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アンサム様の秘密
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「ふふ…ふふふふ……」
まだジュリーちゃん達の来ていない生徒会室の前で、私は1人、不気味に思われそうな笑みを浮かべていた。
クリー湖で、溺れたユミル殿下の付き添いをしていた、あの日。
私はアンサム様の秘密を知ってしまった。
アンサム様の秘密。
それは──ロマンス小説が好き、ということだ。
翼竜車に乗っていた時に、アンサム様が読んでいる小説の内容がたまたま見えてしまった。
数行読んだだけで、一発で何の小説か理解できた。
あの小説は拙作『秘匿の勇者達』だ。
秘匿の勇者達は、賢者様達をモデルにしたロマンス小説で、今ノリに乗ってる作品でもある。
念のため気づいていないフリをしてアンサム様に内容を聞いてみたけど、秘匿の勇者達で間違いない。
しかも『面白い』とまで言ってくださって、感激のあまり昇天しそうになった。
アンサム様は秘匿の勇者達が好き、ということは他にもロマンス小説も読んでいるのかな?
…そういえば生徒会室の忘れ物で、最新刊の男爵令嬢の午後がブックカバー付きで置いてあったよね?
アンサム様の読む本は、いつもブックカバーがついていた。
ということは、アレもアンサム様の持ち物だったのかな。
だとしたら、私の小説の大ファンってことだよね?
そう考えただけで、頬が緩んで元に戻らない。
嗚呼、アンサム様とロマンス小説で語り合いたい。
そして願わくば拙作の感想を色々聞きたい。
だからこそ、今がチャンスだ。
生徒会室にはジュリーちゃんもブーケちゃんも、ジャズ先輩もユミル殿下もいない。
今いるのは、アンサム様ただ一人だ。
今なら、ロマンス小説好きを隠しているアンサム様でも、ロマンス小説の話題に乗ってくれるはずだ。
「こんにちは、お邪魔しまーす!」
私は気持ちの悪い笑顔を打ち消すように、元気よく挨拶をして生徒会室へ入った。
アンサム様は今日もブックカバーのついた小説を読んでいて、私のことを気にも止めずに読書に集中していた。
今、読んでる本もロマンス小説なのかな?
私はアンサム様の近くにあった席に座ると、アンサム様をじっと見つめながら話しかけた。
「ねぇ、アンサム様。今日は何の本を読んでいらっしゃるのですか?」
「……どこにでもある、普通の小説です」
ぶっきらぼうだけど、ちゃんと会話してくださるところが意外と優しい。
「普通の小説って、何の小説ですか? タイトルを言いたくなければ、内容だけでもを教えてくださいませんか?」
「…永い時を生きた魔女が、古びた城に住む魔獣と出会い、魔獣にかけられた呪いを解くために共同生活をするファンタジー小説です」
あらすじを聞いただけでピンときた。
その小説はきっと、拙作の『美魔女と魔獣』だ。
ファンタジー要素もあるけど、れっきとしたロマンス小説だ。
「面白そうな小説ですね! アンサム様はその小説、好きですか?」
「えぇ。まあ。何回読み直しても飽きませんし、むしろ読み返す度に初見では分からなかった伏線に気づけて、より面白いです」
何回も読んでくれているの!?
