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「ここは異世界だよ」編

十四話めぇ~ 「たき火会議」

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「お前、気がついていたなら言えよ」
「だって、気持ちよさそうにお尻ふりふりしてたから、それがいいのかなって思って」

 ヌーボーの防護服は非常に心強かった。
 ダメージも受けなかった。これは素晴らしい。

 しかし、尻が無防備だった!!!
 首から胴体は完全に防いでいるが、尻だけが丸出しであった。

 そこをイヤージョーに咬まれて死んだのだ。
 よって今の俺はシゲキ七匹目である。

「でもレベル上がったよ」

 これで俺もぷるんもレベル2になった。
 HPは3から6になり、MPは2から3になった。

 うん、これだけでも全然違うよな。
 レベル0からいきなり2になったのも大きな違いだ。

 どうやら死んでもレベルは下がらないようだ。
 死ぬ前に倒したイヤージョー1匹分の経験値はしっかりと入っている。
 これは普通のRPGと違ってありがたい仕様だ。

「私はHPが100になったよ」

 おかしいよ! その上がり方おかしいよ!
 俺と比べて多すぎるじゃねえか!

「シゲキ君は二倍になったじゃん」

 もともと百円しかもらっていなかったお小遣いが二百円になった程度じゃないか。
 それはそれで悪くはないが、すっきりしないよな。

 どうやら白ヒツジ族は体力や攻撃力が大きく向上する種族らしい。
 力持ちで心優しいって設定なのかな。

「ガルドッグ食べる?」
「優しくなかった!」

 思えばこいつら思いきり同胞のジョナサン食べていた。
 優しくない!

「シゲキ君はあと二匹くらい倒せばレベルアップかな。私はまだかかりそうだけど」

 どうやらヒツジ戦士は強い分、俺の二倍くらいの経験値がないとレベルが上がらないらしい。
 といっても、前線で戦うからきっと俺以上に倒すんだろうなと思う。
 俺を殺したイヤージョーもぷるんがあっさり倒したしな。

「死んだシゲキ君を食べようとしていたから背後から忍び寄って斬ったよ」

 知りたくなかった情報だ。
 俺って誰からも食べられるんだな。


 少し進んだところに周囲からは死角になっている岩場があったので、そこで野宿することになった。
 ゲームでは夜でもガンガン進むが、これ以上暗くなるとかなり危険だ。灯りもないしな。

「じゃあ、たき火セット出すね」

 町で買った野宿用品はとても助かるな。
 一度火をおこせればそのあたりの木でなんとかなるし。

「これがイヤージョーの耳で、これがガルドッグの牙。毛皮は汚いから売れないし、触りたくないからやめておいたよ」

 俺が生き返るまでの間にぷるんが剥ぎ取ってくれた素材を並べる。
 ナイフを買ったので剥ぎ取りもかなりはかどるらしい。

 耳は弾力があるのでゴムのような素材として使え、牙は骨素材として使うそうだ。お守りの素材などにも使われるとのこと。
 このアイテムは素材専用としたアイテム袋「素材君」に入れておこう。
 これも町に戻ったら売ればいい。今度はちゃんとした場所でな。

「なあ、俺のドリルミサイルさ、撃ったら終わりじゃんか」

 蹄じゃ装填ができないんだよな。
 やるとすれば最初から地面に刺しておいて、撃ったら頭を下げてつけるとかしかできない。

 でも、それだと動けないし安全な場所でないと駄目だ。
 まさかの欠点だよな。

「いざという時のための装置だからね」

 そうなの!?
 そのわりにはいきなり「撃て!」とか言ったじゃねえか!!

「だって、見たかったし」
「そりゃ俺だって撃ってみたかったが…」
「シゲキ君って、頭蓋骨けっこう丈夫なんだね」

 違う期待してたーーーーー!!!
 こいつ、完全に俺の頭が吹っ飛ぶところ見たがってた!!

 ねえ、どうしてそんな鬼畜なの!?
 お前、超ドSじゃねえか!!!
 そんなに人の不幸が好きか!?

 つーか、大丈夫だとか言っていたじゃねえか!!

「芸人なら見ている人を楽しませないと」
「芸人じゃねえよ!!!」

 俺もう完全にそっち系のキャラになりつつあるじゃねえか!
 哀れな姿を晒して受けを狙うリアクション芸人のようだ!!

 まったく、やめろよな!!


