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第17話:シヴァの正体は?
【74】シヴァの正体は?(2)
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「なるほどな。つまりその『サラ』って女が根源を持つ魂を探していたから、俺と会って話がしたかったワケだ。」
「そーゆーこと♪」
シヴァの身の上話を聞いた感じだと、聖ソラトリク教団って怪しい団体だな。
まぁ宗教団体なんざ頭のイカれた連中が運営しているようなモンだから、きな臭くても当然か。
「ってかお前、偽名だったのかよ。」
「まーね!でも素敵な名前でしょ?」
素敵かどうかは置いておいて、覚えやすいのは確かだ。
「ちなみにキミを狙っている団体っていうのが、さっきの話に出てきた『聖ソラトリク教団』なんだ。」
「はぁ?じゃあお前も、元々俺の命を狙ってたってことなのかよ!」
「いやいや、それは誤解だよ!教団がキミを探しているのはホントだけど、それはボクが教団を抜けてからの話だよ。」
「だったら何でお前が『教団が俺を狙ってる』って知ってんだよ。」
「それはゼルくんの話を聞いてもらってからでもいい?」
あ?
そういえばゼルもいるんだった。
ってか、何でコイツがここに居んだよ。
「まぁいいや。それじゃあゼルの話とやらでも聞いてやるよ。」
「はい、クドージンさん。ですが僕の話をする前に見せたいものがあります。ここだとアレなので、ちょっと場所を変えますね。」
するとゼルは立ち上がって移動し始めた。
ゼルの後について行くと、だだっ広い部屋に着いた。
さっきまで居た場所と違い、散らかってはいるが物は少なかった。
「それではクドージンさん、今から僕は本当の姿に戻るので、見てください。」
ゼルは服の内側にしまっていたペンダントを出すと、そのペンダントに魔力を込めた。
するとゼルの姿はみるみるうちに変わり、獣人とも魔物とも呼べない姿になった。
「お前....!その姿は!」
俺はゼルの姿に見覚えがあった。
つーか見覚えがあるも何も、厄災の魔王そのものだった。
「僕はゼル・ポーレイ。クドージンさんの前世の身体だった者です。」
「俺の前世の身体ぁ?どういうことだシヴァ!俺の身体は魂が転生したせいで腐って無くなったんじゃなかったのか?」
「あれ?その話聞いてたんだ。あの話はウ・ソ♪」
「あぁ?!」
適当なことを言ってヘラヘラしているシヴァに、一瞬殺意を覚えた。
「それにゼルが前世の俺の身体って、言ってることがワケ分かんねぇ。」
「その件については僕が説明するよ。」
ゼルはそのまま自分の過去について語り始めた。
◆◆◆
僕は元々魔人として生まれ、人間の国で小さい時から奴隷として生活していた。
とは言っても、比較的亜人差別が少ない国だったから、そこまで酷い扱いは受けなかった。
主人の言う通りに農作業をすれば、給与はもらえない代わりに衣食住が保証されていた。
奴隷という肩書きこそ不愉快だったが、仕事や暮らしにそこまで不満はなかった。
だけどある日、奴隷を養えなくなった主人が僕をある宗教団体に売り払った。
その宗教団体が聖ソラトリク教団だった。
教団は僕以外の亜人も買っては、非合法な人体実験を行っていた。
僕はその日から奴隷ではなく、実験動物として扱われるようになった。
奴らの人体実験のせいで、毎日他の亜人が発狂したり廃棄されていた。
僕も奴らの実験で、いつそうなってもおかしくはなかった。
奴らの実験は、肉体にある根源に干渉するものだった。
実験のおかげか、僕の魔力は不適正が無くなり適性が二つに増えた。
だがその反面、毎日が吐きそうなくらい息苦しく、近い将来廃棄されるのは目に見えていた。
そんなある日、僕に怪しい話を持ちかけた奴がいた。
ザボエル・ヨーグマンという、虫唾が走るような声をした男だ。
ザボエルは研究所の所長で、僕と他に廃棄されそうな亜人達に、ある条件を突きつけた。
「貴様らは『命の器』と呼ばれる魔道具を本部から取り返してこい。そしたら自由の身にしてやる。」
その言葉を信じて、僕達は教えられた場所へ侵入して『命の器』と呼ばれている魔道具を盗んできた。
だけどその場所はセキュリティが厳しくて、僕以外の亜人はみんな、盗む過程で命を落とした。
僕は死んでいった彼らの支えもあって、命からがら盗み出すことに成功した。
だけど命の器をザボエルに渡す前に、ある疑念が頭をよぎった。
『ザボエルは始めから僕達との約束を守る気なんてないんじゃないか?』
『もしかしたらザボエルは、命の器を手に入れた時点で僕達を処分するつもりかもしれない。』
最悪の事態を想定して、僕は命の器を奴らが取り出せない場所に隠した。
奴らの実体実験のお陰か、僕は物を身体と同化できる魔法が使えるようになっていた。
一度同化した物は、僕が再び魔法で取り出そうとしない限り、絶対に取り出せない。
だから命の器を僕の体と同化させて、ザボエルと交渉するつもりだった。
だけど命の器を同化させてから、徐々に意識と感覚がふわふわとして、夢の中にいるような感覚になっていった。
それと同時に、僕の中にいる誰かが僕の身体を乗っ取っているのが分かった。
その人にいくら話しかけても、僕の言葉は届かなかった。
そして身体を乗っ取った人の行動を、僕は俯瞰的に見ることしかできなかった。
「そーゆーこと♪」
シヴァの身の上話を聞いた感じだと、聖ソラトリク教団って怪しい団体だな。
まぁ宗教団体なんざ頭のイカれた連中が運営しているようなモンだから、きな臭くても当然か。
「ってかお前、偽名だったのかよ。」
「まーね!でも素敵な名前でしょ?」
素敵かどうかは置いておいて、覚えやすいのは確かだ。
「ちなみにキミを狙っている団体っていうのが、さっきの話に出てきた『聖ソラトリク教団』なんだ。」
「はぁ?じゃあお前も、元々俺の命を狙ってたってことなのかよ!」
「いやいや、それは誤解だよ!教団がキミを探しているのはホントだけど、それはボクが教団を抜けてからの話だよ。」
「だったら何でお前が『教団が俺を狙ってる』って知ってんだよ。」
「それはゼルくんの話を聞いてもらってからでもいい?」
あ?
