転生魔王の正体は?ーー厄災の魔王は転生後、正体を隠して勇者の子どもや自称悪役令嬢を助けるようですーー

サトウミ

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第27話:断罪劇

【132】断罪劇(6)

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ようやく裁判が終わりかけたところに異議を申し立てたのは、なんとショーン殿下だった。

「裁判長。ルイズ・ローレンス氏を殺人未遂容疑で告訴するのは尚早かと思います。」

「弁護人。その根拠は何でしょうか?」
「根拠は先程の動画の中にあります。」

するとショーン殿下は動画を早送りし、レオンが倒れる少し前で一時停止した。

「薬草室の扉に注目してください。扉のすりガラス越しに犯人と思わしき人物の写っています。すりガラス越しではっきりとは見えませんが、犯人の髪は暗緑色です。しかしルイズ・ローレンス氏の髪の色はライトブルーです。つまり、薬草室で扉を塞いでいた人物と、ルイズ氏は別人なのです。」

「異議あり。薬草室で扉を塞いでいた人物が殺害したとは限りません。薬草室で発動した魔術は、被害者二人の直接の死因ではない可能性もあります。ですが先程の弁護人の証拠により、ルイズ氏が被害者の胸にナイフを突き立てたことは事実でしょう。ということは、既に死んでいる・いないに関わらずルイズ氏には被害者を殺す意思があり、行動に至ったことに変わりありません。ならばどちらにせよ、殺人未遂で告訴すべきです。」

コーキナル公爵は意外と、自身が用意した証人をあっさり犯人として受け入れているように見える。
むしろ彼を犯人とすることで、この事件の裁判を終わらせようとしているようにも感じた。

「先程の動画を確認したところ、ルイズ氏は被害者が死んでいることを確認してから犯行に及んでいました。しかもレオン卿に至っては、犯行を躊躇していたようにも見えます。つまりルイズ氏の罪状はあくまで『死体損壊』であって『殺人未遂』ではありません。殺人未遂を起こした犯人とは別で考えるべきです。」

ショーン殿下は今更何を訴えたいの?
もう私の無罪は確定なんだし、ルイズさんが犯人かどうかは後日でもいいじゃない。
どうしてここまで犯人に拘るのかしら?

「弁護人。そこまで仰るのであれば、その仮説を裏付ける明確な根拠を提示してください。」

「はい。まずは事件当時に使われた魔術ですが、どのような魔術が使われたか既に特定しております。
魔術痕を丁寧に追跡したところ、薬草室で発動した魔術は、生物の魂を身体から抜き出す魔術であることが判明しました。この魔術にかかると、対象者は魂がなくなり、そのまま死に至ります。」

転生魔術と聞いて、以前交換留学で受けた授業のことを思い出した。
あの魔術、シヴァ先生すら一発で正確に書けなかったのに、今回の犯人は書けたんだ。
ということは、犯人は相当魔術の知識に長けているってこと?

「つまり、被害者2人の死因は転生魔術によるものと断定できます。また、ルイズ・ローレンス氏が熱心に通う聖ソラトリク教会から、こちらの資料を発見しました。」

ショーン殿下は証拠品となる資料を取り出すと、淡々とその内容を説明した。


「資料にはルイズ氏の業務予定が記載されています。事件当日の業務予定は次の通りです。

『例の計画を実行に移す。ただし薬草室に死体があることを確認してから行動に移すこと。侯爵が失敗して死体を確認できない場合は、速やかに計画を中止し、痕跡は残さないこと。』

この資料には聖ソラトリク教会の神父の署名が入っています。つまりルイズ氏は、教会の指示で『例の計画』を実行したのです。

例の計画、というのが被害者二人の胸にナイフを突き立てることであれば、被害者の死亡が確認できない場合は実行していなかった、ということになります。
よって、ルイズ氏はあくまで死体の偽装工作のみを実行したと証明できます。」


「なるほど。弁護人の主張はよくわかりました。しかし、そうなると被害者二人を殺害しようとした犯人は、一体誰なのでしょうか?」

「それに関して、見当がついております。教会の業務予定資料には『侯爵が失敗して死体を確認できない場合は....』との記載がありました。侯爵、というのが実行犯であると考えて良いでしょう。」

「その『侯爵』とは一体誰のことですか?」
するとショーン殿下は、さっきまで流暢に話していたのが嘘のようにピタリと黙った。
そして数秒の間考え込んだ後に、再び喋り出した。

「『侯爵』の正体を探るためには、まず本事件を全体像を把握する必要があるかと思います。」
ショーン殿下は改めて、簡潔に今分かっている範囲で事件の流れを説明した。


「つまり今回の事件は、『殺人未遂』と『現場偽装』の2つの犯行が、別々の人間、もしくは集団の手によって行われていたのです。
それとは別に、本件にはいくつか疑問点があるのですが、先にそちらを紐解いていきましょう。

1点目は『なぜ事件当時、レオン卿は薬草室にカタリーナ嬢がいると勘違いしたか』についてです。
実際にいたのは、髪と目の色をカタリーナ嬢と同じ色にしていたアリーシャ嬢でした。
どちらもカタリーナ嬢と関連している。これは偶然でしょうか?」


