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第26話:短期留学
【119】短期留学(4)
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数十分後。
ヒノモト魔法学園の連中が言っていた『オススメのカフェ』とやらに、俺達は辿り着いた。
距離的には学校から離れた場所にあるが、テレポーターのお陰であっという間に到着した。
カフェのある街並みは、どのお店もピンク色のスカーフが巻いてあった。
この街の流行か何かか?
「実はね、留学生のみんなを歓迎するために、今日はここのお店を貸切にしていたんだ♪さぁ、入って入って!」
案内された店に入ると、中はモダンな雰囲気で、落ち着いた感じの音楽が流れていた。
事前に貸切にしていたからか、あらかじめ料理が用意されていた。
「わぁ!すっごくオシャレ!」
「料理もうまそー!」
「みんな、好きな席に座っていいわよ♪」
そう言われて、各々が自由に席を陣取った。
「僕達のために、これだけ準備してくれてありがとう。でも、結構いい値段したんじゃない?ここら辺ってピンクレディースのテリトリーだから...。」
はしゃいでいるタクトやライラとは裏腹に、ホリーは若干心配そうにしていた。
ピンクレディースというのがカラーギャングの一つなのだとしたら、ホリーが不安に思うのも理解できる。
「大丈夫大丈夫!ここのお店のオーナーとは大の仲良しだから、お友達価格で提供してもらってるの。それにピンクレディースのテリトリーとか、気にしなくても平気よ。みんなに危害を加えることはないから。」
「でもピンクレディースって、他のチームに比べて良心的な分、みかじめ料はかなり高いって聞くよ?」
「えっ!!みかじめ料?!」
「なにそれ初めて聞くんだけど?!」
ヒノモト魔術学園の生徒達は、耳が潰れそうなくらいの大声を出して驚いていた。
「僕もこの国の人間だし、この国で暮らしている友達もいるから、この話はかなり有名だよ。僕も前にこの街で食事をしたら、飲み物1杯だけで金貨1枚取られたよ。でもお店の人が『ピンクレディースが街を守ってくれているお陰で商売できているから、みかじめ料が高くても文句は言えない』って言うから、渋々みかじめ料込みの料金でその時は払ったんだ。同じような経験をした友達も何人かいるし、ピンクレディースが高額なみかじめ料を請求しているのは本当だと思うよ。」
「嘘....。信じられないんだけど....。」
ホリーの話を聞いたヒノモト魔術学園の生徒の一人は、握り拳を作ってわなわなと震えていた。
その生徒は3歳児にしか見えないくらい、小柄なエルフの女だったが、周りのヒノモト魔術学園の生徒達はそんなガキを恐れるように見ていた。
「オーーーナーーーー....。」
「はいっ?!」
その生徒は地を這うような声で、オーナーを呼び出す。
オーナーはその声に驚いて、ビクビクしながら女生徒の前まで来た。
「ねぇ。私達、今までみかじめ料なんか取った記憶がないんだけど?これって、どういうこと?」
「み、みかじめ料なんて知りません!少なくとも、ウチではそんなものは取っていません!」
「えっ、そうだったかな?僕、前に一回、この店に来たことがあったと思うよ。確か席は1時間につき大銀貨1枚じゃなかったっけ?あの時は人が少なかったとはいえ、長居した僕も悪かったけどさ。流石にあんなに割高な座席料を取られるとは思ってもみなかったよ。」
「ねぇ、オーナー。私がブチ切れちゃう前に、本当のことを言ってくれる?」
鬼のような形相をする女生徒の圧に負け、オーナーはその場で、地面につくのではと思うくらい深々と頭を下げた。
「すみません!欲が出てつい、値上げしました!」
「そっか~。欲が出ちゃったか。オーナー、詳しく教えて。」
「その、最初は普通の値段でやっていたのですが、ある時他のギャンク管轄のお店はもっと高い価格設定をしていると聞きまして。それで『ウチもみかじめ料をもらっているというテイで同じ価格にすれば、その分がっぽり儲けられるんじゃないか』と気づいたのです。」
「なるほどね。他のギャングのお店がみかじめ料として上乗せしている分のお金を、丸々お店の利益にしていたのね。私達にはみかじめ料とやらを一切支払っていないのに。」
