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第11話:永久睡眠
【38】永久睡眠(5)
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宮藤くんの家は、私の家からそう遠くない距離にあった。
というか、私と同じ紫陽花市に住んでいたなんて意外だ。
もしかしたら生前、彼とどこかですれ違っていたかもしれない。
「もうすぐだ。あそこのボロアパートが俺の根城だ。」
宮藤くんが指差したのは、廃墟と言っても過言ではないくらい古びたアパートだった。
築50年くらいはありそうな古い外観で、雑草が建物を覆うように生い茂っている。
今にも幽霊が出てきそうなアパートだけど、宮藤くんは住人だからか躊躇うことなく足を踏み入れる。
私と殿下とアリーシャ様は、恐る恐る、宮藤くんについて行く形でアパートへ向かった。
階段を昇って2階へ行き、ボケた字で「宮藤」と書かれた部屋の扉を開ける。
すると中は、引っ越した後のように物が少なかった。
洗濯機や冷蔵庫などの生活必需品すら置いていなかった。
強いて言えば、ボロボロの毛布や衣類、空き缶なんかがあるだけだ。
これだけ物が少ないのに、掃除していないからか、部屋の中はとても埃っぽい。
「宮藤くん、もうちょっとは部屋の掃除をしなさいよ。」
私は部屋の電気をつけようとしたが、電気がつかない。
「アレ?なんで??」
「お前なぁ。空き家なんだから電気も水も通ってるワケねぇだろ。」
「空き家って...不法占拠ってこと?!」
それ、堂々という事じゃ無いでしょ。
つくづく、宮藤くんのモラルの無さには驚かされる。
「まぁ、いいわ。それより宮藤くん、久々の我が家はどう?」
「あぁ?どうもクソもねーよ。」
「えっ?久しぶりに来たかったんじゃないの?」
「ハッ!あんな嘘を間に受けるなんて、お前はやっぱり馬鹿だな。今更こんなボロアパートに未練なんかあるワケねぇだろ!」
「じゃあ、なんで?」
「お前を起こすために決まってんだろ。」
すると、玄関からガチャガチャと音が聞こえた。
振り向くと、アリーシャ様がドアノブを握って扉を押していた。
「ダメですわ。扉が開きません。」
「ウソ!」
それを聞いた私は、アリーシャ様と一緒に扉を開けようとするも、扉は開く気配がない。
「みんな、窓も頑丈に閉まっているよ!」
「えっ?」
私は咄嗟に近くの窓を開けようとした。
しかし、殿下の言うとおり窓はびくともしない。
そんな。
これじゃあ、永遠にこの部屋から出られないわ!
「やっぱり。思ったとおりだ!」
「思ったとおりって....宮藤くん、どういう事?」
「ここはもう、カタリーナの夢の中じゃねえって事だ。」
私の夢じゃない?なに言ってるの?
私は起きたつもりはないし、ここが現実世界であるはずがない。
「つまり、ここは俺の夢ってことだ。ボロアパートに来れば、カタリーナの夢から俺の夢に移動できるんじゃねえかと思って来てみたが、ビンゴだったみたいだな。」
ここが宮藤くんの夢、ですって?
そんな簡単に、別の人の夢に移動できるものなの?
「なんで宮藤くんの夢だって断言できるの?」
「こんなクソ汚ねえ部屋、俺の夢じゃなけりゃ再現できないだろ。
それにボロアパートに閉じ込められたのは、多分俺が『カタリーナをここから逃さねえ』って思っているからなんじゃねえか?」
確かに、こんなボロアパートは記憶にないから、ここは宮藤くんの夢だって言われたら納得かも。
「仮に、カタリーナの夢からクドージンさんの夢に移動できたのだとしたら、この世界は4人の夢が繋がった世界なのかな?」
「さぁ?知らねー。」
「もしかして、レックス殿下が住まれている宮殿やフォージー侯爵邸に行けば、レックス殿下や私の夢の中にも入れたのでしょうか?」
「多分、そうなんじゃね?」
はっきりしない答えね。
「とにかく、ここは俺の夢だ。ってことは、俺が起きようと思えば、現実世界に戻れるってワケだ!」
しまった!
私はワールドチェンジで自分の夢に戻れないか試したけど無駄だった。
このまま夢から覚めてしまう。
そう覚悟した。
.....が、しかし、夢から覚めることはなかった。
「はぁ?どういうことだ!」
「もしかして、僕らの夢が繋がっているだけで、起きるための条件は変わってないんじゃないかな?」
「つまり、ここがクドージンさんの夢であっても、カタリーナ様が起きようと思わないと現実世界に戻れないってことでしょうか?」
「っざけんな!....まぁいい。それならカタリーナが起きるまで永遠にここに閉じ込めりゃいい。おい、カタリーナ。ボロアパートから出たかったら、さっさと起きろ!」
夢の世界から覚めなかったのはいいけれど、ボロアパートに閉じ込められた状況をなんとかしないと。
待てよ?