…ダメだ、笑わないように我慢していたけど、嬉しくて頬が緩んでしまう。
「…どうしましたか?」
気味の悪い笑顔を浮かべる私を見て、アンサム様は怪訝な顔をした。
「い、いえ。なんでもありません! ところで、アンサム様はいつも小説を読まれてますよね? 好きな小説とか、オススメの小説ってありますか?」
すると眉間に寄せた皺をさらに深くさせながら、口を開いた。
「好きな小説を語ったところで、恐らく貴女の読まないようなジャンルだと思いますので理解できないと思いますよ?」
「そんなことはありませんよ! 私、いまアンサム様が読まれているようなファンタジー小説も好きですから」
「そうなのですか。ならキャリーさんは、どのような小説が好きなのですか?」
「私は『炎のサラマンダー』や『アラクネの贖罪』などが好きです」
「どちらもロマンス小説じゃないですか。やはり女性は、ロマンス小説が好きなのですね」
呆れたように小言を漏らすアンサム様だけど、ボロを出したことに気づいていない。
私が例に挙げた作品はどちらも知名度が低く、ロマンス小説らしくないタイトルだ。
なのにロマンス小説だと断言するということは、内容を知っているということに他ならない。
「もちろん、ゴッテゴテのファンタジー小説も好きですよ。最近の作品だと『サバト』や『聖王』とか、何周も読み返しています。アンサム様は読まれたことはありますか?」
「いえ。最近はあまりファンタジー小説を読まないので」
また墓穴を掘るようなことを言うアンサム様に、思わず含み笑いをしてしまう。
「そうなのですか? ですが今、読まれている小説もファンタジー小説じゃないですか。それにこの前、翼竜車で呼んでいたのもファンタジー小説ですよね?」
矛盾を指摘すると、アンサム様は真顔になり、まるで時が止まったかのように動かなくなった。
いつものクールで無表情なアンサム様とは違ったリアクションに、私は笑い声を堪えきれず漏らしてしまった。
突然不自然に笑い出す私を、アンサム様は侮蔑を含んだ目で睨む。
「…何がおかしいのですか?」
「あっ、すみません。つい…」
「先程から不気味な笑顔をしていますが、何に対して笑っているのです?」
どうしよう。
アンサム様と仲良く語りたいだけなのに、かえって気味悪がられてしまった。
こうなったら、アンサム様に素直に気持ちを伝えよう。
「実は、アンサム様の秘密を知ってしまったのです。…アンサム様はロマンス小説が好きなのですよね?」
「っ!?」
表情こそ変わらなかったが、図星なのか耳が少し赤くなっている。
「何を根拠にそんなことを。男の俺がロマンス小説なんか読むはずないじゃないですか」
「翼竜車に乗っていた時に読まれていた小説って『秘匿の勇者達』ですよね? それにいま読まれている小説は『美魔女と魔獣』じゃないのでしょうか? どちらも、アンサム様が説明してくださった内容と一致します」
「偶然の一致です。俺が読んでいたのはロマンス小説ではありません」
「でしたら、いま読んでいる本のブックカバーを外して見せてください!」
私が本を掴もうとすると、アンサム様は瞬時に避けた。が、辛うじてブックカバーが指に引っかかっていたため、背表紙部分がビリビリと音を立てて破れてしまった。
ブックカバーで隠れていた背表紙には『美魔女と野獣』と書かれていた。
アンサム様は破れたブックカバーを見て、目を大きくさせたまま固まってしまった。
「あっ、すみません…」
流石に無理矢理取ろうとしたのは良くなかった。
気まずい沈黙が流れる。
「………ろいですか?」
「はい?」
アンサム様は沈黙を破るように、低い声で呟く。
「…そんなに面白いですか? 俺がロマンス小説を読んでいるのが」
いつもと変わらない丁寧な口調だったが、その声は刺々しく、少し震えていた。
「ヒトの趣味を馬鹿にできるほど、貴女は高尚な趣味を持っているのですか? 俺を陰で嘲笑うために変な質問ばかりしてくる貴女の方が、よっぽど悪趣味じゃないですか!」
「いえ、そういうつもりでは…!」
しまった。
私が直接聞かずに遠回りな質問ばかりしていたせいで、誤解されちゃった。
「だったら、さっきから笑っている理由はなんですか? 俺の趣味が変だから笑っているのでしょう?」
「それは違」
「言い訳は結構です。貴女とは、もう話したくありません。生徒会室から、出て行ってください」
「ですが…」
「早く出て行かないと先生に報告しますよ?」
アンサム様は最早、私の言葉に耳を傾けてくれない。
嗚呼、折角ロマンス小説仲間になれると思ったのに。
私は『すみません』と謝ってから、逃げるように生徒会室から出て行った。
まだジュリーちゃん達の来ていない生徒会室の前で、私は1人、不気味に思われそうな笑みを浮かべていた。
クリー湖で、溺れたユミル殿下の付き添いをしていた、あの日。
私はアンサム様の秘密を知ってしまった。
アンサム様の秘密。
それは──ロマンス小説が好き、ということだ。
翼竜車に乗っていた時に、アンサム様が読んでいる小説の内容がたまたま見えてしまった。
数行読んだだけで、一発で何の小説か理解できた。
あの小説は拙作『秘匿の勇者達』だ。
秘匿の勇者達は、賢者様達をモデルにしたロマンス小説で、今ノリに乗ってる作品でもある。
念のため気づいていないフリをしてアンサム様に内容を聞いてみたけど、秘匿の勇者達で間違いない。
しかも『面白い』とまで言ってくださって、感激のあまり昇天しそうになった。
アンサム様は秘匿の勇者達が好き、ということは他にもロマンス小説も読んでいるのかな?