「本当にすみません....。」
オーナーはこれ以上、頭を下げられないからか、頭を膝にくっつけて謝る。
「他のお店もきっと、その事に気づいて同じような価格設定にしたのだと思います。さらに言えば、ピンクレディースの方々のお陰でこの辺りは治安も良く、それもあってこの辺のお店は他のギャングの店より人気なのです。なので多少、他のギャングの店より高くてもお客さんは減らないから....。」
「欲が出ちゃったのね。」
「...すみません。」
女生徒に責められているからか、オーナーの姿がみるみるうちに小さくなっているように感じた。
「...まぁいいわ。その代わり、オーナーには誠意を見せてもらわなくちゃ!」
「せ、誠意、ですか?」
「そう。反省しているんだったら、それなりの誠意を見せてちょうだいよ。」
「で、でしたら....今までみかじめ料として取っていたお金を、全額ピンクレディースの皆さんにお渡しします!」
「違う違う。そんなことをしたら、本当に私達がみかじめ料を取ったことになるじゃない。本当に迷惑をかけたのは、私達じゃなくてお客さんでしょ?」
「でしたら、みかじめ料金分をお客様にお返しします!」
「う~ん。オーナー、本当にそんなこと、できるの?今までいつ・誰に・どんな理由で・いくら請求したか覚えてる?」
「....覚えていないです。」
「じゃあ、意味ないわね。」
「でしたら、今後は元の料金に戻した上で、みかじめ料を取っていた期間分だけ割引します!」
「それ良いわね!じゃあ、この街の他のお店にもそうするように伝えておいてね♪」
「はいぃ!!」
オーナーは飛び跳ねるように、店から出て行った。
「あっ、オーナーったら。何も今すぐにとは言ってないのに。」
女生徒は呆れたように、その後ろ姿を眺めていた。
さっきまでのピリついた空気が無くなったのを見計らったように、ホリーは女生徒に声をかけた。
「ねぇ、さっきから気になってたんだけど、もしかして君達って....。」
「あっ!自己紹介がまだだったわね。私はマイク・ケイミー。種族は見ての通りエルフで、ピンクレディースの総長をやっているの。」
オーナーとのやりとりで薄々は勘づいていたが、こんなチビの女がカラーギャングの総長なのは意外だ。
「やっぱり、そうだったんだ!さっきは知らないとはいえ、ピンクレディースを悪く言ってごめん。」
「いいのいいの。むしろ、教えてくれてありがとう。もし貴方の話を聞いてなかったら、ずっとみかじめ料価格が続いていただろうし。」
「ピンクレディースって、カラーギャングですよね?ということは、マイクさん達も違法スレスレなことをしているのですか?」
俺の質問に、マイクは一瞬固まったあとに、クスクスと笑い出した。
「あはは。フレイくん、もっとオブラートに包んで言えないの?まぁいいわ。結論から言うと、私達はただの自警団だから、他のカラーギャングと違って市民に迷惑をかけることも、違法なこともしてないわ。」
「自警団、ですか。」
「そ。この国の衛兵じゃ、全然カラーギャングが取り締まれなくて、私達市民はいつもアイツらに泣き寝入りするしかなかったの。だから私達は国に頼るのを諦めて、自分達でアイツらから身を守ろうと、自警団を立ち上げたってわけ。」
「そうだったんだ。なんというか、すみません。」
「いいのよいいのよ。悪いのは全部カラーギャングの奴らなんだから。それと無能な衛兵しか雇えない、国のトップね。」
「....父に、もっと優秀な人を雇ってもらえるようにお願いしとくよ。」
「ん?貴方のお父さんって、この国の偉い人なの?」
「うん、一応ね。自己紹介が遅れたけど、僕はホリー・コトナカーレ。あのミラ先生の弟で、この国の君主の息子だよ。」
するとマイクはバツの悪い顔をした。
「そ、そうだったのね!?ごめんなさい、そうとは知らずに悪く言って。」
「別にいいよ。事実だしね。ところで話は変わるけど、姉さんっていつもあんな感じで授業しているの?」
「えぇ。ミラ先生って、いつも最初に課題だけ出して、みんなが課題が終わるまで本を読んで、最後に私達の答えにダメ出ししているの。」
「それでちゃんと授業になってるの?」
「全然。だから私みたいに、ミラ先生の課題内容が理解できる人が、理解できなかった人に後で教えてあげてるの。」
職務怠慢もいいところだ。