何もしなくても、ずっとここに居れば宮藤くんも退屈に耐えられなくなって、外に出ようとするんじゃないかしら?
言わばこれは、宮藤くんとの忍耐勝負だ。
「あれ?みんな、身体が段々透けてるよ?」
「え?」
「そう言う殿下も、身体が透明になっております。」
「嘘っ?!」
殿下に言われて自分の身体を見てみると、確かに透けていた。
よく見ると、徐々に身体が透明に近づいている。
「クドージンさん、これは一体どういうことですか?」
「知るか!」
宮藤くんにも分からない現象らしい。
そう話している間にも身体はどんどん透けていき、ついには誰の姿も見えなくなった。
姿が消えたせいか、みんなの声も聞こえなくなった。
「本当に、何が起こっているの...?」
呆然と部屋の中で立ち尽くしていると、部屋の内装が徐々に変わった。
さっきまでの生活感のない部屋から、散らかってはいるものの生活感のある部屋に変わった。
さっきまで無かった生活必需品があるのはもちろん、洗われずに溜まった食器や、散らかったまま放置されているノートと漢字ドリルがある。
外が暗いからか、つかないハズの電気がついている。
すると突然、隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら誰かが喧嘩をしているらしい。
「いちいちうるさいわね!こっちは家事と迅の世話で忙しいの!!文句があるならアンタがしなさいよ!」
「うっせー!女のクセに口ごたえすんな!誰のおかげで生活できてると思ってんだ!」
「はぁ?生活費全然入れていないクセに偉そうにしないで!パチンコで溶かす金があるんだったら家にお金を入れなさいよ!」
「俺が稼いだ金に口出しすんじゃねーよ!カスが!!」
話の内容からして、夫婦喧嘩のようだ。
扉越しでも、今にも殴り合いになりそうなくらいの修羅場なのがよく分かる。
女性が「迅の世話」って言っていたけど、もしかしてコレって宮藤くんの過去?
すると男性が地面を蹴るように強く叩きながら、こっちの部屋にやってきた。
そして扉から現れた男性と目が合う。
「なんだ!その目は!」
男性は突然、私のお腹に強烈な蹴りを入れてきた。
痛い!
痛い痛い痛い!!
あまりにも強い蹴りに、胃の中のものを全て吐き出しそうになる。
痛みでうずくまっている私のことなどお構いなしに、男性は何度も蹴りを入れてきた。
怖い。そして痛い。
お願いだから、早く過ぎ去って欲しい。
すると、どこからか泣き声が聞こえてきた。
この声は、子ども?
気になって少し顔を上げると、蹴りを入れている人物がいつの間にか女性に変わっていた。
「あぁもう!!うるさい!うるさい!黙れ黙れ黙れ!!」
女性はヒステリックに喚きながら、何度も何度も蹴りを入れてきた。
そして蹴りが終わったかと思ったら、今度は頭を掴んできた。
「アンタが!口で言っても!わからない!バカだから!!
叩いて!覚えさせて!いるんでしょうが!!」
女性は怒鳴りながら、何度も何度も、机に頭を叩きつける。
あまりの痛さに私は、意識が飛んでしまった。
そして目が覚めたと思ったら、真っ白い部屋の中にいた。
あたりを見回してみる。
どうやら、ここは病院らしい。
病院の廊下で、誰かが話しているのが聞こえてきた。
「ねぇ、ご存知?あそこの病室の子、この前ニュースになっていた男の子なんですって。」
「ニュースの男の子って....もしかして、すぐそこのアパートで虐待で捕まった夫婦の子?」
「そう!それよ!意識不明の重体から、奇跡的に回復したんですって!」
「そうなの?良かったわ。孫と同じくらいの子どもが死ぬニュースなんて、聞きたくないもの。」
「わかるわ、その気持ち。ただ、ちょっと気になったんだけどあの子って、退院したらどうなるのかしら?私が知る限り、誰もあの子の見舞いに来ていないみたいだし。」
「さぁ。両親は虐待で逮捕されたんだから、少なくとも両親とは離れて生活するんじゃないかしら。親戚の家に行くとか、両親以外の身内がいなかったら養護施設に行くとか。」
そのセリフを聞いた途端、私の中に強い感情が流れてくるのを感じた。
「もう殴られずに済む」という少しの安堵感と、「養護施設で生きていく」ことへの果てしない不安。
コレって、宮藤くんが当時感じた気持ち?
