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第21話:種命地とダイフク会長
【94】種命地とダイフク会長(2)
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シヴァは、コールドスリープ装置が置いてある部屋へと案内した。
部屋に着くと、センガは装置を見るなり近づいて何かをいじり始めた。
「どうやらクロノトロイドはエラーのせいで停止してしまったようね。『システムエラー・J-52』...ということは、装置内の人間が突然死したか、消失したという事になるわ。これは一体、どういうことかしら?」
センガはぶつぶつと独り言を言いながら悩み始めた。
「だったら、俺がお前を魔法で無理矢理中から取り出したから、エラーが出たんじゃね?」
「魔法?クドージンさん、さっきもそのようなことを話していましたが、魔法とは何でしょうか?まさかとは思いますが、架空画語に出てくるような空想上の超常現象のことではありませんよね?」
「架空何ちゃらは知らねー。日本じゃ架空の設定だけど、ここじゃ嘘でも何でもねーよ。」
俺は魔法の存在を理解させるために、炎や水を出したり、姿を変えたりした。
それでもなかなか信じなかったが、「私の髪を伸ばせたら信じる」と言い出したので、言う通り髪の毛を伸ばしたらようやく信じた。
「まさか本当に、架空画語に出てくる魔法がこの世に存在するなんて...!」
「つーか、お前だって根源あるんだろ?だったら魔法が使えるんじゃねーの?」
「はて?魔法と根源にどのような関連性があるのでしょうか?」
「関係性も何も、魔法は根源で作られる魔力を使って発動してるんだから、魔法が使えるのは当たり前だろ。ってかお前、根源について研究してたんじゃねーのかよ。」
「活素が魔法の動力源?!それは斬新な定説ですね。だからこの世界では活素が魔力と呼ばれているのでしょうか。兎に角、この世界の根源と魔力、そして魔法の関連性について是非研究してみたいです!」
さっきまで魔法に否定的だったクセに、今度は目を輝かせて魔法に興味津々になっていやがる。
「そんなに興味があるんだったら、ボクが後日色々教えてあげるよ♪なんせ、学校じゃ魔法と魔術を教えているからね♪」
「是非、よろしくお願いします!」
「その代わりっていうのもなんだけど、ボクもセンガちゃんに教えて欲しいことがまだあるんだ♪色々聞いてもいい?」
「勿論です。私に答えられる範囲であればお答えします。」
「このコールドスリープ装置って、どういう理屈で動いてるの?魔力を使わずに動いているってことは、少なくとも術式を使っていないってことだよね?」
「術式...とは何かは存じませんが、確かに魔力は使用していません。コールドスリープ装置、およびクロノトロイドの動力源は雷子です。私は準研究員なので装置の内部構造にそこまで詳しくはありませんが、装置を動かすのに必要な雷子は全て装置内で作成していることは把握しています。」
雷子って、日本で言うところの電気みたいなものか?
と勝手に推測する。
「そっかー。じゃあ、どういった技術でコールドスリープしているか、とか聞いても難しそうだね。」
「期待に応えられず申し訳ありません。」
「じゃあ他の質問いい?センガちゃん達はコールドスリープから開放された後は、どうやって生活する予定だったの?人間が生きていける環境って言っても、大都会と手つかずの自然とじゃ、生きるためのハードルが桁違いだよね。」
「それはクロノトロイド・φにサポートしてもらう手筈でした。」
「クロノトロイドってことは、装置の声のことか?」
「そちらもクロノトロイドではありますが、クロノトロイド・φは他のクロノトロイドとは異なり、人型高度自律機械です。φの外見は人間そのもので、人間のように感情豊かに会話することも可能です。φには私達が生きていた時代の叡智をほぼインプットさせているため、コールドスリープ解除後はφに食料の調達や居住地作りなどを行ってもらう予定でした。」
「へぇ。便利なロボットだな。で、その肝心のクロノトロイド・φとやらはどこにいるんだ?」
「皆さんが知らないのであれば、どこにいるかは不明です。私達がコールドスリープ中の場合、私達を保護しつつ適切な環境下へ移動、または適切な環境の創造することがφの主な役割になっています。推測ではありますが、φは移動中に誤って私を手放してしまったのではないのでしょうか?」
「もしそうだったら、φは今もセンガさんを探しているかもしれないね。」
「可能性は大いにあります。」
「φは人間そっくりな姿なんでしょ?だったら普通に人間社会に溶け込んでいる可能性もあるよね♪」
シヴァは口調こそ、いつものようにふざけていたが、目はいつになく真剣そのものだった。
そして、コールドスリープ装置に描かれた、聖ソラトリク教団のシンボルに酷似した絵を指差した。
「ねぇ、センガちゃん。このマークって何なの?」
「これは種命地のシンボルですね。」
「種命地?」
「私が生きていた時代では、この世界のことを、そう呼んでいました。」
この世界のシンボル?