「でも、ミラ先生は私と2つしか違わないのに、学校のどの先生よりも魔術に長けているんだから尊敬するわ。エルフで、しかもブルッグリン症候群の私ですら、先生の授業についていくので精一杯だもの。」
「ブルッグリン症候群?」
変な単語が出てきて、思わず聞き返した。
「ブルッグリン症候群っていうのは、エルフやハーフエルフに稀にでる特異体質のことよ。寿命は変わらないんだけど、私みたいに身体の成長が超ゆっくりになっちゃうの。でもその分、他のエルフ以上に魔力量は桁違いに多いし、知能も格段に高いの。」
なるほどな。
マイクが3歳児くらいにしか見えないのはブルッグリン症候群だからってことか。
「すみません、マイクさん。その、ブルッグリン症候群というのは、ハーフエルフでもなることがあるのですか?」
アリーシャは突然、眉間に皺を寄せながら質問した。
「えぇ。ハーフエルフでも過去に何人かはブルッグリン症候群の人がいたらしいわ。」
「そう、ですか。ではもしかしてショーン殿下も...?」
ショーン殿下と聞いて、アリーシャが何を意図して質問したのかがわかった。
ショーン殿下も確かに、マイクと同じくらい小さい。そして王立ディシュメイン魔法学園を若干5歳で卒業する魔力と知力がある。
ショーン殿下の特徴は、ブルッグリン症候群の特徴と一致する。
だとしたら、陛下と王妃のどっちかがエルフってことか?
いや、それは考えにくい。
じゃあ王妃は、エルフの男との間に出来た子どもを、陛下の子だと偽っているとか?
仮にそうだった場合、あのコーキナル派閥の連中がそれを知ったら、どんな反応をするだろう。
想像しただけで笑える。
「アリーシャ嬢、兄上がブルッグリン症候群なわけがないよ。父上もスイ王妃も由緒正しい血筋の人間だし、スイ王妃も不貞を働くようなお人ではないよ。」
そうは言ったものの、殿下の表情はどこか暗かった。
その表情から、殿下も少しは『ショーン殿下がブルッグリン症候群なのでは』と疑う気持ちがあるのが手に取るように分かった。
「そ、そういえば私、貴方達に言いたいことがあったの!」
どこか気まずい空気を察したマイクは、強引に話を変えようとした。
「ねぇ、タクトくん。あなたがレッドオーシャンを潰したってホント?」
「あぁ、そういえば、そんなこともあったな。」
「やっぱり本当だったんだ!おかげでこの国の治安も少しはマシになったわ。ありがとうね!」
「へへっ。なんたって俺は勇者の息子だからな。このくらい、朝飯前だぜ。」
タクトは自慢げに語っているが、実際にレッドオーシャンを潰したのはゲイルのおっさんだろ。
「でも何で、マイクさんはそのことを知っているの?お兄ちゃんって、そんなに有名なの?」
「えぇ。この情報、SNSで結構拡散されているわよ。しかも顔写真つきで。」
「そうかそうか。有名人は目立っちまうから困っちゃうなー。」
天狗になっているタクトを見ていると、何故が無性にイラつく。
「でも気をつけた方がいいわよ。他の3チームはあなたを警戒して、締めようと考えているみたい。しかも昨日、ニホンアイランドに行ったでしょ?その時の様子がかなり拡散されていて、タクトくんがヒノモト魔術学園の留学生ってことも特定されてるみたい。」
それを聞いた途端、さっきまで高笑いしていたタクトは急に顔を強張らせた。
「それだけじゃないわ。留学生のみんなも『タクトくんの連れ』ってことで写真が拡散されてたわ。十中八九、タクトくん以外も狙われてる。」
うわぁ、面倒臭ぇ。
ただでさえアランがいて厄介なのに、あのカス共にまで気をつけないといけないのか。
もしアランがいる前でカラーギャングに絡まれたらどうするか?を考えただけで、難解すぎて思考停止しそうだ。
マイクの話を聞いたタクト以外のみんなは、一様に不安そうな表情を浮かべた。
「へっ!上等じゃねえか!来るんだったら受けて立つぜ!」
一方のタクトは、やる気満々だ。
「その心意気は頼もしいけど、無茶は厳禁よ。なんせ、レッドオーシャンの残党は他のカラーギャングに入ったみたいだから。残りの3チームはレッドオーシャンとは比べ物にならないくらい厄介よ。」
「んなの、関係ねぇ!俺がまとめてぶっ潰してやるよ!」
タクトは今にも、カラーギャングに突撃しそうな勢いだ。
いつも思うが、その根拠のない自信はどこから来ているんだ?