じゃあ、さっきの痛みも宮藤くんが当時受けた痛みなの?
すると、いつの間にか病院とは違う場所に変わっていた。
周りを見渡した感じ、ここは小学校かしら?
目の前に置かれた机だけ、やけに汚い。
机には低俗な落書きだけでなく、「しね」とか「キモい」とまで書かれていた。
「やーい!親なし宮藤!」
「親なし!親なし!」
「こんなキモいやつ、親に捨てられて当然だよな!」
クラス中から、宮藤くんを嘲笑う声が響く。
そして、さっきまで宮藤くんを馬鹿にしていた子が私を....いえ、宮藤くんを突き飛ばした。
突き飛ばされた宮藤くんは床に倒れ、そんな彼を何人かの男の子たちが足蹴にする。
「親父が言ってたけど、親がいないヤツってロクな大人になんねぇんだって!だからコイツも社会のゴミ確定じゃん!」
「コイツがいる施設に行ってみたことあるけど、ロクでもないヤツばっかりだったぜ!」
「うわー!施設のヤツってゴミばっかなんだ。施設って社会のゴミ箱じゃん!」
「ゴーミ!ゴーミ!」
「社会のゴミが、俺達とおんなじ学校来てんじゃねーよ!」
男の子達は蹴りながら罵詈雑言を浴びせる。
親がいないって、宮藤くんじゃどうにも出来ないことなのに。
そんな理由でいじめてくるなんて、理不尽だ。
蹴られた痛みは、両親に蹴られた時よりかは痛くない。
でも、あの時よりも精神的に辛く感じるのはなぜ?
そうか。
さっきの話から察するに、宮藤くんは養護施設に入ったんだ。
慣れない施設での暮らしに、学校でのいじめ。
心が落ち着ける時間が一切ないから、余計に辛く感じるんだ。
するとまた、宮藤くんの感情が流れてきた。
(コイツらが俺を殴ってもいいように、俺がコイツらを殴ってもいいんじゃないか?)
....コレは感情というより、彼の考え?
その考えがよぎった時、宮藤くんは立ち上がった。
そして近くにあった机を持ち出して、蹴り飛ばしていた男の子達に、何度も何度も殴りかかった。
と同時に、ゲームで強敵に勝った時のような爽快感が心を支配した。
すると時間が経過したのか、外はすっかり夕方になっていた。
教室にいるのは殴った男の子達と、大人が数人だけで、他の生徒はいなくなっていた。
「まったく!これだから親のいない子どもは!」
「「申し訳ありませんでした!」」
保護者と思われる大人に頭を掴まれて、無理矢理頭を下げさせられた。
「ウチの子が万が一大怪我になっていたら、どう責任を取ってくれるんですか!」
「本当に申し訳ありません。この子には言い聞かせますので。ホラ、宮藤くんもちゃんと謝りなさい。」
「でも....」
「『でも』じゃありません!」
「ヒトを怪我させたくせに謝罪も碌にできないなんて、おたくの施設はどういう教育しているんですか!」
「本当に、申し訳ありません。ちゃんと教育しますので...」
「だって、そいつらが先に殴ってきたのに....」
「今はウチの子は関係ないでしょ!」
「それに殴ってきたからといって、殴り返していいわけがないでしょ!」
今のやり取りで、宮藤くんの怒りの感情が私に流れてくる。
(俺が殴られてる時は誰も何もしなかったのに、俺が殴ったら怒るのかよ!)
その考えが流れてきたかと思うと、宮藤くんはまた机を持ってあたり構わず振り回し始めた。
そして周りの人達が傷ついているのを見ると、怒りが緩和された。
(俺は間違ってない。間違ってるのはコイツらの方だ。
それにコイツらみたいに恵まれたヤツが不幸になれば、不平等がなくなるから世界にとってもいいことじゃん。だから、絶対に謝るもんか。)
宮藤くんはこの後も、保護者や先生ですら手が付けられないくらい暴れた。
この悪夢は、いつまで続くの?
いつになれば、宮藤くんはこの悪夢から抜け出せれるの?
もしかして、この先もずっとこんな感じの人生なの?
そんなの、耐えられない。
お願い!これ以上の悪夢はやめて!
こんな夢、早く覚めて!
