11 / 45
第2章 パワハラ上司が、部下に優しい実業家になるまで
2-4 元パワハラ男は『クリエイターいじめ』をする得意先にガツンと言ってやりました
しおりを挟む
「ここが、クーゲルの受注先『ロングロング・アゴー』か……」
思ったよりも目的の場所は近かった。
ケンタウロスに乗ってほんの1時間ほどの場所にクーゲルの受注先があった。
『昔々』を意味する会社名の通り、見たところ、そこそこ大きなゲーム会社だった。
今体調を崩しているクーゲルは、ここでゲームのキャラクターのデザインを受けていた。
イグニスはぽつり、と口にした。
「ここ、正直あんまり評判が良くないんですよ……」
「そうなのか? 結構会社の雰囲気はよさそうだが……」
「けど、木造に魔力障壁を使った、いかにも『エルフ好み』のする建物ですよね?」
「確かにそうだな。正直私のように湿地を好むタイプのリザードマンは、日当たりが良すぎて好きになれない」
「ですよね? あの会社、正直エルフに対しては優しいけど、俺達みたいな種族を露骨に嫌ってるやつばっかりなんですよね」
「ハハハ、相手によって態度を変えるなんて! まさか、そんな子どもじみた会社員が、この世にいるわけないじゃないか。……とにかく入ろう」
この世界では、クリエイターの地位は極めて低い。さらに、そのクリエイターが『少数派』に属する種族であればなおさらだ。
……その時の私は、まだクーゲルたちの苦労をまるで理解していないことをすぐに分かった。
それからしばらくして、我々は応接室に通された。
「初めまして。私はニルセンと申します」
「私はイグニスです」
「……ああ。俺、リグレ」
「……はあ。えっと、俺はヨアンっす」
向こうも上司と部下と言う形でこちらに来たようだ。
『リグレ』と名乗ったエルフは恐らく上司だろう。あからさまにこちらを見下した様子で挨拶をしてきた。
一方の『ヨアン』はインキュバスだった。こちらが可愛い女の子じゃないと知って、あからさまに態度が悪い。……まあ、これはインキュバスの特性上仕方ないだろうが。
「それで、今回のクーゲルの契約についてなんですけど……」
一応ここに来る前に、アポイントと同時に簡単な連絡は取っているが、私は改めて話を始めた。
いくらなんでも、あの契約には無理があること。
そして現状こちら側もクーゲルの体調が思わしくないため、納期の延長をお願いしたいことを冷静に解説した。
……ある意味では、ここで『私が他者に怒れない』ようにかけられた、催眠アプリの暗示が生きた。全く皮肉なものだ。
……だが、リグレは話を全部聞いた後、はあ、とあからさまに不愉快な溜息を洩らした。
「それってあんたらの都合だろ? なんで我々が譲歩しないといけないの?」
「は?」
いくら受注先だからって、敬語も使わずに失礼な態度を取る奴だ。
そう考えたが、敢えて私はそこで態度に出さなかった。
「あの契約を了承したのは、あんたのとこのバカ女。あの納期も了承したのもそっち。これで、あんたらが仕事を出来ない責任を問われてもねえ……」
それはある意味では一理ある。
……ただしそれは、契約の内容が客観的に見て正当なものの場合だ。
無知や弱みに付け込んで不利な契約を押し付けた上で、そのような発言をすることは許されない。
「しかし、あの契約ははっきり言って『クリエイターいじめ』じゃないですか? あの内容と報酬で納期通りに挙げるのは、不可能ですよ……」
「あん? じゃあさ、良いよ。あんたのとこのクーゲルだっけ? そいつにはもう仕事振んねえから。あと違約金もしっかり請求させてもらうぞ」
「……違約金?」
「ほら、ここ読んでみろよ?」
そう言ってリグレは契約書を見せつけた。
……なるほど、読みづらい字……というかこれは、私のような高等教育を受けたものにしか読めない字だ……で、法外な違約金についての但し書きがある。
リグレたちは、クーゲルにこの文字が『読めないことを知ったうえで』違約金の項目を入れたのだろう。明らかにここだけ書き足されたような筆跡だ。
更に、彼の隣にいたヨアンは、小声で私の方につぶやいた。