そんな大層なものが、なんで聖ソラトリク教団のシンボルになってんだ?
「センガちゃん、実はね。ボク達、このマークとよく似たシンボルを掲げる集団を知ってるんだ♪」
「っ?!....それは、本当ですか?」
「うん♪」
シヴァは聖ソラトリク教団についてセンガに説明した。
「聖ソラトリク教団、ですか...。シンボルが偶然の一致では納得できない程に類似していますね。φ、もしくは私と同様にコールドスリープした方が、その教団と関係していると思います。」
「センガちゃんも、そう思う?」
「はい。ですが教団は、龍脈に関する研究を主に行っているのですよね?龍脈が正常に戻った今、わざわざ研究する必要はないと思われますが、なぜ教団は龍脈の研究を行っているのでしょうか?」
「確かに。センガさんの話だと、龍脈研究よりも先に、全員のコールドスリープの解除とか文明再興とか、やるべきことは色々ありそう。」
「φが本来の任務を放棄して別のことをするとは考え難いです。」
「ということは、センガさん同様コールドスリープから解放された誰かが教団に関与しているのかな?」
「もしそうだったら、その人かなり昔に目が覚めちゃったかもね。だって教団のシンボルって、ずーっと昔からコレだったもん。仮にコールドスリープから目覚めた人間がこのシンボルを教団のマークにしたのなら、その人はもうこの世にはいないかも。」
「...っ。」
センガはその話に、言葉を失った。
無神経なことを言ったことに気づいたシヴァは、苦笑いで誤魔化そうとしたが、無駄だった。
仕方ない。話題を変えてやるか。
「センガは、日本って国を知っているか?」
「ニホン...?という国は、どのような国でしょうか?」
「そうか、知らねぇのか。日本は、俺が前世で住んでいた国だ。でもって、この姿も日本にいた時の姿だ。」
「前世、ですか?」
「あぁ。日本はこことは異なる世界にあって、日本で死んだ俺は、こっちの世界で生まれ変わったってワケ。ちなみにこの姿は魔法で変えているだけで、今の俺の姿じゃない。」
「ニホン...異世界...。やはり、ニホンという国に聞き覚えはありません。歴史を遡っても、そのような国は存在しなかったと思います。」
「だったらセンガの見た目が日本人と似ているのは偶然か。」
「ニホンの人は全員、私のような見た目なのですか?」
「あぁ、そうだ。俺とセンガみたいに、黒目黒髪で彫りの浅い顔をしている。」
「ニホン人の特徴は、華葉人と似ているのですね。でしたら、もしかすると私が知らないだけで、存在していたのかもしれません。」
「そうだとしても、今の俺達じゃ確かめようがないな。」
「ですね。お力になれず、すみません。ところでクドージンさん。先程、異世界の話がありましたが、異世界とはどのような世界なのでしょうか?本当に実在するのですか?」
「急にどんな世界かって聞かれても、わかんねぇよ。でも向こうの世界じゃ、魔法なんか存在しなかったな。」
「異世界には、魔力や根源や龍脈が存在しない、ということでしょうか?」
「さぁな。日本にいたからって、日本のことを何でも知っているワケじゃねーぞ。」
「それは失礼しました。」
「センガちゃん達がいた時代は、異世界に関する研究って何かあったの?」
「いいえ。そもそも異世界という存在は魔法と同様に、架空の存在という認識でしたので、研究する人は皆無でした。」
「じゃあセンガちゃんはサラとは無関係か。」
「サラ、とは誰のことですか?」
「念のため確認するけど、『サラ・リンカネーション』という名前の女性、知ってる?」
「いえ、知りません。」
「ですよねー。」
シヴァは話の流れで、サラとの馴れ初めや異界穴について説明した。
そういえばサラで思い出したが、あの女は今ダイフク商会にいるかもしれないんだよな?
