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レディーナの好きな人って?
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暖かな日差しが差し込む、放課後の中庭。
私は、木陰にあるベンチに座って、とある人物を待っていた。
「ジュリー、お待たせ~!」
手を振りながら私のもとへ駆けつけたのは、レディーナだ。
以前『恋愛の相談があればいつでも聞くよ』と言ったから、私に会いにきたのは十中八九、恋愛相談のためだろう。
「遅くなってゴメン」
レディーナは頭を掻きながら、私の隣に座った。
「いえいえ。こちらこそお昼休みに会いにきてくださったのに、あの時は間が悪くてすみません。ところで、今日はどうされましたか?」
「実はジュリーに、確認したいことがあるんだ」
私に確認したいこと?
なんだろう。全く見当がつかない。
「ジュリーはさ、ジャズのことをどう思ってんの?」
なるほど、レディーナは私がジャズ先輩のことが好きなのか疑っていたワケね。
「ジャズ先輩は同じ生徒会メンバーとして尊敬していますが、恋愛感情はありません」
「いや、そうじゃなくて!」
「はい?」
「ジュリーは、ジャズの好きな相手は誰だと思ってんの?」
ジャズ先輩の好きな相手、と聞いて一瞬ウイン様の顔が頭をよぎった。
先輩はフィーネが好きだと断言していたから、間違いないと思う。
けれどウイン様とジャズ先輩の関係性が、心のどこかで引っ掛かっていた。
「なぜ、そんなことを知りたいのですか?」
「それはホラ、アレだ……。噂でジャズがウインを好きかもしれないって聞いてさ。ジュリーも知っているだろ?」
「はい。なにせその噂は、レディーナ様から聞きましたから」
「私から!? 私、いつそんなことを話したっけ? ジュリーとはこの前カフェで会ったばかりだよな?」
「そのカフェで話されていましたよ?」
「はぁ? いつ?」
「レディーナ様の恋愛相談をしていた時です。ジャズ先輩がウイン様にお姫様抱っこをされた話や、ジャズ先輩はウイン様と話す時に顔をほんのり赤くさせる話をされていましたよね?」
「してない、してない! あの日、ジャズの話とか一切してないから!」
「あれ? そうなのですか? でしたらレディーナ様の好きな方というのは、ジャズ先輩ではなかったのですか?」
「当たり前だろ! 私が好きなのはフィーネだから!」
なんだ。
ジャズ先輩が薔薇の人だというのは、とんだ勘違いだったわ。
もしかして、あの日レディーナが話していた『好きな人』というのは、フィーネのことだったのかしら?
仮にそうだとしたら、レディーナが話していた内容とも一致する。
ウイン様にお姫様抱っこされたり、照れたりしていたのが私なら納得だ。
レディーナも大きなため息をつきながら、どこか納得したような表情をしていた。
「なるほどなぁ、それでか。全部繋がった」
「そうですね。勘違いして、すみませんでした」
「別に気にしないよ。ってか、なんで私の好きな人がジャズだなんて思ったんだ?」
「それは……」
フィーネの前でジャズ先輩のことを楽しそうに話していたから、と言おうとしたが直前で踏みとどまった。
情報源がフィーネだと言ったら、正体を悟られる可能性がある。
「実は、以前レディーナ様がフィーネ様とカフェにいた時、私も同じカフェにいたのです」
「マジか? 全然、気づかなかった」
「レディーナ様からは見えない席にいたので、仕方ありません。その時のお二人の会話を聞いて、レディーナ様がジャズ先輩を好きなのではと思ったのです。あの時、レディーナ様はジャズ先輩を褒めていましたし」
「それでか」
「ところで、レディーナ様の好きな人はジャズ先輩ではないとのことですが、この前話されていた『好きな相手』というのは、フィーネ様のことですか?」
彼女は以前『男装して好きな人に会った』と話していた。
仮に好きな人がフィーネだとしたら、彼女は以前、男装して私の前に現れたということになる。
だけどフィーネの姿で彼女に似た男性に会ったことがない。
「それは~、えっと……ちょっと待て」
私の質問に、レディーナは頭を抱えてぶつぶつと呟きながら返答を悩んでいた。
「あー。……やっぱりあの日言ってた『好きな人』は、フィーネじゃねえや。フィーネは大好きだけど」
「そうなのですね」
男装したレディーナに会った記憶がないのも、それなら納得できる。
「でしたら、レディーナ様の好きな人というのは……いえ、なんでもありません」
聞こうとしたが、言葉を飲み込んだ。
レディーナの好きな相手がプライベートで付き合いのある人物だったら、彼女の素性を探ることになってしまう。
彼女の好きな人は、一体誰なのかしら?
「言っておくけど、私が好きなのはジャズでもウインでも、ましてやユミルでもないから!」
「あら、そうなのですね。ところで、レディーナ様が今日来られた理由は、結局何だったのでしょうか?」
「ジュリーには色々確認したいことがあってさ。ジャズの件もその一つってワケ」
「色々、ですか」
「ほら、お前って悪い意味で有名人だから、色んな噂を聞くんだよ。だから、その噂の真偽を直接本人に確認したくなったんだ」
なんだ。
てっきり恋愛相談だと思ったのに。
彼女の恋の話を聞けなくて少し残念だわ。
「ってなわけで、次の噂の真偽を確認させて! 次はジュリーの好きな人についてだ!」
「えっ、私ですか?」
まさか逆に、私の好きな人を聞かれるとは思わなかった。
ウイン様の顔が頭の中をよぎる。
と同時に、もう1人の顔も頭をよぎった気がするけれど、頭にコツンと何かが当たったせいで忘れてしまった。
「痛っ」
レディーナの頭にも何かがぶつかったようで、私達は頭を押さえて周囲を見回した。
すると、背後には赤黒い本を持ったアンサム様が立っていた。
私は、木陰にあるベンチに座って、とある人物を待っていた。
「ジュリー、お待たせ~!」
手を振りながら私のもとへ駆けつけたのは、レディーナだ。
以前『恋愛の相談があればいつでも聞くよ』と言ったから、私に会いにきたのは十中八九、恋愛相談のためだろう。
「遅くなってゴメン」
レディーナは頭を掻きながら、私の隣に座った。
「いえいえ。こちらこそお昼休みに会いにきてくださったのに、あの時は間が悪くてすみません。ところで、今日はどうされましたか?」
「実はジュリーに、確認したいことがあるんだ」
私に確認したいこと?