「……あの……。……リグレさんは、エルフ以外にはまともに交渉しないっすよ?」
その発言で、イグニスが言っていたことが理解できた。
正直、クーゲルはこの大陸ではかなり珍しい種族だ。
その為、受注できる仕事もその収入も、他種族(特にこの大陸で多数派であるエルフ)に比べると、はるかに少ない。
加えて『ロングロング・アゴー』はゲームの開発会社としてはそれなりの大きさだ。
そのような大手企業に悪い噂を立てられたら、いよいよ彼女のようなクリエイターは仕事は出来なくなる。
なるほど、クーゲルが弱みに付け込まれ、さらに仕事を断れなかったわけだ。
「いやあ、ですがね。うちのクーゲルの途中結果は送ってますよね? 枚数もクオリティも、どれも問題ないと思いますが……」
私はそれでも、なるべく下手にでるように努めた。
だが、リグレの表情は不快そうなまま変わることはない。
「あれくらい、いくらでも書ける奴はいるんだよ。つーかさ、オタクらは自分で仕事作れないくせに、偉そうじゃね?」
「は?」
私は、この男の次の発言に耳を疑った。
「俺達はね。自分でゲーム作って、自分で広告出して、自分で小売りに頭下げて売ってんの。あんたらみたいに口開けて待ってて、楽して仕事貰ってんじゃないんだよね」
その発言には、私だけでなくイグニスもカチンと来たようだ。
その気持ちは分かる。
彼らはただ『依頼されるのを待つ』だけの存在じゃない。
……そのことは、少なくとも私は今まで指導……いや、パワハラだが……をしてきた身としてよくわかる。
リグレはさらにニヤニヤと笑って見下す口調で話し続ける。
「それにさ、オタクらみたいな弱小はさ、うちに仕事恵んでもらわないと困るだろ? しかもあの女、少数種族じゃん? こっちの力なら簡単に仕事できなくさせられるぜ?」
「それは……」
「んじゃ、オタクらとこっちの関係が分かったら、さっさと納期通りにイラスト用意しろよな? さもなきゃ、とっとと違約金を払えよ?」
「……そうですか……」
やはり最後の手段はこれしかない。
……だが、下手にこれをやるとクーゲルが干される可能性がある。
だからこそ、私が悪者になる言い方をしないといけない。
……全く皮肉なものだ。今までさんざん『悪者』になっていたことが、こんなところで役に立つとは。
「おい、イグニス? 今の言葉録音したか?」
「え? はい」
「は?」
そこでリグレはあっけにとられた表情を見せた。
私は録音する能力がある宝珠を、事前にイグニスに渡していたためだ。
それをリグレの前に見せる。
「今の発言、完全にクリエイターいじめですよね? この内容を知ったら世間はなんていうと思いますか?」
「あん? オタクらが困るだけじゃね? うちの仕事をやりたがる奴はいくらでもいるからな」
「確かに『組織としては』そうでしょう。ですが、ここであなたは明確に自分の名前を言っています」
「だから何だよ?」
そこで私はイグニスの方を見ると、イグニスは黙って頷いた。
「知っての通り、このイグニスは今イラストレーターとしては、かなり有名な立場です。影響力もそれなりに大きい。……そして、あなたの言動をそのまま文字に起こして、あなたと同じイラストを描くことも出来ます」
「は?」
そこで私はイグニスに先ほどまで描かせていた、リグレの絵を見せた。
……流石イグニスだ、見事に本人に酷似している。
「な……こりゃ、俺だ……これだけの時間で描いたのかよ?」
相手を驚愕させるには、強烈なインパクトが必要だ。
イグニスを連れてきてよかった。
「……リグレさん……あなた、クリエイターを舐めすぎなんですよ」
怒りを込めたイグニスの発言に、リグレが唾をのむ音が聞こえたのを聞き、私は続けた。
「私は事務所がどう言おうと、独断であなたの顔と名前、そして今の言動を大陸中の酒場に貼りつける用意があります。……それを見た組織はあなたを会社においておくと思いますか?」
「ざけんなよな? んなことしたら、てめえ、どうなるか分かってんのか?」
「分からないですが、少なくともあなたはクビになりますね。私はそれだけで十分です」
私はひるまず答える。
……どうせ私に失うものなど、もうないのだから!
