24 / 145
第9話:授業開始
【24】授業開始(1)
しおりを挟む
入学式を終えた翌日。
今日から各クラスに分かれて授業が始まる。
俺はいつものメンバーと一緒に、授業が始まるまで教室で待機していた。
クラス分けの結果、タクトやライラ、カタリーナ、殿下、ホリー、そしてゼルといった、いつものメンバーとは同じクラスになった。
そこまではまだいい。
問題は....。
「あーあ。ブスや平民と同じクラスなんて。このクラス分けを考えた奴は馬鹿だろ。」
レオンは相変わらず、聞こえるくらい大きな声で嫌味を言う。
コイツと意見が一致するのは癪だが、俺達とレオンと同じクラスにした奴は滅びればいいと思う。
「はぁ。アイツさえいなかったら、最高のクラスなんだけど。みんなゴメンね。アイツ、家同士が対立しているからか、なにかと私に因縁をつけてくるの。」
「別にカタリーナちゃんが謝る必要ないよ。もう見慣れちゃったし。」
「それより、今日からの授業、楽しみだね。まさか担任の先生があのシヴァさんだなんて、ビックリだよ。」
本当にビックリだ。
何が悲しくて、俺を転生させたヤツの授業を受けなければいけないんだ。
「『あのシヴァさん』って、ホリーくんはレイブン先生と知り合いなの?」
「うん。シヴァさんとはライトニング領で一回会ったことがあるんだ。その時、タクトくんとライラさんも一緒にいたよ。」
「そうそう。ライトニング領で元・勇者一行が集まってパーティをやってさ。なんだかんだで、あの日、楽しかったよな。」
「ライトニング領ってことは、フレイくんもいたの?」
「いえ、僕は体調不良で欠席していました。だからシヴァさんと会うのは昨日が初めてです。」
正確には『この姿で』だけどな。
「はいはーい!みんなー、席についてー!」
雑談をしていると、担任のシヴァが教室に入ってきた。
それと同時にチャイムが鳴る。
もうそんな時間か。
生徒は全員、自分の席についた。
「それじゃあ今日は、魔法の基礎について勉強していこうね~!」
魔法の基礎か。かったるい。
家庭教師に教わったから、今さら覚える必要がない。
「先生!俺様のように由緒正しい貴族は、魔法の基礎は学習済みです。基礎を知らない平民とは違う授業を希望します。」
またレオンが、俺の気持ちを代弁するかのようなセリフを言う。
言ったのが他の誰かだったら同調できたが、コイツが言うと反論したくなる。
「え~!レオンくん、せっかちだねぇ。みんなで歩幅合わせて、勉強していこうよ!」
「無理に平民と歩幅を合わせるより、才能ある選ばれし者は、その才を伸ばす教育の方が良いのではないでしょうか?」
「うわぁ~。相変わらずイヤなヤツ。」
カタリーナの小言に、思わず首を縦に振る。
「う~ん。そう言われると、おじさん困っちゃうなぁ。....じゃあさ、思い切ってクラスのみんなに聞いてみようか。みんなで魔法の基礎から勉強するのに賛成な人、手を挙げて~!」
俺は迷わず手を挙げた。
基礎の勉強はどうでもいいが、レオンの思い通りになるのは癪に触る。
「ハハハッ!才能ゼロの半分平民じゃねえか!確かに貴様には基礎がお似合いだな!」
レオンとその取り巻きが俺を嘲笑う。
すると、俺の後に続くように、カタリーナも手を挙げた。
「私も、先生の意見に賛成です!そもそもこの学校は、平民や他国の人でも学べるように門戸を開いているので、基礎からの授業になるのは当然です。その方針に従えない人が、他校へ編入すればいいだけだと思います。」
レオンを睨みつけながら、カタリーナは意見した。
「俺も、基礎から学ぶわ。」
「私も!みんな一緒がいい!」
カタリーナに同調するように、タクトとライラも手を挙げた。
その流れに乗るように、他の生徒もぞろぞろと手を挙げ始める。
気がつくと、クラスの半数くらいが手を挙げていた。
「ハハ、困ったなぁ~....。見事に真っ二つに割れたね。じゃあ、そうだなぁ.....」
シヴァは顎に手を当てて考え込む。
「そうだ!じゃあ、今から出す課題ができた子だけ、基礎の授業を受けなくていいってことにしよっか!その代わり、魔法の授業中は、その子達に個別で課題を出すよ。それならいいかな?」
シヴァの提案に異議を唱える奴は誰もいなかった。
「反対は、なさそうだねぇ....あぁ~よかった!じゃあ早速課題を出すよ!」
すると教壇の周りに火・水・風・土・光・闇の6つの球が現れた。
さしずめ各属性の初級魔法、といったところか?