あの後進展があったのか、聞いてみるか。
「おいシヴァ。結局ダイフク商会にサラはいたのか?」
「あ、それ聞く?実はこの件でキミと情報共有したかったんだよね~♪」
「いいから、さっさと言え。」
「もー。せっかちだなぁ。キミから聞いた情報を頼りに、あの後ダイフク商会について調査してみたんだ。そしたら面白いことが分かったよ。」
「面白いこと?」
「異界穴を開くには龍脈のエネルギーが必要なのは覚えてるよね?でも龍脈って、今では一般人が簡単に近づけなくなっているんだ。15年前の事件以降、各国が厳重に龍脈を管理するようになったからね。」
そういえば以前カタリーナも似たようなことを言っていたな。
「ディシュメイン王国とキョウシュー帝国の龍脈は厳重に管理されているんだけど、キメイラ帝国は違ってね。ちょっと面倒なことになっているんだ。
っていうのも、ドーワ侯国が所有している龍脈って、元々キメイラ帝国のものだったんだ。
でも15年前の事件で、キョウシュー帝国とディシュメイン王国は、キメイラ帝国に龍脈を手放すように圧をかけた。だけどキメイラ帝国はそれに反発したのさ。
このままだといつ戦争になってもおかしくない。って時に、3国の間に入ったのがドーワ侯国だった。
ドーワ侯国は3国にある提案をした。
内容は、キメイラ帝国の龍脈はドーワ侯国が実効支配する代わりに、ドーワ侯国がキメイラ帝国に実効支配料を払い続ける、というものだったんだ。
その提案に3国は納得して、今、キメイラ帝国の龍脈は、ドーワ侯国が実行支配しているんだ。」
「その説明とダイフク商会がどう関係してんだよ。」
「まあまあ、慌てないで。
数年前、ドーワ侯国が実効支配していた龍脈に、ちょっとしたトラブルが発生したんだ。
キメイラ帝国の亜人達が一斉に龍脈に侵略して、無理矢理制圧したんだ。
そして『どいて欲しかったら実効支配料を上げろ』とドーワ侯国に対してデモ活動を行ったんだ。
これにはドーワ侯国の君主も、キメイラ帝国の皇帝も頭を抱えたらしいよ。
デモの背景にはダイフク商会の影響もあるかもね。
異例のスピードで急成長して、優れた商品を世に出し、ドーワ侯国全体を急激に豊かにしたんだから。
同盟国とはいえ、そんな隣国に嫉妬した亜人も多かったんじゃないかな?