なんだろう。全く見当がつかない。
「ジュリーはさ、ジャズのことをどう思ってんの?」
なるほど、レディーナは私がジャズ先輩のことが好きなのか疑っていたワケね。
「ジャズ先輩は同じ生徒会メンバーとして尊敬していますが、恋愛感情はありません」
「いや、そうじゃなくて!」
「はい?」
「ジュリーは、ジャズの好きな相手は誰だと思ってんの?」
ジャズ先輩の好きな相手、と聞いて一瞬ウイン様の顔が頭をよぎった。
先輩はフィーネが好きだと断言していたから、間違いないと思う。
けれどウイン様とジャズ先輩の関係性が、心のどこかで引っ掛かっていた。
「なぜ、そんなことを知りたいのですか?」
「それはホラ、アレだ……。噂でジャズがウインを好きかもしれないって聞いてさ。ジュリーも知っているだろ?」
「はい。なにせその噂は、レディーナ様から聞きましたから」
「私から!? 私、いつそんなことを話したっけ? ジュリーとはこの前カフェで会ったばかりだよな?」
「そのカフェで話されていましたよ?」
「はぁ? いつ?」
「レディーナ様の恋愛相談をしていた時です。ジャズ先輩がウイン様にお姫様抱っこをされた話や、ジャズ先輩はウイン様と話す時に顔をほんのり赤くさせる話をされていましたよね?」
「してない、してない! あの日、ジャズの話とか一切してないから!」
「あれ? そうなのですか? でしたらレディーナ様の好きな方というのは、ジャズ先輩ではなかったのですか?」
「当たり前だろ! 私が好きなのはフィーネだから!」
なんだ。
ジャズ先輩が薔薇の人だというのは、とんだ勘違いだったわ。
もしかして、あの日レディーナが話していた『好きな人』というのは、フィーネのことだったのかしら?
仮にそうだとしたら、レディーナが話していた内容とも一致する。
ウイン様にお姫様抱っこされたり、照れたりしていたのが私なら納得だ。
レディーナも大きなため息をつきながら、どこか納得したような表情をしていた。
「なるほどなぁ、それでか。全部繋がった」
「そうですね。勘違いして、すみませんでした」
「別に気にしないよ。ってか、なんで私の好きな人がジャズだなんて思ったんだ?」
「それは……」
フィーネの前でジャズ先輩のことを楽しそうに話していたから、と言おうとしたが直前で踏みとどまった。
情報源がフィーネだと言ったら、正体を悟られる可能性がある。
「実は、以前レディーナ様がフィーネ様とカフェにいた時、私も同じカフェにいたのです」
「マジか? 全然、気づかなかった」
「レディーナ様からは見えない席にいたので、仕方ありません。その時のお二人の会話を聞いて、レディーナ様がジャズ先輩を好きなのではと思ったのです。あの時、レディーナ様はジャズ先輩を褒めていましたし」
「それでか」
「ところで、レディーナ様の好きな人はジャズ先輩ではないとのことですが、この前話されていた『好きな相手』というのは、フィーネ様のことですか?」
彼女は以前『男装して好きな人に会った』と話していた。
仮に好きな人がフィーネだとしたら、彼女は以前、男装して私の前に現れたということになる。
だけどフィーネの姿で彼女に似た男性に会ったことがない。
「それは~、えっと……ちょっと待て」
私の質問に、レディーナは頭を抱えてぶつぶつと呟きながら返答を悩んでいた。
「あー。……やっぱりあの日言ってた『好きな人』は、フィーネじゃねえや。フィーネは大好きだけど」
「そうなのですね」
男装したレディーナに会った記憶がないのも、それなら納得できる。
「でしたら、レディーナ様の好きな人というのは……いえ、なんでもありません」
聞こうとしたが、言葉を飲み込んだ。
レディーナの好きな相手がプライベートで付き合いのある人物だったら、彼女の素性を探ることになってしまう。
彼女の好きな人は、一体誰なのかしら?
「言っておくけど、私が好きなのはジャズでもウインでも、ましてやユミルでもないから!」
「あら、そうなのですね。ところで、レディーナ様が今日来られた理由は、結局何だったのでしょうか?」
「ジュリーには色々確認したいことがあってさ。ジャズの件もその一つってワケ」
「色々、ですか」
「ほら、お前って悪い意味で有名人だから、色んな噂を聞くんだよ。だから、その噂の真偽を直接本人に確認したくなったんだ」
なんだ。
てっきり恋愛相談だと思ったのに。
彼女の恋の話を聞けなくて少し残念だわ。
「ってなわけで、次の噂の真偽を確認させて! 次はジュリーの好きな人についてだ!」
「えっ、私ですか?」
まさか逆に、私の好きな人を聞かれるとは思わなかった。
ウイン様の顔が頭の中をよぎる。
と同時に、もう1人の顔も頭をよぎった気がするけれど、頭にコツンと何かが当たったせいで忘れてしまった。
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