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好きの気持ちの行くところ④
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「そう……だね。十一月になったらすぐ、かな」
言いながら、なんだか信じられない気持ちだった。
そんな日はずっとこないような気がしていたのに、いつの間にか目の前にせまっていたのだ。
そこからぽつぽつ話をした。一緒に過ごした昼休みにあったことや、それからつむぎが先日、いばら先輩とデートした話もした。
李奈は全部、相づちを打ちつつ聞いてくれたけれど、なんだかだんだん顔がくもっていった。
なんだろう、と思ったつむぎであったけれど、李奈が不意に言ったこと。
「つむぎは……本当に、いいの?」
いいの、とは。
一瞬、わからなかった。けれどすぐ思い当たる。
いばら先輩との恋人関係。
なくなってもいいの、ということだ。
すぐに返事が思いつかなかった。
「え、……最初から、そのつもりだったし……」
口から出たのはそれだったけれど、つむぎは自分で思ってしまう。
それは確かに事実である。でも李奈の「いいの?」とはかみあっていない。
「ううん、そうじゃなくて。今のつむぎの気持ちだよ」
李奈は小さく首を振って、そして本題を指摘してきた。
自分の、気持ち。
つむぎはかみしめるように、頭の中で繰り返した。
それはつまり、いばら先輩のことをどう思っているか、である。
つむぎの頭に、さっき李奈に話したことがいろいろ浮かんだ。
昼休みに過ごした日々。
あるとき、流れからつむぎが二人分のお弁当を作ってくることになった。
毎朝、早起きをして奮闘した。おいしいお弁当が作れるように。
そしていばら先輩は毎日「うまい」と食べてくれた。
それから……デートに行った。とても楽しかったし、どきどきすることもたくさんあった。
『最初』とは違うのだ。
過ごした時間が、まったく違う。
そしてその時間も、起こったことも、それによって生まれた想い出も。
あのときとはなにもかも、違って当たり前なのだ。
つまり、自分の気持ちも。違って当たり前、だったのかもしれない。
「どう……なの、かな」
でもつむぎの返事はにごってしまった。
なんとなく、感じてはいた。
いばら先輩のことが好きだ。その気持ちは確かだ。もうわかっていた。
でもそれは、恋人関係、というものがなくなっても同じなのだろうか。関係があるから『好き』だったのだろうか。
それがまだ、確信できなくて。
つむぎは考え考え、それを説明した。
李奈はそれを全部、真剣に聞いてくれた。
そして言ってくれたこと。つむぎはどきりとした。
「でも、なくなってからじゃ、手遅れになるかもしれないんじゃないかな」
言いながら、なんだか信じられない気持ちだった。
そんな日はずっとこないような気がしていたのに、いつの間にか目の前にせまっていたのだ。
そこからぽつぽつ話をした。一緒に過ごした昼休みにあったことや、それからつむぎが先日、いばら先輩とデートした話もした。
李奈は全部、相づちを打ちつつ聞いてくれたけれど、なんだかだんだん顔がくもっていった。
なんだろう、と思ったつむぎであったけれど、李奈が不意に言ったこと。
「つむぎは……本当に、いいの?」
いいの、とは。
一瞬、わからなかった。けれどすぐ思い当たる。
いばら先輩との恋人関係。
なくなってもいいの、ということだ。
すぐに返事が思いつかなかった。
「え、……最初から、そのつもりだったし……」
口から出たのはそれだったけれど、つむぎは自分で思ってしまう。
それは確かに事実である。でも李奈の「いいの?」とはかみあっていない。
「ううん、そうじゃなくて。今のつむぎの気持ちだよ」
李奈は小さく首を振って、そして本題を指摘してきた。
自分の、気持ち。
つむぎはかみしめるように、頭の中で繰り返した。
それはつまり、いばら先輩のことをどう思っているか、である。
つむぎの頭に、さっき李奈に話したことがいろいろ浮かんだ。
昼休みに過ごした日々。
あるとき、流れからつむぎが二人分のお弁当を作ってくることになった。
毎朝、早起きをして奮闘した。おいしいお弁当が作れるように。
そしていばら先輩は毎日「うまい」と食べてくれた。
それから……デートに行った。とても楽しかったし、どきどきすることもたくさんあった。
『最初』とは違うのだ。
過ごした時間が、まったく違う。
そしてその時間も、起こったことも、それによって生まれた想い出も。
あのときとはなにもかも、違って当たり前なのだ。
つまり、自分の気持ちも。違って当たり前、だったのかもしれない。
「どう……なの、かな」
でもつむぎの返事はにごってしまった。
なんとなく、感じてはいた。
いばら先輩のことが好きだ。その気持ちは確かだ。もうわかっていた。
でもそれは、恋人関係、というものがなくなっても同じなのだろうか。関係があるから『好き』だったのだろうか。
それがまだ、確信できなくて。
つむぎは考え考え、それを説明した。
李奈はそれを全部、真剣に聞いてくれた。
そして言ってくれたこと。つむぎはどきりとした。
「でも、なくなってからじゃ、手遅れになるかもしれないんじゃないかな」
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