だけど、そのデモを止めたのもダイフク商会だったのさ。
ダイフク商会はデモに参加した亜人達を大量雇用したんだ。
しかも何人かは幹部として高待遇で迎え入れたんだって。
太っ腹だよね。
デモに参加していた亜人達のほとんどは、仕事がなくて生活に困っていた人達だったから、雇用されるとなった途端デモはすぐに収束したらしいよ。
その後、今後の実効支配料をダイフク商会が支払うことで、ダイフク商会はドーワ侯国とキメイラ帝国から、龍脈を使用した研究を行う許可をもらったんだって。
まぁ~、よく出来た話だよね。」
なるほどな。
前にダイフク会長が『龍脈の件は解決した』と言っていたのは、そういうことだったのか。
「こうして龍脈の使用権を獲得したダイフク商会は、それからすぐに異界穴を開ける研究を始めたそうだよ。
まるで、最初から異界穴を開くには龍脈が必要だと、知っていたかのようだよね。」
「つまり、ダイフク会長とサラさんは異界穴研究を始める前から知り合いだった、ということ?」
「ゼルくん、ご明答!」
「じゃあダイフク会長とサラが繋がっている可能性が高くなったってことか?」
「そうだね!聖ソラトリク教団の時みたいな一研究員としての立場じゃなくて、ある程度ダイフク会長と話せる立ち位置にいそうだね。」
「だったらダイフク会長に直接聞いてみれば、サラの居場所が分かるんじゃねーか?」
「おぉ!クドージンくん頭いい♪流石だね!確かクドージンくんって、前にダイフク会長と話したことがあるんだよね?お願い!ボクはダイフク会長と面識ないから、代わりに聞いてくれない?」
「はぁ~...仕方ねぇな」
俺はダイフク会長にメールするため、スマドを取り出そうとした。
が、ダイフク会長の連絡先を消されたのを思い出して、取り出すのをやめた。
以前ダイフク会長に依頼された通り、じいちゃんとの間を取り持とうと話をしたら、じいちゃんにブチ切れられてそのまま連絡先も消されたんだった。
「やっぱ無理だ。連絡先消えたの忘れてた。」
「えぇ~!!ここまで来てそれはないよ~。じゃあ、どうやってダイフク会長と連絡を取ればいいの?」
「知るか!」
そんなにサラに会いたいんだったら、そのくらい自分で考えろ。
と思ったが、その時ふとあることを思い出した。
「...そういえば以前、ダイフク会長が『何人かの日本人が会いに来たことがある』って言ってたぜ。日本からの転生者だって言い張れば、ダイフク会長と喋れるんじゃね?」
「おぉ!クドージンくん、ナイスアイデア!冴えてるねぇ~♪じゃあ早速、ダイフク会長宛に手紙を出すから、クドージンくん手伝ってよ♪」
「はぁ?なんで俺が?」
「だってボクらじゃ、ニホン人のフリなんかできないじゃん。あ!それかクドージンくんが『連絡先をもう一度教えてください』ってお願いの手紙を出す方が早いかもね!」
また連絡先を聞いたところで、じいちゃんに怒られて消されるのが目に見えている。
「....仕方ねぇな。ダイフク会長と会う気はねぇが、日本人のフリとやらは手伝ってやるよ。」
「そうこなくっちゃ♪」
「でもニホン人のフリって言っても、そう上手く誤魔化せるものなのかな?」
「確かに、シヴァは胡散臭いし、すぐバレるかもな。」
「えぇ~。酷い言い草だなぁ。」
「でしたら、私がお手伝いしましょうか?私はニホン人に似ているということですので、信憑性が増すかと思います。それに、起きてからシヴァさん達にはお世話になっているので、何か協力できればと思います。」
「ホントに?!センガちゃん、ありがとう!じゃあ、ダイフク会長と会うときはよろしくね♪とりあえずダイフク会長への手紙を書くから、クドージンくん手伝ってよ。」
「はいはい。」
こうして俺は、シヴァを手伝うことになった。
シヴァに頼まれた通りの内容の文章を日本語で書いて、ダイフク会長宛の手紙を作成した。
「この手紙で、ダイフク会長という方は会ってくださるのでしょうか?」
「封筒にもニホン語で『私も転生者です』って書いたし、さすがに無下にはしないでしょ♪」
「でもこの手紙、いつ向こうに届くんだ?返事が来るまでここで待つ気はねーぞ。」
「そうだ!それならクドージンさん、返事が来た時に報告できるように連絡先を教えてくださいませんか?」
唐突に厄介なことを聞いてきたな。
ゼルに連絡先を教えたら速攻で『フレイ=宮藤迅』ってバレるじゃねえか。
「あれれ?もしかしてキミの連絡先って、個人が特定できちゃう感じのヤツなの?」
「っ?!」
「あー!図星だ!それだったら、この際新しい連絡先を作ったらどう?」
「新しい連絡先?」
「例えば、今使っているメールアドレスとは違うメールアドレスを取得して使うとかさ。」
なるほど、その手があったか。
俺はシヴァ達から隠れて新規のメールアドレスを取得すると、そのアドレスをシヴァ達に教えた。