「お兄ちゃんは良くても、私達は良くないよ。帰り道にでも襲われたら、どうしよう。」
息巻いている兄とは違い、ライラは今にも泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね、怖がらせるようなことを言っちゃって。でも安心して!留学中は私達ピンクレディースが、あなた達を守ってあげるから!それにここはウチのシマだから、他のカラーギャングも流石に入って来ないわよ。」
「本当、ですか?助かります。」
マイクの言葉に胸を撫で下ろしたのはライラだけではなかった。
さっきまで不安そうにしていたみんなも、少しは不安が和らいだようだった。
「そうそう!せっかくドーワ侯国に来てくれたんだから、オススメのお店を紹介するわ!カラーギャングのことは私達に任せて、みんな思いっきり楽しんでよ!」
「ありがとう、マイクさん。」
「そうよね。せっかくの留学なんだし、楽しまなきゃ損よね!」
「その通りよ!そういえばここから少し歩いたところにあるハピネス通りには、美容効果の高い化粧品とか、最新のコスメとか、可愛い雑貨が売っているお店がいっぱいあるのよ。この後、みんなで行きましょ♪」
「「うん!」」
なんか女だけで勝手に話が進んでやがる。
化粧品?可愛い雑貨?心底どうでもいい。
どうやら、そう思っているのは俺だけではないようだ。
男連中はみんな、その流れに苦い顔をしていた。
「えぇ~。それ絶対つまんねーだろ。」
「仮に僕達が付いていったところで、荷物持ちをさせられそうだね。」
タクトと殿下の意見はごもっともだ。
「でしたら、この後は男子と女子で別行動にしますか?」
「いや、それは流石に不安だなぁ。いくら僕のバリアがあるとはいえ、カラーギャングに絡まれるのは怖いよ。」
「だったら、ウチのチームの子を何人か、そっちに派遣するわよ?」
「いやいや、女に護衛されるとか俺のプライドが許さねぇよ!」
「僕は全然、構わないよ。でも、護衛してもらっている身であんまり外に出歩くのもアレだし、この後はまっすぐ帰るよ。」
「僕も、ホリーくんと一緒に帰ろうかな。」
ホリーと殿下は帰るのか。
でも俺は、せっかくだしこの後も遊びに行きたい。
「僕は外で遊びたいです。」
「だったらフレイは俺と一緒に来いよ。万が一カラーギャングが出ても、俺が守ってやるよ。」
「それじゃあ、僕も一緒に遊びに行こうかな。2人だけだと何だか心配だし。」
タクトとゼルは、俺のことを戦えない奴だと思っているんだろうな。
言葉の端々からそれを感じて、ちょっと鼻についた。
「ならば俺も、一緒に同行しよう。俺が一緒ならば、よほどの馬鹿でない限り絡んでこないだろうからな。」
アランも来るのかよ!
やっぱり親睦を深める云々は建前で、本音はホリーの言う通り宮藤迅の行方を探っているのだろう。
....よし。ここはお言葉に甘えて、カラーギャングが出たらタクト達に処理してもらうか。
「アラン様が一緒であれば護衛は必要なさそうですね。じゃあこの後は、女子はハピネス通りでお買い物、タクトくん達は別行動、ホリーくん達はそのまま帰るってことでいい?」
「うん!」
「いいぜ!」
反対する者はいなかった。
こうして俺達は、カフェで1時間程度ゆっくり過ごした後、各々別行動となった。
ヒノモト魔法学園の連中が言っていた『オススメのカフェ』とやらに、俺達は辿り着いた。
距離的には学校から離れた場所にあるが、テレポーターのお陰であっという間に到着した。
カフェのある街並みは、どのお店もピンク色のスカーフが巻いてあった。
この街の流行か何かか?