そう強く願った瞬間、私は気がつくとベットの上で横たわっていた。
「ここは、夢....?」
私は上半身を起こして周りを見る。
殿下とアリーシャ様と宮藤くんが、椅子に座った状態で上半身を私のベッドにうつ伏せにして眠っていた。
どうやら、ここは医務室で、私は夢から覚めたらしい。
私は改めて夢での出来事を思い出す。
『宮藤くんだって、前世が恋しくなったことくらい、絶対あるでしょ?』
『無いね!一度も!』
アレって、あながち嘘じゃなかったんだ。
実の両親に虐待されて。
養護施設に入って。
学校では、そのせいでいじめられて。
そんな暗い人生が続いていたのなら、前世が恋しく思わなくても仕方ない。
『じゃあ宮藤くんの人生は、とっても残念だったのね!』
『そんな寂しい人生を送っていたなんて、宮藤くん、とっても可哀想!』
なんで私、あんな酷いこと言っちゃったんだろう。
宮藤くんだって、好きであんな人生を送っていたわけじゃないのに。
そんなことを考えていると、宮藤くんがもぞもぞと動き始めた。
どうやら目を覚ましたようだ。
宮藤くんは起き上がるとノビをして、私の顔を見るなり舌打ちをした。
「やっと起きたか、バカ女。」
「宮藤くんっ!」
宮藤くんは私が起きたのを確認すると、そそくさと立ち去ろうとした。
「待って!宮藤くん!」
「うるさい。お前の話は聞きたくない。」
「ごめん!!」
私は大声で謝罪すると、宮藤くんは足を止めてくれた。
そして振り向いて、私の顔を見る。
「宮藤くん、せっかく起こしに来てくれたのに、あんなことを言って、本当にごめんなさい!
もしかしたら私と一緒に夢の中に閉じ込められていたかもしれないのに。そんなリスクを負ってまで、私を起こそうとしてくれていたのに。それなのに、私、あんな酷いことを....」
宮藤くんが生前、どれだけ辛い思いをして生きていたか知らなかった。
でも知らなかったで済む問題じゃない。
どうして私は、宮藤くんの傷ついた心に追い打ちをかけるようなことを言ってしまったんだろう。
気がついたら目頭が熱くなっていた。
「.....ップ!」
すると宮藤くんは、クスクスと笑い始めた。
「お前、そこまでマジになって謝るようなことかよ。」
「えっ、でも...」
「それにお前の言う通り、残念な人生だったことには変わりないしな。」
「っ!」
「ま、今日のことは許しといてやるよ。お前の間抜け面見てたら、イラついているのが馬鹿らしくなったし。」
「宮藤くん...。」
「じゃあな。」
宮藤くんはいつもと同じように、あっという間にいなくなった。
それから少しして、殿下とアリーシャ様も目を覚ました。
目覚めた二人の顔は、どこか悲しそうだった。
「殿下、アリーシャ様、おはようございます。」
「あ、あぁ。カタリーナか。おはよう。」
「おはよう、ございます...。」
「お二人とも、どうかなされましたか?」
「....実は、見てしまったんだ。」
「見たって、何をですか?」
「クドージンさんの過去だよ。」
えっ?
殿下もあの夢を?
「殿下も、彼の夢を見たのですか?」
「えっ!アリーシャ嬢もかい?」
「....実は、私もです。」
「カタリーナも?!」
どうやら3人とも、宮藤くんの夢を見てしまったらしい。
「彼の夢は悪夢だ。あの夢を見ている間、何度も何度も目が覚めて欲しいと思ったよ。でも実際にされたわけじゃないから、まだマシなのかもしれない。実際にあんな人生を送った彼に比べたら....」
「クドージンさんの夢を見て、心が張り裂けそうになりましたわ。彼が世界を滅ぼしたくなる気持ちも、今なら少し理解できます。」
「そんな彼に、私はなぜあんな酷いことを言ってしまったのでしょう。彼は許してくれましたが、私は、自分が許せません。」
自分の軽率な発言を思い出し、私は自己嫌悪に苛まれた。
そして場は、お通夜のように静かで思い空気になった。
そんな状態が続いた後、殿下はそっと口を開いた。
「...彼は今、幸せなのかな?」
「え?」
「ふと、ゼルくんとそんな会話をしたのを思い出してさ。あの時は深く考えていなかったけど、実際はどうなんだろうって思って。」
確かにゼルくんと殿下で、そんな会話をした記憶がある。
あの夢を見た後だからか、宮藤くんが幸せになっていて欲しいって強く思う。
正確には、これ以上彼が辛い目に遭うのは見ていられない。
「...きっと彼のことですから、幸せになっていますよ。多分彼、今頃パフェとか食べてますよ、きっと。」
「ふふっ、パフェですか。」
「そして、今夜はとっても幸せな夢を見ながら寝るのです。」
「はは、そうだといいね。」
