これがその証拠よ!」
するとカタリーナはメモを取り出して、俺に見せつけてきた。
「これは...」
「日本語で書いてあるからわからないかもしれないけど、このメモには『アップスターオレンジ』っていう小説のシナリオが書かれているの。」
「メモには何と書かれているんですか?」
「色々書いてあるんだけど、まずアップスターオレンジのヒロインは、アリーシャ様らしいの。」
「アリーシャさんがヒロイン、ですか?!」
『ヒロインを誰にするか』は、一番最初に悩んだポイントだった。
当初は適当に考えていたが、兄さんに『生徒名簿を調べられて、いないことがわかったら嘘だとすぐバレるんじゃないか?』と指摘を受けて、知っている人間を出すことにした。
次にヒロインにしようと考えたのはライラだ。
でもアイツはキョウシュー帝国に住んでいるから、王立ディシュメイン魔法学校に入学しない可能性もある。
『確実に同じ学校に入学しそうな知り合いの女』となると、アリーシャしかいなかった。
「そうなの!しかも、アリーシャ様は養子だったのよ!」
「それは意外ですね。ですが、そう言われてみればフォージー侯爵にもヨナ夫人にも似ていない気がします。」
養子という設定は母さんのアイデアだ。
無難すぎる内容だと騙していても面白くなさそうだから、奇抜な設定も入れたい。
そう思って、兄さんと母さんに面白そうなアイデアを沢山出してもらった。
『養子』は、そうやって出てきたアイデアのうちの一つだ。
奇抜ではあるがリアリティも兼ね備えていたから採用した。
「しかも、それが学校でバレたせいで、コーキナル派閥の連中にいじめられるんですって!アイツらならやりかねないわよね。その時に、レックス殿下がアリーシャ様を庇ったことで、二人は恋に落ちるらしいの!」
「それは、良かったじゃないですか。カタリーナさん、散々殿下とアリーシャさんをくっつけたがっていましたからね。」
「それが、よくないのよ!小説のシナリオじゃ、二人の関係に嫉妬した私が、アリーシャ様に嫉妬していじめるようになるのよ。しかも、それを殿下が告発して国外追放になって、最期はキメイラ帝国で亜人に殺される....。最悪のバッドエンドだわ!」
『カタリーナはヒロインに嫌がらせをして国外追放される』という流れは、唯一、初期段階からあった設定だ。
ただでさえ乙女ゲームじゃなくて小説のシナリオってことにしているのに、この設定すら無くなると、カタリーナがシナリオ自体を疑いかねない。
母さん達には散々「カタリーナちゃんに恨みでもあるのか」と言われたが、この設定は絶対必要だ。
「それは最悪ですね。何としてでも回避しないと。他には、どんな設定があったのですか?」
「あとはレオン...コーキナル家の長男が、聖ソラトリク教団と手を組んで殿下を殺そうとしているの!アイツならやりそうだけど、聖ソラトリク教団がそんな組織だなんて意外だったわ。」
「聖ソラトリク教団ってなんですか?」
「聖ソラトリク教っていうんだけど、知ってる?スイ王妃様の母国・キョウシュー帝国の国教なんだけど。」
「はい。一応知ってます。」
ぶっちゃけ聖ソラトリク教は、セージャ叔母さんが入っている修道院の宗教、という程度でしか知らない。
「その聖ソラトリク教の母体が、聖ソラトリク教団よ。でもそれが異世界人による犯罪集団なのは意外だったわ。しかもショーン殿下を次期国王にしてディシュメイン王国での影響力を強めるために、レックス殿下を殺そうとするなんて、絶対に許せない!」
おぉ!意外と信じている!!