「立場の弱さに付けこんで、クリエイターを搾取する害虫は……私を含めて、この業界にいる価値はないんですよ!」
「く……」
ようやくリグレは押し黙った。
だが、ここで話を終えてはクーゲルに迷惑が及ぶ。
そこで私は付け加える。
「ああ、そうそう。文句があるなら、私『ニルセン』に言ってください」
「……あん?」
「それともエルフって言うのは女性、しかも少数種族が相手じゃないとビビッて声も出ない、臆病な種族でしたか?」
「な……んだとてめえ!」
そうリグレは恫喝した。
だが、私は『いつも部下にしてきたように』思いっきり強く睨みつけると、それもすぐに委縮してきた。
「……う……」
怒りの感情さえ込めなければ、この程度の『脅し』は催眠アプリの影響を受けないようだ。
私はあえて見下したような笑みを浮かべて答える。
「やはりそうでしたか……みじめな種族ですね。いや、リグレさん。あなたがみじめなだけですかね」
「んだと、てめえ!」
「会社の力をかさにクリエイターを苛め、挙句強い種族が出たらビビり散らかす。あなたが『小さいころなりたかったもの』って、少なくとも今の姿ではないのでは?」
「ち……」
リグレはあからさまにこちらに憎しみを込めた表情を見せている。
……これでいい。
これで恨みは私一人に向かうはずだ。
「それじゃあ納期の件ですが、もう少し詳しくお話をしましょう」
「ああ……。わーったよ。ったくよ……覚えてろよ……」
こうして私たちは何とか納期を少し待ってもらうこと、そしてクーゲルへの依頼は今後も変わらず行うこと、更にその契約内容も極端に不利なものにしないことを了承してもらった。
思ったよりも目的の場所は近かった。
ケンタウロスに乗ってほんの1時間ほどの場所にクーゲルの受注先があった。
『昔々』を意味する会社名の通り、見たところ、そこそこ大きなゲーム会社だった。
今体調を崩しているクーゲルは、ここでゲームのキャラクターのデザインを受けていた。
イグニスはぽつり、と口にした。
「ここ、正直あんまり評判が良くないんですよ……」
「そうなのか? 結構会社の雰囲気はよさそうだが……」
「けど、木造に魔力障壁を使った、いかにも『エルフ好み』のする建物ですよね?」
「確かにそうだな。正直私のように湿地を好むタイプのリザードマンは、日当たりが良すぎて好きになれない」
「ですよね? あの会社、正直エルフに対しては優しいけど、俺達みたいな種族を露骨に嫌ってるやつばっかりなんですよね」
「ハハハ、相手によって態度を変えるなんて! まさか、そんな子どもじみた会社員が、この世にいるわけないじゃないか。……とにかく入ろう」
この世界では、クリエイターの地位は極めて低い。さらに、そのクリエイターが『少数派』に属する種族であればなおさらだ。
……その時の私は、まだクーゲルたちの苦労をまるで理解していないことをすぐに分かった。
それからしばらくして、我々は応接室に通された。
「初めまして。私はニルセンと申します」
「私はイグニスです」
「……ああ。俺、リグレ」
「……はあ。えっと、俺はヨアンっす」
向こうも上司と部下と言う形でこちらに来たようだ。
『リグレ』と名乗ったエルフは恐らく上司だろう。あからさまにこちらを見下した様子で挨拶をしてきた。
一方の『ヨアン』はインキュバスだった。こちらが可愛い女の子じゃないと知って、あからさまに態度が悪い。……まあ、これはインキュバスの特性上仕方ないだろうが。
「それで、今回のクーゲルの契約についてなんですけど……」
一応ここに来る前に、アポイントと同時に簡単な連絡は取っているが、私は改めて話を始めた。
いくらなんでも、あの契約には無理があること。
そして現状こちら側もクーゲルの体調が思わしくないため、納期の延長をお願いしたいことを冷静に解説した。