私の言葉で、さっきまでの重い空気が緩くなり、二人に笑顔が戻った。
彼が今、本当に幸せだったら、いいな。
というか、私と同じ紫陽花市に住んでいたなんて意外だ。
もしかしたら生前、彼とどこかですれ違っていたかもしれない。
「もうすぐだ。あそこのボロアパートが俺の根城だ。」
宮藤くんが指差したのは、廃墟と言っても過言ではないくらい古びたアパートだった。
築50年くらいはありそうな古い外観で、雑草が建物を覆うように生い茂っている。
今にも幽霊が出てきそうなアパートだけど、宮藤くんは住人だからか躊躇うことなく足を踏み入れる。
私と殿下とアリーシャ様は、恐る恐る、宮藤くんについて行く形でアパートへ向かった。
階段を昇って2階へ行き、ボケた字で「宮藤」と書かれた部屋の扉を開ける。
すると中は、引っ越した後のように物が少なかった。
洗濯機や冷蔵庫などの生活必需品すら置いていなかった。
強いて言えば、ボロボロの毛布や衣類、空き缶なんかがあるだけだ。
これだけ物が少ないのに、掃除していないからか、部屋の中はとても埃っぽい。
「宮藤くん、もうちょっとは部屋の掃除をしなさいよ。」
私は部屋の電気をつけようとしたが、電気がつかない。
「アレ?なんで??」
「お前なぁ。空き家なんだから電気も水も通ってるワケねぇだろ。」
「空き家って...不法占拠ってこと?!」
それ、堂々という事じゃ無いでしょ。
つくづく、宮藤くんのモラルの無さには驚かされる。
「まぁ、いいわ。それより宮藤くん、久々の我が家はどう?」
「あぁ?どうもクソもねーよ。」
「えっ?久しぶりに来たかったんじゃないの?」
「ハッ!あんな嘘を間に受けるなんて、お前はやっぱり馬鹿だな。今更こんなボロアパートに未練なんかあるワケねぇだろ!」
「じゃあ、なんで?」
「お前を起こすために決まってんだろ。」
すると、玄関からガチャガチャと音が聞こえた。
振り向くと、アリーシャ様がドアノブを握って扉を押していた。
「ダメですわ。扉が開きません。」
「ウソ!」
それを聞いた私は、アリーシャ様と一緒に扉を開けようとするも、扉は開く気配がない。
「みんな、窓も頑丈に閉まっているよ!」
「えっ?」
私は咄嗟に近くの窓を開けようとした。
しかし、殿下の言うとおり窓はびくともしない。
そんな。
これじゃあ、永遠にこの部屋から出られないわ!
「やっぱり。思ったとおりだ!」
「思ったとおりって....宮藤くん、どういう事?」
「ここはもう、カタリーナの夢の中じゃねえって事だ。」
私の夢じゃない?なに言ってるの?
私は起きたつもりはないし、ここが現実世界であるはずがない。
「つまり、ここは俺の夢ってことだ。ボロアパートに来れば、カタリーナの夢から俺の夢に移動できるんじゃねえかと思って来てみたが、ビンゴだったみたいだな。」
ここが宮藤くんの夢、ですって?
そんな簡単に、別の人の夢に移動できるものなの?
「なんで宮藤くんの夢だって断言できるの?」
「こんなクソ汚ねえ部屋、俺の夢じゃなけりゃ再現できないだろ。
それにボロアパートに閉じ込められたのは、多分俺が『カタリーナをここから逃さねえ』って思っているからなんじゃねえか?」
確かに、こんなボロアパートは記憶にないから、ここは宮藤くんの夢だって言われたら納得かも。
「仮に、カタリーナの夢からクドージンさんの夢に移動できたのだとしたら、この世界は4人の夢が繋がった世界なのかな?」
「さぁ?知らねー。」
「もしかして、レックス殿下が住まれている宮殿やフォージー侯爵邸に行けば、レックス殿下や私の夢の中にも入れたのでしょうか?」
「多分、そうなんじゃね?」
はっきりしない答えね。
「とにかく、ここは俺の夢だ。ってことは、俺が起きようと思えば、現実世界に戻れるってワケだ!」
しまった!
私はワールドチェンジで自分の夢に戻れないか試したけど無駄だった。
このまま夢から覚めてしまう。
そう覚悟した。
.....が、しかし、夢から覚めることはなかった。
「はぁ?どういうことだ!」
「もしかして、僕らの夢が繋がっているだけで、起きるための条件は変わってないんじゃないかな?」
「つまり、ここがクドージンさんの夢であっても、カタリーナ様が起きようと思わないと現実世界に戻れないってことでしょうか?」
「っざけんな!....まぁいい。それならカタリーナが起きるまで永遠にここに閉じ込めりゃいい。おい、カタリーナ。ボロアパートから出たかったら、さっさと起きろ!」
夢の世界から覚めなかったのはいいけれど、ボロアパートに閉じ込められた状況をなんとかしないと。
待てよ?