…そういえば生徒会室の忘れ物で、最新刊の男爵令嬢の午後がブックカバー付きで置いてあったよね?
アンサム様の読む本は、いつもブックカバーがついていた。
ということは、アレもアンサム様の持ち物だったのかな。
だとしたら、私の小説の大ファンってことだよね?
そう考えただけで、頬が緩んで元に戻らない。
嗚呼、アンサム様とロマンス小説で語り合いたい。
そして願わくば拙作の感想を色々聞きたい。
だからこそ、今がチャンスだ。
生徒会室にはジュリーちゃんもブーケちゃんも、ジャズ先輩もユミル殿下もいない。
今いるのは、アンサム様ただ一人だ。
今なら、ロマンス小説好きを隠しているアンサム様でも、ロマンス小説の話題に乗ってくれるはずだ。
「こんにちは、お邪魔しまーす!」
私は気持ちの悪い笑顔を打ち消すように、元気よく挨拶をして生徒会室へ入った。
アンサム様は今日もブックカバーのついた小説を読んでいて、私のことを気にも止めずに読書に集中していた。
今、読んでる本もロマンス小説なのかな?
私はアンサム様の近くにあった席に座ると、アンサム様をじっと見つめながら話しかけた。
「ねぇ、アンサム様。今日は何の本を読んでいらっしゃるのですか?」
「……どこにでもある、普通の小説です」
ぶっきらぼうだけど、ちゃんと会話してくださるところが意外と優しい。
「普通の小説って、何の小説ですか? タイトルを言いたくなければ、内容だけでもを教えてくださいませんか?」
「…永い時を生きた魔女が、古びた城に住む魔獣と出会い、魔獣にかけられた呪いを解くために共同生活をするファンタジー小説です」
あらすじを聞いただけでピンときた。
その小説はきっと、拙作の『美魔女と魔獣』だ。
ファンタジー要素もあるけど、れっきとしたロマンス小説だ。
「面白そうな小説ですね! アンサム様はその小説、好きですか?」
「えぇ。まあ。何回読み直しても飽きませんし、むしろ読み返す度に初見では分からなかった伏線に気づけて、より面白いです」
何回も読んでくれているの!?
