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第1章 冒険者ギルドの契約職員なのです!
冒険者の悩みを聞くのもお仕事なのです―その2
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魔法がつかえない魔法職。
そんな冒険者でも参加できる依頼はあるか。
まずは依頼のリストをあたってみましょう。
あたってみましょう……あれ?
わたしが首を傾げていると、こちらの様子をちらっと見た先輩職員さんが口を開きました。
「アリーちゃん、それにティア。いまうちに来ている依頼は全部『出発済み』だよ」
おっと。
それで冒険者の方たちが出払っていたんですね。
「ねえ、ティア。察するにまりあさんって依頼を受けて、経験値を稼いで、その経験値をつかって魔法を覚えたい、ってことなのよね。経験値の入手量は下がるけどイベント系クエストを紹介してあげればいいんじゃないの?」
そうでした。その手がありましたね。
まりあさんも「こくこく」と頷いてます。
さすがアリーちゃんなのです。
正規職員はひと味違います、なのです。
ここでちょっと失礼して、冒険者ギルドに持ち込まれる依頼の解説をさせてください。
冒険者ギルドが冒険者に斡旋する依頼は、大きく分けると三つになります。
ひとつめは通常のクエスト。8人前後の冒険者さんたちで出発します。
ふたつめがイベント系クエスト。達成しても得られる報酬も経験値も通常のクエストよりだいぶ下がるのですが、そのかわり依頼を受けられる冒険者の数に制限がありません。
みっつめは大規模クエストです。この世界の命運がかかるような事態が起きたとき、ギルドが特別チームを募って送り出します。
以上です。
すでにおわかりかと思いますがほとんどの場合、冒険者ギルドではひとつめとふたつめしか斡旋していません。
通常のクエストでもさがしものを見つけるとかなら可能かもしれませんが……。
「ティア、何もできない冒険者が通常依頼に入っても、同行する冒険者からの風当たりが強いと思うよ」
アリーちゃんが冷静にツッコミを入れてきます。
ですよねー。
となると、イベント系のクエストしかないのですが。
現在受注がありません。
無いならどうするか。
探してくるしかありません、のです。
「アリーちゃん」
「ん。わかったよ、ティア。行ってくるならわたしのほうで本部長に言っておくから」
ちなみに本部長はわたしたちの世界の男性で、伐採と経理では冒険者にも比肩するマッチョでやさしいリルさん、三十五歳です。
ドワーフの奥さんとふたりのお子さん(おねえちゃんと弟くん)を愛する理想のパパさんです。
ちなみにリルさん、冒険者といっしょに戦う本部長です。
そのせいか二つ名持ちです。
『リル35』とか『リル大尉』というものなのですが。
大規模クエストのときには寝ずに一週間、前線に出る一方で冒険者さんのサポートもあたった伝説の持ち主、なのです。
それらの実績で冒険者さんからも一目置かれてます。
……あ。「一目置かれる」って言うのはヒューマンが広めた「ゴ」というゲームに由来した言葉なので……。
え、ご存じでしたか?
博識ですね。
おっと、余談がすぎました。
時刻記録器タイムレコーダーに、右手のギルド職員証リングをかざします。
「登録番号Az00128、『契約職員・一般』のシェスティア。受付業務、離脱です。これより以降、業務は営業になりますです」
発声と同時に職員出勤表のわたしの名前の欄が、業務「受付」から業務「営業」に変わりました。
ちなみに受付は時間給と先ほど申しましたが、契約職員の身では営業は成果給になります。
依頼を見つけるのは第一に依頼主様の、同時に冒険者さんたちのためですが、わたしにとっても切実なことでもあるのです。
主に金銭的な理由で。
それにしても。
イベント系の依頼をみつける、ですか……。
わたしのようなペーペーでは信用や実績がたりないので、依頼主さんもなかなか任せてはくれないのですよね。
いや、やる前から泣き言をいってどうするですティア、なのです。
そうだ、イベントに詳しいギルド先輩職員に聞いてみましょう。
商業部会や文化部会を担当する職員なら何か知っているかもですし。
---――――――――――――――――――――――――――――――――――
変なところで更新せざるを得ませんでしたが、たった今、通電されましたのでバッテリーが上がるまで書いた分を投稿します。
これからもろもろ、電気が来なかった時の分の仕事のリカバリーに行って来ます。
そんな冒険者でも参加できる依頼はあるか。
まずは依頼のリストをあたってみましょう。
あたってみましょう……あれ?