そしてこの日、俺は帰宅し、後日シヴァ達から連絡が来るのを待った。
部屋に着くと、センガは装置を見るなり近づいて何かをいじり始めた。
「どうやらクロノトロイドはエラーのせいで停止してしまったようね。『システムエラー・J-52』...ということは、装置内の人間が突然死したか、消失したという事になるわ。これは一体、どういうことかしら?」
センガはぶつぶつと独り言を言いながら悩み始めた。
「だったら、俺がお前を魔法で無理矢理中から取り出したから、エラーが出たんじゃね?」
「魔法?クドージンさん、さっきもそのようなことを話していましたが、魔法とは何でしょうか?まさかとは思いますが、架空画語に出てくるような空想上の超常現象のことではありませんよね?」
「架空何ちゃらは知らねー。日本じゃ架空の設定だけど、ここじゃ嘘でも何でもねーよ。」
俺は魔法の存在を理解させるために、炎や水を出したり、姿を変えたりした。
それでもなかなか信じなかったが、「私の髪を伸ばせたら信じる」と言い出したので、言う通り髪の毛を伸ばしたらようやく信じた。
「まさか本当に、架空画語に出てくる魔法がこの世に存在するなんて...!」
「つーか、お前だって根源あるんだろ?だったら魔法が使えるんじゃねーの?」
「はて?魔法と根源にどのような関連性があるのでしょうか?」
「関係性も何も、魔法は根源で作られる魔力を使って発動してるんだから、魔法が使えるのは当たり前だろ。ってかお前、根源について研究してたんじゃねーのかよ。」
「活素が魔法の動力源?!それは斬新な定説ですね。だからこの世界では活素が魔力と呼ばれているのでしょうか。兎に角、この世界の根源と魔力、そして魔法の関連性について是非研究してみたいです!」
さっきまで魔法に否定的だったクセに、今度は目を輝かせて魔法に興味津々になっていやがる。
「そんなに興味があるんだったら、ボクが後日色々教えてあげるよ♪なんせ、学校じゃ魔法と魔術を教えているからね♪」
「是非、よろしくお願いします!」
「その代わりっていうのもなんだけど、ボクもセンガちゃんに教えて欲しいことがまだあるんだ♪色々聞いてもいい?」
「勿論です。私に答えられる範囲であればお答えします。」
「このコールドスリープ装置って、どういう理屈で動いてるの?魔力を使わずに動いているってことは、少なくとも術式を使っていないってことだよね?」
「術式...とは何かは存じませんが、確かに魔力は使用していません。コールドスリープ装置、およびクロノトロイドの動力源は雷子です。私は準研究員なので装置の内部構造にそこまで詳しくはありませんが、装置を動かすのに必要な雷子は全て装置内で作成していることは把握しています。」
雷子って、日本で言うところの電気みたいなものか?
と勝手に推測する。
「そっかー。じゃあ、どういった技術でコールドスリープしているか、とか聞いても難しそうだね。」
「期待に応えられず申し訳ありません。」
「じゃあ他の質問いい?センガちゃん達はコールドスリープから開放された後は、どうやって生活する予定だったの?人間が生きていける環境って言っても、大都会と手つかずの自然とじゃ、生きるためのハードルが桁違いだよね。」
「それはクロノトロイド・φにサポートしてもらう手筈でした。」
「クロノトロイドってことは、装置の声のことか?」
「そちらもクロノトロイドではありますが、クロノトロイド・φは他のクロノトロイドとは異なり、人型高度自律機械です。φの外見は人間そのもので、人間のように感情豊かに会話することも可能です。φには私達が生きていた時代の叡智をほぼインプットさせているため、コールドスリープ解除後はφに食料の調達や居住地作りなどを行ってもらう予定でした。」
「へぇ。便利なロボットだな。で、その肝心のクロノトロイド・φとやらはどこにいるんだ?」
「皆さんが知らないのであれば、どこにいるかは不明です。私達がコールドスリープ中の場合、私達を保護しつつ適切な環境下へ移動、または適切な環境の創造することがφの主な役割になっています。推測ではありますが、φは移動中に誤って私を手放してしまったのではないのでしょうか?」
「もしそうだったら、φは今もセンガさんを探しているかもしれないね。」
「可能性は大いにあります。」
「φは人間そっくりな姿なんでしょ?だったら普通に人間社会に溶け込んでいる可能性もあるよね♪」
シヴァは口調こそ、いつものようにふざけていたが、目はいつになく真剣そのものだった。
そして、コールドスリープ装置に描かれた、聖ソラトリク教団のシンボルに酷似した絵を指差した。
「ねぇ、センガちゃん。このマークって何なの?」
「これは種命地のシンボルですね。」
「種命地?」
「私が生きていた時代では、この世界のことを、そう呼んでいました。」
この世界のシンボル?
