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第26話:短期留学
【116】短期留学(1)
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「うわぁー、やっぱドーワ侯国はいつ来てもスゲェよな。」
「ヒノモト魔術学園もテレポーターを使えば一瞬で行けるんだから、ドーワ侯国の技術って凄いよね。」
タクトとライラは、再び訪れたドーワ侯国ではしゃいでいた。
今、俺達は短期留学のためにドーワ侯国に来ている。
ことの発端は3ヶ月前。
授業終わりのホームルームで、シヴァから連絡があった。
「みんな、掲示板を見て知っているかもしれないけど『ドーワ侯国短期留学プログラム』の申し込み期限があと1週間しかないよ~。今のところ、参加予定人数10人に対して1人しか申し込みが入ってないから、今からでも十分間に合うよ♪このプログラムでは、ドーワ侯国にあるヒノモト魔術学園で勉強する予定だから、みんなにとっていい刺激になると思うな♪」
そんなプログラムがあったのか。
掲示板なんざ全く確認しないから、全然気づかなかった。
「あと、僕はこのプログラムに同伴することになってるんだ♪その間の授業についてはまた連絡するね~。」
シヴァも行くのか。
きっと、ドーワ侯国に行くついでにダイフク会長について調べようという魂胆だろう。
「へぇ~。面白そうじゃん。ドーワ侯国旅行、楽しかったしもう一回行くのもアリだな。」
短期留学プログラムに興味を示したのは、タクトだった。
「そうだね。個人的には、ヒノモト魔術学園ではどんなことを勉強しているのかも気になるよ。」
それに賛同するように、レックス殿下も行きたそうにしている。
「でしたら、みんなでこの短期留学へ行ってみませんか?あと9人まで参加できるようですので、今なら僕達全員、申し込めますよ。」
よく考えたら、前回のドーワ侯国旅行は全然楽しめなかった。
俺の過去を詮索されて、勝手に同情されて、思い出しただけでも嫌悪感で発狂しそうだ。
だからこそ今度の旅行、もとい短期留学ではドーワ侯国を満喫したい。
「いいわね、それ!私もドーワ侯国でもっとお買い物とか色々したかったもの。」
「私も私も!今度は、この前行かなかったところに行ってみたい!」
「みんな、あくまで短期留学ってこと、わかってる?旅行じゃないんだよ?」
「まぁまぁ、いいじゃないか、ゼルくん。それに『ドーワ侯国にもう一度行きたい』っていうのは、次期君主として嬉しい限りだよ。」
こうして、全員一致で短期留学プログラムに参加することになり、今に至る。
その後、俺達以外で申し込む奴はいなかったため、事前に申し込んでいた1人+俺達7人の、合計8人で短期留学に参加した。
「それにしても、まさかアリーシャ様までこのプログラムに申し込んでいたなんて、意外だったわ。アリーシャ様、一緒にドーワ侯国を見て周りましょうね!」
「はい。カタリーナ様達と一緒に行動できて、嬉しいです。」
事前に申し込んでいた1人というのは、アリーシャだった。
誰も申し込んでいないプログラムにたった1人で申し込んだ変人は誰かと思ったら、まさかの知り合いだったとは。
まぁ、赤の他人とずっと一緒にいるより、知り合いの方がマシか。
「みんな、無事にドーワ侯国へ着いたね♪それじゃあ、テレポーターを使って今からヒノモト魔術学園に行くよ!」
短期留学中、ずっと一緒なのはシヴァも同じか。
俺達は早速、ヒノモト魔術学園へと移動した。
◆◆◆
ヒノモト魔術学園の、とある教室。
俺達生徒は、シヴァから短期留学中のスケジュールの説明を聞いた。
今日は授業はなく、明日からは学園の生徒達と一緒に授業があるらしい。
授業の話が出た途端、タクトは『えぇ~!』と、あからさまに不満を漏らした。
短期とはいえ留学なんだから授業を受けるのは当たり前だろ。
しかもヒノモト魔術学園は、王立ディシュメイン魔法学園と違って魔術の授業がメインだ。
魔術の成績が残念なタクトが、授業についていけるのか?