聖ソラトリク教団の設定は、シナリオで一番『さすがにそれは嘘だろ』と言われそうな設定だった。
このアイデアを兄さんが出した時、『さすがに無理がある』と思ったが、『案外騙せるんじゃないか?』という期待が大きくて思わず採用した。
母さんは『異世界人設定より、別の設定にした方がリアリティが出るんじゃない?』とアドバイスしてくれたが、異世界人にして正解だった。
なんせカタリーナも異世界転生者だ。
自分の他に異世界人がいてもギリギリ疑わない、と踏んで設定を変えなかったが、正解だったな。
....とは言え、こんな無茶苦茶な設定を『意外』と言いながらも受け入れるって、カタリーナはちょっと頭がおかしいんじゃないか?
「聖ソラトリク教団って、そんなに危険な団体なのですか?」
「このメモの情報によると、そうみたいよ。しかも聖ソラトリク教団は、各国が管理している3つの龍脈の魔力を使って『ノスとラダムスの夜』を決行しようとしているみたい。
しっかし、『ノスとラダムスの夜』って....。
せめてノストラダムスの大予言か、ワルプルギスの夜にしなさいよ。
これじゃ、ノストラダムスさんの夜に密着しているみたいじゃない。」
ノストラダムスって人の名前だったのか。
頭の片隅にあったそれっぽい単語をパクっただけだったが、カタリーナに指摘されて恥ずかしくなった。
「ノスとラダムスの夜?」
「ええ。それが決行されると、聖ソラトリク教団の最終兵器が稼働して、この世界のありとあらゆるものから魔力が抜き取られちゃうの!そんなことになったら、この世界は崩壊するわ!そして吸収した魔力を使って、聖ソラトリク教団の異世界人が住んでいた母世界を、甦らせようとしているのよ!」
「それは大変ですね!」
ここら辺の設定は、考えるのに一番苦労した。
『聖ソラトリク教団が異世界人による犯罪集団』という設定を考えたところまでは良かった。
でも聖ソラトリク教団がレックス殿下の命を狙う動機が、なかなか思い浮かばなかった。
ショーン殿下も聖ソラトリク教の信者だから『ショーン殿下を王にしてディシュメイン王国での影響力を強めるため』という設定は、割とすぐに思いついた。
でもそれだけだと『聖ソラトリク教団が異世界人による犯罪集団』という設定の必要性を感じない。
だから異世界人の設定が活きてくるような動機を考える必要があった。
母さんが『自分たちの故郷を蘇らせるために龍脈が必要!っていう設定はどう?』と言ってくれなかったら、今でも設定が固まっていなかったと思う。
「そうなの!だから、たとえ私が破滅フラグを回避しても、レックス殿下が殺されたらこの世界そのものが破滅しちゃうわ!聖ソラトリク教団をなんとかしないと!」
おぉ。いい感じに騙されてるな。
聖ソラトリク教団をヤバい集団と勘違いして、教団に迷惑をかけるカタリーナ....。
想像しただけで面白そうだ。
「そうですね、聖ソラトリク教団を止めないと!そういえば、メモには他に何か書いてないのですか?」
「いえ。大したことは書いていないわ。『レオンが私のことを好き』とか、『ショーン殿下の成長が遅いのは、聖ソラトリク教団がスイ王妃に飲ませた妊娠薬の副作用のせい』とか。」
せっかく考えた設定を『大したことない』と言われると虚しい。
まぁ、その設定を考えたのは母さんと兄さんだから、別にいいけど。
「ショーン殿下が、明日14歳になるとは思えないくらいお身体が小さい理由は納得できたわ。でもレオンが私のことを好きって言うのは、本当なのかしら?」
えぇ...。
そこ疑うか?
いい年して『好き』とか言っているメルヘンな男はいないだろうとは思うが、それでも異世界人の設定よりは断然リアリティがあるだろ。
「もしかして、原作の私は性格が全然違うのかしら?だから原作だと、レオンが私のことを好き、とか?」
俺がフォローするまでもなく、カタリーナは勝手に納得した。
「それにフレイ君達や宮藤くんが出てこないのも、不思議なのよね。」
げっ。
そこ、疑問に思うか?