……ある意味では、ここで『私が他者に怒れない』ようにかけられた、催眠アプリの暗示が生きた。全く皮肉なものだ。
……だが、リグレは話を全部聞いた後、はあ、とあからさまに不愉快な溜息を洩らした。
「それってあんたらの都合だろ? なんで我々が譲歩しないといけないの?」
「は?」
いくら受注先だからって、敬語も使わずに失礼な態度を取る奴だ。
そう考えたが、敢えて私はそこで態度に出さなかった。
「あの契約を了承したのは、あんたのとこのバカ女。あの納期も了承したのもそっち。これで、あんたらが仕事を出来ない責任を問われてもねえ……」
それはある意味では一理ある。
……ただしそれは、契約の内容が客観的に見て正当なものの場合だ。
無知や弱みに付け込んで不利な契約を押し付けた上で、そのような発言をすることは許されない。
「しかし、あの契約ははっきり言って『クリエイターいじめ』じゃないですか? あの内容と報酬で納期通りに挙げるのは、不可能ですよ……」
「あん? じゃあさ、良いよ。あんたのとこのクーゲルだっけ? そいつにはもう仕事振んねえから。あと違約金もしっかり請求させてもらうぞ」
「……違約金?」
「ほら、ここ読んでみろよ?」
そう言ってリグレは契約書を見せつけた。
……なるほど、読みづらい字……というかこれは、私のような高等教育を受けたものにしか読めない字だ……で、法外な違約金についての但し書きがある。
リグレたちは、クーゲルにこの文字が『読めないことを知ったうえで』違約金の項目を入れたのだろう。明らかにここだけ書き足されたような筆跡だ。
更に、彼の隣にいたヨアンは、小声で私の方につぶやいた。
「……あの……。……リグレさんは、エルフ以外にはまともに交渉しないっすよ?」
その発言で、イグニスが言っていたことが理解できた。
正直、クーゲルはこの大陸ではかなり珍しい種族だ。
その為、受注できる仕事もその収入も、他種族(特にこの大陸で多数派であるエルフ)に比べると、はるかに少ない。
加えて『ロングロング・アゴー』はゲームの開発会社としてはそれなりの大きさだ。
そのような大手企業に悪い噂を立てられたら、いよいよ彼女のようなクリエイターは仕事は出来なくなる。
なるほど、クーゲルが弱みに付け込まれ、さらに仕事を断れなかったわけだ。
「いやあ、ですがね。うちのクーゲルの途中結果は送ってますよね? 枚数もクオリティも、どれも問題ないと思いますが……」
私はそれでも、なるべく下手にでるように努めた。
だが、リグレの表情は不快そうなまま変わることはない。
「あれくらい、いくらでも書ける奴はいるんだよ。つーかさ、オタクらは自分で仕事作れないくせに、偉そうじゃね?」
「は?」
私は、この男の次の発言に耳を疑った。
「俺達はね。自分でゲーム作って、自分で広告出して、自分で小売りに頭下げて売ってんの。あんたらみたいに口開けて待ってて、楽して仕事貰ってんじゃないんだよね」
その発言には、私だけでなくイグニスもカチンと来たようだ。
その気持ちは分かる。
彼らはただ『依頼されるのを待つ』だけの存在じゃない。
……そのことは、少なくとも私は今まで指導……いや、パワハラだが……をしてきた身としてよくわかる。
リグレはさらにニヤニヤと笑って見下す口調で話し続ける。
「それにさ、オタクらみたいな弱小はさ、うちに仕事恵んでもらわないと困るだろ? しかもあの女、少数種族じゃん? こっちの力なら簡単に仕事できなくさせられるぜ?」
「それは……」
「んじゃ、オタクらとこっちの関係が分かったら、さっさと納期通りにイラスト用意しろよな? さもなきゃ、とっとと違約金を払えよ?」
「……そうですか……」
やはり最後の手段はこれしかない。
……だが、下手にこれをやるとクーゲルが干される可能性がある。