えっ?
もしかして私、被疑者になる前から、この事件と何か関係があったの?
ショーン殿下は2人に『なぜ薬草室にいたか?』を尋ねたけれど、2人とも黙秘を貫いた。
その結果は想定通りだったのか、ショーン殿下は自らの主張の続きを語る。

「証人は2人とも黙秘を貫いたため、僕が推察する彼らの動機を説明します。
今回の事件、『侯爵』が本来殺す予定だったターゲットはカタリーナ嬢だったと考えられます。
そして彼らは2人とも、事前に暗殺計画のことを知った上で、阻止しようと行動したものと考えられます。」

私がターゲット?
話が唐突に感じて、一瞬頭が真っ白になった。
私の暗殺計画って、アップスターオレンジのシナリオと関係あるのかしら?

「アリーシャ嬢はカタリーナ嬢を守るために、カタリーナ嬢に変装し、身代わりになるために薬草室にいた。
一方のレオン卿は、カタリーナ嬢を助けるために薬草室へ赴き、彼女を連れて逃げようとした。レオン卿が薬草室に入る前に動画を撮影していたのは、万が一犯人と対峙した場合、その動画を使って告発しようと考えてのことでしょう。」

確かに、それなら2人の違和感のある行動も納得できる。
指摘された2人は、まるでショーン殿下の話を肯定するかのように、苦い表情をして顔を伏せた。

「なるほど。それならば証人2人の不可解な行動にも説明がつきます。しかし、仮にそうだとして、証人達は計画をどこで知ったのでしょうか?」

「その件に関して、ご理解いただくためには説明が少々遠回りになりますが、よろしいでしょうか?」
「構いません。弁護人、説明をお願いします。」

「先程話しました侯爵による『カタリーナ嬢暗殺計画』に関して、実はこの計画が実行されたのは今回だけではないのです。」
ウソ...!
その発言に、私はもちろん、陪審員や傍聴席もどよめいた。

「カタリーナ嬢は過去に何度か死の危機に瀕したことがあります。ライトニング領で馬車が襲撃されたり、弟の誕生日パーティで毒を盛られたり、直近ですと学校の舞踏会で劇中に天井から落ちてきたものに押し潰されたり....。これらは全て、何者かによって仕組まれた事件でした。」

確かにそんなこと、あったわね。
殿下の命が狙われていると思っていたから、それ以上深くは考えなかったけど、よく考えれば私だけ殺されかけていた事件も何件かあったわ。

「しかし、これらの事件が全て同一犯である場合、犯行可能な人物または集団は存在しませんでした。ですが、これらの事件の何件かに、特に深く関わっていた人物と集団が存在します。」

「それは一体、何者ですか?」
「聖ソラトリク教団とフォージー侯爵です。」
「えぇ?!」

そんなまさか!
聖ソラトリク教団が犯罪者集団なのはシナリオ通りだから特に驚かなかった。
でもフォージー侯爵って。
仮にもヒロインの両親が裏で悪事に加担していたって、嘘でしょ?

「カタリーナ嬢だけが狙われた事件に限れば、フォージー侯爵が関与している可能性が非常に高い。加えて、先程提出した資料にも『侯爵』による犯行を仄めかす記載があった。つまり本件で被害者を殺害したのはフォージー侯爵であると考えております。」

「お待ちください!」
これに意を唱えたのはアリーシャ様だった。

「事実無根です!お父様が私を殺害するはずがありません。それに過去の事件に聖ソラトリク教団が関わっていると仰るならば、彼らに殺された可能性もあるじゃないですか。」

「確かに殺されたのはアリーシャ嬢ですが、それはフォージー侯爵が貴方をカタリーナ嬢と勘違いしたからです。また今回の事件、殺人に関しては聖ソラトリク教団は関与していません。ですが、別の形で事件と関わっているのです。」

「別の形、ですか?」
「はい。教団が本件で行った罪状は『現場偽装』です。そのことは聖ソラトリク教会から見つかった資料から裏付けできます。」

「現場偽装、ですか。聖ソラトリク教団がそのようなことをするメリットが無いように思いますが?」

「なぜルイズ氏に指示して現場偽装をしたのか?それを紐解くためにも、ここで教団や侯爵が想定していた通りに計画が進んだ場合を想像してみましょう。

恐らくフォージー侯爵は何らかの手段で、薬草室にカタリーナ嬢を呼ぶ予定だった。もしあの日、薬草室にいたのがカタリーナ嬢だけだった場合、彼女は転生魔術によって殺害されていたでしょう。

カタリーナ嬢の死体を確認したルイズ氏は、彼女の胸にナイフを突き立て現場の偽装工作を行い、その後弟のレックスと書庫で図書整理を行います。そしてレックスはルイズ氏の依頼で薬草室へ本を返しに行き、そこで死体の第一発見者となっていたでしょう。そのタイミングで後を追うように本を返しにきたルイズ氏が現場を目撃し、人殺しと騒ぎ立ててレックスを本件の犯人に仕立て上げる。