タクトとライラは万が一違う学校になったときのことを考えて、登場させなかった。
俺については、登場させる余地がなかった。
...厳密にいえば『アリーシャもしくはカタリーナが好き』という設定で登場させることもできたが、設定とはいえ気持ち悪すぎて却下した。
「僕たちは大した活躍をしなかったから、原作で書かれなかったのではないでしょうか?」
「それもそう...なのかしら?勇者や聖女の親族っていう、強めの肩書きのキャラを、あっさりスルーしちゃうの?それとも原作だと、勇者も聖女もいなかったのかしら?」
やばい。
カタリーナが設定を疑い出した。
下手に弁解したら、一気に嘘だとバレてしまうかもしれない。
「そっか!宮藤くんよ!彼がいたから勇者と聖女も現れたのよ!
本来、この世界にいるはずのない異世界人の彼が魔王になったから、おのずと勇者と聖女も登場した。
だから本来モブだったフレイ君達に、『勇者や聖女の親族』という強めの肩書きができちゃったのよ。」
またカタリーナは、勝手に解釈して納得した。
...下手なことを言うより、カタリーナの解釈に任せた方が、嘘だとバレない気がする。
「とにかく、最悪の展開を回避するために、色々考えないといけませんね。」
「そうだったわ!フレイくん、お願い!私の...ひいては世界の破滅フラグを回避するために、一緒に協力して!」
「もちろんです。カタリーナさん。」
ああ。もちろん手伝うとも。
だから。
この設定に、ずっと騙されとけよな。
俺が長年かけて作り込んだ、超大作。
その名も「Up Star Orange」。
....頭文字を取ると「USO」になる。
カタリーナを騙すためだけに作られた、スケールのデカい嘘のシナリオ。
こいつを完成させるのに、何だかんだで時間がかかってしまった。
当初は乙女ゲームの設定のつもりだったが、乙女ゲームが今ひとつよくわからないから途中で『小説』ってことにした。
シナリオ作りは母さんと兄さんに手伝ってもらったから、内容は大丈夫なはずだ。
俺は、アリーシャの誕生日パーティの帰りに、カタリーナに会って様子を伺うことにした。
「カタリーナさん!」
「あっ、フレイくん。」
「大丈夫でしたか?悪漢に攫われたって、聞きましたが...」
「えぇ。宮藤くんにまた助けてもらったおかげで、今回も無事だったわ。」
「宮藤迅さんに、会ったんですか?!」
「そうなの。あ!そうそう!彼ね、この世界の元になる作品を、知っていたみたいなの!」
「えぇ?!それは本当ですか?」
「ふふふ!ほら見て!これがその証拠よ!」
するとカタリーナはメモを取り出して、俺に見せつけてきた。
「これは...」
「日本語で書いてあるからわからないかもしれないけど、このメモには『アップスターオレンジ』っていう小説のシナリオが書かれているの。」
「メモには何と書かれているんですか?」
「色々書いてあるんだけど、まずアップスターオレンジのヒロインは、アリーシャ様らしいの。」
「アリーシャさんがヒロイン、ですか?!」
『ヒロインを誰にするか』は、一番最初に悩んだポイントだった。
当初は適当に考えていたが、兄さんに『生徒名簿を調べられて、いないことがわかったら嘘だとすぐバレるんじゃないか?』と指摘を受けて、知っている人間を出すことにした。
次にヒロインにしようと考えたのはライラだ。