「実はね、留学生のみんなを歓迎するために、今日はここのお店を貸切にしていたんだ♪さぁ、入って入って!」
案内された店に入ると、中はモダンな雰囲気で、落ち着いた感じの音楽が流れていた。
事前に貸切にしていたからか、あらかじめ料理が用意されていた。
「わぁ!すっごくオシャレ!」
「料理もうまそー!」
「みんな、好きな席に座っていいわよ♪」
そう言われて、各々が自由に席を陣取った。
「僕達のために、これだけ準備してくれてありがとう。でも、結構いい値段したんじゃない?ここら辺ってピンクレディースのテリトリーだから...。」
はしゃいでいるタクトやライラとは裏腹に、ホリーは若干心配そうにしていた。
ピンクレディースというのがカラーギャングの一つなのだとしたら、ホリーが不安に思うのも理解できる。
「大丈夫大丈夫!ここのお店のオーナーとは大の仲良しだから、お友達価格で提供してもらってるの。それにピンクレディースのテリトリーとか、気にしなくても平気よ。みんなに危害を加えることはないから。」
「でもピンクレディースって、他のチームに比べて良心的な分、みかじめ料はかなり高いって聞くよ?」
「えっ!!みかじめ料?!」
「なにそれ初めて聞くんだけど?!」
ヒノモト魔術学園の生徒達は、耳が潰れそうなくらいの大声を出して驚いていた。
「僕もこの国の人間だし、この国で暮らしている友達もいるから、この話はかなり有名だよ。僕も前にこの街で食事をしたら、飲み物1杯だけで金貨1枚取られたよ。でもお店の人が『ピンクレディースが街を守ってくれているお陰で商売できているから、みかじめ料が高くても文句は言えない』って言うから、渋々みかじめ料込みの料金でその時は払ったんだ。同じような経験をした友達も何人かいるし、ピンクレディースが高額なみかじめ料を請求しているのは本当だと思うよ。」
「嘘....。信じられないんだけど....。」
ホリーの話を聞いたヒノモト魔術学園の生徒の一人は、握り拳を作ってわなわなと震えていた。
その生徒は3歳児にしか見えないくらい、小柄なエルフの女だったが、周りのヒノモト魔術学園の生徒達はそんなガキを恐れるように見ていた。
「オーーーナーーーー....。」
「はいっ?!」
その生徒は地を這うような声で、オーナーを呼び出す。
オーナーはその声に驚いて、ビクビクしながら女生徒の前まで来た。
「ねぇ。私達、今までみかじめ料なんか取った記憶がないんだけど?これって、どういうこと?」
「み、みかじめ料なんて知りません!少なくとも、ウチではそんなものは取っていません!」
「えっ、そうだったかな?僕、前に一回、この店に来たことがあったと思うよ。確か席は1時間につき大銀貨1枚じゃなかったっけ?あの時は人が少なかったとはいえ、長居した僕も悪かったけどさ。流石にあんなに割高な座席料を取られるとは思ってもみなかったよ。」
「ねぇ、オーナー。私がブチ切れちゃう前に、本当のことを言ってくれる?」
鬼のような形相をする女生徒の圧に負け、オーナーはその場で、地面につくのではと思うくらい深々と頭を下げた。
「すみません!欲が出てつい、値上げしました!」
「そっか~。欲が出ちゃったか。オーナー、詳しく教えて。」
「その、最初は普通の値段でやっていたのですが、ある時他のギャンク管轄のお店はもっと高い価格設定をしていると聞きまして。それで『ウチもみかじめ料をもらっているというテイで同じ価格にすれば、その分がっぽり儲けられるんじゃないか』と気づいたのです。」
「なるほどね。他のギャングのお店がみかじめ料として上乗せしている分のお金を、丸々お店の利益にしていたのね。私達にはみかじめ料とやらを一切支払っていないのに。」
「本当にすみません....。」
オーナーはこれ以上、頭を下げられないからか、頭を膝にくっつけて謝る。
「他のお店もきっと、その事に気づいて同じような価格設定にしたのだと思います。さらに言えば、ピンクレディースの方々のお陰でこの辺りは治安も良く、それもあってこの辺のお店は他のギャングの店より人気なのです。なので多少、他のギャングの店より高くてもお客さんは減らないから....。」