そんな大層なものが、なんで聖ソラトリク教団のシンボルになってんだ?
「センガちゃん、実はね。ボク達、このマークとよく似たシンボルを掲げる集団を知ってるんだ♪」
「っ?!....それは、本当ですか?」
「うん♪」
シヴァは聖ソラトリク教団についてセンガに説明した。
「聖ソラトリク教団、ですか...。シンボルが偶然の一致では納得できない程に類似していますね。φ、もしくは私と同様にコールドスリープした方が、その教団と関係していると思います。」
「センガちゃんも、そう思う?」
「はい。ですが教団は、龍脈に関する研究を主に行っているのですよね?龍脈が正常に戻った今、わざわざ研究する必要はないと思われますが、なぜ教団は龍脈の研究を行っているのでしょうか?」
「確かに。センガさんの話だと、龍脈研究よりも先に、全員のコールドスリープの解除とか文明再興とか、やるべきことは色々ありそう。」
「φが本来の任務を放棄して別のことをするとは考え難いです。」
「ということは、センガさん同様コールドスリープから解放された誰かが教団に関与しているのかな?」
「もしそうだったら、その人かなり昔に目が覚めちゃったかもね。だって教団のシンボルって、ずーっと昔からコレだったもん。仮にコールドスリープから目覚めた人間がこのシンボルを教団のマークにしたのなら、その人はもうこの世にはいないかも。」
「...っ。」
センガはその話に、言葉を失った。
無神経なことを言ったことに気づいたシヴァは、苦笑いで誤魔化そうとしたが、無駄だった。
仕方ない。話題を変えてやるか。
「センガは、日本って国を知っているか?」
「ニホン...?という国は、どのような国でしょうか?」
「そうか、知らねぇのか。日本は、俺が前世で住んでいた国だ。でもって、この姿も日本にいた時の姿だ。」
「前世、ですか?」
「あぁ。日本はこことは異なる世界にあって、日本で死んだ俺は、こっちの世界で生まれ変わったってワケ。ちなみにこの姿は魔法で変えているだけで、今の俺の姿じゃない。」
「ニホン...異世界...。やはり、ニホンという国に聞き覚えはありません。歴史を遡っても、そのような国は存在しなかったと思います。」
「だったらセンガの見た目が日本人と似ているのは偶然か。」
「ニホンの人は全員、私のような見た目なのですか?」
「あぁ、そうだ。俺とセンガみたいに、黒目黒髪で彫りの浅い顔をしている。」
「ニホン人の特徴は、華葉人と似ているのですね。でしたら、もしかすると私が知らないだけで、存在していたのかもしれません。」
「そうだとしても、今の俺達じゃ確かめようがないな。」
「ですね。お力になれず、すみません。ところでクドージンさん。先程、異世界の話がありましたが、異世界とはどのような世界なのでしょうか?本当に実在するのですか?」
「急にどんな世界かって聞かれても、わかんねぇよ。でも向こうの世界じゃ、魔法なんか存在しなかったな。」
「異世界には、魔力や根源や龍脈が存在しない、ということでしょうか?」
「さぁな。日本にいたからって、日本のことを何でも知っているワケじゃねーぞ。」
「それは失礼しました。」
「センガちゃん達がいた時代は、異世界に関する研究って何かあったの?」
「いいえ。そもそも異世界という存在は魔法と同様に、架空の存在という認識でしたので、研究する人は皆無でした。」
「じゃあセンガちゃんはサラとは無関係か。」
「サラ、とは誰のことですか?」
「念のため確認するけど、『サラ・リンカネーション』という名前の女性、知ってる?」
「いえ、知りません。」
「ですよねー。」
シヴァは話の流れで、サラとの馴れ初めや異界穴について説明した。
そういえばサラで思い出したが、あの女は今ダイフク商会にいるかもしれないんだよな?