でもアイツはキョウシュー帝国に住んでいるから、王立ディシュメイン魔法学校に入学しない可能性もある。
『確実に同じ学校に入学しそうな知り合いの女』となると、アリーシャしかいなかった。
「そうなの!しかも、アリーシャ様は養子だったのよ!」
「それは意外ですね。ですが、そう言われてみればフォージー侯爵にもヨナ夫人にも似ていない気がします。」
養子という設定は母さんのアイデアだ。
無難すぎる内容だと騙していても面白くなさそうだから、奇抜な設定も入れたい。
そう思って、兄さんと母さんに面白そうなアイデアを沢山出してもらった。
『養子』は、そうやって出てきたアイデアのうちの一つだ。
奇抜ではあるがリアリティも兼ね備えていたから採用した。
「しかも、それが学校でバレたせいで、コーキナル派閥の連中にいじめられるんですって!アイツらならやりかねないわよね。その時に、レックス殿下がアリーシャ様を庇ったことで、二人は恋に落ちるらしいの!」
「それは、良かったじゃないですか。カタリーナさん、散々殿下とアリーシャさんをくっつけたがっていましたからね。」
「それが、よくないのよ!小説のシナリオじゃ、二人の関係に嫉妬した私が、アリーシャ様に嫉妬していじめるようになるのよ。しかも、それを殿下が告発して国外追放になって、最期はキメイラ帝国で亜人に殺される....。最悪のバッドエンドだわ!」
『カタリーナはヒロインに嫌がらせをして国外追放される』という流れは、唯一、初期段階からあった設定だ。
ただでさえ乙女ゲームじゃなくて小説のシナリオってことにしているのに、この設定すら無くなると、カタリーナがシナリオ自体を疑いかねない。
母さん達には散々「カタリーナちゃんに恨みでもあるのか」と言われたが、この設定は絶対必要だ。
「それは最悪ですね。何としてでも回避しないと。他には、どんな設定があったのですか?」
「あとはレオン...コーキナル家の長男が、聖ソラトリク教団と手を組んで殿下を殺そうとしているの!アイツならやりそうだけど、聖ソラトリク教団がそんな組織だなんて意外だったわ。」
「聖ソラトリク教団ってなんですか?」
「聖ソラトリク教っていうんだけど、知ってる?スイ王妃様の母国・キョウシュー帝国の国教なんだけど。」
「はい。一応知ってます。」
ぶっちゃけ聖ソラトリク教は、セージャ叔母さんが入っている修道院の宗教、という程度でしか知らない。
「その聖ソラトリク教の母体が、聖ソラトリク教団よ。でもそれが異世界人による犯罪集団なのは意外だったわ。しかもショーン殿下を次期国王にしてディシュメイン王国での影響力を強めるために、レックス殿下を殺そうとするなんて、絶対に許せない!」
おぉ!意外と信じている!!
聖ソラトリク教団の設定は、シナリオで一番『さすがにそれは嘘だろ』と言われそうな設定だった。
このアイデアを兄さんが出した時、『さすがに無理がある』と思ったが、『案外騙せるんじゃないか?』という期待が大きくて思わず採用した。
母さんは『異世界人設定より、別の設定にした方がリアリティが出るんじゃない?』とアドバイスしてくれたが、異世界人にして正解だった。
なんせカタリーナも異世界転生者だ。
自分の他に異世界人がいてもギリギリ疑わない、と踏んで設定を変えなかったが、正解だったな。
....とは言え、こんな無茶苦茶な設定を『意外』と言いながらも受け入れるって、カタリーナはちょっと頭がおかしいんじゃないか?