「今、ボクが出したのは各属性の初級魔法です。左から初級火魔法・初級水魔法・初級風魔法・初級土魔法・初級光魔法・初級闇魔法だよ。」
シヴァが出した魔法に、生徒は皆、驚嘆した。
「凄い....!あんなに簡単に出せるなんて!」
「流石、伝説の勇者パーティの一人だ。」
そんなに凄いか?
魔法を出したって言っても、たかだか初級魔法だろ。
「コレ全部できる子は、基礎の授業聞かなくていいよ!あ、でも不適性はできなくても大目にみるよ。やってみる子はいる?」
レオンとその取り巻き連中は、全員、手を挙げる。
「さすが、基礎は要らないって言うだけはあるねぇ!じゃあ、レオンくんから順番に見ていこうか。」
レオンは威勢よく教壇まで行くと、得意げに魔法を繰り出した。
「まぁ見とけよ、平民ども。..... 初級火魔法!」
そう言って出てきたのは、小さい火の玉だった。
さっきシヴァが出した初級火魔法は、小さいとはいえ子ども一人が収まりそうなくらいのサイズはあった。
だがレオンの出した火の玉は、人の頭くらいのサイズしかない。
あれだけ自信満々にやって、この程度か?
「ッハハハハハ!!」
あまりにもショボい初級火魔法に、笑いを堪えることができなかった。
「ど、どうしたのフレイくん?」
「だって、あれだけ僕のことを馬鹿にしてたくせに、あんな小さな火の玉しか出せないんですよ?あまりにも滑稽じゃないですか。」
だけど、笑っているのは俺だけで、他の全員はきょとんとした顔で俺を見ていた。
基礎を習ってなさそうなライラ達なら、レオンの魔法の貧弱さが伝わらなくても仕方ない。
でもカタリーナや殿下まで「俺の方が変」と言わんばかりの目を向けてくるのは、おかしいだろ!
「はぁ?!才能ゼロの分際で偉そうな口叩いてんじゃねぇよ!」
レオンは顔を真っ赤にして俺を睨みつけた。
「だったら、貴様もやってみろよ!」
「えぇ~。僕は基礎から勉強したいので、課題は遠慮しますよ。合格しちゃったら授業が受けられなくなってしまうので。」
「それだったらフレイくんは、課題の結果に関係なく基礎の授業を受けても良いよ♪むしろ大歓迎さ!」
「だとよ、半分平民。俺様の初級火魔法を嘲笑うくらいだから、当然、俺様以上の初級火魔法ができるんだろうな?」
「まさか、できないクセに笑ったわけじゃねーだろ?」
「俺達は何日でも待ってやるよ!フレイくんがレオン様以上の初級火魔法を使うところをよ!」
レオンとその取り巻き達は、ここぞとばかりに俺を煽ってきた。
煽ってくる内容が楽勝すぎて、むしろ前フリのように感じる。
俺は言われた通り、シヴァがさっきやった魔法を、そっくりそのまま再現してみせた。
「コレで良いですか?」
「コレで...って、え?」
目の前の光景に、さっきまで意気揚々と煽っていたレオン達は、口をぽかんと開けて固まった。
「嘘でしょ....?!」
「信じられない...!」
俺の魔法を見て驚いたのはレオン達だけじゃなかった。
むしろクラスの全員が驚いて、その場が一瞬、静かになった。
...それにしても、基礎を習っているハズのカタリーナ達や教師のシヴァが驚くのは、おかしくないか?
「コレやったの、先生、ですよね?先生、このタイミングでもう一回出すなんて、冗談が過ぎますよ。」
あまりにも信じたくない光景だったからか、レオンはシヴァがやったと思い込んだ。
「いやいやいや!ボクじゃないよ?!むしろボクもビックリだよ!」
「こうしたら、信じてもらえますかね?」
俺はさっき出した6属性の球を使って、「レオンはまぬけ」と表してやった。
「レ、オ、ン、は、ま、ぬ、け....?!ふざけるな、貴様!」
すると教室中が笑い声で溢れた。
笑っていないのはレオン達くらいだった。
「はいは~い!レオンくんからかうのはそこまでだよ、フレイくん。それにしてもキミ、凄い才能だねぇ~!さすがセージャちゃんの甥っ子くんだ!それじゃあ、他の子の魔法も見ていこうか。次にやってみたい子はだれ?」
あれ?