....これが犯人達が本来想定していた流れです。
つまり聖ソラトリク教団の狙いは、弟のレックスに殺人の罪を着せることだったのです。」

じゃあ私が死んでいたら、レックス殿下が犯人にされていたの?
やっぱり教団は、アップスターオレンジの通り、殿下を消そうとしていたのね。

「弁護人に異議を申し立てます。今回の事件でレックス殿下は途中でルイズ氏と合流し、一緒に薬草室へ向かっています。レックス殿下を犯人に仕立て上げるつもりならば、わざわざ一緒に薬草室へ向かわないのではないでしょうか?」
コーキナル公爵の意見はごもっともだわ。


「ルイズ氏にとってイレギュラーなことが発生したから結果的にレックスと一緒に行かざるをえなかったのでしょう。

レックスは薬草室へ向かう途中に、教師のシヴァ・レイヴン氏と会っています。もしそのまま2人で薬草室に行かれると、レックスを犯人に仕立て上げる計画が台無しになる。そう考えたルイズ氏はレックスとシヴァ氏と引き離そうと、2人と合流したのでしょう。

しかし、引き離すことができず、結果的に3人で薬草室へ向かうことになったのだと考えられます。既に偽装工作がされている薬草室をどう処理するか考えていたところ、そこにたまたま先にカタリーナ嬢がいたため、ルイズ氏は急遽カタリーナ嬢を犯人にする方針に変更したのでしょう。」


「なるほど。弁護人の説明にも納得できる部分はあります。しかしフォージー公爵がカタリーナ嬢を殺害する動機も、聖ソラトリク教団がレックス殿下に罪を着せる動機も不明瞭です。」


「動機ならあります。まず聖ソラトリク教団の動機は、レックスを排除することだったのです。教団は僕が次期国王になれば聖ソラトリク教をこの国の国教にできると考えたのでしょう。事実、母上がこの国の王妃になってから聖ソラトリク教会の信者は格段に増えました。しかし、僕が難病のせいで王位継承が危ういため、確実に国王になれるよう、弟を排除しようと考えたのでしょう。

ちなみに、先程過去にカタリーナ嬢が襲われた事件の何件かに、聖ソラトリク教団が関与していると話しました。
その教団が関わったとされる事件には共通して、レックスも危機に晒されていました。
つまりレックスを始末する計画も、教団によって何年も前から行われていたのです。」


教団の動機もシナリオ通りだわ。
でもまさか、それを告発するのがショーン殿下だなんて、少し意外ね。

「裁判長、弁護人の発言は同盟国の国教を侮辱する発言です。証拠もなくこれ以上の発言を許せば、国際問題に発展しかねません。」

コーキナル公爵は眉に皺を寄せて反論した。
確かにその通りなんだけど、公爵の態度はまるで、ショーン殿下にこれ以上喋らせたくないかのように見えた。

「証拠なら全て揃えております。本件とは直接的な関係性がないため後日起訴する予定でしたが、お望みでしたら今、全てを提出しても構いません。ちなみに、教団の数々の犯行を証明する証拠の中には、コーキナル公爵も関わっていたことを示すものが含まれていますが、検察側はそれを今提示してもよろしいのでしょうか?」

「馬鹿なっ!出鱈目です!いくらショーン殿下とはいえ、私に言いがかりをつけるようでしたら侮辱罪で訴えますよ!」

コーキナル公爵の狼狽えっぷりは、ショーン殿下の指摘を肯定しているかのようだった。
そういえばシナリオじゃ、レオンが教団と手を組んで殿下を殺そうとしているんだっけ?
あれはきっとレオンじゃなくて、コーキナル公爵のことだったのだろう。
だから公爵は今になって焦って反論しているんだわ。

「でしたら、言いがかりではないという証拠を提示すれば問題ないでしょうか?」
するとショーン殿下は数々の証拠となる資料を提出した。

「コーキナル公爵が聖ソラトリク教団と繋がっていることは、こちらの、いわゆる裏帳簿から推察できます。この帳簿には何点か不自然な多額の支出があります。この支出のある日と同じタイミングで教団は匿名でほぼ同額の寄付を受けている。」

「それがどうかしましたか?」

「問題は、教団が多額の寄付を受けた日は決まって、数日後にレックスが襲われる事件が起こっているのです。他にも、教団の上層部とコネクションがあるという証言や、コーキナル公爵宛の『暗殺計画書』なるものの控えなど、貴方が関与している証拠はまだまだあります。」

ショーン殿下が提出した数々の証拠に、コーキナル公爵は反論の余地なく、ただただ悔しそうに殿下を睨みつける。

買収されていた陪審員達も流石に知らなかったのか、コーキナル公爵を侮蔑の眼差しで見つめていた。

ショーン殿下が明らかにした数々の事実に、傍聴席は大きくどよめいた。

「兄上!」

そんな中、あるお方の声が法廷中に響くと、一気に静かになった。
叫んだのは国王陛下だった。
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