その後、学園の隣に建っている学生寮に案内され、持ってきた荷物を片付けた。
部屋の中は、ぶっちゃけ俺達の学校に寮に比べると狭い。
とはいえ、日本にいたときに勝手に住んでいたボロアパートくらいの広さはあった。
だが、俺達の学校の寮やボロアパートと比べて、便利さが段違いだ。
まず、部屋の中にある冷蔵庫はなんと、買い物ができるようになっている。
操作パネルをタッチして、買いたい食べ物や飲み物を注文した状態で冷蔵庫を閉めておくと、いつのまにか注文した商品が入っている。
しかもアイスはちゃんと冷凍庫に入れてくれる。
この部屋には、冷蔵庫と同じ仕組みの押入れがあり、そちらも操作パネルで注文した商品が、いつのまにか勝手に入っている。
外で買い物をする手間が省けて便利だ。
しかも靴や服も、靴箱やクローゼットに閉まっておくと、勝手に綺麗にしてくれる。
床に落ちたゴミも、謎の技術でいつの間にかなくなっている。
部屋の明かりも、人の不在を感知して自動で消えるし、布団も人がいない時に自動で綺麗にしてくれる。
便利すぎて、この部屋だったら一生監禁されても快適に生きていけそうだ。
俺は荷物の片付けを終えると、試しに冷蔵庫でコーラを注文した。
注文後、冷蔵庫を開けると瓶に入ったコーラが届いていた。
仕事が早い。
しかもキンキンに冷えている。
一口飲んでみると、シュワシュワと激しい泡が口の中に広がった。
この冷蔵庫、持って帰りたい。
残りも飲み切ろうと思ったが、次の予定が近づいていたため、コーラを一旦冷蔵庫の中へ閉まった。
俺は部屋から出ると、スケジュールの説明を受けた教室へと戻った。
みんなが教室に戻ってきた後、この学園の職員らしき人物がやってきて、自分についてくるように指示した。
俺達はその職員についていきながら、学園内を案内してもらった。そして、食堂などを使用する時のルールや、寮の部屋の門限などの説明を聞いた。
今日はこの後、自由時間らしい。
門限までは、学校の外へ出ても良いそうだ。
それを聞いたタクトは、夏休み前の終業式の時みたいにウキウキしていた。
「なぁ、みんな!早速遊びに行こうぜ!今からどこ行く?」
「そうねぇ。行ってみたい場所は色々あるけど、いざ行くとなると、どこにするか迷っちゃうわ。」
「短期留学は始まったばかりですし、とりあえず今日のところはニホンアイランドにしませんか?」
「いいね!私もニホンアイランドにもう一回行きたい!みんなは?」
「「賛成!」」
みんな、俺の意見に賛同してくれた。
「じゃあ校門前にあるテレポーターから、ニホンアイランドに行こう!と、その前にみんな、僕が前に渡したニホンアイランドのVIPフリーパスって持ってきた?」
あ!!
しまった、忘れてた。
あのフリーパス、有効期限がまだ切れていなかったから、持ってくれば良かった。
ドーワ侯国に来る機会なんてそうそうないし、勿体無いことをした。
しかも、みんなの反応を見る限り、忘れたのは俺だけのようだ。
「あっ!でも、アリーシャ様はフリーパスを持ってないんじゃないかしら?」
よかった、同志がいた。
持っていないのは俺だけじゃなくて、少しホッとする。
「ウフフ。実は私も、持っています!」
嘘だろ!
この裏切り者め!
「えっ?!アリーシャ様もVIPフリーパスをお持ちなのですか?」
「はい!短期留学の件をお父様に話したところ、お父様が譲ってくださったのです。正確には、元々お父様の仕事仲間の方が持っていた物なのですが、事情を知ったその方が、お父様経由で私に譲ってくださりました。」
VIPフリーパスって、そんなに簡単に手に入るものなのか?
「じゃあ、みんなフリーパス持ってることだし、ニホンアイランドに行こうぜ!」
どうする?
今更フリーパスを忘れたなんて言い出しにくい。
もしそれを言ったら『フレイくんがフリーパスを持っていないならニホンアイランドは諦めよう』という流れになりそうだ。
俺がニホンアイランドへ行こうと言い出したクセに、俺のせいで諦めさせるのは、何だか格好悪い。
嗚呼、家からすぐ取ってこれたらなぁ。
...って、俺なら魔法で取ってこれるじゃねえか。
俺は魔法で、家にあるVIPフリーパスをポケットの中へしまった。
そして何食わぬ顔で、みんなと一緒にニホンアイランドの中へ入った。
だけど久々に訪れたニホンアイランドは、どこか殺伐とした様子だった。
それに時々、鋭い視線を感じる。
ホリー曰く、『この辺を牛耳っていたレッドオーシャンが解散して、今はどのチームもこの場所を巡って水面下で争っている状態だから』だそうだ。
確か、カラーギャングっつったっけ?