…ダメだ、笑わないように我慢していたけど、嬉しくて頬が緩んでしまう。
「…どうしましたか?」
気味の悪い笑顔を浮かべる私を見て、アンサム様は怪訝な顔をした。
「い、いえ。なんでもありません! ところで、アンサム様はいつも小説を読まれてますよね? 好きな小説とか、オススメの小説ってありますか?」
すると眉間に寄せた皺をさらに深くさせながら、口を開いた。
「好きな小説を語ったところで、恐らく貴女の読まないようなジャンルだと思いますので理解できないと思いますよ?」
「そんなことはありませんよ! 私、いまアンサム様が読まれているようなファンタジー小説も好きですから」
「そうなのですか。ならキャリーさんは、どのような小説が好きなのですか?」
「私は『炎のサラマンダー』や『アラクネの贖罪』などが好きです」
「どちらもロマンス小説じゃないですか。やはり女性は、ロマンス小説が好きなのですね」
呆れたように小言を漏らすアンサム様だけど、ボロを出したことに気づいていない。
私が例に挙げた作品はどちらも知名度が低く、ロマンス小説らしくないタイトルだ。
なのにロマンス小説だと断言するということは、内容を知っているということに他ならない。
「もちろん、ゴッテゴテのファンタジー小説も好きですよ。最近の作品だと『サバト』や『聖王』とか、何周も読み返しています。アンサム様は読まれたことはありますか?」
「いえ。最近はあまりファンタジー小説を読まないので」
また墓穴を掘るようなことを言うアンサム様に、思わず含み笑いをしてしまう。
「そうなのですか? ですが今、読まれている小説もファンタジー小説じゃないですか。それにこの前、翼竜車で呼んでいたのもファンタジー小説ですよね?」
矛盾を指摘すると、アンサム様は真顔になり、まるで時が止まったかのように動かなくなった。
いつものクールで無表情なアンサム様とは違ったリアクションに、私は笑い声を堪えきれず漏らしてしまった。
突然不自然に笑い出す私を、アンサム様は侮蔑を含んだ目で睨む。
「…何がおかしいのですか?」
「あっ、すみません。つい…」
「先程から不気味な笑顔をしていますが、何に対して笑っているのです?」
どうしよう。
アンサム様と仲良く語りたいだけなのに、かえって気味悪がられてしまった。
こうなったら、アンサム様に素直に気持ちを伝えよう。
「実は、アンサム様の秘密を知ってしまったのです。…アンサム様はロマンス小説が好きなのですよね?」
「っ!?」
表情こそ変わらなかったが、図星なのか耳が少し赤くなっている。
「何を根拠にそんなことを。男の俺がロマンス小説なんか読むはずないじゃないですか」
「翼竜車に乗っていた時に読まれていた小説って『秘匿の勇者達』ですよね? それにいま読まれている小説は『美魔女と魔獣』じゃないのでしょうか? どちらも、アンサム様が説明してくださった内容と一致します」
「偶然の一致です。俺が読んでいたのはロマンス小説ではありません」
「でしたら、いま読んでいる本のブックカバーを外して見せてください!」
私が本を掴もうとすると、アンサム様は瞬時に避けた。が、辛うじてブックカバーが指に引っかかっていたため、背表紙部分がビリビリと音を立てて破れてしまった。
ブックカバーで隠れていた背表紙には『美魔女と野獣』と書かれていた。
アンサム様は破れたブックカバーを見て、目を大きくさせたまま固まってしまった。
「あっ、すみません…」
流石に無理矢理取ろうとしたのは良くなかった。
気まずい沈黙が流れる。
「………ろいですか?」
「はい?」
アンサム様は沈黙を破るように、低い声で呟く。
「…そんなに面白いですか? 俺がロマンス小説を読んでいるのが」
いつもと変わらない丁寧な口調だったが、その声は刺々しく、少し震えていた。
「ヒトの趣味を馬鹿にできるほど、貴女は高尚な趣味を持っているのですか? 俺を陰で嘲笑うために変な質問ばかりしてくる貴女の方が、よっぽど悪趣味じゃないですか!」
「いえ、そういうつもりでは…!」
しまった。
私が直接聞かずに遠回りな質問ばかりしていたせいで、誤解されちゃった。
「だったら、さっきから笑っている理由はなんですか? 俺の趣味が変だから笑っているのでしょう?」
「それは違」
「言い訳は結構です。貴女とは、もう話したくありません。生徒会室から、出て行ってください」
「ですが…」
「早く出て行かないと先生に報告しますよ?」
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