そういえばゼルもいるんだった。
ってか、何でコイツがここに居んだよ。
「まぁいいや。それじゃあゼルの話とやらでも聞いてやるよ。」
「はい、クドージンさん。ですが僕の話をする前に見せたいものがあります。ここだとアレなので、ちょっと場所を変えますね。」
するとゼルは立ち上がって移動し始めた。
ゼルの後について行くと、だだっ広い部屋に着いた。
さっきまで居た場所と違い、散らかってはいるが物は少なかった。
「それではクドージンさん、今から僕は本当の姿に戻るので、見てください。」
ゼルは服の内側にしまっていたペンダントを出すと、そのペンダントに魔力を込めた。
するとゼルの姿はみるみるうちに変わり、獣人とも魔物とも呼べない姿になった。
「お前....!その姿は!」
俺はゼルの姿に見覚えがあった。
つーか見覚えがあるも何も、厄災の魔王そのものだった。
「僕はゼル・ポーレイ。クドージンさんの前世の身体だった者です。」
「俺の前世の身体ぁ?どういうことだシヴァ!俺の身体は魂が転生したせいで腐って無くなったんじゃなかったのか?」
「あれ?その話聞いてたんだ。あの話はウ・ソ♪」
「あぁ?!」
適当なことを言ってヘラヘラしているシヴァに、一瞬殺意を覚えた。
「それにゼルが前世の俺の身体って、言ってることがワケ分かんねぇ。」
「その件については僕が説明するよ。」
ゼルはそのまま自分の過去について語り始めた。
◆◆◆
僕は元々魔人として生まれ、人間の国で小さい時から奴隷として生活していた。
とは言っても、比較的亜人差別が少ない国だったから、そこまで酷い扱いは受けなかった。
主人の言う通りに農作業をすれば、給与はもらえない代わりに衣食住が保証されていた。
奴隷という肩書きこそ不愉快だったが、仕事や暮らしにそこまで不満はなかった。
だけどある日、奴隷を養えなくなった主人が僕をある宗教団体に売り払った。
その宗教団体が聖ソラトリク教団だった。
教団は僕以外の亜人も買っては、非合法な人体実験を行っていた。
僕はその日から奴隷ではなく、実験動物として扱われるようになった。
奴らの人体実験のせいで、毎日他の亜人が発狂したり廃棄されていた。
僕も奴らの実験で、いつそうなってもおかしくはなかった。
奴らの実験は、肉体にある根源に干渉するものだった。
実験のおかげか、僕の魔力は不適正が無くなり適性が二つに増えた。
だがその反面、毎日が吐きそうなくらい息苦しく、近い将来廃棄されるのは目に見えていた。
そんなある日、僕に怪しい話を持ちかけた奴がいた。
ザボエル・ヨーグマンという、虫唾が走るような声をした男だ。
ザボエルは研究所の所長で、僕と他に廃棄されそうな亜人達に、ある条件を突きつけた。
「貴様らは『命の器』と呼ばれる魔道具を本部から取り返してこい。そしたら自由の身にしてやる。」
その言葉を信じて、僕達は教えられた場所へ侵入して『命の器』と呼ばれている魔道具を盗んできた。
だけどその場所はセキュリティが厳しくて、僕以外の亜人はみんな、盗む過程で命を落とした。
僕は死んでいった彼らの支えもあって、命からがら盗み出すことに成功した。
だけど命の器をザボエルに渡す前に、ある疑念が頭をよぎった。
『ザボエルは始めから僕達との約束を守る気なんてないんじゃないか?』
『もしかしたらザボエルは、命の器を手に入れた時点で僕達を処分するつもりかもしれない。』
最悪の事態を想定して、僕は命の器を奴らが取り出せない場所に隠した。
奴らの実体実験のお陰か、僕は物を身体と同化できる魔法が使えるようになっていた。
一度同化した物は、僕が再び魔法で取り出そうとしない限り、絶対に取り出せない。
だから命の器を僕の体と同化させて、ザボエルと交渉するつもりだった。
だけど命の器を同化させてから、徐々に意識と感覚がふわふわとして、夢の中にいるような感覚になっていった。
それと同時に、僕の中にいる誰かが僕の身体を乗っ取っているのが分かった。
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