「欲が出ちゃったのね。」
「...すみません。」
女生徒に責められているからか、オーナーの姿がみるみるうちに小さくなっているように感じた。
「...まぁいいわ。その代わり、オーナーには誠意を見せてもらわなくちゃ!」
「せ、誠意、ですか?」
「そう。反省しているんだったら、それなりの誠意を見せてちょうだいよ。」
「で、でしたら....今までみかじめ料として取っていたお金を、全額ピンクレディースの皆さんにお渡しします!」
「違う違う。そんなことをしたら、本当に私達がみかじめ料を取ったことになるじゃない。本当に迷惑をかけたのは、私達じゃなくてお客さんでしょ?」
「でしたら、みかじめ料金分をお客様にお返しします!」
「う~ん。オーナー、本当にそんなこと、できるの?今までいつ・誰に・どんな理由で・いくら請求したか覚えてる?」
「....覚えていないです。」
「じゃあ、意味ないわね。」
「でしたら、今後は元の料金に戻した上で、みかじめ料を取っていた期間分だけ割引します!」
「それ良いわね!じゃあ、この街の他のお店にもそうするように伝えておいてね♪」
「はいぃ!!」
オーナーは飛び跳ねるように、店から出て行った。
「あっ、オーナーったら。何も今すぐにとは言ってないのに。」
女生徒は呆れたように、その後ろ姿を眺めていた。
さっきまでのピリついた空気が無くなったのを見計らったように、ホリーは女生徒に声をかけた。
「ねぇ、さっきから気になってたんだけど、もしかして君達って....。」
「あっ!自己紹介がまだだったわね。私はマイク・ケイミー。種族は見ての通りエルフで、ピンクレディースの総長をやっているの。」
オーナーとのやりとりで薄々は勘づいていたが、こんなチビの女がカラーギャングの総長なのは意外だ。
「やっぱり、そうだったんだ!さっきは知らないとはいえ、ピンクレディースを悪く言ってごめん。」
「いいのいいの。むしろ、教えてくれてありがとう。もし貴方の話を聞いてなかったら、ずっとみかじめ料価格が続いていただろうし。」
「ピンクレディースって、カラーギャングですよね?ということは、マイクさん達も違法スレスレなことをしているのですか?」
俺の質問に、マイクは一瞬固まったあとに、クスクスと笑い出した。
「あはは。フレイくん、もっとオブラートに包んで言えないの?まぁいいわ。結論から言うと、私達はただの自警団だから、他のカラーギャングと違って市民に迷惑をかけることも、違法なこともしてないわ。」
「自警団、ですか。」
「そ。この国の衛兵じゃ、全然カラーギャングが取り締まれなくて、私達市民はいつもアイツらに泣き寝入りするしかなかったの。だから私達は国に頼るのを諦めて、自分達でアイツらから身を守ろうと、自警団を立ち上げたってわけ。」
「そうだったんだ。なんというか、すみません。」
「いいのよいいのよ。悪いのは全部カラーギャングの奴らなんだから。それと無能な衛兵しか雇えない、国のトップね。」
「....父に、もっと優秀な人を雇ってもらえるようにお願いしとくよ。」
「ん?貴方のお父さんって、この国の偉い人なの?」
「うん、一応ね。自己紹介が遅れたけど、僕はホリー・コトナカーレ。あのミラ先生の弟で、この国の君主の息子だよ。」
するとマイクはバツの悪い顔をした。
「そ、そうだったのね!?ごめんなさい、そうとは知らずに悪く言って。」
「別にいいよ。事実だしね。ところで話は変わるけど、姉さんっていつもあんな感じで授業しているの?」
「えぇ。ミラ先生って、いつも最初に課題だけ出して、みんなが課題が終わるまで本を読んで、最後に私達の答えにダメ出ししているの。」
「それでちゃんと授業になってるの?」
「全然。だから私みたいに、ミラ先生の課題内容が理解できる人が、理解できなかった人に後で教えてあげてるの。」
職務怠慢もいいところだ。
「でも、ミラ先生は私と2つしか違わないのに、学校のどの先生よりも魔術に長けているんだから尊敬するわ。エルフで、しかもブルッグリン症候群の私ですら、先生の授業についていくので精一杯だもの。」