面倒な奴らだな。
短期留学中に絡まれなければいいが。
2度目のニホンアイランドは嫌な空気を感じたものの、特に大きなトラブルなく遊べたから、前よりかは断然に楽しかった。
その日、俺達は屋形船で夕食を取ってから、学園の学生寮へと戻った。
「ヒノモト魔術学園もテレポーターを使えば一瞬で行けるんだから、ドーワ侯国の技術って凄いよね。」
タクトとライラは、再び訪れたドーワ侯国ではしゃいでいた。
今、俺達は短期留学のためにドーワ侯国に来ている。
ことの発端は3ヶ月前。
授業終わりのホームルームで、シヴァから連絡があった。
「みんな、掲示板を見て知っているかもしれないけど『ドーワ侯国短期留学プログラム』の申し込み期限があと1週間しかないよ~。今のところ、参加予定人数10人に対して1人しか申し込みが入ってないから、今からでも十分間に合うよ♪このプログラムでは、ドーワ侯国にあるヒノモト魔術学園で勉強する予定だから、みんなにとっていい刺激になると思うな♪」
そんなプログラムがあったのか。
掲示板なんざ全く確認しないから、全然気づかなかった。
「あと、僕はこのプログラムに同伴することになってるんだ♪その間の授業についてはまた連絡するね~。」
シヴァも行くのか。
きっと、ドーワ侯国に行くついでにダイフク会長について調べようという魂胆だろう。
「へぇ~。面白そうじゃん。ドーワ侯国旅行、楽しかったしもう一回行くのもアリだな。」
短期留学プログラムに興味を示したのは、タクトだった。
「そうだね。個人的には、ヒノモト魔術学園ではどんなことを勉強しているのかも気になるよ。」
それに賛同するように、レックス殿下も行きたそうにしている。
「でしたら、みんなでこの短期留学へ行ってみませんか?あと9人まで参加できるようですので、今なら僕達全員、申し込めますよ。」
よく考えたら、前回のドーワ侯国旅行は全然楽しめなかった。
俺の過去を詮索されて、勝手に同情されて、思い出しただけでも嫌悪感で発狂しそうだ。
だからこそ今度の旅行、もとい短期留学ではドーワ侯国を満喫したい。
「いいわね、それ!私もドーワ侯国でもっとお買い物とか色々したかったもの。」
「私も私も!今度は、この前行かなかったところに行ってみたい!」
「みんな、あくまで短期留学ってこと、わかってる?旅行じゃないんだよ?」
「まぁまぁ、いいじゃないか、ゼルくん。それに『ドーワ侯国にもう一度行きたい』っていうのは、次期君主として嬉しい限りだよ。」
こうして、全員一致で短期留学プログラムに参加することになり、今に至る。
その後、俺達以外で申し込む奴はいなかったため、事前に申し込んでいた1人+俺達7人の、合計8人で短期留学に参加した。
「それにしても、まさかアリーシャ様までこのプログラムに申し込んでいたなんて、意外だったわ。アリーシャ様、一緒にドーワ侯国を見て周りましょうね!」
「はい。カタリーナ様達と一緒に行動できて、嬉しいです。」
事前に申し込んでいた1人というのは、アリーシャだった。
誰も申し込んでいないプログラムにたった1人で申し込んだ変人は誰かと思ったら、まさかの知り合いだったとは。
まぁ、赤の他人とずっと一緒にいるより、知り合いの方がマシか。
「みんな、無事にドーワ侯国へ着いたね♪それじゃあ、テレポーターを使って今からヒノモト魔術学園に行くよ!」
短期留学中、ずっと一緒なのはシヴァも同じか。
俺達は早速、ヒノモト魔術学園へと移動した。
◆◆◆
ヒノモト魔術学園の、とある教室。
俺達生徒は、シヴァから短期留学中のスケジュールの説明を聞いた。
今日は授業はなく、明日からは学園の生徒達と一緒に授業があるらしい。
授業の話が出た途端、タクトは『えぇ~!』と、あからさまに不満を漏らした。
短期とはいえ留学なんだから授業を受けるのは当たり前だろ。
しかもヒノモト魔術学園は、王立ディシュメイン魔法学園と違って魔術の授業がメインだ。
魔術の成績が残念なタクトが、授業についていけるのか?