さっきまで威勢よく課題をやると言っていた連中が、一斉に引き下がった。
「あれぇ..?!みんな、もう課題はしないの?もしかして『フレイくんみたいにできないから無理!』とか思っていない?
フレイくんがすごく特殊なだけで、課題さえ出来ていたら良いんだからね?!
誰もあんな高度な魔法を求めてないよ?
さっきの課題は無詠唱じゃなくても全然問題ないよ。
むしろ無詠唱なんか、かなりの熟練じゃないと無理だから、そこまでは求めてないよ。
それに魔法は1つずつ発動して良いんだからね?
6つ同時に発動するなんて荒技、上級生でもなかなかできないから!
あと初級魔法って言ったけど、ボクが出したのは実質中級魔法くらいの大きさだよ!
魔法って極めていくと初級の魔法でも無意識のうちにだんだん強くなっちゃうからね。
レオンくんが出した初級火魔法でも、普通より大きい方だよ!」
なるほど。
魔法自体は簡単だけど、色んな要素が入り混じって難易度が高くなっていたのか。
それで「さすがシヴァ」とか言われていたのか。
「あと『あんな凄い魔法が使えたフレイくんですら、基礎から勉強するって言っているのに、自分なんかが....』なんて思わなくても良いんだからね?
不適性以外の全ての初級魔法が使えたら、基礎は勉強しなくても大丈夫だよ!」
シヴァはフォローのつもりで言ったのかもしれないが、余計に言い出し辛くなったんじゃないか?
シヴァは長々と説明したものの、とうとう課題に挑戦しようという奴は現れなかった。
あのレオン達ですら、舌打ちしながら課題を放棄した。
「もう課題にチャレンジする子はいない....ってことは、合格者はフレイくんだけか。あ、そういえばレオンくんは、課題は途中までしかやってなかったね!続き、する?」
「いや....いいです。」
無理もない。
あれだけ俺の事を罵倒していたからな。
俺以上の魔法が出せなかったら、公開処刑に等しいレベルの恥をかくことになる。
「そう?じゃあ唯一の合格者のフレイくんも、基礎を勉強するって言っているし、当初予定通りに基礎の勉強から始めるね~!」
シヴァは仕切り直して、授業を始めた。
今日から各クラスに分かれて授業が始まる。
俺はいつものメンバーと一緒に、授業が始まるまで教室で待機していた。
クラス分けの結果、タクトやライラ、カタリーナ、殿下、ホリー、そしてゼルといった、いつものメンバーとは同じクラスになった。
そこまではまだいい。
問題は....。
「あーあ。ブスや平民と同じクラスなんて。このクラス分けを考えた奴は馬鹿だろ。」
レオンは相変わらず、聞こえるくらい大きな声で嫌味を言う。
コイツと意見が一致するのは癪だが、俺達とレオンと同じクラスにした奴は滅びればいいと思う。
「はぁ。アイツさえいなかったら、最高のクラスなんだけど。みんなゴメンね。アイツ、家同士が対立しているからか、なにかと私に因縁をつけてくるの。」
「別にカタリーナちゃんが謝る必要ないよ。もう見慣れちゃったし。」
「それより、今日からの授業、楽しみだね。まさか担任の先生があのシヴァさんだなんて、ビックリだよ。」
本当にビックリだ。
何が悲しくて、俺を転生させたヤツの授業を受けなければいけないんだ。
「『あのシヴァさん』って、ホリーくんはレイブン先生と知り合いなの?」
「うん。シヴァさんとはライトニング領で一回会ったことがあるんだ。その時、タクトくんとライラさんも一緒にいたよ。」
「そうそう。ライトニング領で元・勇者一行が集まってパーティをやってさ。なんだかんだで、あの日、楽しかったよな。」
「ライトニング領ってことは、フレイくんもいたの?」
「いえ、僕は体調不良で欠席していました。だからシヴァさんと会うのは昨日が初めてです。」
正確には『この姿で』だけどな。
「はいはーい!みんなー、席についてー!」
雑談をしていると、担任のシヴァが教室に入ってきた。
それと同時にチャイムが鳴る。
もうそんな時間か。
生徒は全員、自分の席についた。
「それじゃあ今日は、魔法の基礎について勉強していこうね~!」
魔法の基礎か。かったるい。