「ブルッグリン症候群?」
変な単語が出てきて、思わず聞き返した。
「ブルッグリン症候群っていうのは、エルフやハーフエルフに稀にでる特異体質のことよ。寿命は変わらないんだけど、私みたいに身体の成長が超ゆっくりになっちゃうの。でもその分、他のエルフ以上に魔力量は桁違いに多いし、知能も格段に高いの。」
なるほどな。
マイクが3歳児くらいにしか見えないのはブルッグリン症候群だからってことか。
「すみません、マイクさん。その、ブルッグリン症候群というのは、ハーフエルフでもなることがあるのですか?」
アリーシャは突然、眉間に皺を寄せながら質問した。
「えぇ。ハーフエルフでも過去に何人かはブルッグリン症候群の人がいたらしいわ。」
「そう、ですか。ではもしかしてショーン殿下も...?」
ショーン殿下と聞いて、アリーシャが何を意図して質問したのかがわかった。
ショーン殿下も確かに、マイクと同じくらい小さい。そして王立ディシュメイン魔法学園を若干5歳で卒業する魔力と知力がある。
ショーン殿下の特徴は、ブルッグリン症候群の特徴と一致する。
だとしたら、陛下と王妃のどっちかがエルフってことか?
いや、それは考えにくい。
じゃあ王妃は、エルフの男との間に出来た子どもを、陛下の子だと偽っているとか?
仮にそうだった場合、あのコーキナル派閥の連中がそれを知ったら、どんな反応をするだろう。
想像しただけで笑える。
「アリーシャ嬢、兄上がブルッグリン症候群なわけがないよ。父上もスイ王妃も由緒正しい血筋の人間だし、スイ王妃も不貞を働くようなお人ではないよ。」
そうは言ったものの、殿下の表情はどこか暗かった。
その表情から、殿下も少しは『ショーン殿下がブルッグリン症候群なのでは』と疑う気持ちがあるのが手に取るように分かった。
「そ、そういえば私、貴方達に言いたいことがあったの!」
どこか気まずい空気を察したマイクは、強引に話を変えようとした。
「ねぇ、タクトくん。あなたがレッドオーシャンを潰したってホント?」
「あぁ、そういえば、そんなこともあったな。」
「やっぱり本当だったんだ!おかげでこの国の治安も少しはマシになったわ。ありがとうね!」
「へへっ。なんたって俺は勇者の息子だからな。このくらい、朝飯前だぜ。」
タクトは自慢げに語っているが、実際にレッドオーシャンを潰したのはゲイルのおっさんだろ。
「でも何で、マイクさんはそのことを知っているの?お兄ちゃんって、そんなに有名なの?」
「えぇ。この情報、SNSで結構拡散されているわよ。しかも顔写真つきで。」
「そうかそうか。有名人は目立っちまうから困っちゃうなー。」
天狗になっているタクトを見ていると、何故が無性にイラつく。
「でも気をつけた方がいいわよ。他の3チームはあなたを警戒して、締めようと考えているみたい。しかも昨日、ニホンアイランドに行ったでしょ?その時の様子がかなり拡散されていて、タクトくんがヒノモト魔術学園の留学生ってことも特定されてるみたい。」
それを聞いた途端、さっきまで高笑いしていたタクトは急に顔を強張らせた。
「それだけじゃないわ。留学生のみんなも『タクトくんの連れ』ってことで写真が拡散されてたわ。十中八九、タクトくん以外も狙われてる。」
うわぁ、面倒臭ぇ。
ただでさえアランがいて厄介なのに、あのカス共にまで気をつけないといけないのか。
もしアランがいる前でカラーギャングに絡まれたらどうするか?を考えただけで、難解すぎて思考停止しそうだ。
マイクの話を聞いたタクト以外のみんなは、一様に不安そうな表情を浮かべた。
「へっ!上等じゃねえか!来るんだったら受けて立つぜ!」
一方のタクトは、やる気満々だ。
「その心意気は頼もしいけど、無茶は厳禁よ。なんせ、レッドオーシャンの残党は他のカラーギャングに入ったみたいだから。残りの3チームはレッドオーシャンとは比べ物にならないくらい厄介よ。」
「んなの、関係ねぇ!俺がまとめてぶっ潰してやるよ!」
タクトは今にも、カラーギャングに突撃しそうな勢いだ。
いつも思うが、その根拠のない自信はどこから来ているんだ?