何もしなくても、ずっとここに居れば宮藤くんも退屈に耐えられなくなって、外に出ようとするんじゃないかしら?
言わばこれは、宮藤くんとの忍耐勝負だ。
「あれ?みんな、身体が段々透けてるよ?」
「え?」
「そう言う殿下も、身体が透明になっております。」
「嘘っ?!」
殿下に言われて自分の身体を見てみると、確かに透けていた。
よく見ると、徐々に身体が透明に近づいている。
「クドージンさん、これは一体どういうことですか?」
「知るか!」
宮藤くんにも分からない現象らしい。
そう話している間にも身体はどんどん透けていき、ついには誰の姿も見えなくなった。
姿が消えたせいか、みんなの声も聞こえなくなった。
「本当に、何が起こっているの...?」
呆然と部屋の中で立ち尽くしていると、部屋の内装が徐々に変わった。
さっきまでの生活感のない部屋から、散らかってはいるものの生活感のある部屋に変わった。
さっきまで無かった生活必需品があるのはもちろん、洗われずに溜まった食器や、散らかったまま放置されているノートと漢字ドリルがある。
外が暗いからか、つかないハズの電気がついている。
すると突然、隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら誰かが喧嘩をしているらしい。
「いちいちうるさいわね!こっちは家事と迅の世話で忙しいの!!文句があるならアンタがしなさいよ!」
「うっせー!女のクセに口ごたえすんな!誰のおかげで生活できてると思ってんだ!」
「はぁ?生活費全然入れていないクセに偉そうにしないで!パチンコで溶かす金があるんだったら家にお金を入れなさいよ!」
「俺が稼いだ金に口出しすんじゃねーよ!カスが!!」
話の内容からして、夫婦喧嘩のようだ。
扉越しでも、今にも殴り合いになりそうなくらいの修羅場なのがよく分かる。
女性が「迅の世話」って言っていたけど、もしかしてコレって宮藤くんの過去?
すると男性が地面を蹴るように強く叩きながら、こっちの部屋にやってきた。
そして扉から現れた男性と目が合う。
「なんだ!その目は!」
男性は突然、私のお腹に強烈な蹴りを入れてきた。
痛い!
痛い痛い痛い!!
あまりにも強い蹴りに、胃の中のものを全て吐き出しそうになる。
痛みでうずくまっている私のことなどお構いなしに、男性は何度も蹴りを入れてきた。
怖い。そして痛い。
お願いだから、早く過ぎ去って欲しい。
すると、どこからか泣き声が聞こえてきた。
この声は、子ども?
気になって少し顔を上げると、蹴りを入れている人物がいつの間にか女性に変わっていた。
「あぁもう!!うるさい!うるさい!黙れ黙れ黙れ!!」
女性はヒステリックに喚きながら、何度も何度も蹴りを入れてきた。
そして蹴りが終わったかと思ったら、今度は頭を掴んできた。
「アンタが!口で言っても!わからない!バカだから!!
叩いて!覚えさせて!いるんでしょうが!!」
女性は怒鳴りながら、何度も何度も、机に頭を叩きつける。
あまりの痛さに私は、意識が飛んでしまった。
そして目が覚めたと思ったら、真っ白い部屋の中にいた。
あたりを見回してみる。
どうやら、ここは病院らしい。
病院の廊下で、誰かが話しているのが聞こえてきた。
「ねぇ、ご存知?あそこの病室の子、この前ニュースになっていた男の子なんですって。」
「ニュースの男の子って....もしかして、すぐそこのアパートで虐待で捕まった夫婦の子?」
「そう!それよ!意識不明の重体から、奇跡的に回復したんですって!」
「そうなの?良かったわ。孫と同じくらいの子どもが死ぬニュースなんて、聞きたくないもの。」
「わかるわ、その気持ち。ただ、ちょっと気になったんだけどあの子って、退院したらどうなるのかしら?私が知る限り、誰もあの子の見舞いに来ていないみたいだし。」
「さぁ。両親は虐待で逮捕されたんだから、少なくとも両親とは離れて生活するんじゃないかしら。親戚の家に行くとか、両親以外の身内がいなかったら養護施設に行くとか。」
そのセリフを聞いた途端、私の中に強い感情が流れてくるのを感じた。
「もう殴られずに済む」という少しの安堵感と、「養護施設で生きていく」ことへの果てしない不安。
コレって、宮藤くんが当時感じた気持ち?
