容姿端麗文武両道なカップルは異世界でも悠々自適だが少し特殊だ。

仔犬

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それぞれの欲望を

38.簡単に微笑んで

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「お前、雛野と零蘭の魔力が見たいだけだろ……」

「あは、バレた」


キツネのような目が遊んでいたためにイガルは威圧する。たまにウルエラは試すようなことをするのだ。飄々としているがその知識は膨大で誰よりも魔力コントロールが出来る。他の国でもウルエラの名は知られているほどだった。イガルはそれ以上なのだが、その親しみやすさからあまりその面を見せない。


そんな2人をよそにものすごい速さで本を読み進めていた雛野の手が止まる。指をさしてイガルに見せてきた。

「この、約束ってなあに?」

「基礎理解したんだろ……?根本として、魔法はで成り立つって」

サラリと覚えたはずの約束という単語を不思議に思うことをイガルもまた不思議に思った。何か食い違いのような空気感が流れ、雛野は一度瞬きをした。

「あ、この世界神様がいるんだよ零蘭」

「それ本当なのね、びっくり」

さらりと言った雛野と零蘭だがイガルからするとその言葉はとんでもない事だった。世界の常識が違うのだから。


「……まさかお前らの世界は神がいないのか?」

「さあ……?」


零蘭と雛野が首を傾げた。いないどころかその存在すらよく分からない言われイガルは衝撃を受ける。今までモンスターから受けた傷で、足が折れても、体のどこかがえぐれてもそんな衝撃は受けたことがない。

逆にウルエラが興味津々で質問をする。

「へぇ、じゃあさ2人の世界は何が世界を作ったの?」

「地球という地から生命が生まれたって言われてるわ」

「でも誰もその時代に生きてないし、神様の説も有ったりするけど」

2人がなんて事もない、それより次を。そんな感じで話すのでイガルは深く考えるのをやめた。

つまり、神というものが2人にとっては空想に近いため事実ではなく概念程度に思っていたのだ。それがわかればあとはこの世界の常識を話すだけ。


「この世界は神が存知する。そして魔法は神が授けた力で、そして魔法の種類だけ神は存在する。例えばウルエラはかなりの魔法が使えるがその分だけ神とをしてる」


零蘭と雛野の視線がウルエラに動く。彼はウインクでその視線に答えた。

「今のところ300回は約束してるよ」

「普通は?」

「50が平均だな」

「やだウルエラあなた凄いのね」

「それほどでもー!」


零蘭の声にウルエラは謙遜するがその実力はやはり桁外れだとイガルは思う。もう少し性格も落ち着けばいいのだが。だがきっと神はこの青年を気に入ったのだ。それがその数に値する。

恐らくこの2人も神は気にいるだろう。
イガルは赤い髪の隙間から雛野と零蘭をみた。


「それでその約束は何をするの?」

「神に愛されるのさ」







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