「お兄ちゃんは良くても、私達は良くないよ。帰り道にでも襲われたら、どうしよう。」
息巻いている兄とは違い、ライラは今にも泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね、怖がらせるようなことを言っちゃって。でも安心して!留学中は私達ピンクレディースが、あなた達を守ってあげるから!それにここはウチのシマだから、他のカラーギャングも流石に入って来ないわよ。」
「本当、ですか?助かります。」
マイクの言葉に胸を撫で下ろしたのはライラだけではなかった。
さっきまで不安そうにしていたみんなも、少しは不安が和らいだようだった。
「そうそう!せっかくドーワ侯国に来てくれたんだから、オススメのお店を紹介するわ!カラーギャングのことは私達に任せて、みんな思いっきり楽しんでよ!」
「ありがとう、マイクさん。」
「そうよね。せっかくの留学なんだし、楽しまなきゃ損よね!」
「その通りよ!そういえばここから少し歩いたところにあるハピネス通りには、美容効果の高い化粧品とか、最新のコスメとか、可愛い雑貨が売っているお店がいっぱいあるのよ。この後、みんなで行きましょ♪」
「「うん!」」
なんか女だけで勝手に話が進んでやがる。
化粧品?可愛い雑貨?心底どうでもいい。
どうやら、そう思っているのは俺だけではないようだ。
男連中はみんな、その流れに苦い顔をしていた。
「えぇ~。それ絶対つまんねーだろ。」
「仮に僕達が付いていったところで、荷物持ちをさせられそうだね。」
タクトと殿下の意見はごもっともだ。
「でしたら、この後は男子と女子で別行動にしますか?」
「いや、それは流石に不安だなぁ。いくら僕のバリアがあるとはいえ、カラーギャングに絡まれるのは怖いよ。」
「だったら、ウチのチームの子を何人か、そっちに派遣するわよ?」
「いやいや、女に護衛されるとか俺のプライドが許さねぇよ!」
「僕は全然、構わないよ。でも、護衛してもらっている身であんまり外に出歩くのもアレだし、この後はまっすぐ帰るよ。」
「僕も、ホリーくんと一緒に帰ろうかな。」
ホリーと殿下は帰るのか。
でも俺は、せっかくだしこの後も遊びに行きたい。
「僕は外で遊びたいです。」
「だったらフレイは俺と一緒に来いよ。万が一カラーギャングが出ても、俺が守ってやるよ。」
「それじゃあ、僕も一緒に遊びに行こうかな。2人だけだと何だか心配だし。」
タクトとゼルは、俺のことを戦えない奴だと思っているんだろうな。
言葉の端々からそれを感じて、ちょっと鼻についた。
「ならば俺も、一緒に同行しよう。俺が一緒ならば、よほどの馬鹿でない限り絡んでこないだろうからな。」
アランも来るのかよ!
やっぱり親睦を深める云々は建前で、本音はホリーの言う通り宮藤迅の行方を探っているのだろう。
....よし。ここはお言葉に甘えて、カラーギャングが出たらタクト達に処理してもらうか。
「アラン様が一緒であれば護衛は必要なさそうですね。じゃあこの後は、女子はハピネス通りでお買い物、タクトくん達は別行動、ホリーくん達はそのまま帰るってことでいい?」
「うん!」
「いいぜ!」
反対する者はいなかった。
こうして俺達は、カフェで1時間程度ゆっくり過ごした後、各々別行動となった。
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※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
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未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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※カクヨムとなろうにも投稿しています
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
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平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
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※小説家になろう様にも掲載しています。
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