じゃあ、さっきの痛みも宮藤くんが当時受けた痛みなの?
すると、いつの間にか病院とは違う場所に変わっていた。
周りを見渡した感じ、ここは小学校かしら?
目の前に置かれた机だけ、やけに汚い。
机には低俗な落書きだけでなく、「しね」とか「キモい」とまで書かれていた。
「やーい!親なし宮藤!」
「親なし!親なし!」
「こんなキモいやつ、親に捨てられて当然だよな!」
クラス中から、宮藤くんを嘲笑う声が響く。
そして、さっきまで宮藤くんを馬鹿にしていた子が私を....いえ、宮藤くんを突き飛ばした。
突き飛ばされた宮藤くんは床に倒れ、そんな彼を何人かの男の子たちが足蹴にする。
「親父が言ってたけど、親がいないヤツってロクな大人になんねぇんだって!だからコイツも社会のゴミ確定じゃん!」
「コイツがいる施設に行ってみたことあるけど、ロクでもないヤツばっかりだったぜ!」
「うわー!施設のヤツってゴミばっかなんだ。施設って社会のゴミ箱じゃん!」
「ゴーミ!ゴーミ!」
「社会のゴミが、俺達とおんなじ学校来てんじゃねーよ!」
男の子達は蹴りながら罵詈雑言を浴びせる。
親がいないって、宮藤くんじゃどうにも出来ないことなのに。
そんな理由でいじめてくるなんて、理不尽だ。
蹴られた痛みは、両親に蹴られた時よりかは痛くない。
でも、あの時よりも精神的に辛く感じるのはなぜ?
そうか。
さっきの話から察するに、宮藤くんは養護施設に入ったんだ。
慣れない施設での暮らしに、学校でのいじめ。
心が落ち着ける時間が一切ないから、余計に辛く感じるんだ。
するとまた、宮藤くんの感情が流れてきた。
(コイツらが俺を殴ってもいいように、俺がコイツらを殴ってもいいんじゃないか?)
....コレは感情というより、彼の考え?
その考えがよぎった時、宮藤くんは立ち上がった。
そして近くにあった机を持ち出して、蹴り飛ばしていた男の子達に、何度も何度も殴りかかった。
と同時に、ゲームで強敵に勝った時のような爽快感が心を支配した。
すると時間が経過したのか、外はすっかり夕方になっていた。
教室にいるのは殴った男の子達と、大人が数人だけで、他の生徒はいなくなっていた。
「まったく!これだから親のいない子どもは!」
「「申し訳ありませんでした!」」
保護者と思われる大人に頭を掴まれて、無理矢理頭を下げさせられた。
「ウチの子が万が一大怪我になっていたら、どう責任を取ってくれるんですか!」
「本当に申し訳ありません。この子には言い聞かせますので。ホラ、宮藤くんもちゃんと謝りなさい。」
「でも....」
「『でも』じゃありません!」
「ヒトを怪我させたくせに謝罪も碌にできないなんて、おたくの施設はどういう教育しているんですか!」
「本当に、申し訳ありません。ちゃんと教育しますので...」
「だって、そいつらが先に殴ってきたのに....」
「今はウチの子は関係ないでしょ!」
「それに殴ってきたからといって、殴り返していいわけがないでしょ!」
今のやり取りで、宮藤くんの怒りの感情が私に流れてくる。
(俺が殴られてる時は誰も何もしなかったのに、俺が殴ったら怒るのかよ!)
その考えが流れてきたかと思うと、宮藤くんはまた机を持ってあたり構わず振り回し始めた。
そして周りの人達が傷ついているのを見ると、怒りが緩和された。
(俺は間違ってない。間違ってるのはコイツらの方だ。
それにコイツらみたいに恵まれたヤツが不幸になれば、不平等がなくなるから世界にとってもいいことじゃん。だから、絶対に謝るもんか。)
宮藤くんはこの後も、保護者や先生ですら手が付けられないくらい暴れた。
この悪夢は、いつまで続くの?
いつになれば、宮藤くんはこの悪夢から抜け出せれるの?
もしかして、この先もずっとこんな感じの人生なの?
そんなの、耐えられない。
お願い!これ以上の悪夢はやめて!
こんな夢、早く覚めて!