だからこそ、私が悪者になる言い方をしないといけない。
……全く皮肉なものだ。今までさんざん『悪者』になっていたことが、こんなところで役に立つとは。
「おい、イグニス? 今の言葉録音したか?」
「え? はい」
「は?」
そこでリグレはあっけにとられた表情を見せた。
私は録音する能力がある宝珠を、事前にイグニスに渡していたためだ。
それをリグレの前に見せる。
「今の発言、完全にクリエイターいじめですよね? この内容を知ったら世間はなんていうと思いますか?」
「あん? オタクらが困るだけじゃね? うちの仕事をやりたがる奴はいくらでもいるからな」
「確かに『組織としては』そうでしょう。ですが、ここであなたは明確に自分の名前を言っています」
「だから何だよ?」
そこで私はイグニスの方を見ると、イグニスは黙って頷いた。
「知っての通り、このイグニスは今イラストレーターとしては、かなり有名な立場です。影響力もそれなりに大きい。……そして、あなたの言動をそのまま文字に起こして、あなたと同じイラストを描くことも出来ます」
「は?」
そこで私はイグニスに先ほどまで描かせていた、リグレの絵を見せた。
……流石イグニスだ、見事に本人に酷似している。
「な……こりゃ、俺だ……これだけの時間で描いたのかよ?」
相手を驚愕させるには、強烈なインパクトが必要だ。
イグニスを連れてきてよかった。
「……リグレさん……あなた、クリエイターを舐めすぎなんですよ」
怒りを込めたイグニスの発言に、リグレが唾をのむ音が聞こえたのを聞き、私は続けた。
「私は事務所がどう言おうと、独断であなたの顔と名前、そして今の言動を大陸中の酒場に貼りつける用意があります。……それを見た組織はあなたを会社においておくと思いますか?」
「ざけんなよな? んなことしたら、てめえ、どうなるか分かってんのか?」
「分からないですが、少なくともあなたはクビになりますね。私はそれだけで十分です」
私はひるまず答える。
……どうせ私に失うものなど、もうないのだから!
「立場の弱さに付けこんで、クリエイターを搾取する害虫は……私を含めて、この業界にいる価値はないんですよ!」
「く……」
ようやくリグレは押し黙った。
だが、ここで話を終えてはクーゲルに迷惑が及ぶ。
そこで私は付け加える。
「ああ、そうそう。文句があるなら、私『ニルセン』に言ってください」
「……あん?」
「それともエルフって言うのは女性、しかも少数種族が相手じゃないとビビッて声も出ない、臆病な種族でしたか?」
「な……んだとてめえ!」
そうリグレは恫喝した。
だが、私は『いつも部下にしてきたように』思いっきり強く睨みつけると、それもすぐに委縮してきた。
「……う……」
怒りの感情さえ込めなければ、この程度の『脅し』は催眠アプリの影響を受けないようだ。
私はあえて見下したような笑みを浮かべて答える。
「やはりそうでしたか……みじめな種族ですね。いや、リグレさん。あなたがみじめなだけですかね」
「んだと、てめえ!」
「会社の力をかさにクリエイターを苛め、挙句強い種族が出たらビビり散らかす。あなたが『小さいころなりたかったもの』って、少なくとも今の姿ではないのでは?」
「ち……」
リグレはあからさまにこちらに憎しみを込めた表情を見せている。
……これでいい。
これで恨みは私一人に向かうはずだ。
「それじゃあ納期の件ですが、もう少し詳しくお話をしましょう」
「ああ……。わーったよ。ったくよ……覚えてろよ……」
こうして私たちは何とか納期を少し待ってもらうこと、そしてクーゲルへの依頼は今後も変わらず行うこと、更にその契約内容も極端に不利なものにしないことを了承してもらった。
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる