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「志摩って隔世遺伝なのかよ?」
「うん」
「親も双子の妹も全っ然? 淫魔の血の影響ゼロなのか?」
「そうだよ」
「双子の妹と志摩って似てんの?」
「二卵性だから似てない」
「へ~」
最初はご乱心、休み時間の教室で志摩を殴った岬であったが。
同年代の同種に出会うのが初めてだったヤンキー淫魔は、今ではもう、志摩にすっかり懐いていた。
「中村、志摩によく話しかけてるよな」
「拳から始まった友情とか?」
不思議がる友達には、同じ淫魔だからとは回答できずに「アイツがぼっちで可哀想だから一緒にいてやってんだよ」と上から目線で適当にはぐらかした。
放課後になると志摩は教室や図書館で必ず勉強した。
どうも家族との間に溝があるらしく、敢えて帰宅を先延ばしにしているようだった。
「俺も行く」
岬も隣で宿題をしたり、居眠りしたり、たまに商業施設のフードコートやファミレスに志摩を誘って一緒に夕食を食べたり。
「何食おうかな、どれにしよ、志摩は何食う?」
「チーズハンバーグの洋風セットにする」
「またハンバーグかよ、ほんっと好きだな、お子様舌かよ、一口ちょーだい、俺はなー、えーと」
「すみません」
「俺まだ決まってねぇのに! なんで店員さん呼ぶんだよ!」
あっという間に志摩との時間が増えた。
単独行動が染みついていたはずの志摩は、特に煙たがる様子もなく、岬の好きなようにさせていた。
「もう一口くれ」
自分が話しかけなければ黙々と食事を進める志摩。
向かい側の席から岬は繁々と眺める。
ナイフとフォークで肉汁溢れるハンバーグを器用に切り分ける。
ゆったりと咀嚼し、喉を波打たせて飲み込む。
付け合せの野菜のソテーやポテトはそのまま口の中へ。
丁寧に集めたコーンをフォークの先に乗せて、ぱくり。
……別に普通に食ってるだけなのに、めちゃくちゃおいしそうに見える、俺も同じものが食いたくなる。
……そんなにハンバーグ好きなら、今度、作って食べさせてやろうかな。
夕方、西日にいつしか薄闇がまじり始め、街明かりが際立つようになる時間帯。
ブラインドが上げられた窓際のテーブル席で志摩との夕食に岬は自然と心を弾ませる。
でも、大抵、二人の時間は。
「……またメールかよ」
志摩のスマホに届くセフレからのメールで呆気なく終了する。
「じゃあ、明日」
小銭まできっちり揃えた金額を残し、未練なく席を立ってファミレスから去っていく志摩に岬は毎回しょげる。
「なー、志摩、今日も飯行かね?」
それでもまた誘ってしまう。
「じゃあ、また明日」
同じ目に遭って、また、しょげる。
「……どんだけセフレいるんだよ……」
ライス一粒残さず綺麗に平らげられた食器を眺め、岬はポツリと呟くのだった。
「友達と過ごさなくてよかったのか」
岬はキョトンした。
一学期の終業式の帰り、容赦のない日差しにアスファルトが熱せられた晴天の昼時。
友達からのお誘いを断って志摩とファミレスへ、どのランチにしようか迷っている真っ最中だった。
「カラオケに誘われてただろ」
長袖シャツを腕捲りし、ストライプ柄のネクタイをちょっと緩めた、伸びかけの前髪が眼鏡にかかっている志摩はメニュー越しに岬に尋ねた。
シャツのボタンが上下一つずつ外れている岬はメニュー越しに答える。
「あいつらとはいつでも会えるし、夏休み中も遊びいく予定だから、別に今日わざわざ付き合う必要もねぇかなって」
「そう」
「なぁなぁ、どれにするか決めた? またハンバーグかよ?」
昼時で賑わう店内が、ふと、ざわついた。
一人の客に多くの客の視線が吸い寄せられている。
注目を浴びるのに慣れきっている彼は涼しげな顔をして通路を進み、岬と志摩のテーブルへ。
「こんにちは、志摩」
岬は吊り目を見開かせた。
向かい側に座る志摩に声をかけてきた、他校の制服を着た、どこにいようと数多の視線を招く眉目秀麗な顔を凝視した。
「窓越しに見つけて驚いたよ。ランチを共にする友達ができたんだね。知らなかった」
彼は志摩の手つかずの黒髪をピアニストじみた指でさも親しげに梳いてみせた。
岬は無性に苛立った。
そして苛立つ自分自身にもまた腹が立った。
「いきなり髪に触るな、阿久刀川」
「は? あくたがわ? 芥川龍之介?」
「漢字が違う」
「僕は志摩と同じ中学に通っていたんだ、阿久刀川十(あくたがわとお)っていうんだよ」
志摩の隣ではなく自分の隣に座った阿久刀川に岬はちょっとたじろぐ。
「君は誰? 君も淫魔だね? 攻撃的に吊り上がったスパイシーなおめめだね」
「おい」
「クンクン。でも変わった匂いがするなぁ」
「おい!」
初対面にして一切の躊躇もなしにグイグイ接近してきた阿久刀川、限界ギリギリまでイスの端っこに逃げた岬は「お前の友達どーいう神経してんだ! これが初対面の距離か!」と喚いた。
「阿久刀川、それ以上接近したら殴られる」
立ち上がった志摩は面食らっている岬から阿久刀川を引き剥がし、自分の隣に座らせた。
ネイビーのポロシャツにチェック柄のズボン、焦げ茶の学生鞄、岬達の通う私立高校よりも偏差値の高い学校の制服だった。
頭上の照明を浴びた黒髪は角度によっては茶色がかっても見える。
細すぎず太すぎず、凛と整った黒眉は男らしく、澄んだ黒曜石の瞳は一番星さながらに輝いていた。
「僕はどれにしようかな」
同席する気満々、メニューを開いた阿久刀川に岬は呆気にとられた。
……つぅか、コイツも淫魔筋ってことだよな。
……そうか、中学ン頃に志摩が出会った同種はこの阿久刀川だったんだ。
「店員さん、注文いいですか?」
「ッ、俺まだ決めてねぇよッ、メニューもろくに見てねぇんだよ!!」
「うん」
「親も双子の妹も全っ然? 淫魔の血の影響ゼロなのか?」
「そうだよ」
「双子の妹と志摩って似てんの?」
「二卵性だから似てない」
「へ~」
最初はご乱心、休み時間の教室で志摩を殴った岬であったが。
同年代の同種に出会うのが初めてだったヤンキー淫魔は、今ではもう、志摩にすっかり懐いていた。
「中村、志摩によく話しかけてるよな」
「拳から始まった友情とか?」
不思議がる友達には、同じ淫魔だからとは回答できずに「アイツがぼっちで可哀想だから一緒にいてやってんだよ」と上から目線で適当にはぐらかした。
放課後になると志摩は教室や図書館で必ず勉強した。
どうも家族との間に溝があるらしく、敢えて帰宅を先延ばしにしているようだった。
「俺も行く」
岬も隣で宿題をしたり、居眠りしたり、たまに商業施設のフードコートやファミレスに志摩を誘って一緒に夕食を食べたり。
「何食おうかな、どれにしよ、志摩は何食う?」
「チーズハンバーグの洋風セットにする」
「またハンバーグかよ、ほんっと好きだな、お子様舌かよ、一口ちょーだい、俺はなー、えーと」
「すみません」
「俺まだ決まってねぇのに! なんで店員さん呼ぶんだよ!」
あっという間に志摩との時間が増えた。
単独行動が染みついていたはずの志摩は、特に煙たがる様子もなく、岬の好きなようにさせていた。
「もう一口くれ」
自分が話しかけなければ黙々と食事を進める志摩。
向かい側の席から岬は繁々と眺める。
ナイフとフォークで肉汁溢れるハンバーグを器用に切り分ける。
ゆったりと咀嚼し、喉を波打たせて飲み込む。
付け合せの野菜のソテーやポテトはそのまま口の中へ。
丁寧に集めたコーンをフォークの先に乗せて、ぱくり。
……別に普通に食ってるだけなのに、めちゃくちゃおいしそうに見える、俺も同じものが食いたくなる。
……そんなにハンバーグ好きなら、今度、作って食べさせてやろうかな。
夕方、西日にいつしか薄闇がまじり始め、街明かりが際立つようになる時間帯。
ブラインドが上げられた窓際のテーブル席で志摩との夕食に岬は自然と心を弾ませる。
でも、大抵、二人の時間は。
「……またメールかよ」
志摩のスマホに届くセフレからのメールで呆気なく終了する。
「じゃあ、明日」
小銭まできっちり揃えた金額を残し、未練なく席を立ってファミレスから去っていく志摩に岬は毎回しょげる。
「なー、志摩、今日も飯行かね?」
それでもまた誘ってしまう。
「じゃあ、また明日」
同じ目に遭って、また、しょげる。
「……どんだけセフレいるんだよ……」
ライス一粒残さず綺麗に平らげられた食器を眺め、岬はポツリと呟くのだった。
「友達と過ごさなくてよかったのか」
岬はキョトンした。
一学期の終業式の帰り、容赦のない日差しにアスファルトが熱せられた晴天の昼時。
友達からのお誘いを断って志摩とファミレスへ、どのランチにしようか迷っている真っ最中だった。
「カラオケに誘われてただろ」
長袖シャツを腕捲りし、ストライプ柄のネクタイをちょっと緩めた、伸びかけの前髪が眼鏡にかかっている志摩はメニュー越しに岬に尋ねた。
シャツのボタンが上下一つずつ外れている岬はメニュー越しに答える。
「あいつらとはいつでも会えるし、夏休み中も遊びいく予定だから、別に今日わざわざ付き合う必要もねぇかなって」
「そう」
「なぁなぁ、どれにするか決めた? またハンバーグかよ?」
昼時で賑わう店内が、ふと、ざわついた。
一人の客に多くの客の視線が吸い寄せられている。
注目を浴びるのに慣れきっている彼は涼しげな顔をして通路を進み、岬と志摩のテーブルへ。
「こんにちは、志摩」
岬は吊り目を見開かせた。
向かい側に座る志摩に声をかけてきた、他校の制服を着た、どこにいようと数多の視線を招く眉目秀麗な顔を凝視した。
「窓越しに見つけて驚いたよ。ランチを共にする友達ができたんだね。知らなかった」
彼は志摩の手つかずの黒髪をピアニストじみた指でさも親しげに梳いてみせた。
岬は無性に苛立った。
そして苛立つ自分自身にもまた腹が立った。
「いきなり髪に触るな、阿久刀川」
「は? あくたがわ? 芥川龍之介?」
「漢字が違う」
「僕は志摩と同じ中学に通っていたんだ、阿久刀川十(あくたがわとお)っていうんだよ」
志摩の隣ではなく自分の隣に座った阿久刀川に岬はちょっとたじろぐ。
「君は誰? 君も淫魔だね? 攻撃的に吊り上がったスパイシーなおめめだね」
「おい」
「クンクン。でも変わった匂いがするなぁ」
「おい!」
初対面にして一切の躊躇もなしにグイグイ接近してきた阿久刀川、限界ギリギリまでイスの端っこに逃げた岬は「お前の友達どーいう神経してんだ! これが初対面の距離か!」と喚いた。
「阿久刀川、それ以上接近したら殴られる」
立ち上がった志摩は面食らっている岬から阿久刀川を引き剥がし、自分の隣に座らせた。
ネイビーのポロシャツにチェック柄のズボン、焦げ茶の学生鞄、岬達の通う私立高校よりも偏差値の高い学校の制服だった。
頭上の照明を浴びた黒髪は角度によっては茶色がかっても見える。
細すぎず太すぎず、凛と整った黒眉は男らしく、澄んだ黒曜石の瞳は一番星さながらに輝いていた。
「僕はどれにしようかな」
同席する気満々、メニューを開いた阿久刀川に岬は呆気にとられた。
……つぅか、コイツも淫魔筋ってことだよな。
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