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好きな相手を探るには
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由々しき事態だ。
まさかカイルの派閥もオルティス公爵を狙っているとは。
カイルのあのリアクションは、間違いない。
支持基盤の弱いアベルの派閥ならまだしも、オルティス公爵がカイルの派閥に入ったら王位争いでさらに不利になる。
しかも肝心のジュリーに好きな相手がいるとは。
頑固なあの女のことだから、それでも父親の決めた相手と結婚するのだろう。
だが、オルティス公爵が娘を思って好きな相手と結婚させたり、ジュリーが駆け落ちしたりする可能性もゼロじゃない。
せめてジュリーの好きな相手が誰なのかを知ることができれば、始末するのだが。
相手がカイルの派閥だった場合、急がないとオルティス公爵を取られてしまう。
こういう時は、便利なあの女の出番だな。
「それじゃあ、僕は資料を職員室に持って行くね。」
俺は理由をつけて生徒会室から出ると、職員室に向かいながら例の女を探した。
するとタイミング良く、本人から俺に話しかけてきた。
「ユミル殿下! こんなところでお会いできるなんて光栄です♪ 何かお手伝いしましょうか?」
ロザリアはニコニコと媚びるように俺に笑いかける。
この女はブーケ同様、悪魔憑きにしやすい便利な手駒だ。
ジュリーに気のある素振りをすれば、すぐにキレて悪魔憑きにさせることができる。
しかも、単にキレやすいだけじゃない。
怒りの質が高いのも良い。
ジュリーやジャズのように、いくら怒っても怒りの質が低い人間は、怒りの加護を与えても大した悪魔憑きにはならない。
だがロザリアは一度キレたら、ずっとその怒りに囚われているくらい、怒りの感情が強い。
怒りの強さは授けられる加護の強さと比例するから、ロザリアはいつも強力な悪魔憑きになってくれる。
「ありがとう、ロザリア嬢。でも資料を職員室に持って行くだけだから大丈夫だよ。あっ、そういえば君に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「はい! 何なりと聞いてください♪」
「君はジュリー嬢の好きな人が誰か、知っているかい?」
すると、さっきまで上機嫌だったロザリアが、みるみるうちに表情を曇らせる。
「ユミル殿下、なぜ彼女のことをお聞きするのでしょうか?」
「それはちょっと言いにくいんだけど......前から気になっていてさ。」
嘘ではない。
が、ロザリアをイラつかせるためにも、俺はあえて恥じらう素振りをしながら話した。
「殿下!彼女のことなんて、どうでもいいじゃないですか!」
効果てきめんだ。
ダメ押しで、もう少し煽るか。
「どうでも良くないよ。だって僕は彼女と......って、ロザリア嬢には関係ないか。」
匂わせるような俺の態度に、ロザリアは鼻息を荒くしている。
これだけ怒っていれば十分だろ。
「知らないんだったら別にいいや。じゃ、僕は急いでいるから。またね。」
俺はロザリアを置いて人気のないところへ隠れると、ロザリアに怒りの加護を授ける準備をした。
ロザリアの怒りの感情を辿って、彼女に念話で話しかける。
(ロザリア・フォルティーナ。貴様に...)
(来るのが遅い! このボンクラ悪魔王! 私がイラついたら5秒で来なさい!)
念話で話しているはずなのに、耳がキーンとなりそうなくらいの大声で怒鳴られた気がする。
(ロザリア嬢、よく悪魔王に対して悪態をつけますよね。)
その怒鳴り声に、俺の中にいた闇の精霊ですら呆れて、逆に感心していた。
この女に舐められているのは癪だが、悪魔憑きにするのだし、まぁ許そう。
(さっさと私に力をよこしなさい!)
(まぁ慌てるな。貴様に一つ、提案してやろう。)
(何? くだらない話だったら、アンタぶっ飛ばすわよ?)
この女、どうやって俺をぶっ飛ばすつもりだ?
(貴様はジュリー・オルティスが憎いのだろう? あの女を苦しめる良い方法がある。)
(へぇ、聞いてあげてもいいわよ。)
(ジュリー・オルティスが愛する人物を殺すのだ。さすれば、あの女は傷つき、悲しむだろう。)
(アンタ、たまにはいいことを思いつくじゃないの。乗ったわ。)
この女は我が強いから世界樹を狙うのには向いていないが、馬鹿だから適当に誘導すれば簡単に操れるから便利だ。
(さぁ、ロザリア・フォルティーナ。貴様の欲する力を願え。怒りの加護とともに、貴様の望む力を授けよう。)
するとロザリアは、見慣れた悪魔憑きの姿に変身した。
怒りの加護によって得る能力は、怒っている内容や本人の性質によって異なる。
だが加護を授ける前に、本人が具体的に欲しい能力が定まっていた場合、怒りのエネルギーが本人の望む能力へと変化する。
これを利用して、ロザリアを言葉巧みに誘導すると、俺の望む力を手に入れさせることができる。
今回、ロザリアは『好きな相手のことしか考えられなくなるビーム』が打てる能力を得たようだ。
これをジュリーに打たせれば、ジュリーの意中の相手が誰だか分かる。
(待ってなさい、ジュリー・オルティス! 今、貴女の愛する人を、目の前で奪ってあげるから。)
ロザリアは不敵な笑みを浮かべると、ジュリーに会うため生徒会室へと向かった。
まさかカイルの派閥もオルティス公爵を狙っているとは。
カイルのあのリアクションは、間違いない。
支持基盤の弱いアベルの派閥ならまだしも、オルティス公爵がカイルの派閥に入ったら王位争いでさらに不利になる。
しかも肝心のジュリーに好きな相手がいるとは。
頑固なあの女のことだから、それでも父親の決めた相手と結婚するのだろう。
だが、オルティス公爵が娘を思って好きな相手と結婚させたり、ジュリーが駆け落ちしたりする可能性もゼロじゃない。
せめてジュリーの好きな相手が誰なのかを知ることができれば、始末するのだが。
相手がカイルの派閥だった場合、急がないとオルティス公爵を取られてしまう。
こういう時は、便利なあの女の出番だな。
「それじゃあ、僕は資料を職員室に持って行くね。」
俺は理由をつけて生徒会室から出ると、職員室に向かいながら例の女を探した。
するとタイミング良く、本人から俺に話しかけてきた。
「ユミル殿下! こんなところでお会いできるなんて光栄です♪ 何かお手伝いしましょうか?」
ロザリアはニコニコと媚びるように俺に笑いかける。
この女はブーケ同様、悪魔憑きにしやすい便利な手駒だ。
ジュリーに気のある素振りをすれば、すぐにキレて悪魔憑きにさせることができる。
しかも、単にキレやすいだけじゃない。
怒りの質が高いのも良い。
ジュリーやジャズのように、いくら怒っても怒りの質が低い人間は、怒りの加護を与えても大した悪魔憑きにはならない。
だがロザリアは一度キレたら、ずっとその怒りに囚われているくらい、怒りの感情が強い。
怒りの強さは授けられる加護の強さと比例するから、ロザリアはいつも強力な悪魔憑きになってくれる。
「ありがとう、ロザリア嬢。でも資料を職員室に持って行くだけだから大丈夫だよ。あっ、そういえば君に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「はい! 何なりと聞いてください♪」
「君はジュリー嬢の好きな人が誰か、知っているかい?」
すると、さっきまで上機嫌だったロザリアが、みるみるうちに表情を曇らせる。
「ユミル殿下、なぜ彼女のことをお聞きするのでしょうか?」
「それはちょっと言いにくいんだけど......前から気になっていてさ。」
嘘ではない。
が、ロザリアをイラつかせるためにも、俺はあえて恥じらう素振りをしながら話した。
「殿下!彼女のことなんて、どうでもいいじゃないですか!」
効果てきめんだ。
ダメ押しで、もう少し煽るか。
「どうでも良くないよ。だって僕は彼女と......って、ロザリア嬢には関係ないか。」
匂わせるような俺の態度に、ロザリアは鼻息を荒くしている。
これだけ怒っていれば十分だろ。
「知らないんだったら別にいいや。じゃ、僕は急いでいるから。またね。」
俺はロザリアを置いて人気のないところへ隠れると、ロザリアに怒りの加護を授ける準備をした。
ロザリアの怒りの感情を辿って、彼女に念話で話しかける。
(ロザリア・フォルティーナ。貴様に...)
(来るのが遅い! このボンクラ悪魔王! 私がイラついたら5秒で来なさい!)
念話で話しているはずなのに、耳がキーンとなりそうなくらいの大声で怒鳴られた気がする。
(ロザリア嬢、よく悪魔王に対して悪態をつけますよね。)
その怒鳴り声に、俺の中にいた闇の精霊ですら呆れて、逆に感心していた。
この女に舐められているのは癪だが、悪魔憑きにするのだし、まぁ許そう。
(さっさと私に力をよこしなさい!)
(まぁ慌てるな。貴様に一つ、提案してやろう。)
(何? くだらない話だったら、アンタぶっ飛ばすわよ?)
この女、どうやって俺をぶっ飛ばすつもりだ?
(貴様はジュリー・オルティスが憎いのだろう? あの女を苦しめる良い方法がある。)
(へぇ、聞いてあげてもいいわよ。)
(ジュリー・オルティスが愛する人物を殺すのだ。さすれば、あの女は傷つき、悲しむだろう。)
(アンタ、たまにはいいことを思いつくじゃないの。乗ったわ。)
この女は我が強いから世界樹を狙うのには向いていないが、馬鹿だから適当に誘導すれば簡単に操れるから便利だ。
(さぁ、ロザリア・フォルティーナ。貴様の欲する力を願え。怒りの加護とともに、貴様の望む力を授けよう。)
するとロザリアは、見慣れた悪魔憑きの姿に変身した。
怒りの加護によって得る能力は、怒っている内容や本人の性質によって異なる。
だが加護を授ける前に、本人が具体的に欲しい能力が定まっていた場合、怒りのエネルギーが本人の望む能力へと変化する。
これを利用して、ロザリアを言葉巧みに誘導すると、俺の望む力を手に入れさせることができる。
今回、ロザリアは『好きな相手のことしか考えられなくなるビーム』が打てる能力を得たようだ。
これをジュリーに打たせれば、ジュリーの意中の相手が誰だか分かる。
(待ってなさい、ジュリー・オルティス! 今、貴女の愛する人を、目の前で奪ってあげるから。)
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