あの後進展があったのか、聞いてみるか。
「おいシヴァ。結局ダイフク商会にサラはいたのか?」
「あ、それ聞く?実はこの件でキミと情報共有したかったんだよね~♪」
「いいから、さっさと言え。」
「もー。せっかちだなぁ。キミから聞いた情報を頼りに、あの後ダイフク商会について調査してみたんだ。そしたら面白いことが分かったよ。」
「面白いこと?」
「異界穴を開くには龍脈のエネルギーが必要なのは覚えてるよね?でも龍脈って、今では一般人が簡単に近づけなくなっているんだ。15年前の事件以降、各国が厳重に龍脈を管理するようになったからね。」
そういえば以前カタリーナも似たようなことを言っていたな。
「ディシュメイン王国とキョウシュー帝国の龍脈は厳重に管理されているんだけど、キメイラ帝国は違ってね。ちょっと面倒なことになっているんだ。
っていうのも、ドーワ侯国が所有している龍脈って、元々キメイラ帝国のものだったんだ。
でも15年前の事件で、キョウシュー帝国とディシュメイン王国は、キメイラ帝国に龍脈を手放すように圧をかけた。だけどキメイラ帝国はそれに反発したのさ。
このままだといつ戦争になってもおかしくない。って時に、3国の間に入ったのがドーワ侯国だった。
ドーワ侯国は3国にある提案をした。
内容は、キメイラ帝国の龍脈はドーワ侯国が実効支配する代わりに、ドーワ侯国がキメイラ帝国に実効支配料を払い続ける、というものだったんだ。
その提案に3国は納得して、今、キメイラ帝国の龍脈は、ドーワ侯国が実行支配しているんだ。」
「その説明とダイフク商会がどう関係してんだよ。」
「まあまあ、慌てないで。
数年前、ドーワ侯国が実効支配していた龍脈に、ちょっとしたトラブルが発生したんだ。
キメイラ帝国の亜人達が一斉に龍脈に侵略して、無理矢理制圧したんだ。
そして『どいて欲しかったら実効支配料を上げろ』とドーワ侯国に対してデモ活動を行ったんだ。
これにはドーワ侯国の君主も、キメイラ帝国の皇帝も頭を抱えたらしいよ。
デモの背景にはダイフク商会の影響もあるかもね。
異例のスピードで急成長して、優れた商品を世に出し、ドーワ侯国全体を急激に豊かにしたんだから。
同盟国とはいえ、そんな隣国に嫉妬した亜人も多かったんじゃないかな?
だけど、そのデモを止めたのもダイフク商会だったのさ。
ダイフク商会はデモに参加した亜人達を大量雇用したんだ。
しかも何人かは幹部として高待遇で迎え入れたんだって。
太っ腹だよね。
デモに参加していた亜人達のほとんどは、仕事がなくて生活に困っていた人達だったから、雇用されるとなった途端デモはすぐに収束したらしいよ。
その後、今後の実効支配料をダイフク商会が支払うことで、ダイフク商会はドーワ侯国とキメイラ帝国から、龍脈を使用した研究を行う許可をもらったんだって。
まぁ~、よく出来た話だよね。」
なるほどな。
前にダイフク会長が『龍脈の件は解決した』と言っていたのは、そういうことだったのか。
「こうして龍脈の使用権を獲得したダイフク商会は、それからすぐに異界穴を開ける研究を始めたそうだよ。
まるで、最初から異界穴を開くには龍脈が必要だと、知っていたかのようだよね。」
「つまり、ダイフク会長とサラさんは異界穴研究を始める前から知り合いだった、ということ?」
「ゼルくん、ご明答!」
「じゃあダイフク会長とサラが繋がっている可能性が高くなったってことか?」
「そうだね!聖ソラトリク教団の時みたいな一研究員としての立場じゃなくて、ある程度ダイフク会長と話せる立ち位置にいそうだね。」
「だったらダイフク会長に直接聞いてみれば、サラの居場所が分かるんじゃねーか?」
「おぉ!クドージンくん頭いい♪流石だね!確かクドージンくんって、前にダイフク会長と話したことがあるんだよね?お願い!ボクはダイフク会長と面識ないから、代わりに聞いてくれない?」
「はぁ~...仕方ねぇな」
俺はダイフク会長にメールするため、スマドを取り出そうとした。
が、ダイフク会長の連絡先を消されたのを思い出して、取り出すのをやめた。
以前ダイフク会長に依頼された通り、じいちゃんとの間を取り持とうと話をしたら、じいちゃんにブチ切れられてそのまま連絡先も消されたんだった。
「やっぱ無理だ。連絡先消えたの忘れてた。」
「えぇ~!!ここまで来てそれはないよ~。じゃあ、どうやってダイフク会長と連絡を取ればいいの?」
「知るか!」
そんなにサラに会いたいんだったら、そのくらい自分で考えろ。
と思ったが、その時ふとあることを思い出した。
「...そういえば以前、ダイフク会長が『何人かの日本人が会いに来たことがある』って言ってたぜ。日本からの転生者だって言い張れば、ダイフク会長と喋れるんじゃね?」
「おぉ!クドージンくん、ナイスアイデア!冴えてるねぇ~♪じゃあ早速、ダイフク会長宛に手紙を出すから、クドージンくん手伝ってよ♪」
「はぁ?なんで俺が?」
「だってボクらじゃ、ニホン人のフリなんかできないじゃん。あ!それかクドージンくんが『連絡先をもう一度教えてください』ってお願いの手紙を出す方が早いかもね!」
また連絡先を聞いたところで、じいちゃんに怒られて消されるのが目に見えている。
「....仕方ねぇな。ダイフク会長と会う気はねぇが、日本人のフリとやらは手伝ってやるよ。」
「そうこなくっちゃ♪」
「でもニホン人のフリって言っても、そう上手く誤魔化せるものなのかな?」
「確かに、シヴァは胡散臭いし、すぐバレるかもな。」
「えぇ~。酷い言い草だなぁ。」
「でしたら、私がお手伝いしましょうか?私はニホン人に似ているということですので、信憑性が増すかと思います。それに、起きてからシヴァさん達にはお世話になっているので、何か協力できればと思います。」
「ホントに?!センガちゃん、ありがとう!じゃあ、ダイフク会長と会うときはよろしくね♪とりあえずダイフク会長への手紙を書くから、クドージンくん手伝ってよ。」
「はいはい。」
こうして俺は、シヴァを手伝うことになった。
シヴァに頼まれた通りの内容の文章を日本語で書いて、ダイフク会長宛の手紙を作成した。
「この手紙で、ダイフク会長という方は会ってくださるのでしょうか?」
「封筒にもニホン語で『私も転生者です』って書いたし、さすがに無下にはしないでしょ♪」
「でもこの手紙、いつ向こうに届くんだ?返事が来るまでここで待つ気はねーぞ。」
「そうだ!それならクドージンさん、返事が来た時に報告できるように連絡先を教えてくださいませんか?」
唐突に厄介なことを聞いてきたな。
ゼルに連絡先を教えたら速攻で『フレイ=宮藤迅』ってバレるじゃねえか。
「あれれ?もしかしてキミの連絡先って、個人が特定できちゃう感じのヤツなの?」
「っ?!」
「あー!図星だ!それだったら、この際新しい連絡先を作ったらどう?」
「新しい連絡先?」
「例えば、今使っているメールアドレスとは違うメールアドレスを取得して使うとかさ。」
なるほど、その手があったか。
俺はシヴァ達から隠れて新規のメールアドレスを取得すると、そのアドレスをシヴァ達に教えた。
そしてこの日、俺は帰宅し、後日シヴァ達から連絡が来るのを待った。
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※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
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未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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※カクヨムとなろうにも投稿しています
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
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平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
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※小説家になろう様にも掲載しています。
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