 で、話は戻る。

「ドリルはショットランサーみたいにしたいよな」

 ガンダムに出てきた武器だな。
 あれみたいに重ねておけば連発できるんじゃないかなとは思うが、今回買ったのは単なる予備なのでそんな機能はない。

 地道に突いていくしかないかな。
 もしくは撃ったらひたすら逃げるか、ぷるんの周りに待機してアイテム職人になるかな。

「アイテム改造屋があるから、今度頼んでみようよ」

 おっ、そんなのあるんだな。
 手に入れた武器はすべてカスタマイズできるらしい。

「私のニッキーも改造したいな」

 魔改造だろう?
 現段階で「魔そのもの」のような気もするけどさ。

 なんか倒した相手の血をすすっていたから非常に怖い。
 カウントダウンが終わったらどうなるんだろうな。

「シゲキ君が死ぬと思うよ」

 俺ーーーーー!?
 俺なの!? なんで、どうして!?
 俺全然関係ないけど!?

「力の代償は、いつだって自分の大切なものを失うことなんだよ」
「だったら、もっと俺を大切にしろよ!!」

 こんな扱いを受けていながら、さらに犠牲にされるとかありえないだろう!!
 理不尽にも程がありすぎる!!


「明日はどうする?」
「サンドシャークは強いからシゲキ君のレベルを上げたいね」

「ぷるん一人でもきついか?」
「連続攻撃とかするからね。シゲキ君が死んだらアイテムの補充に時間かかるし、きついかな」

 一応、俺が死んでいるときでもアイテム袋は消えたりしないので、そこに来ればアイテムを取り出せる。
 ただ、戦闘中にそれをやるのはかなりきついし、無防備で相手の攻撃を受けることになる。
 HPが100になったとはいえ、一発で数十のダメージをくらえば厳しいだろう。

「なあ、俺とぷるんが同時に死んだらどうなるんだ?」
「全滅したらゲームオーバーだったかな?」

 おおぅ、ゲームオーバーか。
 それはきついな。現実でのゲームオーバーって死ぬってことだもんな。
 自分の世界じゃ霊界とかあるが、この異世界ってどういうシステムになっているんだろうな。

「でも、ゲームオーバーになったことないからなー。わかんないや」

 ああ、あるな。
 RPGって意外と全滅しないで全クリできてしまうことも多い。
 特に慎重なやつは念入りにレベルアップしてから進むから、その傾向がある。

「ぷるんは死んだら終わりなのかな?」

 まあ、デリケートな問題なんだが、ここはしっかりと確認しておいたほうがいいだろうな。
 これも安全のため。心を鬼にして聞くぞ!

「博士のところに持っていけば電撃で生き返ると思うよ」

 ドクターミンチいるの!?
 ねえ、あの人いるの!?

 なんだかメタルマックス臭が強くなっていくな。
 俺は大好きだからいいけど。

「たまに失敗するからリスクあるけどね」

 電気ショックだもんな、あれ。
 とりあえず危険なことは避けたほうがよさそうだ。

 俺はメタルマックス2の女戦士の存在に気がつかず、仲間にするまで相当時間がかかった。
 だって死んだらグラがマネキンみたいな感じになるし、最初まったくわからなかったよ!!

「やっぱりシゲキ君が強くなるのが一番だと思うよ。毎回死ぬと私も面倒臭いし」

 後半が本音だ!
 本音がぽろっと出たな。

 俺はたしかに餌として囮にはなるが、いちいち死んでいると復活までの時間を待つのが面倒なんだろうな。

「シゲキ君、だんだん生き返るのが遅くなってるよ」

 えぇぇえーーーー!
 なにそれ怖い!!
 やばい。確実に何かがすり減っている。

 DNAのテロメアのようなものが減っているとしか思えない現象だ。
 危険だ。今後はできるだけ死なないようにしよう。
 もちろん、死にたくて死んでいるわけではないがな。

「じゃあ、明日はレベル上げってことで」

 まだ初日なので時間は大丈夫だ。
 となれば、当面の課題は俺なんだろうな。

「今回は普通に終わったね」
「盛り上がりが足りないけどな」

「シゲキ君、死ねばいいのに」

 その言い方おかしいだろう!!!

 死んで盛り上げるのはやめようぜ!
 何かいろいろ減ってるからさ!


「ちぇっ、今日はお肉なしか」

 そっちか!!! ラム肉期待するなよ!!
 ちゃんと町で売っているんだから、そっちのを買えよな!!



 じゃあ、お疲れー。


 また明日な。



「足だけでもいいんだけど」

 怖いこと言うなよ!!!

 やめろ! ニッキーをちらつかせるな!!

 お前はもう寝ろ!!



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