「聖ソラトリク教団って、そんなに危険な団体なのですか?」
「このメモの情報によると、そうみたいよ。しかも聖ソラトリク教団は、各国が管理している3つの龍脈の魔力を使って『ノスとラダムスの夜』を決行しようとしているみたい。
しっかし、『ノスとラダムスの夜』って....。
せめてノストラダムスの大予言か、ワルプルギスの夜にしなさいよ。
これじゃ、ノストラダムスさんの夜に密着しているみたいじゃない。」
ノストラダムスって人の名前だったのか。
頭の片隅にあったそれっぽい単語をパクっただけだったが、カタリーナに指摘されて恥ずかしくなった。
「ノスとラダムスの夜?」
「ええ。それが決行されると、聖ソラトリク教団の最終兵器が稼働して、この世界のありとあらゆるものから魔力が抜き取られちゃうの!そんなことになったら、この世界は崩壊するわ!そして吸収した魔力を使って、聖ソラトリク教団の異世界人が住んでいた母世界を、甦らせようとしているのよ!」
「それは大変ですね!」
ここら辺の設定は、考えるのに一番苦労した。
『聖ソラトリク教団が異世界人による犯罪集団』という設定を考えたところまでは良かった。
でも聖ソラトリク教団がレックス殿下の命を狙う動機が、なかなか思い浮かばなかった。
ショーン殿下も聖ソラトリク教の信者だから『ショーン殿下を王にしてディシュメイン王国での影響力を強めるため』という設定は、割とすぐに思いついた。
でもそれだけだと『聖ソラトリク教団が異世界人による犯罪集団』という設定の必要性を感じない。
だから異世界人の設定が活きてくるような動機を考える必要があった。
母さんが『自分たちの故郷を蘇らせるために龍脈が必要!っていう設定はどう?』と言ってくれなかったら、今でも設定が固まっていなかったと思う。
「そうなの!だから、たとえ私が破滅フラグを回避しても、レックス殿下が殺されたらこの世界そのものが破滅しちゃうわ!聖ソラトリク教団をなんとかしないと!」
おぉ。いい感じに騙されてるな。
聖ソラトリク教団をヤバい集団と勘違いして、教団に迷惑をかけるカタリーナ....。
想像しただけで面白そうだ。
「そうですね、聖ソラトリク教団を止めないと!そういえば、メモには他に何か書いてないのですか?」
「いえ。大したことは書いていないわ。『レオンが私のことを好き』とか、『ショーン殿下の成長が遅いのは、聖ソラトリク教団がスイ王妃に飲ませた妊娠薬の副作用のせい』とか。」
せっかく考えた設定を『大したことない』と言われると虚しい。
まぁ、その設定を考えたのは母さんと兄さんだから、別にいいけど。
「ショーン殿下が、明日14歳になるとは思えないくらいお身体が小さい理由は納得できたわ。でもレオンが私のことを好きって言うのは、本当なのかしら?」
えぇ...。
そこ疑うか?
いい年して『好き』とか言っているメルヘンな男はいないだろうとは思うが、それでも異世界人の設定よりは断然リアリティがあるだろ。
「もしかして、原作の私は性格が全然違うのかしら?だから原作だと、レオンが私のことを好き、とか?」
俺がフォローするまでもなく、カタリーナは勝手に納得した。
「それにフレイ君達や宮藤くんが出てこないのも、不思議なのよね。」
げっ。
そこ、疑問に思うか?
タクトとライラは万が一違う学校になったときのことを考えて、登場させなかった。
俺については、登場させる余地がなかった。
...厳密にいえば『アリーシャもしくはカタリーナが好き』という設定で登場させることもできたが、設定とはいえ気持ち悪すぎて却下した。
「僕たちは大した活躍をしなかったから、原作で書かれなかったのではないでしょうか?」
「それもそう...なのかしら?勇者や聖女の親族っていう、強めの肩書きのキャラを、あっさりスルーしちゃうの?それとも原作だと、勇者も聖女もいなかったのかしら?」
やばい。
カタリーナが設定を疑い出した。
下手に弁解したら、一気に嘘だとバレてしまうかもしれない。
「そっか!宮藤くんよ!彼がいたから勇者と聖女も現れたのよ!
本来、この世界にいるはずのない異世界人の彼が魔王になったから、おのずと勇者と聖女も登場した。
だから本来モブだったフレイ君達に、『勇者や聖女の親族』という強めの肩書きができちゃったのよ。」
またカタリーナは、勝手に解釈して納得した。
...下手なことを言うより、カタリーナの解釈に任せた方が、嘘だとバレない気がする。
「とにかく、最悪の展開を回避するために、色々考えないといけませんね。」
「そうだったわ!フレイくん、お願い!私の...ひいては世界の破滅フラグを回避するために、一緒に協力して!」
「もちろんです。カタリーナさん。」
ああ。もちろん手伝うとも。
だから。
この設定に、ずっと騙されとけよな。
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