家庭教師に教わったから、今さら覚える必要がない。
「先生!俺様のように由緒正しい貴族は、魔法の基礎は学習済みです。基礎を知らない平民とは違う授業を希望します。」
またレオンが、俺の気持ちを代弁するかのようなセリフを言う。
言ったのが他の誰かだったら同調できたが、コイツが言うと反論したくなる。
「え~!レオンくん、せっかちだねぇ。みんなで歩幅合わせて、勉強していこうよ!」
「無理に平民と歩幅を合わせるより、才能ある選ばれし者は、その才を伸ばす教育の方が良いのではないでしょうか?」
「うわぁ~。相変わらずイヤなヤツ。」
カタリーナの小言に、思わず首を縦に振る。
「う~ん。そう言われると、おじさん困っちゃうなぁ。....じゃあさ、思い切ってクラスのみんなに聞いてみようか。みんなで魔法の基礎から勉強するのに賛成な人、手を挙げて~!」
俺は迷わず手を挙げた。
基礎の勉強はどうでもいいが、レオンの思い通りになるのは癪に触る。
「ハハハッ!才能ゼロの半分平民じゃねえか!確かに貴様には基礎がお似合いだな!」
レオンとその取り巻きが俺を嘲笑う。
すると、俺の後に続くように、カタリーナも手を挙げた。
「私も、先生の意見に賛成です!そもそもこの学校は、平民や他国の人でも学べるように門戸を開いているので、基礎からの授業になるのは当然です。その方針に従えない人が、他校へ編入すればいいだけだと思います。」
レオンを睨みつけながら、カタリーナは意見した。
「俺も、基礎から学ぶわ。」
「私も!みんな一緒がいい!」
カタリーナに同調するように、タクトとライラも手を挙げた。
その流れに乗るように、他の生徒もぞろぞろと手を挙げ始める。
気がつくと、クラスの半数くらいが手を挙げていた。
「ハハ、困ったなぁ~....。見事に真っ二つに割れたね。じゃあ、そうだなぁ.....」
シヴァは顎に手を当てて考え込む。
「そうだ!じゃあ、今から出す課題ができた子だけ、基礎の授業を受けなくていいってことにしよっか!その代わり、魔法の授業中は、その子達に個別で課題を出すよ。それならいいかな?」
シヴァの提案に異議を唱える奴は誰もいなかった。
「反対は、なさそうだねぇ....あぁ~よかった!じゃあ早速課題を出すよ!」
すると教壇の周りに火・水・風・土・光・闇の6つの球が現れた。
さしずめ各属性の初級魔法、といったところか?
「今、ボクが出したのは各属性の初級魔法です。左から初級火魔法・初級水魔法・初級風魔法・初級土魔法・初級光魔法・初級闇魔法だよ。」
シヴァが出した魔法に、生徒は皆、驚嘆した。
「凄い....!あんなに簡単に出せるなんて!」
「流石、伝説の勇者パーティの一人だ。」
そんなに凄いか?
魔法を出したって言っても、たかだか初級魔法だろ。
「コレ全部できる子は、基礎の授業聞かなくていいよ!あ、でも不適性はできなくても大目にみるよ。やってみる子はいる?」
レオンとその取り巻き連中は、全員、手を挙げる。
「さすが、基礎は要らないって言うだけはあるねぇ!じゃあ、レオンくんから順番に見ていこうか。」
レオンは威勢よく教壇まで行くと、得意げに魔法を繰り出した。
「まぁ見とけよ、平民ども。..... 初級火魔法!」
そう言って出てきたのは、小さい火の玉だった。
さっきシヴァが出した初級火魔法は、小さいとはいえ子ども一人が収まりそうなくらいのサイズはあった。
だがレオンの出した火の玉は、人の頭くらいのサイズしかない。
あれだけ自信満々にやって、この程度か?
「ッハハハハハ!!」
あまりにもショボい初級火魔法に、笑いを堪えることができなかった。
「ど、どうしたのフレイくん?」
「だって、あれだけ僕のことを馬鹿にしてたくせに、あんな小さな火の玉しか出せないんですよ?あまりにも滑稽じゃないですか。」
だけど、笑っているのは俺だけで、他の全員はきょとんとした顔で俺を見ていた。
基礎を習ってなさそうなライラ達なら、レオンの魔法の貧弱さが伝わらなくても仕方ない。
でもカタリーナや殿下まで「俺の方が変」と言わんばかりの目を向けてくるのは、おかしいだろ!