わたしが首を傾げていると、こちらの様子をちらっと見た先輩職員さんが口を開きました。
「アリーちゃん、それにティア。いまうちに来ている依頼は全部『出発済み』だよ」
おっと。
それで冒険者の方たちが出払っていたんですね。
「ねえ、ティア。察するにまりあさんって依頼を受けて、経験値を稼いで、その経験値をつかって魔法を覚えたい、ってことなのよね。経験値の入手量は下がるけどイベント系クエストを紹介してあげればいいんじゃないの?」
そうでした。その手がありましたね。
まりあさんも「こくこく」と頷いてます。
さすがアリーちゃんなのです。
正規職員はひと味違います、なのです。
ここでちょっと失礼して、冒険者ギルドに持ち込まれる依頼の解説をさせてください。
冒険者ギルドが冒険者に斡旋する依頼は、大きく分けると三つになります。
ひとつめは通常のクエスト。8人前後の冒険者さんたちで出発します。
ふたつめがイベント系クエスト。達成しても得られる報酬も経験値も通常のクエストよりだいぶ下がるのですが、そのかわり依頼を受けられる冒険者の数に制限がありません。
みっつめは大規模クエストです。この世界の命運がかかるような事態が起きたとき、ギルドが特別チームを募って送り出します。
以上です。
すでにおわかりかと思いますがほとんどの場合、冒険者ギルドではひとつめとふたつめしか斡旋していません。
通常のクエストでもさがしものを見つけるとかなら可能かもしれませんが……。
「ティア、何もできない冒険者が通常依頼に入っても、同行する冒険者からの風当たりが強いと思うよ」
アリーちゃんが冷静にツッコミを入れてきます。
ですよねー。
となると、イベント系のクエストしかないのですが。
現在受注がありません。
無いならどうするか。
探してくるしかありません、のです。
「アリーちゃん」
「ん。わかったよ、ティア。行ってくるならわたしのほうで本部長に言っておくから」
ちなみに本部長はわたしたちの世界の男性で、伐採と経理では冒険者にも比肩するマッチョでやさしいリルさん、三十五歳です。
ドワーフの奥さんとふたりのお子さん(おねえちゃんと弟くん)を愛する理想のパパさんです。
ちなみにリルさん、冒険者といっしょに戦う本部長です。
そのせいか二つ名持ちです。
『リル35』とか『リル大尉』というものなのですが。
大規模クエストのときには寝ずに一週間、前線に出る一方で冒険者さんのサポートもあたった伝説の持ち主、なのです。
それらの実績で冒険者さんからも一目置かれてます。
……あ。「一目置かれる」って言うのはヒューマンが広めた「ゴ」というゲームに由来した言葉なので……。
え、ご存じでしたか?
博識ですね。
おっと、余談がすぎました。
時刻記録器タイムレコーダーに、右手のギルド職員証リングをかざします。
「登録番号Az00128、『契約職員・一般』のシェスティア。受付業務、離脱です。これより以降、業務は営業になりますです」
発声と同時に職員出勤表のわたしの名前の欄が、業務「受付」から業務「営業」に変わりました。
ちなみに受付は時間給と先ほど申しましたが、契約職員の身では営業は成果給になります。
依頼を見つけるのは第一に依頼主様の、同時に冒険者さんたちのためですが、わたしにとっても切実なことでもあるのです。
主に金銭的な理由で。
それにしても。
イベント系の依頼をみつける、ですか……。
わたしのようなペーペーでは信用や実績がたりないので、依頼主さんもなかなか任せてはくれないのですよね。
いや、やる前から泣き言をいってどうするですティア、なのです。
そうだ、イベントに詳しいギルド先輩職員に聞いてみましょう。
商業部会や文化部会を担当する職員なら何か知っているかもですし。
---――――――――――――――――――――――――――――――――――
変なところで更新せざるを得ませんでしたが、たった今、通電されましたのでバッテリーが上がるまで書いた分を投稿します。
これからもろもろ、電気が来なかった時の分の仕事のリカバリーに行って来ます。
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