その後、学園の隣に建っている学生寮に案内され、持ってきた荷物を片付けた。
部屋の中は、ぶっちゃけ俺達の学校に寮に比べると狭い。
とはいえ、日本にいたときに勝手に住んでいたボロアパートくらいの広さはあった。
だが、俺達の学校の寮やボロアパートと比べて、便利さが段違いだ。
まず、部屋の中にある冷蔵庫はなんと、買い物ができるようになっている。
操作パネルをタッチして、買いたい食べ物や飲み物を注文した状態で冷蔵庫を閉めておくと、いつのまにか注文した商品が入っている。
しかもアイスはちゃんと冷凍庫に入れてくれる。
この部屋には、冷蔵庫と同じ仕組みの押入れがあり、そちらも操作パネルで注文した商品が、いつのまにか勝手に入っている。
外で買い物をする手間が省けて便利だ。
しかも靴や服も、靴箱やクローゼットに閉まっておくと、勝手に綺麗にしてくれる。
床に落ちたゴミも、謎の技術でいつの間にかなくなっている。
部屋の明かりも、人の不在を感知して自動で消えるし、布団も人がいない時に自動で綺麗にしてくれる。
便利すぎて、この部屋だったら一生監禁されても快適に生きていけそうだ。
俺は荷物の片付けを終えると、試しに冷蔵庫でコーラを注文した。
注文後、冷蔵庫を開けると瓶に入ったコーラが届いていた。
仕事が早い。
しかもキンキンに冷えている。
一口飲んでみると、シュワシュワと激しい泡が口の中に広がった。
この冷蔵庫、持って帰りたい。
残りも飲み切ろうと思ったが、次の予定が近づいていたため、コーラを一旦冷蔵庫の中へ閉まった。
俺は部屋から出ると、スケジュールの説明を受けた教室へと戻った。
みんなが教室に戻ってきた後、この学園の職員らしき人物がやってきて、自分についてくるように指示した。
俺達はその職員についていきながら、学園内を案内してもらった。そして、食堂などを使用する時のルールや、寮の部屋の門限などの説明を聞いた。
今日はこの後、自由時間らしい。
門限までは、学校の外へ出ても良いそうだ。
それを聞いたタクトは、夏休み前の終業式の時みたいにウキウキしていた。
「なぁ、みんな!早速遊びに行こうぜ!今からどこ行く?」
「そうねぇ。行ってみたい場所は色々あるけど、いざ行くとなると、どこにするか迷っちゃうわ。」
「短期留学は始まったばかりですし、とりあえず今日のところはニホンアイランドにしませんか?」
「いいね!私もニホンアイランドにもう一回行きたい!みんなは?」
「「賛成!」」
みんな、俺の意見に賛同してくれた。
「じゃあ校門前にあるテレポーターから、ニホンアイランドに行こう!と、その前にみんな、僕が前に渡したニホンアイランドのVIPフリーパスって持ってきた?」
あ!!
しまった、忘れてた。
あのフリーパス、有効期限がまだ切れていなかったから、持ってくれば良かった。
ドーワ侯国に来る機会なんてそうそうないし、勿体無いことをした。
しかも、みんなの反応を見る限り、忘れたのは俺だけのようだ。
「あっ!でも、アリーシャ様はフリーパスを持ってないんじゃないかしら?」
よかった、同志がいた。
持っていないのは俺だけじゃなくて、少しホッとする。
「ウフフ。実は私も、持っています!」
嘘だろ!
この裏切り者め!
「えっ?!アリーシャ様もVIPフリーパスをお持ちなのですか?」
「はい!短期留学の件をお父様に話したところ、お父様が譲ってくださったのです。正確には、元々お父様の仕事仲間の方が持っていた物なのですが、事情を知ったその方が、お父様経由で私に譲ってくださりました。」
VIPフリーパスって、そんなに簡単に手に入るものなのか?
「じゃあ、みんなフリーパス持ってることだし、ニホンアイランドに行こうぜ!」
どうする?
今更フリーパスを忘れたなんて言い出しにくい。
もしそれを言ったら『フレイくんがフリーパスを持っていないならニホンアイランドは諦めよう』という流れになりそうだ。
俺がニホンアイランドへ行こうと言い出したクセに、俺のせいで諦めさせるのは、何だか格好悪い。
嗚呼、家からすぐ取ってこれたらなぁ。
...って、俺なら魔法で取ってこれるじゃねえか。
俺は魔法で、家にあるVIPフリーパスをポケットの中へしまった。
そして何食わぬ顔で、みんなと一緒にニホンアイランドの中へ入った。
だけど久々に訪れたニホンアイランドは、どこか殺伐とした様子だった。
それに時々、鋭い視線を感じる。
ホリー曰く、『この辺を牛耳っていたレッドオーシャンが解散して、今はどのチームもこの場所を巡って水面下で争っている状態だから』だそうだ。
確か、カラーギャングっつったっけ?
面倒な奴らだな。
短期留学中に絡まれなければいいが。
2度目のニホンアイランドは嫌な空気を感じたものの、特に大きなトラブルなく遊べたから、前よりかは断然に楽しかった。
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