「はぁ?!才能ゼロの分際で偉そうな口叩いてんじゃねぇよ!」
レオンは顔を真っ赤にして俺を睨みつけた。
「だったら、貴様もやってみろよ!」
「えぇ~。僕は基礎から勉強したいので、課題は遠慮しますよ。合格しちゃったら授業が受けられなくなってしまうので。」
「それだったらフレイくんは、課題の結果に関係なく基礎の授業を受けても良いよ♪むしろ大歓迎さ!」
「だとよ、半分平民。俺様の初級火魔法を嘲笑うくらいだから、当然、俺様以上の初級火魔法ができるんだろうな?」
「まさか、できないクセに笑ったわけじゃねーだろ?」
「俺達は何日でも待ってやるよ!フレイくんがレオン様以上の初級火魔法を使うところをよ!」
レオンとその取り巻き達は、ここぞとばかりに俺を煽ってきた。
煽ってくる内容が楽勝すぎて、むしろ前フリのように感じる。
俺は言われた通り、シヴァがさっきやった魔法を、そっくりそのまま再現してみせた。
「コレで良いですか?」
「コレで...って、え?」
目の前の光景に、さっきまで意気揚々と煽っていたレオン達は、口をぽかんと開けて固まった。
「嘘でしょ....?!」
「信じられない...!」
俺の魔法を見て驚いたのはレオン達だけじゃなかった。
むしろクラスの全員が驚いて、その場が一瞬、静かになった。
...それにしても、基礎を習っているハズのカタリーナ達や教師のシヴァが驚くのは、おかしくないか?
「コレやったの、先生、ですよね?先生、このタイミングでもう一回出すなんて、冗談が過ぎますよ。」
あまりにも信じたくない光景だったからか、レオンはシヴァがやったと思い込んだ。
「いやいやいや!ボクじゃないよ?!むしろボクもビックリだよ!」
「こうしたら、信じてもらえますかね?」
俺はさっき出した6属性の球を使って、「レオンはまぬけ」と表してやった。
「レ、オ、ン、は、ま、ぬ、け....?!ふざけるな、貴様!」
すると教室中が笑い声で溢れた。
笑っていないのはレオン達くらいだった。
「はいは~い!レオンくんからかうのはそこまでだよ、フレイくん。それにしてもキミ、凄い才能だねぇ~!さすがセージャちゃんの甥っ子くんだ!それじゃあ、他の子の魔法も見ていこうか。次にやってみたい子はだれ?」
あれ?
さっきまで威勢よく課題をやると言っていた連中が、一斉に引き下がった。
「あれぇ..?!みんな、もう課題はしないの?もしかして『フレイくんみたいにできないから無理!』とか思っていない?
フレイくんがすごく特殊なだけで、課題さえ出来ていたら良いんだからね?!
誰もあんな高度な魔法を求めてないよ?
さっきの課題は無詠唱じゃなくても全然問題ないよ。
むしろ無詠唱なんか、かなりの熟練じゃないと無理だから、そこまでは求めてないよ。
それに魔法は1つずつ発動して良いんだからね?
6つ同時に発動するなんて荒技、上級生でもなかなかできないから!
あと初級魔法って言ったけど、ボクが出したのは実質中級魔法くらいの大きさだよ!
魔法って極めていくと初級の魔法でも無意識のうちにだんだん強くなっちゃうからね。
レオンくんが出した初級火魔法でも、普通より大きい方だよ!」
なるほど。
魔法自体は簡単だけど、色んな要素が入り混じって難易度が高くなっていたのか。
それで「さすがシヴァ」とか言われていたのか。
「あと『あんな凄い魔法が使えたフレイくんですら、基礎から勉強するって言っているのに、自分なんかが....』なんて思わなくても良いんだからね?
不適性以外の全ての初級魔法が使えたら、基礎は勉強しなくても大丈夫だよ!」
シヴァはフォローのつもりで言ったのかもしれないが、余計に言い出し辛くなったんじゃないか?
シヴァは長々と説明したものの、とうとう課題に挑戦しようという奴は現れなかった。
あのレオン達ですら、舌打ちしながら課題を放棄した。
「もう課題にチャレンジする子はいない....ってことは、合格者はフレイくんだけか。あ、そういえばレオンくんは、課題は途中までしかやってなかったね!続き、する?」
「いや....いいです。」
無理もない。
あれだけ俺の事を罵倒していたからな。
俺以上の魔法が出せなかったら、公開処刑に等しいレベルの恥をかくことになる。
「そう?じゃあ唯一の合格者のフレイくんも、基礎を勉強するって言っているし、当初予定通りに基礎の勉強から始めるね~!」
シヴァは仕切り直して、授業を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる