眠り王子と恋の夢

白妙スイ@1/9新刊発売

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好きの気持ちの行くところ④

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「そう……だね。十一月になったらすぐ、かな」
 言いながら、なんだか信じられない気持ちだった。
 そんな日はずっとこないような気がしていたのに、いつの間にか目の前にせまっていたのだ。
 そこからぽつぽつ話をした。一緒に過ごした昼休みにあったことや、それからつむぎが先日、いばら先輩とデートした話もした。
 李奈は全部、相づちを打ちつつ聞いてくれたけれど、なんだかだんだん顔がくもっていった。
 なんだろう、と思ったつむぎであったけれど、李奈が不意に言ったこと。
「つむぎは……本当に、いいの?」
 いいの、とは。
 一瞬、わからなかった。けれどすぐ思い当たる。
 いばら先輩との恋人関係。
 なくなってもいいの、ということだ。
 すぐに返事が思いつかなかった。
「え、……最初から、そのつもりだったし……」
 口から出たのはそれだったけれど、つむぎは自分で思ってしまう。
 それは確かに事実である。でも李奈の「いいの?」とはかみあっていない。
「ううん、そうじゃなくて。今のつむぎの気持ちだよ」
 李奈は小さく首を振って、そして本題を指摘してきた。
 自分の、気持ち。
 つむぎはかみしめるように、頭の中で繰り返した。
 それはつまり、いばら先輩のことをどう思っているか、である。
 つむぎの頭に、さっき李奈に話したことがいろいろ浮かんだ。
 昼休みに過ごした日々。
 あるとき、流れからつむぎが二人分のお弁当を作ってくることになった。
 毎朝、早起きをして奮闘した。おいしいお弁当が作れるように。
 そしていばら先輩は毎日「うまい」と食べてくれた。
 それから……デートに行った。とても楽しかったし、どきどきすることもたくさんあった。
 『最初』とは違うのだ。
 過ごした時間が、まったく違う。
 そしてその時間も、起こったことも、それによって生まれた想い出も。
 あのときとはなにもかも、違って当たり前なのだ。
 つまり、自分の気持ちも。違って当たり前、だったのかもしれない。
「どう……なの、かな」
 でもつむぎの返事はにごってしまった。
 なんとなく、感じてはいた。
 いばら先輩のことが好きだ。その気持ちは確かだ。もうわかっていた。
 でもそれは、恋人関係、というものがなくなっても同じなのだろうか。関係があるから『好き』だったのだろうか。
 それがまだ、確信できなくて。
 つむぎは考え考え、それを説明した。
 李奈はそれを全部、真剣に聞いてくれた。
 そして言ってくれたこと。つむぎはどきりとした。
「でも、なくなってからじゃ、手遅れになるかもしれないんじゃないかな」
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