そう強く願った瞬間、私は気がつくとベットの上で横たわっていた。
「ここは、夢....?」
私は上半身を起こして周りを見る。
殿下とアリーシャ様と宮藤くんが、椅子に座った状態で上半身を私のベッドにうつ伏せにして眠っていた。
どうやら、ここは医務室で、私は夢から覚めたらしい。
私は改めて夢での出来事を思い出す。
『宮藤くんだって、前世が恋しくなったことくらい、絶対あるでしょ?』
『無いね!一度も!』
アレって、あながち嘘じゃなかったんだ。
実の両親に虐待されて。
養護施設に入って。
学校では、そのせいでいじめられて。
そんな暗い人生が続いていたのなら、前世が恋しく思わなくても仕方ない。
『じゃあ宮藤くんの人生は、とっても残念だったのね!』
『そんな寂しい人生を送っていたなんて、宮藤くん、とっても可哀想!』
なんで私、あんな酷いこと言っちゃったんだろう。
宮藤くんだって、好きであんな人生を送っていたわけじゃないのに。
そんなことを考えていると、宮藤くんがもぞもぞと動き始めた。
どうやら目を覚ましたようだ。
宮藤くんは起き上がるとノビをして、私の顔を見るなり舌打ちをした。
「やっと起きたか、バカ女。」
「宮藤くんっ!」
宮藤くんは私が起きたのを確認すると、そそくさと立ち去ろうとした。
「待って!宮藤くん!」
「うるさい。お前の話は聞きたくない。」
「ごめん!!」
私は大声で謝罪すると、宮藤くんは足を止めてくれた。
そして振り向いて、私の顔を見る。
「宮藤くん、せっかく起こしに来てくれたのに、あんなことを言って、本当にごめんなさい!
もしかしたら私と一緒に夢の中に閉じ込められていたかもしれないのに。そんなリスクを負ってまで、私を起こそうとしてくれていたのに。それなのに、私、あんな酷いことを....」
宮藤くんが生前、どれだけ辛い思いをして生きていたか知らなかった。
でも知らなかったで済む問題じゃない。
どうして私は、宮藤くんの傷ついた心に追い打ちをかけるようなことを言ってしまったんだろう。
気がついたら目頭が熱くなっていた。
「.....ップ!」
すると宮藤くんは、クスクスと笑い始めた。
「お前、そこまでマジになって謝るようなことかよ。」
「えっ、でも...」
「それにお前の言う通り、残念な人生だったことには変わりないしな。」
「っ!」
「ま、今日のことは許しといてやるよ。お前の間抜け面見てたら、イラついているのが馬鹿らしくなったし。」
「宮藤くん...。」
「じゃあな。」
宮藤くんはいつもと同じように、あっという間にいなくなった。
それから少しして、殿下とアリーシャ様も目を覚ました。
目覚めた二人の顔は、どこか悲しそうだった。
「殿下、アリーシャ様、おはようございます。」
「あ、あぁ。カタリーナか。おはよう。」
「おはよう、ございます...。」
「お二人とも、どうかなされましたか?」
「....実は、見てしまったんだ。」
「見たって、何をですか?」
「クドージンさんの過去だよ。」
えっ?
殿下もあの夢を?
「殿下も、彼の夢を見たのですか?」
「えっ!アリーシャ嬢もかい?」
「....実は、私もです。」
「カタリーナも?!」
どうやら3人とも、宮藤くんの夢を見てしまったらしい。
「彼の夢は悪夢だ。あの夢を見ている間、何度も何度も目が覚めて欲しいと思ったよ。でも実際にされたわけじゃないから、まだマシなのかもしれない。実際にあんな人生を送った彼に比べたら....」
「クドージンさんの夢を見て、心が張り裂けそうになりましたわ。彼が世界を滅ぼしたくなる気持ちも、今なら少し理解できます。」
「そんな彼に、私はなぜあんな酷いことを言ってしまったのでしょう。彼は許してくれましたが、私は、自分が許せません。」
自分の軽率な発言を思い出し、私は自己嫌悪に苛まれた。
そして場は、お通夜のように静かで思い空気になった。
そんな状態が続いた後、殿下はそっと口を開いた。
「...彼は今、幸せなのかな?」
「え?」
「ふと、ゼルくんとそんな会話をしたのを思い出してさ。あの時は深く考えていなかったけど、実際はどうなんだろうって思って。」
確かにゼルくんと殿下で、そんな会話をした記憶がある。
あの夢を見た後だからか、宮藤くんが幸せになっていて欲しいって強く思う。
正確には、これ以上彼が辛い目に遭うのは見ていられない。
「...きっと彼のことですから、幸せになっていますよ。多分彼、今頃パフェとか食べてますよ、きっと。」
「ふふっ、パフェですか。」
「そして、今夜はとっても幸せな夢を見ながら寝るのです。」
「はは、そうだといいね。」
私の言葉で、さっきまでの重い空気が緩くなり、二人に笑顔が戻った。
彼が今、本当に幸せだったら、いいな。
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